4種類の真空包装機と特徴、比較方法とおすすめのメーカー5選
  • 最終更新日:2024年9月13日
真空包装機は、食品の鮮度を保ち、保存期間を延ばすための強力なツールです。しかし、種類や機能が多岐にわたるため、最適な選択をするには、いくつかのポイントを押さえる必要があります。この記事では、真空包装機の種類と特徴、メリット、各種製品の比較、選び方の基準、そしておすすめのメーカーについて詳しく解説します。

4種類の真空包装機と特徴

真空包装機の種類と特徴

真空包装機は、食品やその他の製品を保存するために使用される機器です。主に、包装内の空気を除去し、密封することによって、保存期間を延ばし、品質を保ちます。

真空包装機には、主に以下の4種類が挙げられます。

  • チャンバー式真空包装機
  • ノズル式真空包装機
  • ハンドヘルド式真空シーラー
  • 自動真空包装機

チャンバー式真空包装機

チャンバー式真空包装機は、食品や製品をチャンバー内に置き、全体を真空状態にするタイプの真空包装機です。液体の真空包装も可能で、主に商業用途や大量生産に使われることが多いです。

この機械の特徴は以下の通りです。

  • 高い真空度と均一な包装が可能
  • 包装プロセスにおける最高レベルの安全性と信頼性
  • 高い真空度を実現でき、長期保存が可能
  • 精密な排気と温度制御されたシーリング技術により、最高のパック品質を実現

これらの特徴のため、チャンバー式真空包装機は、液体の真空包装が可能で、大量生産に適しています。

ノズル式真空包装機

ノズル式真空包装機は、真空にしたいものを機械の外部に置き、吸引ポートを使って空気を除去するタイプの真空包装機です。比較的コンパクトな設計で、一般家庭や小規模な商業用途に適しています。

この機械の特徴は以下の通りです。

  • 価格が安い
  • ワークの大きさや形状に制限がない
  • 脱気時間が短い

ノズル式真空包装機は、袋の開口部にノズルを挿し込み、スポンジで開口部を押さえ、ノズルと配管した真空ポンプから袋内の空気を脱気し、最後に密閉シールで塞ぐ方法です。短時間で真空ができますが、真空状態が弱いこともあります。

一方、チャンバー式真空包装機は、食品などをボックス(チャンバー)内に入れ、ボックス内部を真空にしてシールで塞ぐ方法です。液体の真空包装も可能で、主に商業用途や大量生産に使われますが、ワークの大きさや形状に制限があります。

ノズル式真空包装機は、比較的短期間保存しておきたい場合や、設置スペースにゆとりがない場合、あるいは大小様々な大きさのワークを密封保存したい場合に特に適しています。

ハンドヘルド式真空シーラー

ハンドヘルド式真空シーラーは、手のひらサイズのコンパクトな機器で、プラスチック製の袋に対応しているのが一般的です。日常生活でよく使用され、アウトドアなどの屋外活動でも便利に使われます。

この機械の特徴は以下の通りです。

  • 手軽でコンパクト
  • 持ち運びが容易
  • 迅速な排気が可能で安定した性能を提供

ハンドヘルド式真空シーラーは、-50〜60KPaの真空度を維持し、電動エアポンプにより迅速な排気が可能で、非常に安定して効率的です。また、高度な真空技術を活用し、食品を新鮮に保つ優れたシーリング効果を備えています。

自動真空包装機

自動真空包装機は、複数のプリセットやカスタム設定が備わっており、使いやすく効率的なタイプの真空包装機です。真空にしたい食品や製品をセットしてボタンを押すだけで、自動的に真空包装を行うことができます。また、自動化ラインと組み合わせることで、工場でのパック製品の大量生産にも利用されています。

この機械の特徴は以下の通りです。

  • 自動化されたプロセスで包装作業を効率化
  • 生産性の向上とコストや労力の削減
  • 初心者でも簡単に操作可能
  • 手作業に比べて速く大量の製品を包装可能

自動真空包装機は、ノズル式やチャンバー式の包装プロセスを自動化して、生産性を向上させたものです。小規模な食品工場では半自動の真空包装機が使用されることが多いですが、大規模な工場では完全自動の真空包装機が生産ラインに組み込まれて使用されます。

真空包装機のメリット・デメリット

真空包装機の強みと課題

真空包装機には、メリットだけでなく、認識しておくべきデメリットもあります。このセクションでは、真空包装機のメリットとデメリットをご紹介します。

メリット

真空包装機を活用する主なメリットとして、以下の3つの点が挙げられます。

  • 食品の鮮度と品質保持
  • 保存のしやすさ
  • 衛生面の向上

食品の鮮度と品質保持

真空包装機で中の空気を取り除くことによって酸化が抑制され、色や風味が保たれて腐敗を防ぐことができます。食品以外では、金属部品や衣類などに使われることがありますが、この場合も食品と同様で空気に触れる機会を減らし、湿気などから製品を守ることが可能です。

例えば、レストランで真空包装機を使用すれば、食材を長期間新鮮に保つことができ、無駄なく使用することが可能になります。

保存のしやすさ

食品や製品を真空状態にすることで、コンパクトになり、収納スペースを節約することができます。また、食品に味付けをして真空袋に入れて保存することで、味がなじみやすくなり、調理時間の短縮にも繋がります。

この技術は、冷凍食品の保存に役立ち、食品をコンパクトに包装して冷凍庫のスペースを有効に利用することが可能です。

衛生面の向上

食品に真空包装機を使用することで、袋や容器の中が真空状態になり、微生物の繁殖が抑えられて衛生的な状態が保たれます。これにより、食中毒などのリスクを軽減することが可能です。

この技術は、以下のような場面で特に効果を発揮します。

  • 食品工場での衛生管理
  • 家庭での食材保存

食品工場の製造ラインでは、製品を衛生的な状態で包装し、安全性を確保するために真空包装機が使用されています。

デメリット

一方で、真空包装機には以下のようなデメリットもあるので、注意が必要です。

  • 初期費用とランニングコスト
  • ボツリヌス食中毒のリスク

初期費用とランニングコスト

真空包装機の導入には初期費用が必要で、さらに専用の袋や機械を稼働させるためのオイルなどランニングコストがかかります。

その一方で、真空包装機を導入することで、食品の鮮度保持や衛生管理の向上など、長期的な利益を見込むことができます。また、食材が安いときや余ったときに真空包装した上で冷凍保存しておけば、長期保存できコスト減や食材ロスの防止が可能です。そのため、長い目で見ると初期費用とランニングコストは長期的に見れば十分に回収可能と考えられます。

ボツリヌス食中毒のリスク

真空包装で保存した食品には、ボツリヌス菌が増殖するリスクがあり、これがボツリヌス食中毒の原因となることがあります

ボツリヌス菌は、3℃未満では増殖しないという特徴があるため、食材の低温保存が食中毒防止に効果的です。また、ボツリヌスの毒素を産生する芽胞を失活させるためには、80℃で20分間、または100℃で数分間の加熱が必要です。

これらの対策を講じることで、ボツリヌス食中毒のリスクを軽減することができます。また、真空パッキングした後にパックごと加熱して調理する「真空調理」という方法もあり、これによりボツリヌス菌を死滅させることが可能です。真空調理は、一般的には「レトルト食品」として広く用いられています。

5つの比較基準 | 真空包装機の選び方

真空包装機の選定基準

真空包装機を選ぶ際は、以下の5つのポイントを抑える必要があります。

  • 真空度
  • 機械の種類
  • 包装容量
  • 操作のしやすさと機能性
  • 価格と性能のバランス

真空度

真空度が高いと、食材の日持ち、味付け、菌の増殖度など、製品の品質保持に大きく影響します。

真空度が高いと食品の鮮度と品質が保たれ、腐敗の可能性が低くなります。例えば、商業用途や大量生産に使われるチャンバー式真空包装機がこれにあたります。

一方で、真空度が低いと短時間で真空できます。また、真空包装機のコストを下げることが可能です。

そのため、真空度が低いノズル式真空包装機などは一般家庭や小規模な商業用途に適しています。

機械の種類

真空包装機の性能や使用目的は、機械の種類によって異なります

高性能な機械は、高い真空度と均一な包装が可能です。例えば、チャンバー式真空包装機がこれにあたり、商業用途や大量生産に適しています。

一方、比較的コンパクトな設計の機械はコストが低く、一般家庭や小規模な商業用途に適しています。ノズル式真空包装機がこれにあたります。

このように、使用目的や必要な性能に応じて適切な真空包装機を選ぶことが重要です。

包装容量

包装容量が大きいと、一度に多くの食品や製品を真空包装することができます。そのため、大量生産を行う場合には、高容量の機械が適しています。

例えば、チャンバー式真空包装機や自動真空包装機がこれにあたり、商業用途や大量生産に使用されます。

一方、家庭で使用する際には、包装容量が小さなものが適しています。家庭用のノズル式真空包装機がこれにあたり、少量の食品や製品の包装に適した選択肢です。

このように、使用目的に応じて適切な包装容量の真空包装機を選ぶことが重要です。

操作のしやすさと機能性

操作が簡単で機能性が高いと、真空包装機の使用が便利になります。自動センサー機能やプリセットモードなどの機能があると、さらに便利です。

例えば、操作性が良く機能性に優れているものとして、自動真空包装機がこれにあたります。これにより、初心者でも簡単に使用でき、操作ミスを減らすことが可能です。

一方、操作が簡単で必要な機能だけを持つ真空包装機は、価格が安く初心者にも使いやすいです。単純な機能を持っているものとして、ハンドヘルド式真空シーラーがこれにあたります。

このように、使用目的や予算に応じて適切な真空包装機を選ぶことが重要です。

価格と性能のバランス

価格と性能のバランスが取れていると、真空包装機の導入費用や運用コストが抑えられ、コストパフォーマンスが高くなります。例えば、家庭用の真空包装機や低価格のチャンバー式真空包装機がこれにあたります。

一方で、高性能な機械は、高い真空度と均一な包装が可能ですが、その分導入費用が高くなります。これらは業務用真空包装機に多く見られます。

このように、使用目的や予算に応じて適切な真空包装機を選ぶことが重要です。

真空包装機を製造するおすすめのメーカー5社

真空包装機を製造する企業

真空包装機を製造する主なメーカーとして、以下の5社が挙げられます。

  • フジマック
  • TOSEI
  • ホシザキ
  • 吉川工業
  • 西原製作所

フジマック

真空包装機を始めとする厨房機器の製造を手がける企業です。総合力に強みがあり、チャンバー式真空梱包機を主に製造しています。

TOSEI

TOSEIは、創業当初はクリーニング機器の製造を行っていましたが、2012年から真空包装機の製造も手がけています。

同社は、主に業務用真空包装機・真空パック機 TOSPACKシリーズを製造しています。

ホシザキ

ホシザキは業界では知らない人はいない厨房機器の総合メーカーです。同社の真空包装機は初心者でも大変使いやすく、メンテナンス性に優れています。

同社は主に、チャンバー式真空梱包機を製造しています。

吉川工業

吉川工業は主に真空包装機の製造を手がける企業です。鉄鋼分野の技術の実績が高く、総合的な技術力には定評があり、その総合技術力を生かして真空包装機の分野でも実績を積んでいます。 同社は、自動真空包装機を中心に8種類の真空包装機を展開しています。

西原製作所

西原製作所は真空包装機の製造を手がける企業でう、真空包装機の専業メーカーです。そのため、この分野の専業メーカーならではの技術力と実績には定評があります。

同社は、3タイプ36機種の真空包装機を扱っています。