微細な部分や複雑な形状も可能な上に熱影響が少ないため、材料の変形や歪みを極力抑えることができます。
しかし、加工目的や素材に合うレーザー加工機を選ばなければ、思うような加工ができなかったり危険な事故につながってしまう可能性があります。
投資以上のリターンを得られるよう、この記事ではレーザー加工機とは何か、その種類と木材や金属など素材との相性、貴社に最も合うレーザー加工機の選び方を解説し、厳選したおすすめのレーザー加工機メーカー6社を紹介します。
目次
レーザー加工機とは?
レーザー加工機とは、高エネルギーのレーザービームを活用して様々な材料を切断、彫刻、マーキング、ドリリング、溶接といった加工を行う装置のことです。
このレーザービームは、特定の波長の光を放出する物質(ガスや結晶、ファイバーなど)にエネルギーを供給することで生成されます。
旋盤など他の加工機と比較して、レーザー加工機には以下の特徴があります。
レーザー加工機の特徴
- 100マイクロメートル程度の細いビームにより、
設計に忠実な高精度加工が可能 - 物理的な刃や工具を使用しない非接触加工が可能で、
加工対象への物理的ストレスが低い - 高速加工が可能でありながら、
金属から木材まで多様な材料に対応 - 円形や直線だけでなく、
動物の形状や文字、ロゴの加工など幅広い形状に対応 - 熱の影響範囲が限定されるため、
料の熱変形や損傷のリスクが低い
レーザー加工機は高精度な加工を実現するため、以下の要素から成り立っています。
- レーザー発振器:
特定の物質を励起して方向性のあるレーザー光を生成 - 光路:
レーザー光を加工対象まで効率よく伝達し、レーザー光を正確に導く役割を持つ - アシストガスとノズル:
アシストガスとノズルでカット面の仕上げを向上させる - 集光系:
レーザー光を特定範囲に集中させることで高エネルギー密度のレーザー光を形成 - テーブルと駆動系:
加工対象はテーブル上に配置、必要に応じてX軸、Y軸、Z軸方向に精密移動
6種類の加工方法の特徴と違い、加工例
レーザー加工機は、その名の通りレーザーを使用した加工技術を提供しますが、その活用方法や特性は一つではありません。実際には、用途や材料、加工の目的に応じて、多様なレーザー加工方法が存在します。
本セクションでは、レーザー加工機での主要な6種類の加工方法について、その特徴や違い、そして具体的な加工例を解説していきます。
※クリックすると各加工方法に飛べます
レーザー切断
レーザー切断は、高出力のレーザー光を利用して、金属板や木材、プラスチックなど様々な材料を切断する高度な加工技術として知られています。- 100マイクロメートル程度の細いレーザー光での切断で、電子部品や機械部品の加工など繊細なカットが可能
- レーザーの高速加工能力により生産性が高い
- レーザー切断時のバリや削りカスが少なく、後処理の手間が少ない
- 非接触で加工するため、材料へのダメージが最小限
具体的な用途としては、金属板の切断において、主に自動車産業や航空宇宙産業での部品製造で利用されることが多いです。また、非金属材料(木材やプラスチック、アクリル板、布など)の切断にも使用されます。さらに、電子部品の微細な形状の切断において、高い精度が求められる場面での活用も見られます。
レーザー切断ができるレーザー加工機にもいくつか種類があります。CO2レーザー加工機は非金属材料の切断に特に適しており、ファイバーレーザー加工機は金属の高速・高精度切断に最適です。
一方、Nd:YAG(ネオジムヤグ)レーザー加工機は主に金属の切断や溶接に使用されます。しかし、UVレーザー加工機やフェムト秒レーザー加工機は、大規模な切断作業には向いていないので注意が必要です。
各レーザー加工機については次の章で解説しているので、気になる方はこちらもご覧ください。
レーザー彫刻・エッチング
レーザー彫刻・エッチングは、レーザー光のエネルギーを利用して、材料の表面を微細に加工する技術として広く利用されています。この技術の大きな特長は、精度高く微細なディテールや複雑なデザインの再現が可能であることです。
- 高精度加工により、装飾品やアクセサリーの微細なディテールや複雑なデザインを実現
- 非接触加工により、物理的なダメージや摩耗を防止
- 彫刻の深さや濃淡の調整が可能
- 小規模な作業の場合、数秒程度で加工が終了する
具体的な用途としては、名前やロゴ、特定のデザインを商品やギフトに彫刻する際や、製品にシリアル番号やバーコードをエッチングする場面での利用が挙げられます。
また、ジュエリーや装飾品、皮革製品などのデザイン彫刻にも使用されます。
彫刻・エッチングを行う際の最適な機械としては、CO2レーザー加工機、ファイバーレーザー加工機、UV レーザー加工機などが挙げられます。
それぞれの機械は特定の材料や用途に特化しているため、実際の加工要件や材料に応じて適切な機械を選択することが必要となります。
一方、Nd:YAGレーザー加工機やフェムト秒レーザー加工機は、彫刻・エッチングの一般的な用途には向いていないので、注意が必要です。
レーザーマーキング
レーザーマーキングは、レーザーの熱エネルギーを利用して、材料の表面に恒久的な印を施す技術として知られています。この技術により、材料の表面が焼成、融解、または変化することで、明瞭なマークが形成されます。
- 耐摩耗性が高く、日常使用や摩擦での印が消えづらい
- 細かい文字やディテールを鮮明にマーキングできる
- 材料への物理的な摩耗や圧力なしにマーキングが可能
- 宝石、医療機器、自動車など多くの産業分野での高速マーキングが可能
具体的な用途としては、製品にシリアル番号やバーコード、QRコードをマーキングすることや、医療機器のトレーサビリティのための情報、自動車部品や電子部品の製造情報をマーキングする際に使用されます。
マーキングを行うにあたって最適な機械として、ファイバーレーザー加工機やNd:YAGレーザー加工機、UVレーザー加工機などがあります。
一方、CO2レーザー加工機やフェムト秒レーザー加工機は、特定の材料や用途には適しているものの、一般的なマーキング作業には向いていない点に注意が必要です。
レーザードリリング
レーザードリリングは、レーザービームの力で材料に小さな穴を開けるための先進的な技術です。この方法の最大の利点は、非常に微細な穴を迅速に、かつ高精度で形成する能力にあります。- 数ミクロンという微細な穴を均一なサイズ・形状で制作が可能
- 物理的工具(例:ドリルビット)が不要で材料の劣化を防げる
- 連続的またはパルス式運転で、短時間での多数穴加工が可能
- 穴の形状、深さ、配置などを自由に変更できる
具体的な利用例として、ガスタービンブレードの冷却孔、電子基板のマイクロビア、医療用カテーテルなどが挙げられます。
レーザードリリングに最適な機械としては、Nd:YAGレーザー加工機、UVレーザー加工機、フェムト秒レーザー加工機が特に推奨されます。
それに対して、CO2レーザー加工機やファイバーレーザー加工機は、特定の用途や材料には適していない場合があります。
レーザードリリングを実施する際は、使用する材料、穴のサイズや深さ、そして目的に応じて、適切なレーザー加工機の選定が不可欠です。
レーザーアブレーション
レーザーアブレーションは、レーザービームの特性を活用して、材料の表面から微細な粒子を効果的に除去する技術です。- 熱的損傷なしに材料の表面除去が可能
- 金属やセラミックだけでなく、生体など微細な部分への作業を実現
- 適切なレーザータイプとパラメータの選択により、周辺材料へのダメージを最小化できる
具体的な用途として、医療分野での眼科手術やタトゥーの除去、半導体製造時のウェハーや基板からの不要な材料の除去、そして材料研究の際のサンプル前処理などが考えられます。
レーザーアブレーションに最適な機械としては、UVレーザー加工機、フェムト秒レーザー加工機、Nd:YAGレーザー加工機が推奨されます。
一方、CO2レーザー加工機やファイバーレーザー加工機は、特定の用途や材料には適さない場合があります。
レーザー溶接
レーザー溶接は、高エネルギーを持つレーザービームを活用して、複数の部材を結合する先進的な加工方法です。この技術の基本的な原理は、レーザービームが材料に焦点を当てることで極度の高温を生じさせ、それにより材料が融解することです。
そして、この融解した部分が冷却・固化することで、部材同士が強固に結合されるのです。
- 他の溶接機よりビームが細く、微細な部分や深い部位への精確な溶接が可能
- 直接的な材料接触せず加工できるので接合部の強度・耐久性・耐食性が上がる
- 他の加工機より10~1,000倍のエネルギー密度があるため綺麗に仕上がる
実際の用途としては、自動車業界での車体やエンジン部品の結合、電子機器での微細部位の結合、医療機器の組み立てや修復などが考えられます。
レーザー溶接に適している機械として、ファイバーレーザー加工機、Nd:YAGレーザー加工機、そしてCO2レーザー加工機があります。
それに対して、UV レーザー加工機やフェムト秒レーザー加工機は、主に微細加工や表面加工に特化しており、一般的な溶接作業には向いていません。
5種類のレーザー加工機とできること
レーザー加工機は、使用するレーザーの種類や特性によって、さまざまな種類が存在します。それぞれのレーザー加工機は、独自の特徴や用途を持ち、産業界の様々なニーズに応えています。
ここでは、5種類のレーザー加工機とその特徴、得意な素材や加工を解説します。
レーザー加工機の種類
※クリックすると各加工機の種類に飛べますCO2レーザー加工機
CO2レーザー加工機は、CO2ガスを利用したレーザー発生源を持ち、特に非金属材料の加工に威力を発揮します。このレーザーは、CO2ガスを励起することでレーザーを生成し、その波長は約10.6マイクロメートルと赤外線領域に位置します。この特性から、木材、アクリル、プラスチック、ガラス、ペーパー、カーボンコンポジット、皮革、繊維など、多くの非金属材料に吸収されやすく、効果的な加工が可能です。
一方、金属や一部の透明なプラスチックは、波長の関係で吸収されにくく、加工が難しい場合があります。
他のレーザー加工機と比較するとCO2レーザーは初期コストが低く、非金属の加工の切断やエッチングの他、溶接に特化しています。
しかし、金属加工や超高精度加工には、ファイバーレーザーやNd:YAGレーザー、フェムト秒レーザーなど、他のタイプのレーザーが適しています。
CO2レーザー加工機には以下の種類と特徴があります。
ファイバーレーザー加工機
ファイバーレーザー加工機は、希土類ドープされたファイバーを用いてレーザーを生成する機械です。このレーザーの波長は約1.07マイクロメートルと赤外線領域に位置し、特に金属材料に良く吸収される特性を持っています。
細かいマーキングや微細加工が得意で、変換効率も高いため、エネルギーを無駄にしません。
また、その構造上、移動部が少なく、メンテナンスが容易です。
金属部品のカットや彫刻、マーキングなど、特に金属材料の加工に強みを持つファイバーレーザーですが、透明なプラスチックやガラスなど、一部の非金属材料の加工には向いていません。
金属加工にはファイバーレーザー、非金属や透明材料の加工にはCO2レーザー、そして超高精度加工にはフェムト秒レーザーやピコ秒レーザーが適しています。
Nd:YAGレーザー加工機
Nd:YAGレーザー(ネオジムヤグレーザー)加工機は、ネオジムドープされたイットリウムアルミニウムガーネット結晶を用いてレーザーを生成する機械です。このレーザーの波長は約1.06マイクロメートルと赤外線領域に位置し、特に金属材料に良く吸収される特性を持っています。
そのため、金属部品の微細加工やマーキング、石やセラミックスの彫刻、金属の溶接や接合などを扱う作業に適しています。
例えば、Qスイッチングによる高ピークパワーのパルスを生成するQスイッチNd:YAGレーザーは、微細加工や高品質な溶接に適しています。
しかし、透明なガラスやプラスチック、一部の非金属材料の加工には向いていません。
大面積の切断や彫刻にはCO2レーザー、金属の大量加工にはファイバーレーザーが適しています。
UVレーザー加工機
UVレーザー加工機は、紫外線領域の波長を持つレーザー加工機です。この領域は200ナノメートルから400ナノメートルの間であり、典型的には355ナノメートルや266ナノメートルの波長を持つ機種が主流です。UVレーザーの最大の特徴は、冷加工が可能であることです。これは、UVレーザーの光が材料の表面に吸収されて急激に気化するため、熱影響領域が非常に小さくなるためです。
UVレーザーは、透明なプラスチックやガラス、セラミックス、薄い金属膜、生体組織などの微細加工に適しています。
特にプリント基板の微細加工や液晶ディスプレイの修正、生体組織の切断や彫刻(例えば眼科手術)など、高精度が求められる用途に利用されます。
その一方で、厚い金属や大きな面積の切断には向いていません。
フェムト秒レーザー加工機
フェムト秒レーザー加工機は、極端に短いパルス幅を持つレーザー光を放射する機械で、1フェムト秒は10の-15乗秒と非常に短い時間を示しますこの特性により、材料に対する熱影響が極端に少なく、超微細かつ正確な加工が可能となります。
フェムト秒レーザーは、金属、セラミックス、ガラス、プラスチック、生体組織など、幅広い材料の微細加工に適しています。特に高精度な微細加工や医療機器の製造、複雑な3D構造の彫刻などの用途に利用されます。一方、大面積の加工や厚い金属の切断には向いていません。
他の種類の加工機と比べたメリット・デメリット
レーザー加工機は、その高い精度と速度で広く受け入れられてきました。特に、伝統的な加工方法や他の種類の加工機と比較して、数々のメリットを持つ一方で、一部の特定の用途や状況においてはデメリットも存在します。
レーザー加工機のメリット
レーザー加工機が多くの産業で選ばれる理由は、その数々のメリットに起因しています。その要因として挙げられるのが以下の3点です。
レーザー加工機を導入するメリット
- 高精度な加工、高速な加工が可能
- 部品が摩耗しないので工具の交換頻度が低い
- 加工の柔軟性が高い
従来の加工方法にはない特性や能力を持ち合わせており、これにより製造プロセスが劇的に変わる場合も少なくありません。
特に、高精度・高速加工の要求が厳しい現代の製造業界において、レーザー加工機の利点は大きく、その価値はますます高まっています。
以下、その主要なメリットについて詳しく探ります。
高精度な加工、高速な加工が可能
レーザー加工の最も注目すべき特性の一つは、その高い精度にあります。レーザービームは非常に微細な焦点を持つため、細かいパターンや複雑な形状の加工が可能となります。- レーザーは摩耗しないため、一貫して高品質な加工が実現
- デジタルデータベースの加工なので、デザインの変更や調整がスムーズ
- レーザービームの移動速度は光速に近く、従来の物理的工具の制約がない
- 迅速なレーザー加工により、大量生産ラインにも即座に対応可能
特に、複雑な形状や細かいデザインが要求される製品の場合、短時間での加工が実現できることは大きなメリットとなります。
部品が摩耗しないので工具の交換頻度が低い
従来の加工技術、使用される工具や刃物は摩耗してしまうため、工具の性能が低下し、加工精度が変動する可能性が出てきます。それを防ぐために、工具や刃の交換などのメンテナンスが必要でした。
しかし、レーザー加工機は非接触加工を実現しているため、他の加工機と比べてメンテナンスや交換が必要な部品が少なく、メンテナンス頻度が低いです。
- 物理的工具を使用せず、部品摩耗のリスクが最小限
- 工具の交換やメンテナンス頻度が大幅に低減
- 工具摩耗なしで高品質と再現性の製品生産が可能
- 高精度加工や再現性が要求される産業での利用価値が高い
さらに、工具の摩耗による加工品質の変動がないため、一貫した高品質な製品を生産することが可能です。
これは、特に高精度な加工が求められる産業や、一貫性と再現性が重視される分野での利用価値が高まります。
部品の摩耗がないことのメリットは、生産コストの削減だけでなく、安定した品質の維持やダウンタイムの削減など、製造プロセス全体の最適化に貢献しています。
加工の柔軟性が高い
レーザー加工機は金属から非金属まで対応できる上、レーザー照射位置を自由に調整できる柔軟性を持ち合わせています。その加工能力と精度の高さから様々な分野での使用が広がっています。
特にエンジニアの方々が扱う難解なデザインや特定の要件を持つ加工物において、レーザー加工機はその真価を発揮します。
- レーザー光が非常に微細で、高精度な加工を可能
- レーザーの照射位置を自由に動かして自動車フレームの切り出しなど細かい加工に対応
- 金属から非金属まで幅広く対応
自動車のバンパーやフロントグリル、ヘッドライトなどの外装部品やICチップやプリント基板などの加工に使われます。
レーザー加工機のデメリット
レーザー加工機は数多くのメリットを持ちますが、その一方で一部の課題やデメリットも存在します。
特定の材料や加工条件、または経済的な側面での制約は、レーザー加工の適用範囲や効果を制限することがあります。
レーザー加工機を導入するデメリット
- 相性が悪い素材がある
- 厚い材料の加工に制限がある
- コストが高い
相性が悪い素材がある
レーザー加工は多くの材料に対して高精度で高速な加工を実現できる一方、一部の材料には適していない場合があります。特に、レーザーの波長によっては、光を反射したり吸収しなかったりする材料が存在します。
- 特にCO2レーザーでは透明なプラスチックやガラスの加工が難しい
- 銅やアルミニウムなどの高反射材料の加工には波長、出力、焦点の調整が不可欠
- 敏感材料で変形や熱影響の恐れがある
以上のように、レーザー加工機を使用する際は、加工する材料の特性やレーザーの波長、出力などの条件を慎重に検討する必要があります。
厚い材料の加工に制限がある
レーザー加工機は、精密な加工が可能である反面、厚い材料の加工ではその性能を完全に発揮することが難しいです。- レーザー光は限られた深さまでしか材料を貫通せず、厚みがある材料だと完全に切断できない
- 厚い材料の加工には長時間の照射が必要で、材料の変質や歪みが生じるリスクが増大する
- 切断面を清潔に保つためのガス補助が効果的に機能しづらくなる
厚い材料の加工に関して、レーザー加工機には明確な制約が伴います。
そのため、これらの材料に対する加工を検討する際には、ウォータージェット加工や機械的加工など、他の加工方法を選択することで、より高い効果を期待できる場合があります。
コストが高い
レーザー加工機の導入や使用に関連するコストは、大きな障壁となることがあります。- レーザー加工機は高度な技術を必要とし、それに伴いコストも高くなる
- 機械の価格以外に、設置や運用に必要な設備やトレーニングの他、
冷却システム、排気設備、安全対策などの追加コストが必要 - レーザーの光源や部品は定期的な交換・メンテナンスが必要
- 加工を制御・デザインする専用ソフトウェアが追加の費用となる
一方で、レーザー加工機は、高精度かつ高速での加工を実現するため、そのコストに見合った価値を持っています。
企業や個人がレーザー加工機を導入する際は、予算や使用目的を考慮する必要があります。
レーザー加工機の選び方
| 見るべき7つのポイントを解説
レーザー加工機の導入を検討する際、適切な選択をすることは非常に重要です。そのための選択基準は、単に価格やブランド名だけでは十分ではありません。
加工機を最大限に活用し、長期的な投資としての価値を得るためには、具体的な使用目的や要求される性能を基に、様々な要因を総合的に考慮することが必要です。
7つの比較ポイント | レーザー加工機を選ぶ方法
※クリックすると各ポイントに飛べます加工する方法
加工方法にあわせてレーザー加工機を選ぶと、加工効率や加工品質が上がります。例えばマーキングや切断が得意なファイバーレーザーでアクリルのエッチングをした場合、灰色や黒色に変色する可能性があります。
また、ファイバーレーザーで2ミリメートル程度の金属切断をする場合、およそ300ワットの出力で足ります。
一方で高出力CO2レーザーの場合、500ワットもしくはそれ以上の出力が必要になり、エネルギーの使い方が非効率になります。
加工方法に適したレーザー加工機の例
- 木材やアクリル、鋼板、ステンレス鋼、アルミニウムなどのレーザー切断を行う場合はCO2レーザー加工機が適している
- 金属や紙、布や皮革などの非金属の切断ならファイバーレーザー加工機が最適
- 木材やアクリルの彫刻やエッチングにはCO2レーザー加工機が適している
加工する素材
レーザー加工機を選定する際、加工対象となる素材の特性や要求される加工品質を鑑みることは非常に重要です。素材にマッチしたレーザー加工機を選択することで、高い生産効率や安全性を実現できます。例えばCO2レーザー加工機で金属を切断しようとすると、ファイバーレーザーで切断する時と比べて6倍以上遅いことがあります。
逆にNd:YAGレーザーで木材を切断しようとすると必要以上にエネルギーが吸収されるので、焦げや煙が多く発生します。
発火するリスクもあるので、必要以上に素材を傷つけたり火災のリスクが上がったりします。
素材に合うレーザー加工機の例
- 微細加工が必要なプラスチック素材の場合、超短パルスのファイバーレーザーが最適
(短いパルス幅が熱影響を最小限に抑えるため) - ガラスの加工の場合、フェムト秒レーザーが微細加工や内部加工に適している
(非線形吸収で内部に直接加工ができ、熱影響ゾーンを削減できるため) - ステンレス鋼のような厚い金属を深く切断する際には、連続波のファイバーレーザーが効果的
(高出力のため)
また、適切なレーザー加工機を選択するとレーザー加工機自体の寿命が伸びます。
逆に、不適切な機械や条件での加工は、設備への過度な負担をもたらし、その寿命を短縮させる可能性があります。
また、不適切なレーザータイプの使用は、素材の損傷や変色を引き起こすリスクがあるので注意が必要です。
加工速度
レーザー加工機を選定する際、加工速度は非常に重要な要素となります。それは、加工速度が生産効率やスループット、さらには加工品質の均一性と一貫性に直接関わるからです。
高速レーザー加工機を採用することで、生産効率を大幅に向上させ、大量生産を実現することが可能となります。これにより、労働コストの削減や生産効率の向上が期待できます。
高速レーザー加工機の使用シーン例
- レーザー加工機の導入目的が生産効率の大幅な向上である場合
- 労働コストの削減や生産量の増加を狙っている場合
- 連続波 (CW) のファイバーレーザーやNd:YAGレーザー
適切なレーザー加工機の例
低速レーザー加工機の使用シーン例
- 細かい、複雑なデザインの加工が主な目的の場合
- 限られた予算でも、細やかな作業に特化した機械が必要な場合
- 超短パルスのファイバーレーザーやチタンサファイア フェムト秒レーザー
適切なレーザー加工機の例
加工の品質
レーザー加工機を選定する際、加工の品質は極めて重要な要素となります。これは、品質が最終製品の信頼性や寿命、さらには外観に深く関わるためです。高品質の加工が必須とされる場面では、適切なレーザー加工機の選定が欠かせません。
加工品質が高いレーザー加工機を選ぶ使用シーン例
- 細かいディテールや高精度なデザインの実現が求められる場合
- 表面の瑕疵やバリの低減を期待し、製品の長期間の耐久性や性能向上を目指している場合
- 超短パルスファイバーレーザーやチタンサファイア フェムト秒レーザー、モードロックファイバーレーザーなど
適切なレーザー加工機の例
加工品質が低いレーザー加工機を選ぶ使用シーン例
- 低い初期投資での導入を優先している場合
- 運用やメンテナンスの手間を減らしたい場合
- 連続波 (CW) ファイバーレーザーやシングルモード & マルチモードファイバーレーザー、連続波 (CW) Nd:YAGレーザーなど
適切なレーザー加工機の例
レーザー出力の強さ
レーザー加工機を選定する際、レーザーの出力の強さは極めて重要な要素となります。出力の強さは、加工のスピードや深さ、そして加工する材料の種類に直接影響を与えるからです。レーザー出力が高いレーザー加工機を選定する場合の例
- 大量生産に対応するための高い加工速度が求められる場合
- 厚い金属板や硬質合金、セラミックスなど、硬度が高い材料や難加工材の加工が必要な場合
- 広範囲にわたる彫刻やエッチング作業が求められる場合
- CO2 レーザー加工機、ファイバーレーザー加工機、Nd:YAGレーザー加工機など
適切なレーザー加工機の例
レーザー出力が低いレーザー加工機を選定する場合の例
- 繊細な材料、例えば紙や薄いプラスチックの切断が求められる場合
- 木材やレザーなどの特定の素材の彫刻作業が必要な場合
- 細やかなエッチングやマーキングが求められる場面
- ディオードレーザー加工機、低出力のCO2レーザー加工機、UVレーザー加工機など
適切なレーザー加工機の例
予算に合った価格
予算の範囲内で最も効果的な設備を選ぶことで、初期投資はもちろん、長期的な運用コストや効率を向上できます。予算の制約の中で最適な選択をすることで、維持・運用コストやダウンタイムのリスクを最小限に抑えることが可能です。
高い予算でレーザー加工機を選定する場合の例
- 加工の自動化やピコ秒レーザーなど先進技術を導入したい場合
- 精度が高く表面状態がなめらかな加工が必要な場合
- 毎日のように8時間以上の稼働が求められる場合
- 超短パルスファイバーレーザー、チタンサファイア フェムト秒レーザー、大出力のCO2レーザーなど
適切なレーザー加工機の例
低い予算でレーザー加工機を選定する場合の例
- プロトタイプ作成やカスタマイズ製品など小規模な運用や短期的な需要を想定している場合
- 頻繁なメンテナンスが可能な場合
- アートや装飾品、プロトタイプ制作など品質にバラつきが合っても許容される場合
- 連続波 (CW) ファイバーレーザー、ダイオードレーザー、小出力のCO2レーザーなど
適切なレーザー加工機の例
駆動系が動く方向とその制御能力
レーザー加工機の駆動系の動きと制御能力は、その性能や多様性を大きく左右します。これらの要因は、加工の精度や範囲、そして機械の柔軟性に直結しており、正確な方向制御と高い制御能力によって、複雑な形状や様々な材料の加工が可能となります。
適切な駆動系を選択することで、材料の無駄を減少させ、効率や正確性の向上ができます。
二次元駆動のレーザー加工機を選定する場合の例
- アクリルや皮など平面的な材料を主に加工する場合
- シンプルで直感的な操作を希望する場合
- CO2レーザーカッター、ファイバーレーザーカッターなど
適切なレーザー加工機の例
三次元駆動のレーザー加工機を選定する場合の例
- インプラントやタービンブレードなど立体的かつ複雑な形状の物体を加工する場合
- 材料の回転や傾きを制御しながら加工が必要な場合
- 内視鏡や手術用メス、精密計測機器の部品など高い精度や多様性を求める場合
- 初期投資や運用での高価格を許容できる場合
- 5軸レーザーカッター、ロボットアーム組み込みレーザー加工機など
適切なレーザー加工機の例
自社の用途に最適なレーザー加工機メーカーをお探しの方は、ぜひこのままご覧ください。
業務用レーザー加工機の製造メーカー6社比較一覧
レーザー加工機の市場は、多種多様なニーズに応えるための高度な技術と独自の機能を持つ製品群で賑わっています。
世界中の多くのメーカーが、革新的な技術と優れた製品を提供しており、それぞれのメーカーが持つ特色や強みによって、業界は日々進化を続けています。
今回は、国内外を代表する6つの業務用レーザー加工機の製造メーカーに焦点を当て、それぞれの特徴や提供する製品の概要についてご紹介いたします。
CO2 レーザー加工機 |
ファイバー レーザー加工機 |
Nd:YAG レーザー加工機 |
UV レーザー加工機 |
フェムト秒 レーザー加工機 |
|
---|---|---|---|---|---|
アマダ | ◯ | ◯ | ◯ | × | × |
Epilog Laser | ◯ | ◯ | × | × | × |
三菱電機 | ◯ | ◯ | × | ◯ | ◯ |
IPG Photonics | × | ◯ | × | ◯ | ◯ |
ディスコ | ◯ | × | × | × | × |
サムコ インターナショナル |
× | × | × | ◯ | × |
アマダ(AMADA)
アマダは、1946年の設立以来、金属加工業界の先駆者としてその名を馳せています。パンチプレスやプレスブレーキ、シアーなどの機械の生産・販売を手がける中、レーザー加工機においても独自の技術と製品ラインナップを展開しています。特にCO2レーザー加工機においては、高速タイプや大型タイプ、そして立体物の加工が可能な3Dレーザー加工機(三次元駆動)など、多岐にわたるニーズに応える製品を提供しています。
アマダのレーザー加工機は、自動車産業や電子産業、建築や家電産業といった多様な分野での製造ラインに導入されています。
その信頼性と性能は、幅広い産業分野から高い評価を受けています。
Epilog Laser(エピログレーザー)
エピログレーザーは1988年、アメリカのコロラド州に設立されました。CO2レーザー加工機やファイバーレーザー加工機を製造しており、レーザー彫刻、切断、マーキングシステムの分野で、その名を世界に知らしめています。
同社は、初の小型レーザー彫刻システムの市場導入を果たし、以来、その技術革新と高品質な製品で多くの顧客から信頼を得ています。
特に、エントリーレベル向けの「Zing Series」、中規模の仕事に適した「Mini/Helix Series」、そして大規模な作業のための「Fusion Pro Series」などのCO2レーザーシリーズは、その幅広い製品ラインナップを誇ります。
エピログレーザーの製品は、サイン製造や賞品・トロフィー製造、教育機関、スタートアップ、製品設計業界など、様々な業界で導入され、その実績と信頼性を証明しています。
三菱電機(Mitsubishi Electric)
三菱電機は、多岐にわたるエレクトロニクス関連の製品と技術を持つ、日本を代表する大手電機メーカーの一つです。レーザー加工機の中では、産業用のCO2レーザー加工機とファイバーレーザー加工機で高い精度と効率性を求める現場での実績が多数あります。
その製品群には、小型から大型までさまざまなニーズに対応する機種が揃っており、様々な用途での加工を想定されている企業様におすすめです。
三菱電機のレーザー加工機は、その使いやすさと高い耐久性で知られています。加えて、日本国内での研究・開発と生産による品質管理が、世界中の顧客から高い評価を得ています。
また、金属からプラスチック、ガラスなど、多岐にわたる材料への加工が可能で、その適用範囲の広さも大きな強みとなっています。
納入先としては、自動車産業や半導体製造、航空宇宙産業など、技術革新が進む先端産業から、日常の生活に密接に関わる家電製品の製造など、幅広い分野で三菱電機のレーザー加工機が利用されています。
IPG Photonics(IPG フォトニクス)
IPG フォトニクスは、ファイバーレーザーと光ファイバーアンプのリーディングメーカーとして、世界中の産業分野でその名を知られています。マサチューセッツ州マールボロに本社を置くこの企業は、ファイバーレーザーの分野で他の追随を許さない存在として、多くの産業分野で利用されています。
レーザー加工の分野において、IPG フォトニクスはその高い出力安定性と長寿命を特長とするファイバーレーザー で知られています。
特に金属加工における切断や溶接作業において、その高いピークパワーと精密なビーム品質が評価されています。
また、レーザーの小型化やモジュール化によるメンテナンスの容易さも、多くのユーザーからの高評価を受けています。
IPG フォトニクスのファイバーレーザーは自動車産業や航空宇宙産業、電子部品製造業界をはじめとする多岐にわたる分野で採用されています。
特に高い精度と効率を要求される場面でのその実績は、業界内でも高く評価されています。
ディスコ(DISCO)
ディスコは、日本を代表する半導体製造プロセスの精密加工機器メーカーとして、業界内での地位を築いています。1937年に東京で設立された同社は、ダイヤモンドツールを用いた独自の精密加工技術を駆使し、その名を世界に知らしめてきました。
特に半導体ウェハーや電子部品のレーザー加工において、ナノ秒レーザーを使用した高度な切断機や、レーザースリット加工機を提供しています。
サムコ (Samco)
サムコは、1979年に京都で創業された半導体等電子部品製造装置のメーカーです。同社は国内外でのレーザー加工ニーズに応え続けていることが特徴です。特に、UVレーザー加工機は、世界トップシェアを維持している製品群として知られています。
これらの機器は、半導体、金属やガラス、セラミック、プラスチックといった材料に対する加工能力が高いことが特徴であり、特に微細加工が求められる場面でその真価を発揮します。
このUVレーザー加工機は自動車部品メーカーや電子部品メーカーで、作業員の安全性を確保しながら高い生産効率を実現しています。
また医療機器メーカーや印刷・包装メーカー、ディスプレイメーカーでも、それぞれのニーズに合わせて、この先進技術を利用しています。