5種類のロボットスーツと比較基準、おすすめのメーカー5社をご紹介
  • 最終更新日:2024年9月13日
現代の作業環境では、重い物を持ち上げる作業や長時間の立ち仕事、また障害を持つ方々のサポートが求められる場面が多々あります。そこで注目されているのがロボットスーツ、またはパワードスーツです。

これらの装着型外骨格システムは、人間の身体能力を拡張し、様々な作業を効率化し、身体への負担を軽減する画期的なツールです。

今回は、そんなロボットスーツの中でも特に注目すべき5種類のスーツとその特徴についてご紹介します。

5種類のロボットスーツとその特徴

パワードスーツの種類と特徴

ロボットスーツ、またはパワードスーツは、人間の身体能力を拡張するために設計された装着型の外骨格システムです。これらのスーツは、重い物を持ち上げたり、長時間の立ち仕事をサポートしたり、障害を持つ人々の動きを補助するなど、様々な用途に使用されています。

ロボットスーツには、以下の5種類が挙げられます。

  • 全身パワードスーツ
  • 四肢サポートスーツ
  • 腰背中サポートスーツ
  • 身体拡張型ロボットアーム
  • パワードグローブ

全身パワードスーツ

パワードスーツの種類その1

全身パワードスーツは、身体全体をカバーする外骨格型の装置で、人間の身体能力を拡張することを目的としています。これらは、重い物を持ち上げたり、長時間の作業を支援したりするために設計されており、医療、介護、製造、軍事防衛など多岐にわたる分野で利用されることが多いです。

全身パワードスーツの強みには、以下のものが挙げられます。

  • 非常に重い物を持ち上げるなど、通常では困難な作業が可能
  • 労働者の疲労を軽減し、作業効率の向上が可能
  • 作業中の怪我のリスクを減らし、安全な作業環境を提供

全身の動きをサポートし、より広範囲の筋力補助が必要な場合に使用されることが多く、重量物の持ち運びや、全身の筋力が低下している人のサポートに適しています。

四肢サポートスーツ

パワードスーツの種類その2

四肢サポートスーツは、主に手足の動きを支援するための装置です。これらは、特に腕や脚の筋力が低下している人々や、重い物を持ち上げる作業を行う労働者にとって有用です。四肢サポートスーツは、筋肉の動きを補助することで、歩行や物を持ち上げるなどの日常的な動作をサポートしてくれます。

四肢サポートスーツの強みには、以下のものが挙げられます。

  • 腕や脚への負担を軽減し、長時間の作業やリハビリテーションをサポート
  • 医療、介護、物流、建設など、さまざまな分野での応用が可能
  • 装着が比較的簡単で、直感的な操作が可能

四肢サポートスーツは特定の手足の動きをサポートするために使用され、部分的な筋力補助が必要な場合や特定のリハビリテーションに適しています。

腰背中サポートスーツ

パワードスーツの種類その3

腰背中サポートスーツは、主に腰と背中の負担を軽減するために設計されたアシストスーツです。これらは、作業中の姿勢をサポートし、腰痛の予防や軽減に役立ちます。特に、中腰作業や持ち上げ作業など、腰に負担がかかる作業を行う際に有効です。 腰背中サポートスーツの強みには、以下のものが挙げられます。

  • 腰と背中への負担を軽減し、長時間の作業でも疲労を減少
  • 着脱が簡単で、作業の中断を最小限に抑えることが可能
  • 多くのモデルが軽量であり、作業の妨げになりにくい

主に腰や背中をサポートし、立ち仕事や中腰での作業を行う人々に適しています。

身体拡張型ロボットアーム

身体拡張型ロボットアームは、人間の身体機能を拡張するために設計された装置で、通常の腕の機能に加えて、第三、第四の腕として機能します。これらのアームは、特に両手が塞がっている状況での補助的な作業に利用され、ドアを開ける、ボタンを押す、ツールを持つなどの動作を行うことができます。

身体拡張型ロボットアームの強みには、以下のものが挙げられます。

  • 人間の腕と同様の関節を持ち、様々な動作を補助
  • 特定の作業を行う際に、追加のアームが作業能力を高め、効率を改善
  • 重い物を持つなどの作業を補助することで、身体への負担を軽減

身体拡張型ロボットアームは第三、第四の腕として機能し、両手が塞がっている際に追加の作業能力を提供してくれます。

パワードグローブ

パワードグローブは、手の動きや握力を補助するための装置で、主に医療や製造業で使用されています。神経や筋肉に障害を持つ患者が日常生活やリハビリテーションで使用することが多く、作業員が重い物を扱う際にも利用されています。

パワードグローブの強みには、以下のものが挙げられます。

  • 特に握力が必要な作業をサポートし、手の負担を軽減
  • 細かい作業を行う際に、より正確な動作を可能
  • 神経や筋肉の障害がある患者の手の機能回復を支援

パワードグローブは主に手の握力をサポートし、手の動きが重要な作業やリハビリテーションに適しています。

ロボットスーツを活用するメリット・デメリット

パワードスーツの強みと課題

ロボットスーツを活用するメリットは計り知れませんが、同時に課題やデメリットもあります。導入の際は、メリットとデメリットの両方を考慮して検討することがおすすめです。

メリット

ロボットスーツを導入する主なメリットとして、以下の3つの点が挙げられます。

  • 身体負担の軽減
  • 作業効率の向上
  • 教育とトレーニング

身体負担の軽減

ロボットスーツは、重い物を持ち上げる際の筋肉への負担を軽減し、作業者の疲労を減少します。これにより、長時間の作業でも労働者の体への影響を最小限に抑えられます。

特に、以下の用途で活用されることが多いです、

  • 物流業界での荷物の積み下ろしや運搬など、物流センターや倉庫での重量物の取り扱いをサポート
  • 救助隊員が重い機材を運搬する際や、がれきの中での活動を行う際に、ロボットスーツを装着して身体への負担を軽減

作業効率の向上

労働者の動作をサポートすることで、作業のスピードと精度が向上します。これは、特に繰り返し行われる作業や、正確な動作が求められる作業において、生産性の向上に寄与します。

以下の用途で活用されることが多いです、

  • 工場での組み立てラインや重い部品の取り扱いなど、製造過程での重労働を支援
  • ロボットスーツの使用により、作業者はより長時間、より効率的に作業を行うことが可能
  • アスリートが特定の動作を繰り返し練習する際に、ロボットスーツを着用して正しいフォームを身につけることが可能

教育とトレーニング

ロボットスーツは、正しい動き方や身体の使い方を教えることができ、スポーツ選手や作業者の技術向上に貢献しています。

以下の用途で活用されることが多いです、
  • 野球選手が素振りを行う際にロボットスーツを使用し、正しい動きを身に付けるトレーニングが実施可能
  • 新しい作業手順を学ぶ際に、ロボットスーツを使用して正しい動作を習得し、作業の質を向上

デメリット

ロボットスーツを導入する際は、以下の3つの点に注意しておく必要があります。
  • コストがかかる
  • 装着に手間がかかる
  • 動きに制限が生まれる

コストがかかる

高価なロボットスーツは初期投資が大きく、経済的な負担が少なからず発生します。

この負担を減らすには、リースやレンタルサービスを活用したり、助金や助成金を活用することで、この負担を減らすことができます。

装着に手間がかかる

ロボットスーツは、正しい動き方や身体の使い方を教えることができ、スポーツ選手や作業者の技術向上に貢献します。しかし、着脱に時間がかかる場合があります。

装着の練習を行い、慣れることが重要です。また、より簡単に装着できるデザインのモデルを選ぶことも推奨されます。

動きに制限が生まれる

一部のモデルでは動きが制限される場合があります。これに対処するためには、人間工学に基づいた設計のスーツを選ぶか、動きやすさを優先したモデルを選択することが効果的です。

これにより、作業の効率と快適性を向上させることができます。

5つの比較基準 | ロボットスーツの選び方

パワードスーツの比較方法

ロボットスーツを選定する際は、以下の5つのポイントを考慮する必要があります。

  • サイズ
  • パワー
  • バッテリーの容量
  • バッテリーの充電時間
  • センサーの精度

サイズ

ロボットスーツのサイズによって、快適にロボットスーツを活用できるかどうかが決まります

サイズが適切であれば、以下のメリットがあります。

  • 装着者は快適に動作でき、長時間の使用でも疲労や不快感を最小限に抑えられる
  • 装着者はより自然な動きを実現でき、作業効率が向上
  • 正しいサイズのスーツは、装着者を適切に保護し、怪我のリスクを減少

一方で、少し大きめサイズのスーツを選ぶと、以下のようなメリットもあります。

  • 装着者に余裕が生まれて、動きやすい
  • 一つのサイズで幅広い体型の人が使用できる

また、ロボットスーツのサイズが小さいと、スーツが装着者の体に密着してより正確な動作支援が可能になります。小さいサイズは材料が少なくて済むため、スーツ自体が軽くなることがあります。

パワー

ロボットスーツのパワーによって、作業の効率や使い勝手が大きく変わります

パワーが高い場合のメリットには、以下のものがあります。

  • 重い物を簡単に持ち上げることができるため、物流や建設などの分野での作業効率が向上
  • 力強いアシストにより、より多くの作業を行うことが可能

一方で、パワーが高いと消費電力が増えるため、バッテリーの持続時間に影響を与える可能性があります。

パワーが低い場合のメリットには、以下のものがあります。

  • 消費電力が少なく、バッテリーの持続時間が長くなる
  • 一般的にパワーが低いスーツは軽量であり、装着者の動きを妨げにくい

これらの要素を考慮して、用途に応じた適切なパワーのロボットスーツを選ぶことが重要です。

バッテリーの容量

ロボットスーツのバッテリー容量によって、作業の効率や使用感が大きく変わります

バッテリー容量が大きい場合のメリットには、以下のものがあります。

  • 一度の充電で長時間の使用が可能
  • 長時間稼働することで作業の中断が少なくなり作業効率が向上

一方で、容量が大きいバッテリーは重くなり、スーツの重量とサイズに影響を与える可能性があります。

バッテリー容量が小さい場合のメリットには、以下のものがあります。

  • 軽量であり装着者の動きを妨げにくい
  • 小さい容量のバッテリーは充電時間が短くなる傾向がある

これらの要素を考慮して、用途に応じた適切なバッテリー容量のロボットスーツを選ぶことが重要です。

バッテリーの充電時間

ロボットスーツのバッテリー容量が変動すると、以下のような要素が変わります

  • バッテリー容量が大きいほど、ロボットスーツは長時間稼働可能
  • バッテリー容量が多いと、頻繁な充電やバッテリー交換の必要性が減り、ロボットスーツの自律性が向上
  • 容量が大きいバッテリーは重く、大きくなる傾向があり、スーツの重量とサイズに影響を与える可能性

バッテリー容量が高い場合のメリットには、以下のものがあります。

  • バッテリー容量が大きいと一度の充電で長時間の使用が可能
  • 長時間稼働することで作業の中断が少なくなり作業効率が向上

一方で、バッテリー容量が低い場合のメリットには、以下のものがあります。

  • 容量が小さいバッテリーは軽量であり装着者の動きを妨げにくい
  • 小さい容量のバッテリーは充電時間が短くなる傾向がある

用途に応じて、適切なバッテリー容量のロボットスーツを選ぶことが重要です。

センサーの精度

ロボットスーツのセンサーの精度が変動すると、以下のような要素が変わります

  • センサーの精度が高いほど、ロボットスーツはより正確な動作制御が可能
  • 周囲の環境や障害物をより正確に検出し、適切な反応が可能
  • 使用者や周囲の人々の安全確保に重要

センサーの精度が高い場合のメリットには、以下のものがあります。

  • 微細な変化も捉えることができロボットスーツの応答性が向上
  • 精度の高いセンサーを使用することでより精密な作業が可能

一方で、センサーの精度が低い場合のメリットには、以下のものがあります。

  • 一般的に低コスト
  • メンテナンスが比較的簡単

用途に応じて、適切なセンサーの精度を持つロボットスーツを選ぶことが重要です。

ロボットスーツを製造するメーカー5社

パワードスーツを製造する会社

ロボットスーツを製造する主なメーカーには、以下の5社が挙げられます。

  • ジェイテクト
  • CYBERDYNE
  • イノフィス
  • パワーアシストインターナショナル
  • ユーピーアール

ジェイテクト

ジェイテクトは、自動車部品をはじめとする多様な製品を提供する企業です。社会のさまざまな課題に応えるための製品ラインナップを持っており、パワーアシストスーツの分野では、人の動きと調和する技術を応用し、作業負担を軽減する製品を提供しています。

同社は、主に全身パワードスーツ、腰背中サポートスーツを主に製造していています。

CYBERDYNE

CYBERDYNEは、筑波大学発のベンチャー企業であり、装着型サイボーグ技術を開発しています。

HAL®は、人の運動意思に従って脳から神経を通じて筋肉に信号が伝わる際に発生する微弱な「生体電位信号」を検出し、装着者の動作をサポートする装置です。HAL®は、治療用途から作業支援、高齢者や障がい者の自立支援まで幅広い分野で活用されています。

CYBERDYNEは、主に四肢サポートスーツを製造しています。

イノフィス

イノフィスは、東京理科大学発のベンチャー企業であり、装着型サイボーグ技術を開発しています。イノフィスは、マッスルスーツを代表とした機器を開発しており、誰もが生きている限り自立した生活を送ることのできる世界の実現を目指しています。

同社は、主に腰背中サポートスーツを製造しています。

パワーアシストインターナショナル

パワーアシストインターナショナルは、和歌山大学での長年にわたるパワーアシストスーツの研究成果を基に、パワーアシストスーツを開発・製造・販売しています。その事業活動を通じて、和歌山から世界を元気にし、高齢化社会において高齢者や女性の活躍を支援しています。

同社は、主に腰背中サポートスーツを製造しています。

ユーピーアール

ユーピーアールは、物流機器や輸送機器の分野で、アシストスーツを提供しています。アシストスーツは、作業者の腰や身体的負担を軽減するために開発された装着型ロボットで、多様な作業者の負担を軽減し、現場環境の改善に貢献している会社です。

同社は、主に全身パワードスーツ、腰背中サポートスーツを製造しています。