点検ロボット

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点検ロボットの導入は、「高所や狭所などの危険な場所での作業負担をどう減らすか」「老朽化する設備をいかに効率的に維持管理するか」など、多くの現場が抱える悩みを解決する有力な選択肢となっています。

人が行う従来の点検に比べ、安全性やコスト面のメリットは大きい一方、さまざまな種類が登場しているため、選定に迷われる方も多いのではないでしょうか。

本記事では、点検ロボットの基本的な概要や種類、選び方やおすすめメーカーを総合的にご紹介します。導入を検討している方の疑問や不安に寄り添いながら、後悔しない選択に繋がる情報をお届けしますので、ぜひ最後までご覧ください。

とりあえず話を聞きながら考えたい方やすぐにメーカーへ問い合わせをしたい方は、以下のボタンからお問い合わせください。担当者におつなぎいたします。

目次

点検ロボットとは? 特徴や活用例などを解説

点検ロボットとは
点検ロボットとは、人が立ち入りにくい場所や危険を伴う現場などを自動・遠隔で点検するロボットの総称です。高所や地下設備、化学プラント内など、作業員が直接作業するにはリスクや負担が大きい現場で積極的に活用されています。

特に、点検ロボットは従来の人力点検と比べて効率性や安全性の向上に寄与しやすい点が大きな特徴です。実際の活用例としては、プラントや発電所の配管内部検査、高層ビル外壁の定期メンテナンスなどが挙げられます。

また、点検ロボットのメリットとしては、人的コストやリスクの削減、点検の精度向上などが挙げられますが、一方で導入費用や操作ノウハウの不足といったデメリットも存在します。必要に応じて適切な種類を選べば、長期的なコスト削減や設備延命に貢献できるでしょう。

このように、さまざまな現場で期待を集める点検ロボットですが、具体的にはどのような種類があるのかも気になりますよね。そこで、次に代表的な点検ロボットの種類について解説していきます。

点検ロボットの種類ごとにメリット・デメリットを紹介

点検ロボットの種類とメリット・デメリット
点検ロボットには、走行する床面環境や対象物の位置、必要とされる機能に応じて多様な種類があります。ここでは代表的なものをいくつか紹介し、それぞれのメリット・デメリットに触れながら解説していきます。

クローラー型点検ロボット

クローラー型点検ロボットは、キャタピラー(無限軌道)を用いて走行するタイプです。段差や傾斜のある場所でも安定した走破性を発揮し、狭い通路や配管周辺などへのアクセスにも比較的対応しやすいのが特徴です。

メリット

  • 段差や不整地への適応力が高い
  • 傾斜がある現場でも安定走行しやすい

デメリット

  • 走破性などを重視するとサイズや重量が大きくなりがち
  • 高速移動を得意としないロボットが多い

ドローン型点検ロボット

ドローン型点検ロボットは、空中を自由に飛行しながらカメラやセンサーを用いて点検を行うタイプです。高所や屋外の広範囲、さらには人が立ち入れない煙突内部なども上空からアプローチ可能なため、広域を効率的にカバーできるのが魅力です。

メリット

  • 高所や狭所など、人が入りにくい箇所を容易に点検可能
  • 短時間で広範囲を把握しやすい
  • 遠隔操作で安全に運用しやすい

デメリット

  • バッテリー駆動時間が短く、稼働時間に制限がある
  • 風や雨などの天候に大きく左右される
  • 飛行に関する法規制や許可申請が必要

ヘビ型点検ロボット

細長い胴体と関節部分を複数備え、まるでヘビのようにくねくねと動くロボットです。配管内部や複雑な構造物の間を這うように移動できるため、他の種類のロボットでは入れない狭小空間の点検に強みを発揮します。

メリット

  • 狭い通路やパイプ内を自在に移動できる
  • 多方向からの検査が可能
  • 複雑な地形でも高い柔軟性を発揮

デメリット

  • 制御が複雑で操作やプログラミングに専門知識が必要
  • 1m以上の段差や階段には対応しにくい場合がある

潜水型点検ロボット

水中や液体の中を移動しながら検査を行うタイプです。水中ドローンとも呼ばれることがあり、港湾施設やダム、上下水道管などの点検で活用されます。浸水による人のリスクが高い環境でも、ロボットなら安全に調査可能です。

メリット

  • 人が入りにくい水中環境を安全に点検できる
  • 防水・耐圧構造で深度のある場所にも対応可能
  • 遠隔操作や自律走行で安定的にデータを取得

デメリット

  • 水流や水質による影響を受けやすい
  • 視界や通信が制限される場合がある

このように点検ロボットにはさまざまな種類があり、それぞれが異なるメリット・デメリットを持っています。次は、点検ロボットカメラにフォーカスして解説し、いわゆる点検ロボットとの違いに注目してみましょう。

点検ロボットカメラの役割とは? いわゆる点検ロボットとの違いについて

点検ロボットカメラと点検ロボットとの違い
点検ロボットカメラとは、専用の伸縮可能なポールユニットやアーム、操作システムを備えた独立した点検装置を指すことが多いです。いわゆる点検ロボットが自律走行や遠隔操作による移動機能を備えているのに対して、点検ロボットカメラは映像取得・計測を重視した装置です。

例えば、排水管などの内部点検に特化したカメラシステムは、ロボットというよりはスコープのように扱われる場合もあります。一方で、複数のセンサーを備えた本格的な点検ロボットにも高性能カメラが搭載されており、赤外線や熱画像など多角的な情報を取得できるものも増えています。

つまり、「移動しながら総合的に点検する」のが点検ロボットで、「カメラによる映像取得と計測を主目的とした装置」が点検ロボットカメラ、とざっくり区別するとわかりやすいでしょう。では、こうした点検ロボットを導入する際は、どのようなポイントで選べば良いのでしょうか。次の章で解説します。

選ぶときの考え方は? 点検ロボットを導入する際の選び方

点検ロボットを導入するにあたり、現場環境や目的に合った設計を選定することが重要です。以下では、代表的な選定ポイントを3つに分けて解説します。

過酷な環境への耐性

点検ロボットの選び方として、まずは過酷な環境や温度・湿度に対する耐性を考慮する必要があります。防爆構造や耐熱・耐寒性能など、ロボットが稼働する現場の安全性と安定動作を支える仕様によって左右されるためです。

もし不適合なロボットを選んでしまうと、故障や測定エラーが頻発し、点検の信頼性を大きく損なうリスクがあります。特に高温・低温や有害物質が存在する生産ラインなど、人が直接立ち入りにくい場所ではこのポイントを重視しましょう。

適切な耐性を持つロボットを選定すれば、過酷な環境でも安定した点検が可能となります。

走破性を考慮した移動機構

点検ロボットを選定する上で、次に注目すべきポイントは段差や狭所、階段など、点検対象へのアクセス方法を考慮した移動機構です。実際には走行用の車輪やクローラー、ドローンなど、床面状態や障害物によってベストな移動手段が変わってきます

もし走破性の低いロボットを選んでしまうと、点検箇所へ到達できず、点検漏れや運用停止が発生する可能性も高まるでしょう。特に複雑なレイアウトや段差が多い施設・設備での点検が必要な場合は、この走破性の確保がより重要になります。

移動性能に優れたロボットを選べば、多角的な点検が実現し、人間が踏み入れにくい空間でも安全かつ効率的に作業を進められます。

センサや解析精度

そしてもう一つ大切な選び方のポイントとして、必要な異常検知レベルを満たすセンサーの種類や解析精度を確認することが挙げられます。これは、画像処理、赤外線、超音波など、点検対象によって最適なセンシング技術が異なるためです。

センサー性能が不十分なロボットを選んでしまうと、微細な損傷やトラブルの兆候を見逃し、設備の重大な故障や事故に繋がる恐れがあります。老朽化が進んだ設備や高精度検査が求められるラインでは、特に高機能センサーを組み合わせた点検が必要となるでしょう。

性能に適合したロボットを導入すれば、高性能センサにより人間の目では捉えにくい欠陥も検出でき、結果として設備の安全性や稼働率を大きく向上させることが可能です。

ここまで、点検ロボットの具体的な選び方についてご紹介しました。続いては、点検ロボット分野で注目されるおすすめメーカーを知りたい方も多いのではないでしょうか。次の章では、代表的なメーカーや特徴的なロボットを紹介していきます。

JET-Global編集部おすすめの点検ロボットメーカー

点検ロボットのおすすめのメーカー
ここからは、点検ロボットの開発・提供をしているメーカーを紹介します。メーカーごとに強みや製品特性が異なるため、自社のニーズに合ったロボットを選ぶ際の参考にしてみてください。

三菱電機 / Mitsubishi Electric

メーカー名 三菱電機 / Mitsubishi Electric
設立年 1921年
本拠地 東京都千代田区
概要 総合電機メーカー

三菱電機(Mitsubishi Electric)は、1921年に設立され、東京都千代田区に本拠地を置く総合電機メーカーです。社会インフラシステムやビルシステム、FAシステム分野において高い信頼性を誇る点が強みといえます。

同社が製造する点検ロボットとしては「発電機用薄型点検ロボット」が有名です。

厚みわずか19.9mmという薄型設計を実現しており、従来の一般的な点検ロボット(約30mm)と比較して大幅な薄型化に成功しているのが特長です。

このロボットは主に発電機業界で導入されており、中・大容量発電機の内部を6日間という短期間で点検可能とするなど、現場におけるメンテナンス効率の向上に大きく寄与しています。

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ハイボット / Hibot

メーカー名 ハイボット / Hibot
設立年 2004年
本拠地 東京都品川区
概要 極限環境向けロボット技術開発メーカー

ハイボット(Hibot)は、2004年に設立された東京都品川区拠点の極限環境向けロボット技術開発メーカーです。ソフトウェア・ハードウェアロボティクス技術開発の豊富な実績があることが強みです。

同社の代表的な点検ロボットとして「Float Arm(インフラ点検用ヘビ型ロボット)」が挙げられます。

広い可動範囲とフレキシビリティを両立しており、他メーカーの同種ロボットと比較しても狭い空間や複雑な構造物への対応力が高いのが魅力です。

実際に化学プラント(BASF社へのFloat Arm納入)などの大手企業案件で活用されており、極限環境下での点検効率向上に貢献しています。

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メーカーを比較してみると、それぞれに強みや特徴的なロボットがあり、導入事例もさまざまです。自社の設備環境や点検目的に合致するメーカーのロボットを導入すれば、安全性と生産性の向上を同時に実現できるでしょう。ぜひ本記事の情報を参考に、最適な点検ロボットの選定を進めてみてください。