物流ドローン
物流ドローンは、荷物や商品を自動的に運搬するための無人航空機です。実証実験も次々と進んでおり、ドローン配送の実用化や、2024年問題の解決策の1つとしても期待が寄せられています。
物流ドローンといっても、様々な種類があります。その違いや特長について知りたい方も多いのではないでしょうか。
本記事では、物流ドローンの種類とそれぞれの特長、適した活用例、そして提供しているメーカーや企業について詳しく紹介します。
とりあえず話を聞きながら考えたい方やすぐにメーカーへ問い合わせをしたい方は、以下のボタンからお問い合わせください。担当者におつなぎいたします。
目次
物流ドローンとは? 特長や仕組み、構造について
物流ドローンは、荷物や商品を自動的に運搬するための無人航空機です。
この章では、仕組みや種類、用途とメリット・デメリットなど、物流ドローンの基本的な特徴について総ざらいします。
物流ドローンの主な特長
無人航空機である物流ドローンは、荷物や商品を自動的に運搬できるツールです。
効率的かつ迅速に配送を行うことができ、特に遠隔地やアクセスが難しい場所への配送の際にはメリットがあります。
物流ドローンの主な特長としては、次の点が挙げられます。
物流ドローンのメカニズムや構造は?
物流ドローンは、GPSやセンサー技術を駆使して自動的に飛行するメカニズムです。
採用されている技術とその役割は、次のとおりです。
また、「フレーム」「プロペラ」「モーター」「バッテリー」「カメラ」「通信システム」が基本的な構造となっています。
色々な種類の物流ドローンとそれぞれの長所、活用例は?
物流ドローンにはどのような種類があるのでしょうか?ここからは、主な5種類とその長所、活用例をそれぞれご紹介します。
多点配送型ドローン
多点配送型ドローンは、複数の配送先に対して一度の飛行で荷物を届けることができる無人航空機です。効率的なルート計画と自動飛行技術を駆使して、複数の地点に迅速かつ正確に荷物を配送します。
長所としては、下記が挙げられます。
これまでの活用例は、都市部でのラストワンマイル配送、過疎地や離島への物資配送などです。
重量物運搬型ドローン
重量物運搬型ドローンは、大型で重い荷物を運搬するために設計された無人航空機です。建設現場や遠隔地での資材運搬など、従来の手段では困難な場所での物流を効率化するために使用されます。
重量物運搬型ドローンの長所としては、以下が挙げられます。
これまでの活用例は、建設現場での資材運搬、 山間部でのインフラ整備などがあります。
特殊環境対応型ドローン
特殊環境対応型ドローンは、過酷な環境条件下でも安定して運用できるように設計された無人航空機です。
極端な温度、強風、高湿度、砂嵐などの厳しい条件に耐えることができ、通常のドローンでは対応が難しい環境での運用が可能です。
長所は次の3点です。
この長所を活かした活用例としては、まず災害対応が挙げられます。
地震や洪水などの発生時、ドローンが過酷な環境条件下にある被災地の状況を迅速に把握し、救援物資を配送することで、復旧をサポートできるでしょう。
また、 米・カリフォルニア州では 環境モニタリングでの活用例があります。極端な気象条件下でも運用できるため、森林火災の監視や大気・水質の調査など、環境保護活動において重要な役割を果たします。
長距離飛行型ドローン
長距離飛行型ドローンは、長時間かつ長距離の飛行が可能な無人航空機です。固定翼型やVTOL(垂直離着陸)型が多く、広範囲の物流や監視、調査などに使用されます。
長所を見ていきましょう。
離島や遠隔地への物資輸送、災害時の緊急支援が主な活用例です。
農業用運搬型ドローン
農業用運搬型ドローンは、農作物や農業資材を効率的に運搬するために設計された無人航空機です。農業現場での作業負担を軽減し、作業効率を向上させるために使用されます。
どのような長所があるのかを見てみましょう。
農業に特化した活用例として、収穫物の集荷場への運搬がまず挙げられます。
農業以外でも、人力での運搬が困難な場合がある中山間地や急傾斜地では、急斜面の農地での肥料や農薬の運搬に農業用運搬型ドローンが活用されています。
物流ドローンのメリット・デメリットは?
ここまでは、種類別の特長と長所をチェックしてきました。それでは、物流ドローンを導入した際の全般的なメリット・デメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?
導入の祭には、メリットとデメリットの両面をしっかりと吟味したうえで、選定に進みましょう。
7つのポイントを紹介! 物流ドローンを導入する際の選び方は?
物流ドローンを導入する際、選び方のポイントはあるのでしょうか?本章では、どのようなスペックを比較すれば、より適したものを入手できるか解説します。
ペイロード容量
まずチェックすべきは、ペイロード容量です。
ペイロードが増えると、ドローン全体の重量が増加するので、飛行時間や航続距離に影響します。また、安定性、バッテリー持続時間、運用コストなどの面にも関係します。
ペイロード容量が大きい場合
重い荷物や大きなサイズの貨物を運ぶことができ、物流の効率が向上します。より多くの種類の貨物を一度に運搬することが可能です。
また、一度に多くの荷物を運ぶことで運搬回数が減少するため、運用コストや時間も節約できます。緊急時や災害時でも、大量の救援物資や医療品を迅速に運搬することができ、迅速な対応が求められる状況にも対応できます。
このほか、工業用途、建設現場や鉱山などで、重機の部品や大量の資材を運搬する際にも適しています。
一方、重いペイロードを運ぶためには、モーターやバッテリーの消費が増加するので、バッテリーの持続時間も短くなるほか、 より多くのエネルギーが必要になるため、運用コストが増加します。
ドローンの部品にかかる負荷も増え、メンテナンスの頻度やコストが増加するおそれがあります。
ペイロード容量が小さい場合
バッテリー消費が少なくなり、飛行時間が延長されるので、長距離の運搬が可能です。
より高い機動性を持ち、狭い場所や障害物の多い環境でも容易に飛行できるので、都市部での小包配送や屋内での運用に向いています。
また、エネルギー消費が少なく、メンテナンスコストも低く抑えられるので、全体的な運用コストも削減できます。
飛行時間
飛行時間の長短は、運搬範囲、運用効率、バッテリー管理、運用コストに影響します。
飛行時間が長い場合
広範囲なエリアを一度にカバーすることができるので、遠隔地への配送や広域監視が可能です。
山間部や離島などのアクセスが困難な遠隔地へも、一度の飛行で目的地に到達でき、災害時にも広範囲にわたって救援物資を届けることができます。
飛行時間が短い場合
飛行時間が長いドローンよりも軽量でコンパクトな設計が可能で、都市部や狭い場所での運用がしやすいです。
バッテリーやモーターのコストも低く抑えられるため、初期投資や運用コストの面でメリットがあります。
さらに充電時間も短く、迅速に再運用でき、頻繁な運用が求められるシーンに向いており、工場内での部品や製品の運搬では、頻繁に充電しながらの使用も可能です。
飛行速度
飛行速度は、配送効率、エネルギー消費、安定性・安全性に影響します。
飛行速度が速い場合
配送時間が短縮され、顧客満足度が向上します。特に緊急配送や時間指定の配送に最適です。
短時間で複数の配送を行うことができるため、配送回数が増加し、効率的な運用が可能です。そのため、医療品や災害時の救援物資など、緊急性の高い物品を迅速に配送する必要がある場合にも適しています。
飛行速度が遅い場合
エネルギー消費が抑えられ、バッテリーの持続時間が延び、長時間の飛行が可能です。高速飛行よりも安全性が増し、障害物を避けやすく、事故のリスクを低減できます。
加えて振動や衝撃も抑えられ、精密機器や壊れやすい物品の配送に適しています。低速の特性を活かし、肥料の均一散布、観光地でのガイドツアーなど、物流以外でも活用できます。
自律飛行能力
自律飛行能力は、運用効率・コスト、安全性に影響します。全般的に、高い方がメリットが多いようです。
自律飛行能力が高い場合
複雑な飛行ルートを自動で計画し、効率的に運搬を行うことができ、運用効率が向上します。
高度な障害物検知・回避機能により、飛行中の事故リスクも低減できます。手動操作や監視も不要で、人件費と長期的な運用コストの削減に貢献するでしょう。
自律飛行能力が低い場合
技術的・構造的にシンプルなことから初期投資が少なくて済み、導入コストを抑えることができます。
利用者の手動操作が主体となるため、特定の状況や環境に応じた柔軟な運用が可能で、メンテナンスや修理も容易です。
一方、障害物検知や回避機能が十分でないため、事故のリスクには注意が必要です。利用者の手動操作や監視が必要なため、その分の運用コストがかかります。
耐環境性
耐環境性は、運用範囲、安全性、メンテナンス頻度に影響します。
耐環境性が高い場合
極寒地や高温地、湿度の高い地域など、様々な環境で運用が可能で、運用範囲が広がります。
厳しい環境条件下でも安定して動作するため、信頼性が向上し、重要な配送や緊急時でも安心して使用できます。
環境ストレスに強く、長期間の使用が可能で、全体的なコストパフォーマンスの向上が見込めるでしょう。
耐環境性が低い場合
設計や製造コストが抑えられるため、初期投資が少なくて済みます。
耐環境性を高めるための追加の構造や素材が不要なゆえに軽量設計で、運搬効率に影響しません。温度や湿度の変動が少ない室内や、耐環境性を高める必要のない特定用途にも使用できます。
物流ドローンを提供する主要メーカーとその製品
最後に、物流ドローンを製造している主要なメーカー5社を紹介します。
ACSL(Autonomous Control Systems Laborator)
ACSLは、自律制御システム研究所(Autonomous Control Systems Laboratory)の略称で、2013年に設立されました。最先端の自律制御技術を活用し、様々な産業分野向けのドローンソリューションを提供しています。
物流ドローンとしては、 小型・軽量で都市部での配送に適した【ACSL-PF1】、より大型で、長距離輸送が可能な【ACSL-PF2】、重量物の運搬に特化した高性能タイプの【ACSL-PF3】などの製品があります。
DJI(ディージェーアイ)
DJIは、2006年に中国で設立された企業です。ドローン技術のイノベーションをリードし、高品質かつ使いやすい製品で知られています。
提供しているのは、空撮、映像制作、農業、測量、そして物流など、様々な分野に対応したドローンソリューションです。製品としては、 大型の荷物を運搬できる最新の物流ドローン【DJI FlyCart 30】などがあります。
セブントゥーファイブ(Seven
to Five)
セブントゥーファイブは、ドローンや顔認証技術の活用を通じて社会の発展に貢献することを目指している企業です。
コスト削減、業務の効率化・少人化、安全性の向上を、ドローンソリューションによって支援しています。
開発・提供しているドローンとしては、 屋内点検用小型ドローン、 配管内点検用ドローンのほか、災害時の使用を想定して開発された音声機能付きドローン【 AIR HOPE AX-2601】があります。
マゼックス(mazex)
マゼックスは、大阪府東大阪市に本社を置く産業用ドローンの開発・製造会社です。創業10年以上の実績を持ち、農業・林業・電設・運搬など様々な分野で使用される産業用ドローンを提供しています。
国内メーカーとしての強みを活かし、農業用ドローン、林業用ドローン、電設用ドローン、運搬用ドローンなど、日本の現場で使いやすい製品開発に注力しています。
エアロネクスト(AERONEXT)
エアロネクストは、物流ドローンを中心に開発・製造を行っています。移動するドローン、空飛ぶロボットに必要不可欠な機体構造設計技術「4D GRAVITY」の発明でも知られている企業です。
高度な技術を駆使して、効率的な物流システムを提供し、持続可能な未来を目指しています。長距離飛行型ドローンを主に製造しており、前出のACSL社と共同開発した物流専用ドローン【AirTruck】などがあります。
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