8種類のセンサーと特徴、比較方法とおすすめのメーカー5社をご紹介
  • 最終更新日:2024年10月9日
現代の産業やビジネスの現場で不可欠な存在となったセンサーは、温度、光、音、圧力など多岐にわたる環境からの刺激を正確に検出し、それを信頼性の高いデータとして提供します。

本記事では、8種類の主要なセンサーについて詳細に解説し、それぞれの特性や利点を明らかにします。貴社の業務効率化や品質向上に直結するセンサーの選定と活用にお役立てください。

8種類のセンサー

センサーの種類と特徴、用途

センサーは、物理的または化学的な刺激を電気信号に変換する装置で、温度、音、光、圧力、湿度などの環境からのさまざまな種類の刺激を検出する役割を持っています。センサーは、その検出した情報を人間や機械が扱いやすい形に変換し、計測や制御などの目的で利用される機械です。

センサーには、以下の8種類が挙げられます。


温度センサー

温度センサーは、物体や環境の温度を測定するための装置で、その測定値を電気信号に変換して出力します。温度センサーは、主に接触式と非接触式の2つに分けられます。

接触式センサーは物体に直接触れて温度を測定し、非接触式センサーは赤外線などを利用して物体に触れずに温度を測定する。代表的な接触式温度センサーには熱電対、測温抵抗体(RTD)、サーミスタがあります。

このセンサーの強みには、以下のものが挙げられます。

  • 熱電対は非常に広い温度範囲で使用可能
  • 測温抵抗体は非常に正確な温度測定が可能
  • サーミスタは小型で衝撃に強く、感度が高い


湿度センサー

湿度センサーは、空気中の水蒸気の量を測定する装置で、相対湿度や絶対湿度などの湿度データを提供します。湿度センサーには主に抵抗式と容量式の2種類があります。

抵抗式は湿度によって抵抗値が変化する材料を使用し、容量式は湿度によって静電容量が変化する材料を使用します。

このセンサーの強みには、以下のものが挙げられます。

  • 容量式は低湿度でも計測可能
  • 容量式は抵抗式よりも応答速度が高い
  • 抵抗式は比較的簡単に小型化できる


圧力センサー

圧力センサーは、気体や液体の圧力を測定し、それを電気信号に変換する装置です。主に、絶対圧、ゲージ圧、差圧の3つのタイプがあり、それぞれ異なる用途に適しています。このセンサーは、液体や気体の圧力を検出、監視、読み取り、表示するために使用されます。

このセンサーの強みには、以下のものが挙げられます。

  • 圧力センサーは加えられた圧力の変化に対して素早く反応し高精度の測定が可能
  • 絶対圧、ゲージ圧、差圧などさまざまな圧力タイプを測定可能
  • 高温や高圧の環境にも対応できる種類がある


光センサー

光センサーは、投光素子から発せられた光が物体によって反射されたり透過したりすることを検出する装置です。この検出により、物体の有無、位置、色、さらには透明物体の検出などが可能になります。 主に、可視光線や不可視光線(赤外線など)を使用し、物体の検出や寸法測定などに利用されます。

このセンサーの強みには、以下のものが挙げられます。
  • 金属、樹脂、木材、ガラス、液体など多くの材質を検出可能
  • 物体に触れることなく検出が可能なため検査体にダメージを与えない
  • 光を使用するため応答速度が速く生産性の向上に寄与
  • 微細な検出や高精度の検出が可能で品質の向上に貢献
  • 光の波長を利用して色を識別可能


音声センサー

音声センサーは、音の振動を検知して電気信号に変換するセンサーです。主に音声認識システムに利用され、人の声や特定の音を識別し、それをデータ化する技術に関連しています。

音声センサーは、マイクロフォンを用いて周囲の音を拾い、その音声データを解析するための装置です。音声認識技術と組み合わせることで、音声コマンドの実行、自動翻訳、音声によるデバイス操作などが可能になります。

このセンサーの強みには、以下のものが挙げられます。

  • 物理的な接触を必要とせず音声だけで操作や識別が可能
  • 音声データをリアルタイムで処理し即座に反応可能
  • スマートホームデバイス、モバイルアプリ、車載システムなど幅広い分野で応用可能
  • 音声による操作は直感的でありユーザビリティを高める


画像センサー

画像センサーは、カメラで撮影した画像を使用して対象物の有無や違いを判別するセンサーであり、光を電気信号に変換して画像情報を取得する装置です。この情報は、対象物の形状、色、サイズ、表面の特徴などを識別するために使用されます。

画像センサーは、一般的にCMOSやCCDなどの技術を使用しており、デジタルカメラや監視カメラ、工業用検査装置などに広く利用されています。

このセンサーの強みには、以下のものが挙げられます。

  • 画像センサーは高い解像度を持ち細かいディテールまで捉えることが可能
  • 色や形の違いを同時に判別することが可能で自由度が高い
  • 物体に触れることなく検出が可能で対象物を傷つけない
  • 高速な処理能力を持ちリアルタイムでの画像分析が可能


加速度センサー

加速度センサーは、物体の速度の時間変化、つまり加速度を計測する慣性センサーです。これにより、物体がどのような姿勢にあるか、または振動、傾き、直線運動などの現象を把握することが可能です。 重力加速度も含め、直流(DC, 0Hz)の加速度が検出可能で、物体の姿勢や動きを理解するのに役立ちます。

このセンサーの強みには、以下のものが挙げられます。
  • バッテリー駆動のデバイスに適している
  • 微小な加速度も検出でき精度が高い
  • 温度特性に優れておりさまざまな環境での使用に適している


加速度センサーは、直線的な物体運動による加速度を測定するのに適しており、衝撃や振動の検知を得意としています。

ジャイロセンサー

ジャイロセンサーは、物体の角速度、つまり回転の速さを測定するためのセンサーです。これにより、物体の回転や向きなどを検知でき、航空機や車両のモニタリング、ロボットの動作制御など幅広い用途で用いられています。

ジャイロセンサーは、物体が回転している速度を示すもので、角速度の単位は通常、度/秒(deg/s)で表されます。このセンサーは、振動式ジャイロセンサーとしても知られ、物体の振動によるコリオリ力を利用して角速度を検出します。

このセンサーの強みには、以下のものが挙げられます。

  • 非常に高精度な測定が可能
  • 小型でありながら業界トップクラスの高分解能と低ノイズを実現
  • MEMS技術による小型化が進んでいる


センサーを活用するメリット・デメリット

センサーの強みと課題

センサーは非常に便利で、現代に欠かせない機械です、メリットだけでなくデメリットにも目を向けることで、最適なセンサーを選定できます。

メリット

センサーを活用するメリットとして、以下の3点が挙げられます。


非接触性

センサーは対象物に触れることなく測定が可能になります。これにより、対象物を傷つけることなく、また摩耗や汚染のリスクを減らすことが可能です。

  • 製品を傷つけることなく高速な検査が可能
  • 患者の体に直接触れることなく体温や心拍数を測定できるので、感染リスクを減らし、患者の快適性を向上

高速応答

センサーは光や電磁波などを使用しているため、非常に高速で反応し、リアルタイムでの監視や制御が可能です。このセンサーの強みには、以下のものが挙げられます。

  • 手術中の器具の位置をリアルタイムで追跡することでより正確で安全な手術を実現
  • エアバッグの展開やABS(アンチロックブレーキシステム)の制御など瞬時の反応が求められる安全システムにおいて迅速なセンサー応答が重要

センサーはリアルタイムでの監視や制御に適しています。

多機能性

色、距離、温度など、ひとつのセンサーで多様な物理量を検出できます。このセンサーの強みには、以下のものが挙げられます。

  • 室内の環境を監視し温度や照明を自動で調整することで快適な生活空間を提供
  • 気象センサーが温度、湿度、気圧、風速など複数の環境データを同時に測定し精密な気象予測や災害警報に貢献

センサーは、色、距離、温度などを検出するために使用されます。

デメリット

一方で、センサーを選定する際、以下の3点に注意する必要があります。


環境による影響

センサーは、汚れやほかの光源、気温変化などの環境要因によって性能が低下することがあります。

汚れや環境要因による性能の低下は、センサーの清掃や校正を定期的に行うことで防ぐことができます。

選定が大変

センサーの種類が多岐にわたるため、適切なセンサーを選定することが難しい場合があります

そのため、センサーの選定には専門家や営業の方と細かく相談しながら選ぶことで、適切なセンサーを選ぶことができます。

誤検知の可能性

特に人感センサーなどは、誤検知を起こすことがあり、不要なアラームや動作をが発生することがあります

このような誤検知を防ぐには、センサーからのデータを処理するアルゴリズムを最適化することで、信頼性を高めることが重要です。

4つの比較基準 | センサーの選び方

センサーの比較方法

センサーを選ぶ上で、以下の4つの点を検討することが重要です。


検出性

センサーの検出性は、センサーがどれだけ小さな変化を検出できるか、つまり最大感度を示す要素です。検出性を考慮することで、用途に対して必要なセンサーの感度や測定のセンサーを選ぶことができます。

検出性が高いセンサーは精密な測定で、信頼性のある測定データを検出できます。そのため、医療診断や環境モニタリング、精密工学など、精密さが求められる場面で活用されます。

一方で、検出性が低い場合とコストが低く、構造がシンプルであるために堅牢で、厳しい環境でも長時間活用できます。また、検出性が低いセンサーは必要最低限の信号のみを検出するため、誤検出が少ないです。

応答速度

センサーの応答速度は、センサーが測定対象の変化にどれだけ迅速に反応できるかを示す指標です。応答速度が変動すると、センサーが環境や対象物の変化を検出し、それに対して信号を出力するまでの時間が変わります。

応答速度が速い場合のメリットは、センサーが素早く反応することでリアルタイムまたはほぼリアルタイムでのデータ取得が可能になり、特に動的なプロセス制御や安全システムにおいて重要です。

また、プロセス制御や自動化システムでは、応答速度が速いセンサーを使用することでより正確な制御が可能になり、システムの全体的なパフォーマンスが向上します。特にディスプレイ技術においては、応答速度が速いことは残像を減らし、よりクリアな視覚体験を提供します。

一方、応答速度が遅い場合のメリットとして、製造コストが低く、経済的な選択肢となることが挙げられます。さらに、応答速度が遅いセンサーは堅牢な設計がされており、厳しい環境条件下でも長期間にわたって安定した性能を維持することが多いです。また、高感度で応答速度が速いセンサーは誤検出を起こしやすいことがありますが、応答速度が遅いセンサーは必要最低限の信号のみを検出するため、誤検出が少なくなる傾向があります。

耐環境性

センサーの耐環境性は、センサーが厳しい環境条件下で正確な測定を維持できる能力を指します。耐環境性が変動すると、センサーがどのような環境で使用できるか、またその性能がどの程度維持されるかが変わります。

耐環境性が高い場合のメリットとして、高い耐環境性を持つセンサーは極端な温度、湿度、化学物質、塵埃などの環境でも使用できる点が挙げられます。耐環境性が高いセンサーは、長期間にわたって安定した性能を提供し、頻繁な交換やメンテナンスの必要性を減らすことができます。

一方で、耐環境性が低い場合のメリットとして、製造コストが低く、経済的な選択肢となる点が挙げられます。特定の制御された環境での使用に特化しているため、不必要な耐環境機能によるコスト増加を避けることができます。また、設計が単純であり、修理や交換が容易であることが多いです。

直線性

センサーの直線性は、センサーの出力が入力とどれだけ直線的な関係にあるかを示す指標です。直線性が変動すると、センサーの出力が入力に対してどれだけ正確に比例するかが変わります。理想的には、センサーの出力は入力に対して完全に直線的な関係にありますが、実際には多少の非直線性が存在することが一般的です。

直線性が高い場合のメリットとして、直線性が高いセンサーは測定範囲全域で高い精度を維持することができ、これにより測定データの信頼性が向上します。直線性が高いとセンサーの出力を容易に予測でき、システムの制御やデータ解析が簡単になります。また、直線性が高いセンサーは校正が容易で、ゼロ点調整や値飛びの心配が少なくなります。

一方、直線性が低い場合のメリットとして、製造コストが低く、経済的な選択肢となることがあります。直線性が低いセンサーは特定の測定範囲や条件下での使用に特化していることがあり、その範囲内では高い性能を発揮します。また、微小量から大きな量までの測定が可能であり、より広いダイナミックレンジをカバーすることができます。

センサーを製造するメーカー5選

センサーを製造する会社

センサーを製造するメーカーには、以下の5社が挙げられます。


キーエンス(KEYENCE)

キーエンスは、1974年に設立された日本の企業で、ファクトリーオートメーション(FA)用のセンサー、測定器、画像処理機器などの開発・製造を行っています。同社は「世界中のものづくりを支え、進化を加速させる」をモットーに、新商品の約70%が世界初、業界初の商品となっており、世界46カ国250拠点で事業を展開している会社です。

キーエンスは、主に光センサー、圧力センサー、画像センサーを製造しています。

ローム(ROHM)

ロームは、1958年に設立された日本の電子部品メーカーで、京都市右京区に本社を置いています。主に半導体、トランジスタ、ダイオード、LED、抵抗器などの製造を行っており、品質と信頼性に優れた製品を提供しています。グローバルに展開しており、多様な市場に対して半導体や電子部品を供給している会社です。

ロームは、主に温度センサー、光センサー、加速度センサーを製造しています。

村田製作所(Murata Manufacturing)

村田製作所は、1950年に設立された日本の電子部品メーカーで、京都府長岡京市に本社を置いています。電子部品を主力とする企業であり、世界トップクラスの位置にあります。主力商品はセラミックコンデンサで、世界随一のシェアを占めています。そのほか、セラミックフィルタ、高周波部品、センサー部品も強みを持っており、原材料からの一貫生産に特徴があります。

村田製作所は、主に温度センサー、圧力センサー、加速度センサー、ジャイロセンサーを製造しています。

ソニー(SONY)

ソニーは、イメージセンサーを中心とした半導体事業を展開する企業グループで、世界シェアNo.1を誇るイメージセンサーを提供しています。産業用から民生カメラ用、車載用、モバイル用まで、幅広い分野のニーズに対応する高性能なイメージセンサーをラインアップしており、イメージング&センシング事業を推進している会社です。

ソニーは、主に光センサー、画像センサーを製造しています。

ミネベアミツミ(MinebeaMitsumi)

ミネベアミツミは、1951年に設立された精密部品メーカーで、ベアリングやモーター、半導体などの製品を開発しています。本社は長野県北佐久郡御代田町にあり、電子デバイスや自動車部品、産業機械、住宅機器などの事業を展開している会社です。

ミネベアミツミは、主に光センサー、圧力センサー、加速度センサーを製造しています。