接着剤塗布ロボット
接着剤塗布ロボットは、製造業の現場において精密かつ安定した接着作業を実現するために欠かせない存在です。手作業では困難な均一塗布や高精度な制御が求められる中、ロボットによる自動化がますます注目されています。
「どの種類が自社に合っているのか分からない」「導入のメリットと課題を正確に把握したい」「信頼できるメーカーを知りたい」といった悩みや不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、接着剤塗布ロボットの基礎知識から種類別の特徴、導入によるメリットと課題、そしておすすめメーカーまでを一挙に解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、接着剤塗布ロボットの導入を成功に導くための判断材料としてご活用ください。
また、JET-Globalでは、卓上型塗布ロボット以外にも塗布ロボットを解説しています。塗布ロボット全体について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

目次
接着剤塗布ロボットとは? 特徴や実際の導入事例を解説
接着剤塗布ロボットとは、接着剤を対象物に均一かつ精密に塗布することを目的とした産業用ロボットのことです。人手に頼らず自動で作業できるため、製造現場の省人化や品質向上に貢献しています。
近年では、自動車、電子機器、住宅建材、食品包装など、多くの分野で接着剤の用途が増えており、それに伴って接着剤塗布ロボットの導入が進んでいます。
塗布精度やスピードの安定性はもちろん、異なる形状や材質への対応力、作業環境の自動調整機能なども求められているのが現状です。
接着剤塗布ロボットの特徴
接着剤塗布ロボットの主な特徴は以下の通りです。
- 高精度な塗布:ミリ単位で均一な接着が可能
- 生産性の向上:人手に比べて高速かつ連続作業が可能
- 品質の安定化:塗布量のバラつきを防止
これらの特徴により、製品の信頼性向上や歩留まりの改善が期待されています。
実際の導入事例
例えば、自動車業界ではドアやフレームの接着工程に接着剤塗布ロボットが活用されています。作業者の熟練度に依存せず、常に一定の仕上がりを実現できるため、品質管理の効率化に寄与しています。
また、スマートフォンなどの電子機器製造においては、筐体のシーリングや基板固定などに使われ、狭小スペースへの正確な塗布を実現し、これは人手では難しい作業を補完・代替できる優れた例です。
このように、接着剤塗布ロボットは多様な業界で導入が進んでおり、それぞれの現場に合わせたカスタマイズも可能です。
続いては、接着剤塗布ロボットの「種類」について詳しく見ていきましょう。
接着剤塗布ロボットの種類を解説
接着剤塗布ロボットには、主に3種類のロボットがあり、各ロボットはその構造や動作範囲によって最適な用途が異なります。
ここでは、スカラロボット型、アームロボット型、直交ロボット型、のそれぞれについて、特徴と適用業界を紹介します。
スカラロボット型
スカラロボット(SCARA型)は、高速かつ高精度な水平動作が得意で、小型部品の接着作業に最適です。特に、精密機器の組立や電子機器製造において、そのスピードと精度が活躍します。
アームロボット型
多関節アーム型ロボットは、三次元的な自由な動作が可能で、特に自動車のボディ接着や大型部品の組立に最適です。車両のフレームやドアの接着など、高精度で複雑な接着作業が求められる場面でその能力を発揮します。
直交ロボット型
直交ロボット型は、XYZ軸の直線的な動きに特化しており、構造がシンプルでメンテナンスが容易です。繰り返し作業が求められる接着作業や高精度な作業に適しています。特に小型部品の組立や電子機器の製造に適しています。
以上のように、それぞれの種類には特有の利点と制約が存在します。次は、これらの接着剤塗布ロボットを導入することで得られるメリットについて詳しくご紹介します。
導入によって期待される接着剤塗布ロボットのメリット
接着剤塗布ロボットの導入によって、製造現場ではさまざまなメリットが得られます。単なる作業の自動化にとどまらず、生産性、品質、安全性などの面で効力を発揮します。
接着剤塗布ロボットを導入することで、塗布品質の均一化により製品の品質が安定し、不良品の発生を減らすことができます。
また、24時間稼働が可能なため、人手では難しい夜間や長時間の作業を効率的にこなせ、作業効率が向上します。
さらに、接着剤塗布ロボット導入によって作業者の安全性が向上し、危険物質へのリスクを減少させることが可能です。
製品の多様化に柔軟に対応できるため、小ロット多品種の生産にも適応でき、ラインの汎用性が向上します。最後に、データ収集機能により、品質管理が強化され、異常時の原因追跡や予防保全が可能になります。
次に接着剤塗布ロボットの課題を確認しましょう。
接着剤塗布ロボットの課題を解説
接着剤塗布ロボットの導入には多くの利点がありますが、一方で導入・運用時にはいくつかの課題にも注意が必要です。以下に代表的な課題を紹介し、それぞれの内容と対応策を解説します。
接着剤塗布ロボットの導入には初期導入コストが高額になるという課題があります。これには機器本体、周辺設備、プログラミング費用、設置工事が含まれます。このため、事前にROI(投資回収率)のシミュレーションを行い、効果的な導入タイミングと規模を見極めることが重要です。
また、熟練作業者の経験に基づく微調整が必要な場合があり、これを完全に接着剤塗布ロボットに置き換えることは難しい場合もあります。そのため、接着剤塗布ロボットと人の協働を意識した「ハイブリッド運用」が求められるケースもあります。
接着剤は固化や目詰まりを起こしやすく、そのメンテナンスが重要です。定期的な点検と清掃体制を整備し、部品の予備を確保しておくことが不可欠です。トラブル発生時の迅速な対応手順も、運用の安定性を保つためには欠かせません。
さらに、操作や設定には一定のスキルが必要です。多くの接着剤塗布ロボットはティーチングや細かな設定が必要で、これには技術知識を持った人材の育成が不可欠です。導入時には、研修プログラムや外部ベンダーによるサポート体制を整備することが重要です。
次の章では、接着剤塗布ロボットの選び方を解説します。
接着剤塗布ロボットの選び方|導入時に確認すべき3つの視点
接着剤塗布ロボットを導入する際は、作業の効率化や品質向上だけでなく、製品や工程に最適な機種を選ぶことが重要です。ここでは、失敗しないための3つの選定ポイントをご紹介します。
接着剤塗布ロボットの精度と再現性に注目する
接着剤塗布ロボットの選定ポイントとして、接着剤塗布ロボットの精度と再現性が重要です。
これは、製品や部品の形状が複雑であったり、接着剤の性質や塗布パターンが繊細である場合に特に影響を与える要素となります。
精度が不十分な接着剤塗布ロボットを選んでしまうと、塗布ムラや不足が発生し、製品の性能や信頼性を損なう原因になってしまいます。
高い精度と再現性により、製品の品質が安定し、不良品の発生を抑制のためにも、まずは精度に注目して接着剤塗布ロボットを選定することが肝要です。
対応できる塗布の柔軟性で選ぶ
導入前にチェックすべきもう一つの観点は、接着剤塗布ロボットの柔軟性と対応範囲です。
これが不十分な接着剤塗布ロボットを選んでしまうと、一部の製品にしか使用できず、生産のたびに設備を変更する必要が出てしまいます。
特に製品ラインが頻繁に切り替わる現場や、多品種少量生産を行っている企業にとっては、柔軟性が低い接着剤塗布ロボットでは業務に支障をきたす可能性があります。
多様な製品や部品に対応でき、柔軟な生産ラインを構築するには、適応範囲の広さにも注目すべきです。
接着剤の自動供給機能の有無と製品に応じた接着剤を使えるか
接着剤塗布ロボットを選ぶ際に重要なのが、接着剤の適応性と自動供給機能です。
液体やペーストなど、使用する接着剤の粘度や硬化性の違いによって、接着剤塗布ロボットの対応力や塗布精度は変わります。
こうした特性に合わない接着剤塗布ロボットを導入すると、塗布精度が安定しなかったり、作業のたびに供給設定を調整しなければならず、現場に余計な負担をかけてしまいます。
異なる接着剤を頻繁に使う現場や、製品ごとに塗布量を微調整する必要がある工程では特にこの視点が重要です。
自動供給機能があることで、人手による調整が不要になり、安定した塗布が実現できるというメリットを得るには、使用接着剤と機能の相性を必ず確認しておきましょう。
以上のように、接着剤塗布ロボットの選び方には複数の視点が存在し、それぞれが導入後の成果に影響します。次は、実際にどのようなメーカーが存在し、どの企業がどんな特徴を持っているのかを確認していきましょう。
おすすめの接着剤塗布ロボットメーカーを紹介
接着剤塗布ロボットの導入を検討する際、信頼できるメーカー選びは重要です。ここでは、各社の強みや製品特徴、導入事例をもとに厳選した5社をご紹介します。
※JET-Globalの問い合わせフォームに遷移します。
※一部メーカーとは提携がない場合がありますが、ユーザー様に最適なご案内ができるよう努めています。
デンソーウェーブ / DENSO WAVE
メーカー名 | デンソーウェーブ / DENSO WAVE |
設立年 | 1973年 |
本拠地 | 愛知県刈谷市 |
概要 | ロボットシステムの開発・製造 |
デンソーウェーブは1973年に設立された、愛知県に本社を置く産業用ロボットメーカーです。ロボットシステムの開発に注力し、日本の製造業を支えるリーディングカンパニーとして知られています。
接着剤塗布ロボットの分野では、高精度な動作が特長の「VPシリーズ」を展開しており、特に自動車業界での評価が高まっています。
VPシリーズは接着剤塗布専用ではなく、汎用ロボットとしても使用可能で、高速かつ高精度な塗布が可能です。繊細な作業にも対応できる性能が魅力で、ライン全体の効率向上に寄与します。
自動車部品の接着工程に導入されており、精度と速度の両立が現場で高く評価されています。
ファナック / FANUC
メーカー名 | ファナック / FANUC |
設立年 | 1956年 |
本拠地 | 山梨県南都留郡 |
概要 | ロボットシステムの開発・製造 |
ファナックは1956年に設立され、山梨県を拠点とする日本屈指のロボットメーカーです。FA(ファクトリー・オートメーション)の先駆けとして世界的にも高い技術力を持ち、ロボット開発の分野で圧倒的な実績を誇ります。
接着剤塗布ロボットでは、小型多関節タイプの「LR Mateシリーズ」が中心で、正確な動作と優れた可搬性能が評価されています。
LR
Mateシリーズは接着剤塗布にも使用可能な汎用ロボットで、高速かつ精密な動作と、省スペースでの設置が可能な点が、限られた作業スペースでも高い生産効率を実現するポイントです。
半導体製造ラインでは、そのスペース効率と高精度な作業性能により多くの採用実績があります。
川崎重工業 / Kawasaki Heavy Industries
メーカー名 | 川崎重工業 / Kawasaki Heavy Industries |
設立年 | 1896年 |
本拠地 | 兵庫県神戸市 |
概要 | ロボットシステムの開発・製造 |
川崎重工業は1896年創業という長い歴史を持つ総合重工メーカーで、兵庫県神戸市に本社を構えています。
産業用ロボット分野においても高い技術と信頼性を誇り、接着剤塗布ロボットでは「RSシリーズ」を展開しています。
RSシリーズは接着剤塗布にも使用可能な汎用ロボットで、高精度な動作と優れた耐久性により、長時間連続稼働が求められる現場に最適です。
自動車部品の接着工程ではRSシリーズが積極的に採用され、安定した性能が高く評価されています。
オムロン / OMRON Corporation
メーカー名 | オムロン / OMRON |
設立年 | 1933年 |
本拠地 | 京都府京都市 |
概要 | ロボットシステムの開発・製造 |
オムロンは1933年設立の京都に本社を置く老舗企業で、自動制御・センシング技術に定評のあるロボットメーカーです。
接着剤塗布ロボットでは、精度と操作性の両立を追求した「TMシリーズ」を提供しています。
TMシリーズは接着剤塗布の用途にも対応可能な汎用ロボットで、簡単なプログラミングで導入しやすく、高精度な作業もこなせる点が強みです。
電子機器の組立ラインにおいてTMシリーズは幅広く導入されており、短期間での立ち上げと安定した精度の両立が評価されています。
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