6種類の混練機と特報、用途と比較方法、おすすめのメーカー3社
  • 最終更新日:2024年9月13日
多種多様な製品に欠かせない「混練機」は、材料を均一に混ぜ合わせるための重要な機械です。ゴム、プラスチック、食品、化粧品といった幅広い分野で使用される混練機には、バンバリーミキサーやプランジャー式ミキサーなど、用途に応じた種類があります。

この記事では、6種類の混練機の特徴と用途を詳しく解説し、それぞれの選び方や比較基準を提供します。

6種類の混練機と特徴

混練機の種類と特徴

混練機は、複数の物質を均一に混ぜ合わせ、新しい性質を持つ物質を作り出すための機械です。粘度の高いものから粉末まで、様々な状態の物質に対応でき、ゴム製品、プラスチック製品、食品、化粧品など、幅広い分野で利用されています。混練の過程では、物質を分割し、再結合することで、均一な混合状態を実現します。

混錬機は大きくバッチ式と機械式があり、以下の6つの種類が挙げられます。

  • バンバリーミキサー
  • プランジャー式ミキサー
  • リボンブレンダー
  • 単軸押出機
  • 2軸押出機
  • ディスク式混練機

バッチ式

バッチ式混練機は、あらかじめ決められた量の材料を容器に入れ、一定時間をかけて混練を行うタイプの機械です。材料を投入し、混練時間が経過したら、完成品を取り出すという一連の作業をバッチ(一括)で行うことから、この名が付いています。

このタイプは、混合条件の調整が比較的容易であり、多品種少量生産に適しています。また、粘度の高い材料や、固形物を多く含む材料の混練にも対応できます。

連続式混練機は、材料を連続的に供給し、混練しながら製品を取り出すタイプです。一方、バッチ式は、一度に一定量の材料を投入し、一定時間かけて混練を行います。

バッチ式の混練機には、以下の種類が挙げられます。

  • バンバリーミキサー
  • プランジャー式ミキサー
  • リボンブレンダー

バンバリーミキサー

バンバリーミキサーは、主にゴムやプラスチックなどの粘度の高い物質を混練するために使用されるバッチ式の混練機です。二つの回転するアーム(ローター)が、密閉されたチャンバー内で互いに反対方向に回転することで、材料を強力に剪断し、均一に混合します。高い圧力と温度で混練を行うため、短時間で均質な混合物を得ることが可能です。

この混練機には、以下のような特徴があります。

  • 高剪断力:粘度の高い物質や固体粒子の分散に優れている
  • 短時間混練:短時間で均一な混合物を得ることが可能
  • 密閉構造:揮発性の成分の損失を抑え、酸化と不具合

バンバリーミキサーは、主にゴム製品やプラスチック製品の製造に使用されます。タイヤの製造、プラスチックマスターバッチの製造、ゴム部品の製造など、高粘度な材料を扱うプロセスで広く利用されています。また、一部の食品や化粧品などの製造にも用いられることがあります。

プランジャー式ミキサー

プランジャー式混練機は、シリンダー内に材料を入れ、プランジャーと呼ばれるピストン状の部品で材料を押し出しながら混練を行うバッチ式の機械です。プランジャーが上下運動することで、材料はシリンダー内で剪断され、混合が進む仕組みです。高粘度で固形物を多く含むような、粘度の高い材料の混練に適しています。

この混練機には、以下のような特徴があります。

  • 高粘度材料への対応:高粘度で固形物を多く含む材料の混練に適している
  • 残留物の少ない混練:シリンダー内に材料が残りにくく、洗浄が容易
  • 均一な混合:材料が均一に剪断され、均質な混合物が得られる

プランジャー式混練機は、高粘度のペースト状の材料の混練に広く利用されています。例えば、接着剤、シーリング材、塗料、食品などの製造プロセスで用いられます。また、少量多品種の生産や、実験的な混練にも適しています。

リボンブレンダー

リボンブレンダーは、U字型またはV字型の容器内に設置された二重のリボン状の羽根を回転させることで、粉体や顆粒状の材料を効率的に混合するバッチ式の混練機です。リボンは、内側と外側で回転方向が異なり、材料を上下左右に繰り返し移動させることで、均一な混合を実現します。

この混練機には、以下のような特徴があります。

  • 均一混合:短時間で均一な混合が可能
  • 多様な材料に対応:顆粒状の材料や、少量の液体添加物との混合も可能
  • 構造がシンプル:清掃やメンテナンスが容易

リボンブレンダーは、主に粉体同士の混合、粉体と液体との混合に使用されます。食品、化学薬品、医薬品、セラミックスなどの粉体原料の混合、肥料の製造、飼料の混合などに広く利用されています。

連続式

連続式混練機は、材料を連続的に供給し、混練しながら製品を取り出すタイプの機械です。一度に大量の材料を処理でき、高効率な生産が可能です。材料を投入し、その間に混練が行われ、製品が連続的に排出される仕組みになっています。

このタイプは、主に均一な品質の製品を大量に生産する場合に適しています。食品加工、プラスチック加工、化学製品製造など、大規模な生産ラインで広く利用されています。

バッチ式混練機は、あらかじめ決められた量の材料を容器に入れ、一定時間かけて混練を行います。一方、連続式は、材料を連続的に供給し、混練しながら製品を取り出すという点で異なります。

単軸押出機

単軸押出機は、長い円筒形のバレル内に設置された一本のスクリューが回転することで、材料を連続的に混練し、押出すタイプの機械です。バレル内には加熱装置が設置されており、材料を加熱しながら混練することで、溶融状態にしたり、所定の粘度にすることができます。

この混練機には、以下のような特徴があります。

  • 連続生産:材料を連続的に供給し、高生産量を実現できる
  • 多様な加工:混合、溶融、脱気、充填などの加工に対応可能
  • 幅広い用途:プラスチック、ゴム、食品などの材料の加工に利用可能

単軸押出機は、プラスチック製品の製造に広く利用されています。例えば、フィルム、パイプ、シート、形材などの製造に用いられます。また、食品業界では、ペースト状の食品の製造や、チョコレートのエンロビングなどにも利用されます。

2軸押出機

2軸押出機は、バレル内に二本のスクリューが配置され、互いに噛み合いながら回転することで材料を混練する連続式の機械です。単軸押出機に比べて、より強力な剪断力を発生させることができ、高粘度な材料や複数の材料を均一に混合することができます。また、スクリューの形状や回転方向を組み合わせることで、様々な加工に対応できます。

この混練機には、以下のような特徴があります。

  • 強力な混練:二本のスクリューで材料を繰り返し剪断し、短時間で均一な混合物を得られる
  • 高粘度材料への対応:高粘度な材料や固体粒子を多く含む材料の混練に優れている
  • 多様な加工:スクリューの形状や回転方向を組み合わせることで、混合、分散、脱揮、反応など様々な加工に対応可能

2軸押出機は、高性能なプラスチック製品の製造に広く利用されています。例えば、エンジニアリングプラスチック、高機能フィルム、自動車部品、電子部品などの製造に用いられます。また、食品業界では、機能性食品素材の製造や、化粧品原料の製造にも利用されています。

ディスク式混練機

ディスク式混練機は、水平な円盤状のローターが回転することで、材料を剪断し、混練を行う連続式の機械です。ローターには、突起や溝などの形状が設けられており、材料をローターと容器の間に繰り返し挟み込むことで、効率的に混合を行います。粘度の低い液体から高粘度のペースト状の材料まで、幅広い粘度の材料に対応できます。

この混練機には、以下のような特徴があります。

  • 幅広い粘度に対応:低粘度から高粘度までの材料に対応可能
  • 均一な混合:ローターの形状と回転により、短時間で均一な混合物を実現
  • 連続生産:材料を連続的に供給し、高生産量を実現可能

ディスク式混練機は、食品、化粧品、医薬品などの製造プロセスで広く利用されています。例えば、ジャムやペースト状の食品の製造、化粧品の乳化、医薬品の混合などに用いられます。また、塗料やインクなどの製造にも利用されることがあります。

混練機と混合機の違い

混練機と混合機の違い

混練機と混合機は、どちらも物質を混ぜ合わせる機械ですが、その目的や作用する力に違いがあります。混練機は、物質に強い剪断力を加え、形状を変形させながら混合することを目的とし、粘度の高い物質や固形物を含む物質の混合に用いられます。一方、混合機は、複数の物質を均一に混ぜ合わせることを目的とし、主に粉体や液体の混合に用いられます。

混練機 混合機
目的 物質に強い剪断力を加え、形状を変形させながら混合する 複数の物質を均一に混ぜ合わせる
対象物質 粘度の高い物質、固形物を含む物質 粉体、液体
特徴 剪断力が強く、物質の形状を変形させる。高粘度物質や固形物を含む物質の混合に最適 穏やかな混合。粉体や液体の混合に適している。短時間で多量の物質を混合可能
用途 プラスチック、ゴム、食品などの製造。高機能材料の製造 食品、化学薬品、医薬品などの粉体原料の混合

混練機の3つの用途

混練機の活用事例

混練機は、特に以下の3つの用途で使われることが多いです。

  • 混合
  • 添加、添着
  • 均一化

混合

混練機は、単に物質を混ぜ合わせるだけでなく、物質の形状を変形させながら混合することを特徴としています。これにより、均一な混合物を作り出すだけでなく、新たな物性を付与したり、物質の特性を変化させたりすることが可能です。

混練機による混合は、高粘度な物質や固形物を含む物質の混合に特に有効です。強い剪断力をかけることで、これらの物質を均一に分散させ、滑らかなペースト状にすることができます。

以下に、一部の活用事例をご紹介します。

  • 自動車部品や電子部品業界で、プラスチック樹脂に様々な添加剤(顔料、充填剤など)を混合し、製品の特性を調整
  • 食品の製造において、様々な材料を混合し、新しい食感や風味を作り出しす

添加、添着

混練機は、基材となる物質に様々な添加剤や充填剤を均一に分散させる、添加や添着の工程にも広く利用されています。混練機が生成する強い剪断力によって、添加剤を微細化し、基材との界面を大きくすることで、より強固な結合を実現します。これにより、製品の特性を大幅に改善することが可能です。

以下に、一部の活用事例をご紹介します。

  • 自動車部品や電子部品の製造において、製品の強度、耐熱性、外観などを改善
  • タイヤやゴム製品の製造において、ゴムにカーボンブラック、シリカ、オイルなどを添加することで、ゴムの強度、耐摩耗性、弾性を調整

均一化

混練機は、複数の物質を均一に混ぜ合わせる、均一化の工程において非常に重要な役割を果たします。特に、粘度の高い物質や固形物を含む物質の均一化に優れています。混練機が生成する強い剪断力によって、物質は細かく砕かれ、均一に分散されるため、最終製品の品質向上に大きく貢献します。

以下に、一部の活用事例をご紹介します。

  • ジャムやペースト状の食品の製造において、果肉や砂糖などを混練機で均一に混合し、滑らかな食感と風味を実現
  • クリームやローションの製造において、水相と油相を混練機で乳化し、安定したエマルジョンを作る

4つの比較基準 | 混練機の選び方



混練機を製造する際は、主に以下の4つのポイントを押さえる必要があります。

  • 用途
  • 混ぜ合わせる物質の性質
  • 必要な混合の程度
  • 製品の規模

用途

用途によって、最適な混練機の機種や構造が大きく異なります

例えば、粘度の高い材料を混練する場合には、強い剪断力をかけることができるニーダー型が適している一方で、粉体と液体を混合する場合には、リボンブレンダーが適しています。このように、用途に合った混練機を選ぶことで、より効率的かつ高品質な製品を製造することができます。

特徴 適した用途
バンバリーミキサー 強力な剪断力、高い分散性 高粘度ゴム、プラスチックの混練、マスターバッチの製造
プランジャー式ミキサー 密閉性が高く、汚染が少ない 小ロット生産、実験的な混練、高粘度材料の充填
リボンブレンダー 大容量、均一な混合、低コスト 粉体と液体の混合、乾式混合
単軸押出機 連続生産、高い生産性 プラスチックの溶融混練、ペレット化
2軸押出機 複雑な配合、高い自由度 高い分散性、反応性樹脂の混練、多成分系の混練
ディスク式混練機 連続生産、高い分散性 ペースト状の食品、化粧品、医薬品の製造

混ぜ合わせる物質の性質

混練機を選ぶ際には、混ぜ合わせる物質の性質を考慮することが非常に重要です。なぜなら、物質の粘度、固形物の含有量、粒度分布などによって、最適な混練機の機種が異なるからです。例えば、高粘度のゴムを混練する場合には、強力な剪断力をかけることができるバンバリーミキサーが適していますが、粉体と液体を混合する場合には、リボンブレンダーが適しています。

適した混練機 理由
高粘度、固形物を含む バンバリーミキサー、2軸押出機 強力な剪断力で、高粘度な材料や固形物を細かく砕き、均一に分散可能
低粘度、流動性が高い リボンブレンダー、単軸押出機 大量の材料を効率よく混合でき、均一な混合物を得られる
熱に弱い プランジャー式ミキサー、ディスク式混練機 材料の温度上昇を抑えられる
反応性の高い 2軸押出機 温度や圧力を精密に制御でき、反応性の高い材料の混練に最適
粉体と液体の混合 リボンブレンダー 粉体と液体を均一に混合可能
ペースト状 ディスク式混練機 高粘度なペースト状の材料を連続的に混練可能

必要な混合の程度

混練機を選ぶ際には、必要な混合の程度も重要な要素となります。混合の程度とは、材料をどの程度細かく均一に混ぜ合わせる必要があるかということです。例えば、粉体と液体を粗く混ぜ合わせるだけで良い場合もあれば、微細なレベルまで均一に分散させる必要がある場合もあります。混合の程度によって、最適な混練機の機種が異なります。

適した混練機 理由
粗混合 リボンブレンダー 大量の材料を短時間で粗く混合可能
中程度混合 単軸押出機 溶融状態での混合により、均一な混合物を得られる
微細混合 2軸押出機、バンバリーミキサー 強力な剪断力により、材料を微細に分散可能
ペースト状の均一化 ディスク式混練機 高粘度なペースト状の材料を均一に混合可能

製品の規模

混練機を選ぶ際には、製品の規模、すなわち生産量やバッチサイズを考慮することが非常に重要です。小規模な実験室での使用と、大規模な工場での生産では、必要な混練機の性能や機能が大きく異なります。生産規模に合わせて適切な混練機を選ぶことで、効率的な生産とコスト削減を実現することができます。

適した混練機 理由
小規模(実験室など) プランジャー式ミキサー、ディスク式混練機 小さなバッチサイズに対応でき、実験的な試作に最適
中規模 リボンブレンダー、単軸押出機 比較的柔軟な生産に対応でき、多様な製品に対応可能
大規模 2軸押出機、バンバリーミキサー 高い生産性と均一な混合品質が求められる大規模生産に最適

混練機を製造するおすすめのメーカー3社

混練機を製造する企業

混練機を製造する主なメーカーとして、以下の3社が挙げられます。

  • 神戸製鋼所
  • 平岩鉄工所
  • ホソカワミクロン

神戸製鋼所

神戸製鋼所は、日本の大手重工業メーカーであり、混練機をはじめとする様々な産業機械を製造しています。特に、樹脂混練機においては長い歴史と実績を持ち、高い生産性と均一な混合品質を実現する製品を提供しています。

平岩鉄工所

平岩鉄工所は、長い歴史を持つ日本の老舗企業であり、自動車部品やダクタイル鋳鉄の製造が主な事業です。しかし、それだけにとどまらず、各種産業機械部品の製造も行っており、混練機もその一つとして取り扱っています。

ホソカワミクロン

ホソカワミクロンは、世界的に有名な粉体処理機器メーカーです。粉体を細かく砕いたり、混ぜ合わせたり、乾燥させたりする様々な機器を製造しており、その技術力は世界トップクラスとされています。混練機もその一つで、特に粉体と液体を均一に混合する技術に長けています。