そんな中、これらの課題を解決し、新たなビジネスチャンスを生み出すソリューションとして、配送ロボットが注目されています。
本記事では、BtoB向けに、配送ロボットに関する情報を紹介します。
目次
配送ロボットとは
配送ロボットとは、物流拠点や小売店舗から最終消費者まで、商品や荷物を自動的に運ぶロボットのことです。
これらのロボットは通常、地上を移動する車輪付きで、センサーやAI技術を用いて障害物を避けながら配送ルートをナビゲートします。
多くは電気で動き、エコフレンドリーな運搬手段とされています。
最近ではドローンを用いた空中配送も注目されていますが、一般的な配送ロボットは道路や歩道を使用します。
(参考:https://www.meti.go.jp/policy/economy/distribution/deliveryrobot/index.html)
配送ロボットの需要が上がっている理由には、以下が挙げられます。
- EC市場の拡大による宅配需要の急増に対して、物流業者による人員強化が間に合っていないこと
- 経済成長と労働人口の減少により、特に先進国で物流セクターでの労働力不足
- 高齢者や障害者など、自力での買い物が困難な人々へのサービス提供を強化するため
配送ロボットは、以下のような環境での活躍が期待されています。
- 都市部の住宅街:特に狭い道路や多数の障害物が存在する住宅街
- 大学や企業:広大な敷地内での書類や小包の配送を自動化し、効率化
- 高齢者コミュニティ:高齢者が多く住む地域や施設で、日用品から医薬品までの配送に活用
- 病院や医療施設:緊急の医薬品や検体、書類などの迅速な配送が必要な場合に活用
- 観光地やレジャー施設:大規模なリゾート地や公園などで、食料品や土産品の配送サービスに利用可能
3種類の配送ロボット
配送ロボットには、大きく分けると以下の3種類があります。
- 陸上型配送ロボット
- 空中型配送ロボット
- 自動運転トラック
陸上型配送ロボット
陸上型配送ロボットは、地上を移動して荷物を運搬する自動化ロボットです。これらのロボットは一般的に電動で様々な環境や地形で活動するように設計されています。この種類の配送ロボットは、さらに以下の3種類に分けられます。
- 台車型
- ミニ配送ロボット
- 大型配送ビークル型
台車型
台車型の配送ロボットは、主に地上を移動する車輪付きのロボットで、箱やバスケットを積載し、特定のルートや指定された地点へ商品や物資を運べます。これらは自動運転技術でセンサーやカメラを使って周囲の環境を認識し、障害物を避けながら目的地に向かいます。多くは電動であり、音が少なく、排出ガスもないため、環境に優しい配送方法です。
台車型の配送ロボットには以下の特徴があります。
- ドローンや小型の自動配送ロボットよりも大きく重い荷物を運ぶことが可能
- 平坦で障害物の少ない環境での使用が最適
- ドローンや燃料を使用する大型車両に比べてエネルギー効率が高く、長時間の運用が可能
この特徴が特に活かせる環境として、以下のものが挙げられます。
- 大規模な製造工場や物流倉庫内など固定ルートで製品や部品、資材の搬送に活用可能
- 病院内で感染症リスクを最小化するために薬品、検体、食事などの無人運搬に活用
- 広大な敷地を持つ大学キャンパスやリゾート地で、食料品や書類、その他の必需品の配送
ミニ配送ロボット型
ミニ配送ロボットは、小規模でコンパクトな自動配送ロボットで、主に軽量アイテムを短距離で運ぶのに適しています。これらはGPSと複数のセンサーを利用して自動ナビゲートし、狭い通路でも自由に移動できるよう設計されています。一般的に都市部や人口密集地での使用が想定されており、リモート監視や遠隔操作が可能です。ミニ配送ロボットの特徴には以下が含まれます。
- 小型で非常に機動性が高く、狭いスペースや人込みの中でもスムーズに移動可能
- 小規模な荷物の配送に特化、重量やサイズの大きな配送は難しい
- 運用コストが低く、導入も容易
ミニ配送ロボットが活躍する具体的な場面は以下の通りです。
- 複数の企業が入居するオフィスビル内で、書類や小さなパッケージをフロアごとに運ぶために活用可能
- 密集した住宅地やアパートコンプレックスで、食料品や処方薬を配達する際に活用可能
- 広大な大学キャンパス内で、学生や教職員に向けて書籍や食品を配送する際に使用
大型配送ビークル型
大型配送ビークル型の配送ロボットは、主に大量の荷物や重たいアイテムを運ぶために設計されています。この自動運転ビークルはトラックや大型バンに似ており、センサー、LiDAR、カメラを装備して周囲の環境を認識し、安全にプログラムされたルートを自立的にナビゲートします。特に長距離配送や大型の荷物を扱う際に適しており、大規模な物流オペレーションに効率的です。大型配送ビークルの主な特徴は以下の通りです。
- 300キログラムなど大きな積載能力を持ち、一度に多くの荷物を運ぶことが可能
- 長距離配送に適しており、都市間や地域間の輸送に利用可能
- 高度な自動運転技術と広範なセンサーシステムを使用しているため、導入と維持には高い投資が必要
このタイプのロボットが特に役立つシナリオには以下のようなものがあります。
- 工業地域から製品を倉庫や販売地点まで運ぶ際に使用され、重たい機械部品や建材の輸送に最適
- 大型家具や家電製品を家具店や家電量販店から顧客の家まで直接配送するサービスに利用可能
- 災害発生時に迅速な物資輸送が求められる場面で、大量の救援物資や重機材を災害地域に素早く運ぶのに最適
空中型配送ロボット(ドローン)
空中型配送ロボット、通称「配送ドローン」は、小規模な荷物を迅速に配送するための無人航空機(UAV)です。これらのドローンはGPSナビゲーションを活用し、指定された配送先に直接飛行します。カメラやセンサーを用いて障害物を回避しつつ、最適な飛行経路を確保し、電動駆動により軽量荷物を速やかに届けます。
配送ドローンの特徴には以下が挙げられます。
- ドローンは交通渋滞や地形の障害を受けずに直線的に飛行できるため、素早い配送を実現可能
- ドローンの運用は比較的低コストで、小規模な配送にコスト効率が良い
- 天候や強風の影響を受けやすい
ドローンが特に役立つシナリオは以下の通りです。
- アクセスが困難な地域への医薬品や緊急物資を配送する際に使用
- 都市部の商業施設から購入された商品を顧客の自宅まで直接、迅速に配送可能
- 自然災害発生時に道路が寸断された状況でも、食料、水、医薬品などの救援物資を素早く空から被災地に配送可能
自動運転トラック
自動運転トラックは、AIと高度なセンサーシステムを用いて自律的に運転される大型輸送車両です。これらのトラックは、高精度のGPS、レーダー、LiDAR技術を組み合わせることで、複雑な交通状況でも安全に走行できます。自動運転技術を利用することにより、ドライバーの疲労を軽減し、長距離の輸送でも一貫して高い安全基準を維持することが可能です。また、経済的な運行が可能となるため、運送コストの削減にも寄与します。
自動運転トラックの特徴には以下が挙げられます。
- 人間の運転手が必要とされる時間を大幅に削減し、労働コストを低下させる
- 連続運転が可能であるため、配送効率が向上
- 事故発生率の低下が期待される
自動運転トラックが特に役立つシナリオは以下の通りです。
- 長距離輸送において、ドライバーの疲労や労働時間の問題を解決
- 大量の貨物を効率的に輸送する必要がある物流業界
- 運輸業界の人手不足に対応するためのソリューションとして活用
3種類の陸上型自動配送ロボットの走行方式
陸上自動配送ロボットには、走行方式にもいくつかの種類があります。それぞれを比較し、貴社の導入環境に適したものを検討しましょう。
- 自律走行型(自動運転タイプ)
- 自律走行型(ガイドタイプ)
- 自動追従型
自律走行型(自動運転タイプ)
自律走行型配送ロボット(自動運転タイプ)は、高度なセンサー技術とAIを組み合わせて、環境を理解し、最適なルートで目的地まで荷物を自動的に配送します。カメラ、LiDAR、GPSなどの技術を使用し、高精度3次元地図を利用して周囲の状況をリアルタイムで解析し、障害物を回避しながら目的地へとナビゲートします。
このロボットはプログラミングされたルートに依存せず、動的な環境変化に対応できるため、都市部や複雑な地形での使用に適しています。
特徴は以下の通りです。
- 未知の障害物や状況変化に対してリアルタイムで反応し、適応可能
- 高度なセンサーとAIの組み合わせにより、自律走行型ロボットは交通が混在する都市部や障害物が多い場所でも機能
このタイプの走行方式は、以下のような場面で活躍しやすいです。
- 狭い通りや混雑した都市部で即日配送を提供可能
- 病院内での薬品や検体の配送自動化可能
- 広大なキャンパスや施設内で、文書、食品、資材などを複数の建物間で配送可能
自律走行型(ガイドタイプ)
ガイドタイプの自律走行型配送ロボットは、事前に設置されたガイド(磁気テープ、マーカー、RFIDタグなど)に従って特定のルートを追跡します。このシステムは設定や保守が容易で、繰り返し同じルートを必要とする特定の環境で効果的に機能します。ただし、予定外のルート変更には柔軟に対応することが難しいです。
ガイドタイプのロボットは、以下の特徴を持ちます。
- 高度なセンサーやAIを必要としないため、設置および運用コストが低く、初期設定が簡単
- 予め定められたガイドに従って運行するため、非常に安定した運用が可能
- 環境の変化には柔軟に対応できない
- 技術的なトラブルが少なく、保守が容易
ガイドタイプのロボットが特に活躍する場面には以下があります。
- 製品の部品や材料を工場の特定の生産ライン間で運搬する際に使用され、生産効率の向上に寄与
- 倉庫内での商品のピックアップと配置の自動化
- 病院内での検体や書類、医薬品などを特定の部門間で運搬
自動追従型
自動追従型配送ロボットは、人やほかのロボットなどを追跡する機能を備え、特定の対象の後を自動で追いかけます。このタイプのロボットは、カメラやセンサー、場合によっては特定の信号やタグを使った追跡技術を利用して、ショッピングモールや病院での荷物運搬に活用されることが多いです。
ユーザーが荷物をロボットに積むと、ロボットがそのユーザーを追跡して目的地まで荷物を運びます。
自動追従型ロボットの主な特徴は以下の通りです。
- ユーザーの動きに基づいて動作するため、ルートがユーザーによって変更可能
- ユーザーの直接的な介入によりコントロールされ、追従対象と対話しながら作業を行う
- 使用環境に柔軟に適応し、多様な場面で利用可能
自動追従型ロボットが活躍する具体的なシナリオは以下の通りです。
- 旅行者が空港内で重い荷物を持ち歩かずに済むよう、チェックインカウンターからセキュリティチェックポイント、ゲートまで配送を自動化
- 患者や看護師が病院内を移動する際に薬や個人の持ち物を運ぶために使用され、患者の移動に合わせてロボットが追従
- 大型ショッピングモールやスーパーマーケットで、顧客が商品をカートに積み込みながらショッピングを続ける間、ロボットが追従し、最終的にはレジや車まで商品を運べる
自動配送ロボットの実証実験の状況と課題
これまで、パナソニック、本田技研やティアフォーなど、様々な企業が自動配送ロボットの実証実験を行っています。その成果もあり、2023年4月には自動配送ロボットの公道における走行も認められるようになり、その活躍のポテンシャルを着実に広げてきています。
一方、状況の感知から瞬時の判断までのスピードと正確性に、まだ課題が残っていると言う企業もあります。
例えば、ロボットが歩道の端を移動している際に対向から自転車が接近する状況下で、ロボットは自転車が迂回するのか、接触のリスクがあるのかを瞬時に判断する必要があります。このような不確実性を管理しながら、配送の効率を損なわずにスムーズに進行する部分については、まだ改善の余地があるようです。
配送ロボットを導入するメリット・デメリット
配送ロボットは、現在、様々な会社が開発を進めており、あわせて公道でも走らせられるような法整備も進んでいます。新しいロボットを社会に導入する際は、メリットとデメリットが両方あります。
それぞれを比較し、貴社が想定している活用方法でメリットを最大限享受できるか、確認しましょう。
メリット
配送ロボットには、以下のようなメリットがあります。- 人手不足を解消できる
- 非接触で配達が可能
人手不足を解消できる
配送ロボットを導入することで、人手不足によって起きる配送問題を解消できます。例えば、配送ロボットは以下のような形で人手不足を解消できる可能性があります。
- 配送プロセスの最終段階である顧客の手元に商品を届ける部分(ラストワンマイル配送)の効率化
- 特定の時間帯やシーズンにおける配送需要の増大に対応できるようになる
- 内部物流・倉庫管理における倉庫内の商品のピックアップ、仕分け、搬送を自動化
このメリットは、特に以下のような場面で活躍できる可能性が高いです。
- 過疎地や人口密度の低い地域での配送
- 高齢者施設や病院での物資配布
- 大型イベントや施設でのセキュリティとメンテナンス
非接触で配達できる
配送ロボットの導入による非接触配達は、特に感染症の拡散防止に有効であり、安全性と利便性の向上に寄与します。特に、非接触で配送ができる場合は以下のようなメリットがあります。
- 配達員と受取人の物理的な接触を避けることで、感染症のリスクを大幅に低減
- 繰り返し行われるようなルーチン配送の効率化が可能
- 24時間体制での稼働を実現、従来の配送時間外でもサービス提供が可能
非接触配達が特に重要な場面には以下のものが考えられます。
- 病院や医療施設での薬剤配達
- 食品配達サービス
- オフィスビルやマンションでの郵便物配達
デメリット
一方で、配送ロボットには次のようなデメリットも考えられます。これらを理解した上で、メリットがデメリットを上回るか検討する必要があります。- 導入コストがかかる
- 機械故障など予期せぬリスクが起こり得る
導入コストがかかる
配送ロボットを導入する際に高額な初期投資が必要となるため、このコストはビジネスの財務計画に大きな影響を与えます。導入コストには、ロボット自体の購入費用だけでなく、システムのセットアップ、維持管理、必要に応じた従業員のトレーニング費用などが含まれます。
一般的な配送ロボットの価格は、その機能やサイズ、技術の進歩度によって大きく異なります。
例えば、小規模な屋内で使用されるシンプルなロボットは数十万円から、より高度な自動運転機能を持つ屋外用の大型配送ロボットは数百万円以上の投資が必要な場合があります。非常に進んだ技術を持つロボットの場合は、数千万円に達することもあります。
配送員の人件費は、日本においては時給制で計算されることが多く、地域や勤務条件によって異なりますが、一般的には時給1,000円から1,500円程度が一般的です。フルタイムで月に160時間働いた場合、月額160,000円から240,000円程度が人件費となります。
配送ロボットの導入には高額な初期投資が必要ですが、稼働後は追加の人件費がかからないため、数年間かけた、長期的にはコスト削減が期待できます。
ロボットの稼働時間やメンテナンスコスト、導入後の効率改善を考慮すると、数年間の運用を通じてトータルコストが人件費を下回る可能性があります。しかし、短期間での投資回収は難しいため、投資の回収期間や運用効率の向上を慎重に評価する必要があります。導入に際して補助金が申請可能な場合もあるため、予め確認することをおすすめします。
機械故障など予期せぬリスクが起こり得る
配送ロボットを活用する際の主なデメリットとして、機械故障や技術的な問題が挙げられます。ロボットは複雑な電子機器、ソフトウェア、機械部品で構成されており、これらが原因で予期せぬトラブルやダウンタイムが発生する可能性があります。故障が起こると、配送プロセスが中断され、最悪の場合は顧客へのサービス提供に大きな影響を与えることがあります。
想定されるリスクの例としては、以下のものが挙げられます。
- ロボットのモーターやセンサー、バッテリーなどの物理的部品の故障
- ソフトウェアのバグや互換性の問題が原因でロボットが正常に機能しなくなる可能性
- 通信エラーやシステムのダウンが発生すると、ロボットの制御や監視が困難になる
- 極端な気象条件や未予測の物理的障害物が理由でパフォーマンスが低下する可能性
これらのリスクを回避するには、以下のような取り組みを行うことが考えられます。
- 定期的なメンテナンスと検査
- リダンダンシーの導入(一部が故障した場合でも他の部分が機能を継続できるバックアップ機能)
- 包括的な保守契約
- トラブルシューティングのためのスタッフトレーニング
- バックアップ計画の策定
4つの選定基準 | 配送ロボットの選び方
配送ロボットには様々な種類があり、その中でも適切なものを選ぶことで初めて貴社の導入目的を達成できます。
導入目的を達成するには、以下のポイントを考慮して配送ロボットを選定することがおすすめです。
- 性能
- 配送範囲や配送物への適合性
- 価格
- ロボットメーカーのサポート
性能
性能が高いロボットは、配送タスクを迅速かつ正確に完了し、長期間にわたって信頼性の高いサービスを提供できます。一方で、性能が良いロボットは価格が高くなりやすく、コスト回収まで時間がかかってしまいます。特定のニーズや環境に適した性能を備えたロボットを選ぶことで、運用コストを削減し、顧客満足度を向上させることが可能です。
性能の中でも、特に見ておくべきポイントは以下の通りです。
- 衝突回避システム、緊急停止機能、安全警告システムなどの安全機能
- ロボットのバッテリー寿命と充電にかかる時間
- 屋内専用か、または屋外環境にも対応しているかなど適切な耐候性や地形に適応する能力
- ロボットが中央システムやオペレーターと効果的に通信できる機能
充電時間は、ロボットの種類や使用されるバッテリーによって変わりますが、例えば、小型の陸上型配送ロボットは2時間から6時間を要し、半日稼働します。また、空中型配送ドローンは30分から1時間で充電が完了し、一回の充電で15分から30分の飛行が一般的に可能です。
例えば、以下のような用途で配送ロボットを導入する場合、それぞれ以下のような項目を確認しておく必要があります。
- 工場や倉庫内での物流 耐久性、安全性、最大稼働時間
- 大学やリゾート施設での配送サービス 対応する配送環境、コミュニケーション機能、移動速度
- 工業製品の配送 最大積載量、耐久性、安全性
- 家具や家電製品の大規模配送 最大積載量、耐久性、機動性
工場内の連続稼働に耐える強度
広範囲にわたる地域をカバーするための適切なナビゲーション能力と速度
重い工業製品を安全かつ確実に運ぶための高い耐荷重能力と堅牢な構造
大きくて重いアイテムを運ぶための能力と、配送地点での取り扱いやすさ
配送範囲や配送物への適合性
配送ロボットを選ぶ際に、配送範囲と配送物の適合性を考慮することは、効率的で効果的な配送システムを確保するために非常に重要です。配送物の性質や配送範囲に適したロボットを選定することで、配送中の商品の安全性、品質保持、および配送効率を向上させることができます。配送範囲や配送物について、特に見ておくべきポイントは以下の通りです。
- 配送エリアの広さや通路の狭さに応じて、適切なサイズと機動性を持つロボットを選ぶ必要がある
- 食品や医薬品など、温度に敏感な商品を扱う場合、保温または保冷機能を備えたロボットが必要
- 荷物が壊れやすい、または高価である場合、振動吸収や固定機能が優れたロボットが必要
例えば、以下のような用途では、それぞれ以下の項目を確認しておくことがおすすめです。
- 工場や倉庫内での物流 工場や倉庫内では、多種多様な物品を頻繁に移動させるため、高い耐久性と適切な積載量を持つロボットが必要
- 大学やリゾート施設での配送サービス 広大なエリアをカバーするために長距離走行が可能で、人が多い環境で安全に運用できるロボットを選ぶことが重要
- 工業製品の配送 重量のある工業製品を運ぶためには、高い積載能力と強固な構造を備えたロボットが必要
- 家具や家電製品の大規模配送 大きな家具や家電を安全に運ぶためには、大型で頑丈なロボットが適しており、商品を確実に保護できる設計が必要
価格
配送ロボットの価格を検討することは、コスト効率と財務的持続可能性を確保する上で不可欠です。ロボットの価格は導入コストだけでなく、長期的な運用コストにも大きく影響します。適切な予算配分とコスト管理を行うことで、配送システムの効率化を図りつつ、無理のない投資が可能になります。
価格を検討する上で、考慮すべき価格には以下のものが挙げられます。
- 導入コスト:配送ロボットを購入する場合の一時的な購入費用と、リースやレンタルの場合の初期費用及び定期的な支払い
- メンテナンスコスト:定期的なメンテナンス、修理、部品交換など
- 運用コスト:電力消費や、必要に応じたスタッフのトレーニング費用など
これらのポイントを適切に評価することで、初期投資だけでなく、長期的な運用における費用対効果を最適化し、事業の持続可能性を高めることができます。
ロボットメーカーのサポート体制
配送ロボットを導入する際には、ロボットメーカーのサポート体制を十分に考慮することが重要です。これにはいくつかの理由がありますが、主に設備投資の長期的な成功と効率的な運用の維持が挙げられます。良質なサポート体制は、システムのトラブルや運用上の問題が発生した場合に迅速かつ効果的な解決を可能にし、ダウンタイムの最小化と生産性の最大化を支援します。
一般的な最低限のサポートとして挙げられるものには、以下のものが挙げられます。
- 技術サポート:電話、Eメール、またはチャットを通じた専門家によるサポート
- 部品の供給:故障や消耗に対応するため、必要な部品を迅速に提供
- 保守契約:定期的なメンテナンスや検査を提供し、ロボットの性能を最適に維持
- オンラインリソース:利用者マニュアル、FAQ、トラブルシューティングガイド、教育ビデオなど、自助リソースへのアクセスを提供
- トレーニングプログラム:ユーザーがロボットの操作方法を習得し、最大限に活用できるようにトレーニングを提供
さらに、サポートが手厚い企業では以下のようなサポートを受けられることがあります。
- 24/7サポート:任意の時間に利用可能なカスタマーサポート
- オンサイトサポート:緊急時には技術者が直接現場に出向いて問題を解決
- リモート監視と診断:ロボットの性能を遠隔から監視し、異常があれば即座に通知
- カスタマイズと統合サポート:顧客の特定のニーズに合わせたロボットのカスタマイズや、既存のシステムとの統合を支援
- 拡張保証とアップグレードオプション:保証期間の延長や、将来的なアップグレードパスを提供
手厚いサポートがあれば安心して配送ロボットの導入と運用ができますが、それ相応の料金が必要になるケースがほとんどです。必要なサポートと予算のすり合わせを必ず行ってから、配送ロボットの導入を進めましょう。
配送ロボットを製造・販売する企業
配送ロボットの製造・提供には様々な企業が参入しています。以下では、配送ロボットメーカーの中で主なメーカーを5社ご紹介します。
Hakobot(ハコボット)
Hakobotは、2018年の5月に宮崎県で創業した配送ロボットを専門に取り扱うロボット製造企業です。この企業は「どんなものでも載せられる、確実に運ぶ」という理念のもと、高い走破性と使いやすい操作性を兼ね備えた配送ロボットの開発に注力しています。Hakobotは設立以来、宅配サービスの効率化を図るために、ラストワンマイルの配送プロセスを自動化することを目標に掲げています。同社はHakobase Version2を開発し、公道での実証実験にも取り組んでいます。
ZMP(ゼットエムピー)
2001年1月に設立されたZMPは、「楽しく便利な社会を創る」というミッションのもと、画期的なロボット技術で社会に貢献しています。同社は「Robot of Everything」を実現し、人の移動には『RoboCar』、物の移動には『CarriRo』、そして日常生活を豊かにする歩行速ロボット『RakuRo』、宅配ロボット『DeliRo』、パトロールロボット『PATORO』を提供。これらのロボットは、統合ロボットプラットフォーム『ROBO-HI』と自動化のコアエンジン『IZAC』によって支えられています。
特に『DeliRo』は、荷物の大きさや形状に応じて1ボックスから8ボックスまで選択可能で、最大50kgの積載能力を持ち、飲料から配送物まで幅広いニーズに応えます。また、目と音声によるコミュニケーション機能を通じて、人との交流も可能にしています。
ZMPはロボットベンチャーの先駆者として、そのユニークな技術と革新的な製品で「唯一無二の存在」を目指し続けています。未来のロボティクス市場をリードするZMPの旅は、ここからさらに加速します。
本田技研工業(Honda Motor)
本田技研工業は「技術は人のためにある」という信念のもと、2000年に革新的なヒューマノイドロボットASIMOを発表し、その後も人間研究を深めながらロボット技術の発展を推進しています。本田技研工業は、ロボットが日常生活に溶け込む未来を見据え、「世界中の一人ひとりの『移動』と『暮らし』の進化をリードし、すべての人に生活の可能性が拡がる喜びを提供する」ことを目指しています。
現在、本田技研工業はNEDOが推進する技術開発事業に参加し、新型コロナウイルス感染症の影響で浮き彫りになった「遠隔・非対面・非接触」の配送ニーズに応える自動走行ロボットの社会実装を目指しています。
少子高齢化による配達員不足といった社会課題の解決を目的として、自動配送ロボットを用いた走行実証実験により、必要な機能や性能、安全性に関する要件を明らかにし、社会的受容のための課題解決に取り組んでいます。
パナソニック(Panasonic)
パナソニックホールディングスは、2023年4月1日に施行された「道路交通法の一部を改正する法律」に基づく遠隔操作型小型車の届出制度において、日本で初めて届出を受理された企業です。この新しい法規制は、特定の大きさや構造要件を満たす自動配送ロボットが、書類提出のみで公道を走行できることを可能にします。これにより、パナソニックHDは神奈川県藤沢市のFujisawaサスティナブル・スマートタウンにて2023年7月31日から、自動配送ロボットの運用を開始しました。
また、同様の届出が東京都千代田区丸の内でも受理され、2023年8月1日からはこちらでの実証サービス提供を開始しています。これらの動きは、物流業界の慢性的な人手不足や、食料品の購入や飲食に関するアクセス問題の解決に貢献することを目指しています。
パナソニックHDは、社会実装を進めることで、これらの大きな社会課題に対応し、新たな自動配送ロボットの利用シナリオを開拓しています。
ティアフォー(TIER Ⅳ)
ティアフォーは、2015年に創業され、自動運転ソフトウェア「Autoware」の開発およびライセンス販売を主力事業としています。Autowareは、オープンソースの自動運転プラットフォームであり、世界中の企業や研究機関から広く採用されていることで知られています。同社は、Autowareの提供にとどまらず、自動配送ロボットや自動掃除ロボットなど、多岐にわたる自律走行ロボットの開発と販売も手がけています。これらのロボットは、日常の業務を効率化し、作業の自動化を推進するための高度な技術を搭載しています。
製造している配送ロボットLogiee(ロジー)という機種で、歩道や私道での配送に特化した小型の自動配送ロボットです。最大積載量は30キログラムで、最高速度は時速6キロメートルです。