ブラシレスモーターの仕組み|効率的な駆動と長い寿命の秘密とは?

ブラシレスモーター(BLDCモーター)は、従来のブラシ付きモーターと異なり、摩擦を生じるブラシを使用せず、電子制御で回転する高効率なモーターです。

その仕組み的な特徴から、ブラシレスモーターは長寿命でメンテナンスが少なく、安定した性能を提供します。特に、動作音が静かで発熱が少なく、効率的にエネルギーを使うため、さまざまな産業での使用が進んでいます。

本記事では、ブラシレスモーターの基本的な原理・特徴や仕組みを解説し、その多岐にわたる用途についても紹介します。

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ブラシレス(DC)モーターとは? その特徴と基本的な原理について解説

ブラシレスモーターの特徴と基本的な原理

ブラシレスモーターの特徴~寿命の長さなど

ブラシレスモーター(BLDCモーター)あるいはブラシレスDCモーターは、従来のブラシ付きモーターとは異なり、摩擦を引き起こすブラシを使用せず、代わりに電子的な制御を用いて回転します。この特徴により、ブラシレスモーターは高い効率と長寿命を誇り、メンテナンスが少なく、性能が安定しています。さらに、ブラシレスモーターはブラシの摩耗による故障がないため、低ノイズで動作し、動作時の発熱も少ないです。

ブラシレスモーターは、高効率かつ長寿命を求められるアプリケーションに最適です。適切にメンテナンスを行えば、1年以上連続して動作することが可能です。後ほど触れるように、搬送ロボットなどの移動体、電気自動車、家電製品、産業機器など、多岐にわたる分野で使用されています。次の記事では、基本的な知識から選び方まで、ブラシレスモーターについて網羅的に説明しています。ぜひ参考にしてください。

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ブラシレスモーターの基本的な原理

ブラシレスモーターは大きく分けてステーターローターという2つの主要な部分で構成されています。またこれら以外にも、ローターの位置検出のために磁気素子(ホールIC)や光学式エンコーダが内蔵されています。位置検出器の信号に基づいて、駆動回路が適切なタイミングでステーターコイルの電流を切り替えるころで駆動するのが特徴です。

ブラシレスモーターの主要項目

  • ステーター
  • モーターの固定部分で、複数のコイルが配置されており、これに電流を流すことで磁場が発生します。ステーターのコイルが回転するローターを引き寄せ、モーターを回転させます。

  • ローター
  • 回転部分で、ステーターの磁場に反応して回転します。ローターには永久磁石が組み込まれていることが多く、これによって外部からの電流による磁場の変化に反応します。

以上からわかるように、ブラシレスモーターはブラシを使いません。ステーターのコイルに電流を流すことで磁場を生成し、ローターを回転させるという原理に基づいて動作します。

ブラシレスモーターの構造と仕組み|駆動・制御方法

ブラシレスモーターの構造と仕組み

ブラシレスモーターの基本構成

ブラシレスモーターの制御回路は、主に次のようなコンポーネントで構成されています。

ブラシレスモーターの構成要素

  • 電源回路(コンバータ部)
  • モーターに供給する電流の変換を行います。具体的には、AC電源をモーターが必要とするDC電流に変換する役割があります。

  • 出力回路(インバータ部)
  • インバータから出力された信号を調整し、モーターに供給する電力を管理します。これにより、モーターの回転速度やトルクを制御します。

  • 速度制御器
  • 速度指令とフィードバック速度を比較して、モーターの回転速度が速度指令に追従するように電圧指令を出力します。

  • 速度変換器
  • ホールIC出力の周波数をフィードバック速度に変換します。

  • 励磁信号発生器
  • ホールICの出力信号からローター磁極角を検出し、回転方向の指示に対してトルクを発生する巻線に接続されたスイッチング素子を指示します。

  • 電圧制御器
  • 速度制御器から指令された電圧を印加するように信号を出力します。

  • センサー類(エンコーダやホールICなど)
  • モーターのローターの位置や速度を検出し、その情報を制御回路にフィードバックする役割を果たします。

ブラシレスモーターの駆動方法

ブラシレスモーターは、ブラシを使わずに電子的な制御で動作しますが、モーターを駆動するためには電流をコイルに供給する必要があります。ホールICからの信号に基づいて、モーターに供給する電流の向きを変えることで、コイルが発生する磁場を切り替え、ローターを回転させます。

制御には、一般的に「PWM制御(パルス幅変調)」が使用されます。電流を一定の間隔でオンとオフにすることで、モーターに供給する電力の平均値を調整し、モーターの回転速度を制御するのが特徴です。

ブラシレスモーターの制御メカニズム

駆動方法で説明したとおり、ブラシレスモーターの制御は主にPWM制御を用いて行われます。PWM制御では、モーターに供給する電流のパルス幅を調整することで、モーターの回転速度を制御します。パルス幅が広くなるとモーターに供給される平均電力が増え、回転速度が速くなり、逆にパルス幅が狭くなると供給電力が減り、回転速度が遅くなります。

速度制御において重要なのは、モーターの回転数に合わせて適切なタイミングで電流を供給することです。これにはエンコーダやホールICが使用され、ローターの位置を検出して制御回路にフィードバックします。この情報をもとに、駆動回路が最適なタイミングで電流を供給し、一定の速度で回転を維持します。

ブラシレスモーターの用途と利点

ブラシレスモーターの用途と利点

その仕組みから、ブラシレスモーターはメンテナンスが少なく、耐久性にも優れているため、さまざまな分野で活用されています。代表的な応用例には次のようなものがあります。また、マブチモーターから販売されているブラシレスモーターの活用事例についての記事もJETにあるので、適宜ご参照ください。

ブラシレスモーターの応用例

搬送ロボットなどの移動体

ブラシレスモーターであれば、AMRやAGVなどの搬送ロボットや電動車椅子の動力源として高い推力を発生させながら、長時間の稼働を可能にします。JETでは、以下の記事で移動体用のブラシレスモーターについて詳しく紹介しています。

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産業機器

高精度な制御と省エネルギーが求められる場面で、ブラシレスモーターの性能を発揮することができます。JETでは、以下の記事で産業機器用のブラシレスモーターについて詳しく紹介しています。

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医療機器

人工呼吸器や外科手術機器など、精密かつ信頼性が重視される医療現場で幅広く活躍しています。JETでは、以下の記事で医療機器用途のブラシレスモーターについて詳しく紹介しています。

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また、上記のような応用例以外にも、次のような場面でブラシレスモーターが活用されています。

電気自動車(EV)

電気自動車の駆動システムにおいても、ブラシレスモーターが使用されています。高効率で長寿命なため、エネルギー消費の最適化とメンテナンスコストの削減に貢献します。

家電製品

洗濯機、冷蔵庫、掃除機など、ブラシレスモーターは家庭用電化製品にも多く使用されています。特に音が静かで、効率的に動作するため、消費者にとっても利便性が高いです。

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将来的な展望

ここまでの説明からもわかるとおり、ブラシレスモーターはさまざまな用途で使われており、今後もさらに応用先が増えていく見込みです。特に、IoT(Internet of Things)やスマート家電の普及に伴い、ブラシレスモーターの需要はさらに増加すると予測されています。また、再生可能エネルギー分野においても、効率的で環境に優しい駆動装置として注目を集めており、引き続きブラシレスモーター市場の発展は見逃せません。

以上、ブラシレスモーターの仕組みを詳しく説明しました。ブラシレスモーターに関心が出てきた方、実際にブラシレスモーターを製品に導入する際に考えなければならないことをメーカーに直接聞いてみたい方は以下のボタンからぜひ問い合わせてみてください。ブラシレスモーターのメーカー担当者にお繋ぎいたします。