ホーニング盤

ホーニング盤の選び方に悩んでいませんか? ホーニング盤には様々な種類があり、特徴や用途が異なります。どのメーカーの製品が自社に最適か、どう選べばよいのか、迷うことが多いでしょう。
本記事では、ホーニング盤の種類や特徴を比較し、選び方のポイントを解説します。
目次
3種類のホーニング盤の種類と特徴(2026年版)

ホーニング盤は、主に穴の内面を精密に仕上げるための工作機械です。回転するホーニング工具を加工物に押し当てながら往復運動させ、砥粒(ストーン)で内壁を均一に削ることで、真円度・円筒度・表面粗さを高精度に整え、クロスハッチを形成します。
まず最も基本的なレイアウト分類は「立形(タテ形)」と「横形(ヨコ形)」です。これに加えて、加工方式の観点から量産現場で一般的な3タイプに整理すると選定がしやすくなります。
- 立形・多軸CNCホーニング盤(往復式)
- 横形ホーニング盤(長尺・深穴向け、往復式)
- シングルパス(プラグ/ブローチ)ホーニング盤
立形・多軸CNCホーニング盤(往復式)
立形フレームに複数スピンドルを搭載し、拡張式ストーンの回転×往復×位相制御でクロスハッチを安定形成する主流機です。シリンダブロックなど多穴ワークの同時加工に最適で、インプロセス計測や自動補正、ロボット搬送と組み合わせたセル化でタクト短縮が可能。省スペース性も高く、量産ラインに組み込みやすいのが現場での実感です。
- 多軸同時加工で高スループット
- クロスハッチ角・表面粗さの狙い値管理が容易
- 自動化・設備連携(測定/搬送)との親和性が高い
横形ホーニング盤(長尺・深穴向け、往復式)
主軸を水平方向に配置し、ワーク支持剛性を高める構成。深穴・長尺シリンダや油圧シリンダの内径仕上げに適します。スルークーラントやスラッジ排出設計で詰まりを防ぎ、テーパ補正・真円度の安定化に強み。重量物の着脱が安定し、安全覆いやメンテナンス性も確保しやすいタイプです。
- L/D(穴長/径)が大きいワークに強い
- 治具支持・芯出しで形状精度を安定化
- 大型ワークの段取り・安全性を両立
シングルパス(プラグ/ブローチ)ホーニング盤
テーパを持つ複数段のプラグツールを一方向に通過させ、一気に寸法を出す高能率方式。再往復や拡張制御を要さず、低バラツキで量産しやすいのが特長です。焼入れ材や粉末冶金などの硬質材でも、番手構成と油剤管理を最適化することで安定加工が可能です。
- タクト短縮と工具寿命の見通しが立てやすい
- 多穴同時・フローライン化との相性が良い
- 形状補正(真円度/円筒度)は往復式に劣る場合があるため、前加工の精度設計が重要
・平面仕上げ(両面研削・ラップ/プレートホーニング等)は、本稿の「内面ホーニング盤」とは通常別分類です。
・「液体ホーニング(ウェットブラスト)」は、砥粒スラリーを噴射する表面処理装置で、バリ取り・梨地・光沢出し等の用途。内径の砥石ホーニングとは原理・目的が異なる別工程です。
ホーニング盤の主な使用用途(2026年動向)

ホーニング盤は、特に自動車産業での使用が多い一方で、他産業でも欠かせない最終仕上げ工程として機能します。まずは代表的な2例から。
- エンジンのシリンダー加工
- 自動車の動力伝達用歯車の加工
エンジンのシリンダー加工
ホーニング加工は、エンジンのシリンダーを仕上げる際に最適な加工方法として広く採用されています。高温・高荷重下でピストンとリングが摺動するため、潤滑と初期なじみが要です。
ホーニングで形成するクロスハッチがオイル保持を助け、摩擦と焼付きのリスクを抑制。最近はライナ材や熱スプレー皮膜の多様化により、番手構成・クロスハッチ角(例:35°±5°など)・Rk系パラメータまで設計して性能を最適化する動きが主流です。
自動車の動力伝達用歯車の加工
ホーニング加工は、動力伝達用歯車の仕上げで高い精度と静粛性を実現します。特にハイブリッド車やEVの普及でNVH(騒音・振動・ハーシュネス)要求が高まり、ギアホーニング比率が拡大。歯面の粗さ・波形低減により累積ピッチ精度を高め、トランスミッションの異音を大幅に抑制します。
その他、多様な産業での活用事例
自動車以外でも、ホーニングは高い信頼性が求められる部品の要となる仕上げです。現場での代表例は次の通りです。
- 油圧・空圧機器:シリンダーチューブやバルブ内径の精密仕上げでシール性と作動安定を確保。
- 建設機械・農業機械:過酷環境で使うアクチュエータやエンジン部品の耐久性向上。
- 航空宇宙:ランディングギア油圧シリンダなど、安全率の高い機構部品の品質保証。
- 医療分野:人工関節の摺動面など、生体適合性と滑らかさが求められるインプラント加工。
迷ったら、まず「どの機能を安定させたいか(シール性・静粛性・耐久性など)」から逆算すると用途と方式が見えてきます。
ホーニング盤のメリット・デメリット

ホーニング盤には、メリットだけでなく、デメリットもあります。要点を整理しました。
メリット
- 穴精度が高い(真円度・円筒度の改善余地が大きい)
- 加工公差が小さい(寸法安定性に優れる)
- クロスハッチを形成できる(潤滑・耐摩耗性の向上)
- 加工物への負担が小さい(低切込み・低周速で歪みが出にくい)
穴精度が高い
ホーニングは、回転×往復運動により砥粒が内壁へ均一に作用し、全周で平均化されるため、真円度・円筒度を高めやすいのが強みです。
加工公差が小さい
ストローク・拡張量・圧力の精密制御と、インプロセス計測との併用で、寸法の狙い値合わせと再現性を確保しやすくなります。
クロスハッチを形成できる
クロスハッチ角とRk系パラメータ(Rpk/Rk/Rvk)を設計することで、油保持・初期なじみ・耐摩耗を機能面から最適化できます。
加工物への負担が小さい
低い加工圧・適正な周速・冷却の活用により、焼きや歪みを抑制。硬くて脆い材や薄肉ワークにも適用しやすいです。
デメリット
- 前加工の精度に依存する(芯振れ・テーパ・表面欠陥は到達精度/タクトに影響)
- 加工できる内径レンジに制約がある(極小径・超深穴・段付き/盲穴は方式や治具の工夫が必要)
- 消耗品/油剤・スラッジ処理などの維持管理コストが発生
現場感覚では「前工程とセットで考える」ことが何よりの近道。ホーニング単体で無理をせず、前加工の芯出し・仕上げ代の設計から整えるとトータル最適になります。
5つの比較基準 | ホーニング盤の選び方(最新補強)

ホーニング盤を選ぶ際は、以下の5つのポイントを押さえる必要があります。
- 加工ワークの特性
- 精度
- 生産性
- 安全性
- コスト
加工ワークの特性
材質・形状・サイズ・求める精度・数量によって、最適なホーニング盤や方式は変わります。
- 材質:硬度、脆性、熱伝導率
- 形状:円筒、テーパ、非円形
- サイズ:内径、長さ(L/D)、外径
- 精度:寸法公差、表面粗さ、真円度/円筒度
- 数量:試作〜量産、変種変量の有無
得意分野の目安
- 立形・多軸CNC:多穴部品の量産、セル化・自動化前提
- 横形:長尺・深穴(油圧シリンダ等)
- シングルパス:高能率量産(ただし形状補正量は小さめ)
精度
図面通りの寸法・形状・粗さにどこまで迫れるかが鍵。精度が高いほど組付性・寿命・信頼性が向上し、再加工やスクラップが減ります。一方、用途によっては過剰品質を避け、コストとバランスを取る判断も重要です。
生産性
サイクルタイムと段取り時間がコストと納期に直結。多軸同時、フローライン化、パレット/治具交換の仕組みまで含めて評価しましょう。
安全性
高速回転+油剤使用の工程ゆえ、ガード・ミスト対策・インターロックは必須。安全は品質と稼働率の土台です。
コスト
初期費用だけでなく、TCO(総所有コスト)視点で、ツール・油剤・スラッジ処理・保全要員・停止リスクまで算入すると実像が見えます。
追加の比較基準(2026年の実務ポイント)
- 方式の適合:往復式かシングルパスか(目標精度、補正量、タクト)
- インプロセス計測・自動補正:ゲージ連携、ストローク/拡張量の微補正、学習補正
- 自動化・段取り:多穴同時、ロボット/AGV、治具交換の容易性
- 油剤・環境:ミスト・臭気、スラッジ回収、法規/職場環境基準への適合
- 図面で「粗さ(Ra/Rz)とクロスハッチ角」を明記:試作段階でシール性・初期摩耗を評価し、量産条件を早めに凍結。
- 相談術:「何を、どれだけ、どの精度で」を整理(図面・材質・目標粗さ・月間数量)。実ワークでのテスト加工と、消耗品/サポート体制の確認までをセットで依頼すると、導入後の“想定外”を減らせます。
【2026年最新情報】ホーニング盤の技術トレンド

1. 自動化・省人化の進化
ロボットによる自動着脱やパレット化と組み合わせたセル化が加速。機上計測・自動補正で寸法のフィードバック制御が一般化し、タクトと安定度を両立します。
2. IoT活用による「つながる工場」
稼働・寸法・タクトをリアルタイムに可視化し、予知保全や条件最適化へ。工程間連携で不良の芽を前段で潰す「ライン全体最適」が進んでいます。
3. 環境負荷低減とコスト最適化
MQLやドライホーニングの適用検討、ミスト・臭気対策、スラッジ回収の強化が進展。環境配慮とランニングコスト低減を同時に実現する設計が選定の新常識になりつつあります。
関連加工との違い(整理)
- ギアホーニング:歯車専用の歯面仕上げ。内径ホーニングとは別機構だが、EVの静粛性要求で重要性が増大。
- 平面仕上げ(両面研削/ラップ/プレートホーニング):平面度・平行度を高める別カテゴリ。内面ホーニングとは治具や砥石仕様が異なる。
- 液体ホーニング(ウェットブラスト):砥粒スラリー噴射の表面処理。バリ取り・梨地・光沢出し・クリーニング用途で、内径ホーニングとは目的が異なる。
ホーニング盤を製造する主なメーカー

ホーニング盤を製造する主なメーカーには、以下の会社が挙げられます。
※JET-Roboticsの問い合わせフォームに遷移します。
一部の会社とは正式な提携がない場合がありますが、皆さまに最適なご案内ができるよう努めています。
- 富士ホーニング工業 / Fuji Honing Industrial
- トーヨーエイテック / Toyo Advanced Technologies
- 池貝 / IKEGAI
- エンシュウ / ENSHU
※クリックで各メーカーの詳細へ移動します。
富士ホーニング工業 / Fuji Honing Industrial
| 会社名 | 富士ホーニング工業 / Fuji Honing Industrial |
| 設立年 | 1949年 |
| 本社 | 東京都目黒区上目黒2-1-1 中目黒GTタワー7F |
| 概要 | ホーニング加工機の専業メーカー |
富士ホーニング工業は、専業ならではの自動・手動機とツールの広いラインナップと長年の納入実績があります。
主な製品はFSシリーズ、FQRシリーズ、FQEシリーズ、MRB・MRX/MRNX・MR/MRNシリーズ、手動機のFK-8Aです。小径から中径までをカバーする専用ツールと機種の豊富さにより、試作から量産まで適用範囲を広げやすい点が魅力です。
導入例としてFK-8Aの延べ1万台超の運用や、FSシリーズによる工程可視化・省スペース化、自動機(FQR/FQE)での量産歩留まり改善が報告されています。
トーヨーエイテック / Toyo Advanced Technologies
| 会社名 | トーヨーエイテック / Toyo Advanced Technologies |
| 設立年 | 1950年 |
| 本社 | 広島県広島市南区宇品東5丁目3番38号 |
| 概要 | 工作機械・自動車部品・表面処理の総合メーカー |
トーヨーエイテックは、自動車量産ラインで鍛えられた高精度・高能率設計と、計測・搬送まで含むセル化対応力に定評があります。
代表機はTVH-05(コンパクトホーニング盤)やT-32N-C(高速ホーニングセル)です。小型セル構成で据付面積を抑えつつ、荒・仕上げ切替ツールなどでタクト短縮と品質安定を狙える設計です。
導入例としてシリンダーブロックの高速ホーニングセルや、コンロッド・コンプレッサ部品・ステータなどの量産ラインで成果を上げています。
池貝 / IKEGAI
| 会社名 | 池貝 / IKEGAI |
| 設立年 | 1949年 |
| 本社 | 茨城県行方市芹沢920-52 |
| 概要 | 工作機械・産業機械・舶用エンジン関連の老舗メーカー |
池貝は、マシニングセンタとホーニング機能を融合した複合機で工程集約と高精度化を同時にねらえる点に強みがあります。
ラインアップはホーニングセンタ(HM3/HM4/HM5)やホーニングセンタ・Uセンタ(ボーリング+ホーニング複合)です。ATCやNC拡張により多径対応がしやすく、ボーリングからホーニングまで一貫加工で段取りと誤差要因の低減に貢献します。
適用分野としてエンジン・油圧機器・産業機械の内径仕上げ工程でのライン短縮や精度確保に活用されます。
エンシュウ / ENSHU
| 会社名 | エンシュウ / ENSHU |
| 設立年 | 1920年 |
| 本社 | 静岡県浜松市中央区高塚町4888番地 |
| 概要 | マシニングセンタと専用機、量産ライン統合に強い工作機械メーカー |
エンシュウは、量産向けライン構築力と「ホーニング機能付きMC」による工程統合の実績に強みがあります。
代表機はBH100VL(ホーニング機能付きマシニングセンタ、ホーニング径φ40~125)です。MCベースのホーニング機能で既存ラインに組み込みやすく、タクト短縮と自動化適合性の高さが特徴です。
導入例ではシリンダーブロックのボアホーニング加工ライン(BH100VL+ガントリ)や、専用機工程をMCへ取り込み多品種対応を強化し、バックラッシュレス駆動で高精度化を図る構成が活用されています。
導入などでお困りでしたら以下からお気軽にご相談ください。
※JET-Roboticsの問い合わせフォームに遷移します。
一部の会社とは正式な提携がない場合がありますが、皆さまに最適なご案内ができるよう努めています。
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