8種類のチェーンコンベアと特徴、比較方法とおすすめのメーカー5社をご紹介
  • 最終更新日:2024年9月13日
チェーンコンベアの選び方に迷っていませんか?種類や特徴、メリットをしっかり把握することで、あなたのニーズに最適なチェーンコンベアを選ぶことができます。

この記事では、8種類のチェーンコンベアについて詳しく解説し、それぞれの特徴やメリット、選び方のポイントを徹底比較します。さらに、信頼性の高いメーカー情報もご紹介します。

8種類のチェーンコンベアと特徴

チェーンコンベアの種類と特徴

チェーンコンベアとは、チェーンを使用して物品を運搬するためのコンベアシステムです。特に重い物品や特殊な環境での搬送に向いており、その耐久性と信頼性によって広く利用されています。

特徴としては、高い強度と耐久性をもち、 重量物や大型の荷物、高温の荷物を運搬するのに適しています。また、多様な搬送ルートに対応可能で、水平、垂直、カーブ状のルートでの搬送が可能です。

チェーンコンベアには、主に以下の8種類が挙げられます。

  • Rローラ形
  • Fローラ形
  • Sローラ形
  • Mローラ形
  • ホローピンチェーン
  • スラットコンベヤ
  • バケットコンベヤ
  • エプロンコンベヤ

Rローラ形

ローラの外径がプレートの幅よりも大きい形式のチェーンコンベアは、重い物品を効率的に運搬するために設計された装置です。このタイプのコンベアは、特に重量物の運搬に強みを持ち、広範な産業分野で使用されています。パレットや大型荷物の搬送に適しており、効率的かつ安全な物品移動を実現します。

このタイプのチェーンコンベアには、以下の特徴があります。

  • ローラ外径がプレート幅よりも大きく、安定した運搬が可能
  • 重量物の運搬に特化した設計
  • パレットや大型荷物の搬送に最適

主に、製造業での重機部品の運搬や物流センターでのパレット搬送、建設現場での資材移動などで活用されます。

Fローラ形

フランジのあるローラを装備したチェーンコンベアは、荷物の落下を防止しながら運搬するために設計されています。フランジがレール端面をガイドすることで、荷物の安定性が向上し、正確な運搬が可能となります。このタイプのコンベアは、特にバケットコンベヤやスラットコンベヤなど、物品を特定の角度で運搬する場面で活躍します。

このタイプのチェーンコンベアには、以下の特徴があります。

  • フランジ付きローラにより、荷物の落下防止と安定性を実現
  • レール端面をガイドし、正確な運搬をサポート
  • 角度を持つ搬送が必要な場合に最適

主に、鉱山での鉱石搬送や農業での収穫物搬送、製造業での部品搬送などで活用されます。また、農業ではスラットコンベヤを用いて収穫物をスムーズに運搬し、安定した搬送を実現します。

Sローラ形

ローラの外径がプレートの幅よりも小さい形式のチェーンコンベアは、コンパクトな設計により、狭いスペースでの運用に適しています。特にバケットチェーンコンベアとして、穀物や粉体の垂直搬送に優れた性能を発揮します。このタイプのコンベアは、効率的な垂直搬送が求められる場面で多く採用されています。

このタイプのチェーンコンベアには、以下の特徴があります。

  • ローラが小型で、コンパクトな設計
  • 垂直搬送に特化した性能
  • 狭いスペースでも設置が容易

主に、穀物のサイロ内搬送や粉体工場での材料搬送、食品工場での原材料搬送などで活用されます。また、食品工場ではバケットエレベーターとして、狭いスペースで原材料を垂直に搬送し、製造ラインに供給する役割を果たします。

Mローラ形

ローラの外径がプレートの幅よりもやや小さい形式のチェーンコンベアは、R型とS型の中間的な駆動力と大きさを持ち、これにより中重量の搬送物に適したバランスの取れた設計が特徴です。

特に、物品や粉体の垂直搬送に優れ、バケットコンベヤなどの用途で幅広く使用されています。このタイプのチェーンコンベアは、さまざまな産業で効率的な搬送を実現します。

このタイプのチェーンコンベアには、以下の特徴があります。

  • R型とS型の中間的な駆動力とサイズでバランスの取れた設計
  • 中重量物の搬送に最適
  • 物品や粉体の垂直搬送に適した構造

主に、化学工場での原材料搬送や食品工場での粉体搬送、農業施設での穀物搬送などで活用されます。また、食品工場では粉体の原材料をバケットコンベヤを使用して垂直に搬送し、製造工程に供給します。さらに、農業施設では穀物のサイロ内搬送に使用され、スペースを有効活用しながら安全に搬送する役割を果たします。

ホローピンチェーン

ホローピン(穴あきピン)を使用した特殊タイプのチェーンコンベアは、生産ラインの多様化に対応するために設計されています。このチェーンコンベアは、アタッチメントの位置を簡単に変更できるため、少量多品種の物流ラインや頻繁に搬送物が変わるラインに最適です。柔軟性と適応力が求められる現場での使用が推奨されます。

このタイプのチェーンコンベアには、以下の特徴があります。

  • アタッチメントの位置を簡単に変更可能
  • 少量多品種の搬送に対応
  • 生産ラインの多様化に適応

主に、電子部品製造ラインや食品加工工場、物流センターなどで活用されます。また、食品加工工場では異なる製品を同一ラインで製造・搬送する際に、アタッチメントを迅速に切り替えることで効率的な生産を実現します。さらに、物流センターでは多様な商品を扱う倉庫で、搬送ラインの柔軟性が必要な場合に、ホローピンチェーンコンベアが使用されます。

スラットコンベヤ

スラットコンベヤは、金属やプラスチックのスラットがチェーンに取り付けられ、連続的に動くタイプのコンベヤシステムです。別名「パンコンベア」とも呼ばれ、重い荷物や高温の材料の搬送に特化しています。スラットが平らな構造を持っているため、搬送物が安定して運ばれるという大きな利点があります。特に、耐久性と安定性が求められる搬送現場で使用されます。

このタイプのスラットコンベヤには、以下の特徴があります。

  • 金属やプラスチックのスラットを使用し、耐久性に優れている
  • 重い荷物や高温の材料の搬送に適している
  • 平らなスラットにより、搬送物の安定性が高い

主に、製鉄所や自動車工場、焼却施設などで活用されます。また、自動車工場では大型かつ重量のある自動車部品を安定して運ぶために使用され、焼却施設では高温の廃棄物や焼却灰を効率的に搬送する際に活躍します。これらの用途において、耐熱性と耐久性が求められる場面で特に効果を発揮します。

バケットコンベヤ

バケットコンベヤは、バケット(バケツ状の容器)をチェーンやベルトに取り付け、材料を運搬する装置です。このコンベヤは、水平、傾斜、垂直方向など、さまざまな方向に材料を運ぶことが可能です。粉体、粒体、液体など、多様な材料を効率的に搬送するために広く使用されています。特に、製造業や農業など、搬送効率と柔軟性が求められる場面で活躍します。

このタイプのバケットコンベヤには、以下の特徴があります。

  • バケットを使用して、粉体、粒体、液体の搬送が可能
  • 水平、傾斜、垂直方向に材料を運搬できる多様な搬送方法
  • 耐久性が高く、長距離搬送に適している

主に、食品加工工場やセメント工場、化学工場などで活用されます。また、セメント工場では粉体や粒体のセメント原料を高所に効率的に搬送し、貯蔵サイロに供給します。さらに、化学工場では化学液体を安全かつ効率的に移動させるために、垂直搬送や傾斜搬送が必要な工程で使用されます。

エプロンコンベヤ

エプロンコンベヤは、金属やプラスチックのエプロン(重なり合ったプレート)がチェーンに取り付けられ、連続的に動く構造を持つコンベヤシステムです。エプロンプレートが互いに重なり合っていることで、非常に頑丈であり、重い荷物や高温、鋭利な材料の搬送に適しています。特に耐久性と安定性が求められる厳しい環境下で使用されることが多いです。

このタイプのエプロンコンベヤには、以下の特徴があります。

  • エプロンプレートが重なり合っており、優れた耐久性を持つ
  • 重い荷物、高温材料、鋭利な材料の搬送に最適
  • 頑丈な構造で、過酷な環境でも信頼性が高い

主に、製鋼工場や廃棄物処理施設、鉱山などで活用されます。また、廃棄物処理施設では鋭利な金属片や重量のある廃棄物を運搬する際にエプロンコンベヤが使用されます。さらに、鉱山では鉱石などの重くて鋭利な材料を安全に搬送し、長距離の移動にも対応します。

チェーンコンベアのメリット・デメリット

チェーンコンベアの強みと課題

チェーンコンベアには、メリットだけでなくデメリットもあります。このセクションでは、その両方をご紹介します。

メリット

チェーンコンベアを導入する場合、主に以下のようなメリットがあります。

  • 高い耐久性と強度
  • 多様な搬送ルートに対応
  • 厳しい環境下での運用

高い耐久性と強度

チェーンコンベアは高い耐久性と強度を持ち、重い物品や大型の荷物を効率的に搬送できます。そのため、駆動力を上げることができ、特に重量物の搬送に適している。また、加熱した鋼など高温物の搬送にも適しています。

このメリットは、工場の生産ラインにおける重い部品や製品の連続的な搬送や、物流センターにおける大型のパレットや箱を効率的に搬送するために利用されます。

多様な搬送ルートに対応

チェーンコンベアは、水平、垂直、カーブ状のルートでの搬送が可能であり、柔軟なレイアウトが実現できます。このコンベアシステムは、複雑な搬送ルートを必要とする環境で特に効果を発揮します。

このタイプのチェーンコンベアには、以下の特徴があります。

  • 水平、垂直、カーブ状の搬送が可能
  • 柔軟なレイアウトが実現できる

主に、自動車工場や食品加工工場などで活用されます。たとえば、自動車工場では車体や部品を複雑なルートで搬送する際に使用されます。また、食品加工工場では食品を異なる加工ステーション間で搬送する際に利用されます。

厳しい環境下での運用

チェーンコンベアは、温度、湿度、粉塵などの厳しい環境でも安定した運搬性能を発揮します。このコンベアシステムは、過酷な条件下での信頼性が求められる場面で特に効果を発揮します。 このタイプのチェーンコンベアには、以下の特徴があります。

  • 厳しい環境下でも安定した運搬性能
  • 高温、湿度、粉塵に対応

主に、鉱山やゴミ処理施設などで活用されます。たとえば、鉱山では高温や粉塵が多い環境で鉱石を搬送する際に使用されます。また、ゴミ処理施設では高温の焼却灰や湿ったゴミを搬送する際に利用されます。

デメリット

一方で、チェーンコンベアには、以下のようなデメリットもあります。

  • 動作が遅い
  • チェーンの緊張状態の調整が必要
  • 摩耗が早い

動作が遅い

チェーンコンベアは、ベルトコンベアに比べて動作が遅いことが多いです。

適切な速度設定: 搬送速度を適切に設定し、必要に応じて速度を調整したり、複数ラインの導入: 複数のチェーンコンベアラインを導入することで、全体の搬送効率向上を目指せます。

チェーンの緊張状態の調整が必要

チェーンの緊張状態を常に調整しないと、チェーンがゆるんで輸送できなくなるリスクがあります。

この問題を防いだり軽減したりするには、定期的なメンテナンスを行ったり、自動調整機構を導入を行うことがおすすめです。

摩耗が早い

チェーンコンベアは摩耗が早く、特に高速で運転する場合に摩耗が進行しやすいです。

チェーンの摩耗を防ぐには、定期的に給油と潤滑を行ったり耐摩耗性の高い材料を使用することが推奨されます。

5つの選定基準 | チェーンコンベアの選び方

チェーンコンベアの選定基準

チェーンコンベアを選ぶ際は、以下の5つのポイントを抑える必要があります。

  • 負荷容量
  • 速度
  • 環境条件
  • チェーンの材質
  • メンテナンスの頻度

負荷容量

負荷容量が増えると、コンベアが運搬できる重量が増加します。

運搬可能重量が増えることで運搬できる貨物の幅が広がります。また、重い大量の製品を一度に運搬できるため、搬送効率が向上する。一方で、過負荷になると故障のリスクが高まり、ラインやモーターの寿命が短くなるリスクがあります。

負荷容量が大きなチェーンコンベアは、鉄鋼業や鉱業で活用されることが多いです。

逆に、負荷容量が小さなチェーンコンベアは軽量でエネルギー効率が高く、メンテナンスが容易です。

そのため、食品加工業において、軽量製品を運搬する際に活用されることが多いです。

速度

速度が速いと生産性が向上しますが、制御が難しくなり、製品の損傷リスクが増加します。

高速チェーンコンベアを使用することで、大量の製品を迅速に運搬できるため、自動車製造ラインでよく活用されます。しかし、高速で運転する場合、製品の損傷リスクが高まるため、精密な制御が必要です。

一方で、低速チェーンコンベアは精密な制御が可能で、製品の損傷リスクが低減されます。そのため、精密機器の組み立てラインなど、製品の取り扱いが慎重に行われる環境で使用されます。

環境条件

環境条件が厳しいと、コンベアの耐久性や性能に影響を与えることがあります。

過酷な環境でも長期間使用可能なコンベアは、高温や腐食性環境で使用される耐熱・耐腐食チェーンコンベアが適しています。このタイプのコンベアは、特に厳しい条件下での使用が求められる場合に選ばれます。

一方、一般的な環境での使用に適しており、コストが低いコンベアとしては、室内で使用される標準的なチェーンコンベアが適しています。このタイプは、特別な環境条件が必要ない場合に最適です。

チェーンの材質

材質が異なると、耐久性や摩耗耐性が変わります

高耐久性で長寿命のコンベアとしては、ステンレス製のチェーンコンベアが適しています。このタイプは、特に耐久性が求められる環境での使用に最適です。

一方、コストが低く、軽量でエネルギー効率も高いコンベアとしては、プラスチック製のチェーンコンベアが選ばれます。このタイプは、軽量でメンテナンスが容易なことから、コスト効率を重視する場合に適しています。

メンテナンスの頻度

メンテナンス頻度が高いと、故障リスクが低減し、性能が安定するため、寿命が長くなります

定期的なメンテナンスが行われるチェーンコンベアは、長期間にわたり安定した性能を維持できます。特に、工場での長期使用に適しています。

一方、短期間の使用を前提としたチェーンコンベアは、メンテナンスコストが低く、運用が簡単であることが特徴です。このタイプは、メンテナンス頻度を抑えたい場合に適しています。

チェーンコンベアを製造するおすすめのメーカー5社

チェーンコンベアを製造する企業

チェーンコンベアを製造する主なメーカーには、以下の企業が挙げられます。

  • 片山チエン
  • 椿本チエイン
  • 日本チェイン
  • 大同工業
  • 加賀工業

片山チエン

片山チエンは大阪府東大阪市に本社を置く企業で、コンベヤチェーンの製造を行っています。高耐久性と高精度の製品を提供しており、特に重荷重用のチェーンコンベアに強みがあります。

椿本チエイン

椿本チエインは大阪府大阪市に本社を置き、コンベヤチェーンの製造を行っています。幅広い製品ラインナップを持ち、特に大形コンベヤチェーンに強みがあります。時々メディアにも登場し、知名度が高いです。

日本チェイン

日本チェインは大阪府大阪市に本社を置く企業で、コンベヤチェーンの製造を行っています。高い技術力を持ち、特に精密機器用のチェーンコンベアに強みがあります。

大同工業

大同工業は石川県加賀市に本社を置く企業で、コンベヤチェーンの製造を行っています。高耐久性と高耐摩耗性の製品を提供しており、特に過酷な環境での使用に強みがあります。

同社は、主に耐熱・耐腐食チェーンコンベアを製造しています。

加賀工業

加賀工業は埼玉県さいたま市に本社を置く企業で、コンベヤチェーンの製造を行っています。小形コンベヤチェーンに強みがあり、特に食品加工業での使用に適しています。