清掃ロボットのエレベーター連携を徹底解説2026年版~多層階で自律乗降を実現する仕組み・費用・選び方

多層階の施設に清掃ロボットを導入しようとすると、必ずぶつかるのが「フロアをまたいで移動できるのか」という問題です。1台が1フロアで完結するなら話は単純ですが、複数階の床を任せたい現場では、ロボット自身がエレベーターに乗り降りできなければ、結局フロアごとに人が運ぶ手間が残ってしまいます。

この記事では、清掃ロボット エレベーター連携の仕組みを、連携方式の種類から自律乗降の流れ、費用や工期、施設ごとの活用条件まで順を追って整理します。読み終えるころには、自社の建物で連携が現実的かどうか、どの方式を選び、どこにコストがかかるのかが理解できるはずです。清掃ロボットを導入検討しているものの、エレベーターのある施設ではどのように運用したらよいのかわからないという方などはぜひご一読ください。

目次

多層階の施設でエレベーター連携が必要になる理由

清掃ロボットを導入したものの、「2階より上は結局スタッフが運んでいる」「夜間に1フロアしか回せない」という声は少なくありません。複数階を持つ施設で省人化を狙うなら、ロボットがどうやって階を移動するかを最初に押さえておく必要があります。これは機種選びそのものを左右する、見落とされがちな前提条件です。

結論から言えば、多層階の建物で清掃ロボットを本当の意味で「自動化」するには、エレベーターとの連携がほぼ避けて通れません。なぜそうなるのかを、ロボットの設計思想からひも解いていきます。

床清掃ロボットは「1フロア完結」が基本設計

自律走行型の床清掃ロボットは、レーザーセンサーやカメラで周囲の形状を読み取り、SLAM(自己位置推定と地図作成)と呼ばれる技術でフロアの地図を内部に持ちます。この地図に沿って、決められた面内をムラなく走り回るのが基本的な動き方です。つまりロボットが認識しているのは、あくまで「いま自分がいる1フロアの平面」です。

ここに、構造上どうにもならない制約があります。床清掃ロボットは車輪で走行するため、階段を上り下りすることはできません。フロアとフロアをつなぐ垂直方向の移動は、そもそも機体の設計範囲の外にあるのです。1フロアの中でなら段差や溝をある程度乗り越えられても、階をまたぐ移動は人やエレベーターといった外部の力に頼るしかありません。

この点を理解しておくと、カタログスペックの読み方が変わります。「○○㎡対応」「△時間連続稼働」といった数値は、同一フロア内での能力を示すものであり、複数階の建物全体をカバーできるという意味ではありません。多層階での運用を想定するなら、フロア移動をどう解決するかは別途考える必要があります。

人が階ごとに運ぶ運用では自動化の効果が薄れる

フロア移動の問題を「人が運べばいい」で済ませる施設は実際に多くあります。しかし、この運用には省人化という導入目的そのものを揺るがす弱点があります。

たとえば5階建てのビルで各階を清掃する場合、ロボットが1フロアを終えるたびに、スタッフがエレベーターまで運び、ボタンを押し、目的の階で降ろし、次の清掃エリアまで誘導する——この一連の作業が階の数だけ発生します。清掃そのものは自動化できても、フロアをまたぐたびに人の手と時間が拘束されるため、人件費の削減幅は思ったほど大きくなりません。ロボットの稼働中ずっと人が張り付く必要はないにせよ、移動のたびに呼び出される状態では、担当者を他の業務に専念させにくくなります。

さらに見過ごせないのが、夜間や早朝の無人運用が成り立ちにくくなる点です。清掃ロボットの利点の一つは、人がいない時間帯に静かに作業を進められることにあります。ところがフロア移動に人手が必要だと、その時間帯にも誰かが立ち会わなければならず、無人運用という最大の利点が失われてしまいます。自動化を導入したのに、結局は人の勤務時間に縛られるという本末転倒が起こりかねません。

全館を1台でカバーするにはフロア移動の自動化が鍵

ホテル、病院、オフィスビル、商業施設——これらに共通するのは、横の広さよりも縦の高さで床面積を稼いでいる建物だという点です。客室が10フロアに分かれるホテル、診療科や病棟が階ごとに配置された病院では、清掃対象は複数のフロアに散らばっています。

こうした縦に長い施設で1台のロボットに広い範囲を任せたいなら、エレベーターと連携してロボット自身が階を移動できる状態を作ることが前提条件になります。フロア移動が自動化されて初めて、「夜の間に複数階を巡回して清掃を終える」「人の介在なしに建物全体を1台でまかなう」といった運用が現実味を帯びます。逆に言えば、ここを解決しないまま導入すると、せっかくのロボットが1フロア専用機にとどまり、導入効果は限定的なものになりがちです。

清掃ロボットの導入を多層階の施設で検討する際は、機体の清掃性能だけでなく、フロア移動をどう設計するかをセットで考えることが、投資を無駄にしないための出発点と言えます。次章では、その清掃ロボットとエレベーターをつなぐ具体的な連携方式を整理していきます。

清掃ロボットとエレベーターをつなぐ連携方式の種類

清掃ロボットを多層階で動かすうえで最初に直面するのが、「どうやってエレベーターと連携させるか」という設計上の選択です。ひとくちに連携といっても、その実現方法は一つではありません。建物に備わったエレベーターの世代や、メーカーがどこまで外部連携に対応しているかによって、現実的に選べる方式は変わってきます。ここでは、業界で見られる代表的な3つの方式を、仕組みと適合する建物の観点から整理します。

方式の違いは、単なる技術的な好みの問題ではありません。導入時の工事規模、既存設備への影響、そして将来の拡張余地に直結します。自社の施設がどの方式に向いているかを見極めることが、無理のない自律乗降の実現につながります。

クラウド/API連携型(エレベーター側システムと通信)

まず挙げられるのが、エレベーター側のシステムと直接データをやり取りするクラウド/API連携型です。エレベーターメーカーやビル管理システムが提供するAPIを経由して、ロボットが「何階に行きたい」という指示を送り、エレベーター側がそれに応じて呼び出し・行き先指定を行います。人がボタンを押す動作を、システム間の通信に置き換えるイメージです。

この方式の利点は、エレベーター本来の制御系と連動するため、配車のスムーズさや動作の安定性が見込みやすい点にあります。一方で、API連携を利用するには、そのエレベーターやビル管理システムが外部連携に対応していることが前提になります。比較的新しい設備や、連携機能を備えたメーカーの機種でないと、そもそも接続の窓口が用意されていないケースが少なくないとされます。

そのため、対応可否はメーカー次第になりやすいという点は押さえておきたいところです。既存ビルで「API連携でいきたい」と考えても、設備の世代やメーカーの方針によっては選べないこともあります。まずは現在のエレベーターがどのメーカーの、どの世代の機種なのかを確認し、外部連携に対応しているかをメーカーへ問い合わせるところから検討を始めると、後の手戻りを減らしやすくなります。

専用通信モジュール後付け型(設備をそのまま活かす)

次に、既存のエレベーターに専用の通信モジュールを後付けし、ロボットと無線でやり取りする方式があります。エレベーターそのものを入れ替えたり、制御盤を大きく改造したりするのではなく、通信を仲介する装置を設置することで、ロボットが乗り降りの合図をやり取りできるようにする考え方です。

この方式が選ばれやすい理由は、既存設備を活かしたまま導入できる傾向があるためです。エレベーターのメーカーや世代を問わず採用しやすく、大規模な改修を伴わないことから、稼働中の施設でも比較的取り入れやすいと言えます。すでに長く使っているエレベーターがある建物で、設備をそのままにしてロボットの自律乗降を実現したい場合に、現実的な選択肢になりやすい方式です。

本記事でエレベーター連携のできる清掃ロボットの例として取り上げる多機能ロボット『RPX』も、このモジュール式に分類されます。所定の箇所に通信モジュールを設置してロボットと通信させる仕組みで、後付けで自律乗降を成立させるタイプの一例です。具体的な設置の進め方や対応フロア、費用の考え方については後段で詳しく整理しますので、ここでは「後付けモジュール型の一つ」という位置づけにとどめておきます。

物理操作デバイス型と、それぞれが向く建物

3つ目は、ロボットアームやボタンを押すためのデバイスで、物理的にエレベーターを操作する方式です。エレベーター側のシステムには手を加えず、人が指でボタンを押す動作を機械的に再現するため、設備側の対応可否に左右されにくいという特徴があります。改修のハードルが低い反面、ボタンの位置合わせや動作の確実性など、運用上の作り込みが必要になる場面もあります。

ここまで見てきたように、どの方式が適しているかは、建物の築年数・既存設備の仕様・メーカーの連携対応可否によって変わります。新しい設備でメーカー連携が前提にできるならAPI連携型、設備を活かしたいなら後付けモジュール型、いずれも難しい場合に物理操作型を検討する、といった整理が出発点になります。下表に、それぞれの特徴を比較としてまとめます。

連携方式 仕組み 向く建物 留意点
クラウド/API連携型 メーカー・ビル管理システムのAPI経由で呼び出し・行き先指示 比較的新しく、外部連携に対応した設備のある建物 対応可否はメーカー次第。既存の古い設備では選べないことがある
専用通信モジュール後付け型 既存エレベーターに通信モジュールを設置し無線で連携 設備を入れ替えず活かしたい建物・稼働中の施設 モジュール設置工事が必要だが大規模改修は避けやすい
物理操作デバイス型 アーム・押下デバイスでボタンを物理的に操作 設備改修やメーカー連携が難しい建物 ボタン位置合わせなど運用上の作り込みが必要になりやすい

方式選定は、理想の動作だけでなく「今ある設備で何が無理なく実現できるか」から逆算するのが現実的です。自社のエレベーターの状況を整理したうえで、各方式の適合性を照らし合わせていくと、過不足のない連携設計に近づきます。

自律乗降はどう実現されるのか:乗り込みから降車までの流れ

多層階での清掃を自動化するうえで、最も技術的な壁になるのがエレベーターの通過です。フロアをまたぐ移動のたびに人がボタンを押し、かごに乗せ、降ろしてやるのでは、せっかくの自律走行も「半自動」で止まってしまいます。ここでは前のセクションで整理した連携方式の分類とは切り口を変えて、ロボットがエレベーター前に来てから次の階で清掃を再開するまで、どんな順序で動いているのかを追ってみます。

ロボットがエレベーターを呼び、自分で乗り降りする

自律乗降の動作は、いくつかのステップに分けて捉えると理解しやすくなります。まず清掃ロボットは、担当エリアの作業を終えるとエレベーターホールへ移動し、所定の待機位置で停止します。次にエレベーターへ呼び出し信号を送り、かごが自分のいる階に到着するのを待ちます。

かごが到着して扉が開くと、ロボットは中の状態を確認します。人や荷物で埋まっていれば無理に入らず見送り、空きがあると判断したときだけ乗り込みます。乗車後は行き先の階を指示し、目的階に着いて扉が開いたら、周囲の安全を確かめながら降車して清掃を再開します。

この一連の流れで重要なのは、待機から降車まで人の手を一切借りずに完結する点です。ボタン操作や付き添いが不要だからこそ、夜間や早朝の無人時間帯でもフロア移動を含めた清掃を任せられます。自律乗降が成立して初めて、複数階の自動清掃は現実的な運用になると言えます。

モジュール設置でつなぐ後付け方式の実装イメージ

では、ロボットとエレベーターはどうやって意思疎通しているのでしょうか。多機能型ロボット「RPX」を例にとると、エレベーター側に通信用のモジュールを2箇所設置し、ロボットと通信させることで自律的な乗り降りを実現しています。ロボットが「何階へ行きたい」という指示を出し、エレベーター側がそれを受けて応答する、という形でフロア移動が成り立つわけです。

対応できる範囲も実用的です。RPXは1度の移動で最大16フロアまで対応し、低層の建物から中規模の施設まで幅広くカバーできます。最初は一部のフロアだけで始め、後から対象階を広げる分割導入や、複数のモジュールを取り付けて拡張する運用にも対応します。建物全体を一度に作り込まずに、必要なフロアから段階的に立ち上げられる点は、初期負担を抑えたい施設にとって現実的な選択肢になります。

工事の負担が軽いことも、後付け方式の利点です。作業はモジュールの設置が中心で、数時間から半日程度で完了します。エレベーターを長期間止めて大がかりな改修を行う必要がないため、稼働中の施設でも導入のハードルを下げやすい方式です。

安全に乗降するためのセンサーとサイズの条件

自律乗降を支えているのは、通信の仕組みだけではありません。狭いかごの中や扉の前で人や物にぶつからずに動くには、周囲を正しく認識する力が欠かせません。RPXは超音波センサーを搭載しており、通常のカメラやレーザーでは捉えにくいガラスや鏡などの透明・反射する障害物も認識できます。エレベーターホールには鏡張りの壁や扉が珍しくないため、こうした対象を取りこぼさず検知できることは、現場で詰まらず乗降するための実務的な条件になります。

機体のサイズも見落とせない要素です。RPXは機体幅55cmで、狭い通路や限られたかご内でも取り回しやすい設計になっています。エレベーターのかごは決して広くなく、人や荷物と同居する場面もあります。コンパクトな車体は、こうした限られた空間で向きを変えたり、扉が閉まる前にスムーズに乗り降りしたりするうえで有利に働きます。

通信でエレベーターを操作する仕組みと、センサーやサイズといった機体側の条件。この両方がそろって初めて、清掃ロボットはフロアをまたいで安全に動き続けられます。連携の方式だけでなく、機体そのものが現場の物理的な制約に合っているかどうかも、多層階導入を見極めるうえで欠かせない視点です。

エレベーター連携の費用と工期のリアル

エレベーター連携の費用は「いくらかかるのか」を一つの数字で答えにくいテーマです。建物の設備状況やメーカー側の対応可否によって、初期工事のかたちも、その後にかかる料金も変わってくるためです。導入を検討する段階では、まず費用が何で構成されているのかを分解して捉えると、見積もりを受け取ったときの判断がしやすくなります。

ここでは金額そのものよりも、連携費用がどういう要素から成り立つのか、そして工事にどれくらいの時間がかかるのかという構造の部分に軸足を置いて整理します。具体的な金額の抑え方は後段で扱うため、本セクションは「何にお金がかかるのかを正しく見積もるための枠組み」と捉えてください。

費用は「初期工事+月額+メーカー対応差」の3つで見る

エレベーター連携の費用は、大きく分けると三つの軸で考えると見通しが立ちます。一つ目はモジュールやセンサーを設置する初期の工事費、二つ目は通信やサービス利用にかかる月額の利用料、そして三つ目がエレベーターメーカー側の対応・承認が必要になるかどうかという差です。この三つを切り分けておくと、見積書の内訳を読み解きやすくなります。

注意したいのは、ここで挙げる費用感は規模・建物の設備・地域・業者によって大きく変わる目安だという点です。同じ「連携」という言葉でも、後付けのモジュールで対応できる方式と、エレベーターの制御そのものに手を入れる方式とでは、工事の重さも金額の桁も異なります。そのため、他社の連携費用がいくらだったという情報をそのまま自分の施設に当てはめるのは避けたほうがよいでしょう。あくまで自社の建物条件で見積もりを取り、その内訳を上記の三軸に照らして読むのが現実的な進め方です。

月額の利用料は、ロボットとエレベーターをつなぐ通信やクラウド側のサービスに対して継続的に発生する性質のものです。初期費用が抑えられても月額が積み上がる場合があり、逆もまた然りなので、初期と月額を合わせた数年単位の総額で比較する視点を持っておくと判断を誤りにくくなります。

メーカー対応になると費用が膨らみやすい

三軸のうち、金額の振れ幅がもっとも大きくなりやすいのがメーカー対応の有無です。エレベーターの制御に直接関わる連携を行う場合、エレベーターメーカー側の対応や承認が必要になることがあります。このケースでは、メーカー側で別途の見積もりが発生し、その内容によっては高額になる可能性があります。

築年数の経った建物や、特定のメーカーの機種では、対応そのものに条件が付くことも考えられます。連携の可否や費用は事前の確認なしには読み切れない部分が多いため、検討の初期段階でエレベーターの管理会社やメーカーへの確認ルートを押さえておくことが、後々の予算ぶれを防ぐことにつながります。メーカー対応が前提になるかどうかで、費用構造の前提そのものが変わると考えておくと安全です。

一方で、エレベーターの制御に踏み込まず、後付けのモジュールでロボットと通信させる方式であれば、メーカー側の大掛かりな対応を避けられる場合があります。どちらの方式になるのかは建物やエレベーターの条件次第ですが、費用を読むうえではまず「メーカー対応が要るのか要らないのか」を見極めることが出発点になります。

工事は短時間で済むケースもある

費用と並んで気になるのが、工事で施設の運用がどれだけ止まるのかという点ではないでしょうか。エレベーターの制御に手を入れる工事であれば相応の時間と調整が必要になりますが、後付けのモジュール型では工事が短時間で完了するケースもあります。

多機能型ロボット「RPX」のエレベーター連携を例にとると、工事はモジュールを2箇所に設置するだけで、数時間から半日程度で完了します。エレベーターそのものを改造するのではなく、モジュールを取り付けてロボットと通信させる仕組みのため、作業範囲が限定的に収まります。1度の移動で最大16フロアまで対応でき、フロア数が多い場合は分割導入や複数モジュールの取り付けで拡張していく形です。

工事が半日程度で収まるということは、施設の営業時間や利用者の動線への影響を小さく抑えやすいことを意味します。テナントや来館者が多い建物ほど工事中の制約は悩みどころになりますが、設置作業が限定的であれば、休館日や利用の少ない時間帯に合わせて段取りを組みやすくなります。導入時の負担を見積もる際は、金額だけでなく、こうした工期の短さが運用面でどれだけ効いてくるかも併せて見ておくとよいでしょう。

連携費用を抑えて導入するための条件と施設別の活用

エレベーター連携は便利な反面、構成の選び方しだいで初期費用や工期が大きく変わります。費用を抑える鍵は、設備改修をできるだけ減らすこと、メーカーの承認が下りやすい組み合わせを選ぶこと、そして導入後の保守までを一つの窓口で持てる体制を組むことの三点に整理できます。ここではこの三点を具体的に見たうえで、多層階の清掃で実際にどう使うのか、施設タイプ別のイメージまでつなげて解説します。

設備改修を最小化できる後付け方式を選ぶ

連携費用がかさむ最大の要因は、エレベーター本体に手を入れる工事です。制御盤の改修や配線の引き直しを伴う方式は、それ自体の費用に加えて、エレベーターを止める時間や管理組合・オーナーへの調整コストも発生しやすくなります。

これに対して、既存のエレベーターをそのまま活かす後付けのモジュール型は、大規模な改修を避けられる傾向があります。RPXの場合、必要なのはモジュールを2箇所に設置してロボットと通信させる構成で、工事はモジュールの取り付けのみ。数時間から半日で終わるため、エレベーターの長期停止を伴いません。1度の移動で最大16フロアまで対応し、分割導入や複数モジュールの取り付けで拡張もできます。後付けで済む方式ほど初期費用を抑えやすいという関係は、方式を比べるときの基本軸になります。

保守会社との相性で費用と承認のしやすさが変わる

見落とされがちですが、施設で使っているエレベーターの保守会社が何かによって、連携にかかる費用も導入の進めやすさも変わります。連携はエレベーター側の協力が前提になるため、保守を担うメーカーの承認が必要になる場面が多く、ここで条件が分かれるのです。

RPXを一例にすると、特定の保守会社である「ジャパンエレベーターサービス」を利用している場合に限り、設置費用は無料になります。この場合は別途、月額38,000円(1セットあたり)がかかる形です。同社を利用しているケースでは、メーカー側の承認も下りやすい点が実務上の利点になります。

一方で、これはあくまでこの保守会社を使っている場合に限った条件です。対応がメーカー側になる構成では、別途メーカーの見積もりが必要になり、内容によっては高額になる可能性もあります。他社の保守体制でどうなるかは個別の条件で決まるため、自施設のエレベーターがどの会社の保守下にあるかを早い段階で確認しておくと、費用と工期の見通しが立てやすくなります。導入後の保守までを一つの窓口で持てるかどうかも、トータルの安心感に直結する要素です。

施設タイプ別の多層階×清掃の活用イメージ

多層階での清掃は、フロアをまたぐ動線をどう設計するかで価値が変わります。施設のタイプごとに、無理のない使い方のイメージを押さえておくと判断しやすくなります。

ホテルでは、昼の時間帯に清掃、夜の時間帯に配送と、1台を時間帯で使い分ける二毛作の運用が考えられます。フロアをまたいで稼働させることで、客室階とパブリックスペースを一台でカバーしやすくなります。

病院では、受付やロビーなど不特定多数が出入りする場所の夜間清掃が向いています。エレベーター連携で上層と下層をまたいで巡回できる一方、入院患者のいる病棟の清掃は避け、人の出入りが多いエリアに絞るのが現実的な使い方です。オフィスや商業ビルでは、複数フロアを1台で巡回させる運用が基本になります。専用機をフロアごとに用意する代わりに、エレベーターで階を移動しながら順に清掃していく形であれば、機体の台数を増やさずに対応の幅を広げられます。

よくある質問(FAQ)

1. 古いエレベーターでも清掃ロボットと連携できますか?

建物の築年数や既存設備の構成、エレベーターメーカーの対応可否によって状況が変わるため、一概には言えません。ただし、既存設備をそのまま活かす後付けの通信モジュール型であれば、大規模な改修をせずに連携できるケースがあります。古い機種だからといって即座に諦める必要はありません。

現実的なのは、導入前にエレベーターの型式や制御方式を含めて事前調査を行い、連携可否を確認しておくことです。可否は事前調査で見極めるのが安全な進め方と言えます。

2. エレベーター連携にはどのくらいの工期がかかりますか?

連携の方式によって工期には幅があります。後付けでモジュールを設置するタイプの場合、モジュール設置のみで数時間〜半日程度で完了する例があり、施設の通常運用への影響を比較的小さく抑えられます。

一方、エレベーターメーカー側の対応が必要になる場合は、別途の日程調整や見積もりが入るため、着工までの期間が伸びる可能性があります。スケジュールに余裕を持って計画することをおすすめします。

3. 1台のロボットで何フロアまで移動できますか?

対応できるフロア数は連携方式や製品によって異なります。たとえばモジュール式を採用する『RPX』の場合、1度の移動で最大16フロアまで対応し、分割導入や複数モジュールの取り付けによって対応範囲を拡張できます。

複数棟や高層フロアにまたがる施設では、最初から全フロアを一括でつなぐのではなく、稼働の多い階から段階的に広げていく設計も選択肢になります。

4. エレベーター連携の費用は補助金の対象になりますか?

補助金の対象になるかは、利用する制度や契約形態によって変わります。一般に買い切り(購入)の場合は中小企業省力化投資補助金などの対象となる制度がある一方、リース契約は対象にならないことが多い点に注意が必要です。

ただし、こうした補助金は申請のハードルが高めで、要件確認や書類準備に相応の手間がかかります。具体的な補助率や上限額は制度や年度で変わるため、最新の公募要領で確認してください。

5. セキュリティや他の利用者への影響は大丈夫ですか?

夜間や利用者の少ない時間帯に稼働させ、センサーで周囲を認識しながら走行する設計が一般的で、こうした運用によって他の利用者への影響を抑えやすくなります。RPXのように超音波センサーを搭載していれば、人や障害物に加えガラス・鏡なども認識できます。

共用エレベーターを使う場合は、人の利用とロボットの呼び出しが重なったときの優先順位や、混雑時間帯を避ける運用ルールを事前に設計しておくのが現実的です。

多機能業務用ロボット『RPX』をご検討の方へ

清掃ロボットの導入では、機体そのものの性能だけでなく、エレベーター連携や多層階での運用設計まで含めて相談できる窓口を選ぶことが、後々の運用しやすさを左右します。多機能型ロボットの場合は、業務の組み合わせや稼働時間の設計も判断材料になります。こうした点をまとめて確認できる相手を選ぶと、導入後のミスマッチを防ぎやすくなります。

当社への相談が向いているケース

  • 複数フロアにまたがる施設で、清掃ロボットのエレベーター連携を前提に導入を検討している
  • 清掃だけでなく配送・配膳など複数業務を1台でまかない、機体やメンテナンスのコストを抑えたい
  • 連携方式や工事範囲、費用感がわからず、自施設に合う運用イメージから整理したい

RoboPathが提供する『RPX』は、上部ユニットの着せ替えによって清掃・配膳・配送などの業務に1台で対応できる多機能型のロボットです。エレベーター連携では、モジュールを2箇所に設置して通信することで自律的な乗り降りができ、1度の移動で最大16フロアまで対応します。清掃ユニット使用時は1時間あたり約300㎡を目安に作業でき、昼は清掃、夜は配送といった時間帯ごとの使い分けも提案しています。

当社では現地調査を踏まえて導入可否や運用イメージを整理し、必要に応じてトライアル(有償POC)のご相談まで承っています。多層階での清掃ロボット運用やエレベーター連携でお悩みの方は、まずはお問い合わせ窓口からお気軽にご相談ください。

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