モバイルロボット
モバイルロボットは、今や物流や製造業、さらには医療現場まで幅広い分野で活躍しており、作業の効率化や安全性の向上に貢献しています。
機体自体が動く能力を持ち、荷物の運搬や在庫管理、さらには人手不足の解消に大きな力を発揮するモバイルロボットは、企業の生産性を飛躍的に高める存在となりつつあります。しかし、どれが最適なのか、導入にはどんなポイントを押さえるべきなのか、悩む企業も多いかもしれません。
この記事では、モバイルロボットの種類や特徴をわかりやすく解説し、さらにおすすめのメーカーをご紹介。あなたのビジネスに最適なモバイルロボット選びがきっとできるようになります。ぜひご一読ください。
目次
モバイルロボットとは?特徴や活用例などを解説
モバイルロボットは、移動する機能を持つロボットの総称であり、主に工場や物流センター、商業施設などで利用されています。特定のルートに沿って移動したり、自律的に決定したルートに沿って移動したりすることで、荷物の運搬や搬送、または在庫管理などの作業を自動化するために設計されています。
モバイルロボットには、その多くに地図作成やナビゲーション技術を活用して効率的に目的地へ移動する機能が備わっており、作業環境を最適化するために不可欠な存在となりつつあります。
活用例としては、製造業における部品供給、倉庫でのピッキング作業、病院内での薬剤の運搬などが挙げられます。モバイルロボットは、作業効率を高めるだけでなく、労働力の不足に対応するためにも重要な技術です。
AMRなどモバイルロボットに含まれるような種類を解説
この章では、モバイルロボットに含められるロボットのタイプを、メリット・デメリットと共に解説します。モバイルロボットは自律的かどうかに限らず、機体を移動する機能を有するロボット全般の総称です。
機体を移動できるという点で共通している一方、移動する環境(陸、海、空など)や技術的な特徴において異なった種類のロボットがあります。使用する環境や目的に応じて相応しいモバイルロボットを選ぶことが重要です。
AMR
AMR(Autonomous Mobile Robot)は、完全に自律的に動作するモバイルロボットの一種で、主に倉庫や工場での物流作業に使用されます。AMRは、周囲の環境を感知するためにセンサーやカメラを使用し、障害物を避けながら移動することができます。これにより、作業効率を大幅に向上させ、人的エラーを減少させることが可能です。
AGV
AGV(Automated Guided Vehicle)は、決められたルートを沿って自動的に物品を搬送するロボットです。一般的に、AGVは、工場内や倉庫内で使用され、床面に設置されたガイドラインに従って移動します。特定の作業を繰り返し行う場合に非常に効率的です。
UGV
UGV(無人地上車両:Unmanned Ground
Vehicle)は、地面を移動する自律型ロボットで、主に工場や倉庫内での物品の搬送や災害救助などに使用されることが多いです。UGVは、移動の際に安定性が高く、重い荷物や複雑な作業を効率的にこなします。これらは一般的に高い耐久性と精度を誇り、重い物品を運搬する用途に特化したモデルもあります。
配送ロボット
配送ロボットは、主に物品を指定された場所へ運ぶ自律型ロボットで、都市部や商業施設、病院などでの配送業務を自動化するために使用されています。これらのロボットは、歩道や専用の道路を走行し、荷物を指定された場所に届けることができます。配送ロボットは、小型設計であることが多いため、狭い場所や混雑したエリアでも移動が可能です。
UAV
UAV(ドローン: Unmanned Aerial Vehicle)は、空中を飛行できるロボットの一種で、主に空間が広がる作業環境において使用されます。物流業界や点検業務での利用が進んでおり、高所での作業が求められる場面では非常に役立ちます。UAVの設置や調整、運搬など、柔軟性があり、バッテリー性能や搭載された通信技術の制限以内であれば、広範囲にわたる作業の自動化に有効です。
AUV
水中ロボット、特にAUV(Autonomous Underwater Vehicle)は、水中での自律的な移動が可能なロボットの一種です。主に海洋調査や水質調査、海底ケーブルの点検など、厳しい水中環境での作業に使用されます。概査用途でよく使用されます。ミッションを実行するために専用のセンサーやカメラを搭載することが多いです。
モバイルロボットの選び方|導入の際の比較ポイント
モバイルロボットなどの産業用ロボットを導入する際は、多くの場合でSIerに依頼することになります。しかし、相談する段階で基礎的な知識を欠いていると、円滑な導入が難しくなる恐れがあります。そこで本章では、モバイルロボット導入を検討する際に押さえておくべき重要な比較ポイントを整理しました。
運搬物や環境
モバイルロボットの選定において、運搬する物の種類やサイズ、走行環境、負荷容量、運用時間を考慮することが重要です。たとえば、工場内でのレイアウトや移動する物の重量、作業の頻度、必要な精度や速度などが選定の決定要因となります。
これらを考慮せずに選択すると、ロボットの性能不足により稼働率が低下し、工場内での交通渋滞やトラブルが増えるリスクがあります。そのため、特に複雑な作業環境や高い安全基準が求められる状況では、この選び方が非常に重要です。
適切な選定を行えば、モバイルロボットの運用効率が向上し、人的作業負担の軽減や安定した運用が実現できます。結果として、工場全体の生産性向上が期待できるでしょう。
障害物や床の状態など
モバイルロボットの比較のポイントとして、移動経路の障害物や床の状態、そしてロボットの自律的なナビゲーション能力を重視することも大切です。特に、工場内の床に凹凸や滑りやすい部分が多く、障害物が散在している場合、ロボットのセンサー性能やナビゲーション技術(SLAMなど)が鍵となります。
この要素を無視すると、ロボットが誤作動を起こし、運行中に停止・衝突を繰り返す可能性があります。こうした衝突などが続くと、生産ラインに支障をきたす恐れもあるため、環境にあった選定が求められます。特に障害物が多く、高精度なナビゲーションを要求される状況では、この選び方が不可欠です。
適切なロボットを選ぶことで、効率的な物流や作業フローが確保され、トラブルが少ない安定した運用が可能になります。
メンテナンス体制など
メンテナンス頻度やサポート体制、故障時の対応が整っているかを確認することも重要です。
ロボットが故障した場合、復旧に時間がかかると稼働停止によるダウンタイムが増え、その結果、全体の生産効率が落ちてしまいます。ロボットの耐久性や可用性を保証するサービス契約の内容、日常的なメンテナンスの容易さやコストも考慮すべき要素です。特に、24時間稼働を求められる環境や高頻度で使用されるラインでは、このポイントを念入りに検討する必要があります。
適切なメンテナンス体制やサポートが充実していれば、長期的に安定した運用が可能となり、予期しないトラブルを抑えられ、働率を高く保つことができます。
JET-Global編集部がおすすめするモバイルロボットメーカー
ここでは、モバイルロボットを開発・製造しているおすすめのメーカーを紹介します。モバイルロボットの導入は検討しているけれども、どんなメーカーのだと適切なのかわからないなど、基本的な情報を持ち合わせていないときは、こちらをご参照ください。
モバイル・インダストリアル・ロボット / Mobile Industrial Robots
会社名 | モバイル・インダストリアル・ロボット / Mobile Industrial Robots |
設立年 | 2013年 |
本社 | デンマーク オーデンセ |
概要 | 自律移動型ロボット(AMR)の開発・製造を行うメーカー |
モバイル・インダストリアル・ロボットは、レーザ SLAM と上部カメラによる自己位置推定に Fleet Manager で最大 100 台を協調制御し、工具レスで交換できる豊富なトップモジュールと最新安全規格(ISO 3691-4)準拠の設計で、レイアウト変更なしに多様な搬送フローを即座に最適化できる点を強みとするモバイルロボットメーカーです。
同社のモバイルロボットである「MiR250」は、580 × 800 mm の小さなフットプリントに 250 kg 可搬と 2.0 m/s の走行速度を凝縮し、80 cm幅の通路やエレベーターも自律走行できる高機動性と、17.5 時間連続稼働・10 分急速充電対応の高稼働率が特徴です。
同製品は、自動車・電子機器工場での部品供給、食品・日用品の倉庫配送、医薬・クリーンルームでの無人搬送など 製造・物流・ライフサイエンス各業界の内部物流ラインに幅広く導入されています。
ギークプラス / Geek+
会社名 | ギークプラス / Geek+ |
設立年 | 2015年 |
本社 | 中国 北京 |
概要 | 自律移動型ロボット(AMR)を中心とした物流ロボットソリューションのメーカー |
ギークプラスは、AI 制御の棚搬送・仕分け・パレット搬送など多彩なモバイルロボットを開発し、世界 40 カ国以上で 770 社超の物流/製造現場に導入される実績を持つメーカーです。
代表的な製品には、PopPickシリーズやRoboShuttleがあります。これらのロボットは、特に吸盤技術を採用しており、限られたスペースでも高密度な保管が可能です。柔軟性と高密度収納が強みで、効率的な物流管理を実現します。
同製品は、世界シェアで首位を誇り、特に小売やEC、アパレル業界などで活用されています。
ラピュタロボティクス / Rapyuta Robotics
会社名 | ラピュタロボティクス / Rapyuta Robotics |
設立年 | 2014年 |
本社 | 東京都江東区平野4-10-5 |
概要 | クラウドロボティクス基盤を活用した物流向け自律移動ロボット(AMR)のメーカー |
ラピュタロボティクスは、クラウドロボティクス基盤を活用し、物流向けのAMRの開発・製造を行っています。
提供するモバイルロボットには、ラピュタPA-AMRシリーズがあります。群制御技術とAIを活用し、効率的な物流作業を支援します。複数のロボットがリアルタイムで位置やタスクを最適化することで、物流のスムーズな運営が可能です。特に群制御技術を駆使して複数台のロボットを効果的に管理する点が特徴です。この技術により、複雑な物流プロセスを効率的に管理することができます。
同製品は物流業界、医薬品業界、小売業界などで導入され、効率化やコスト削減に貢献しています。
クーカ / KUKA
会社名 | クーカ / KUKA |
設立年 | 1898年 |
本社 | ドイツ アウクスブルク |
概要 | 産業用ロボットメーカー |
クーカは、SLAM + 3D カメラによる安全自律走行と最大 3 t クラスまで拡張できるモバイルプラットフォーム(KMP シリーズ)をそろえ、軽量協働ロボットと組み合わせた KMR iiwa まで含めて搬送+作業を同一フリートで協調制御できる柔軟性を強みとするモバイルロボットメーカーです。
同社のモバイルロボットである「KMP 1500P diffDrive」は、1.5 t 可搬ながら 580 × 1240 mm のコンパクト車体に全方位移動・差動駆動を備え、SLAM ナビゲーションと 3Dカメラによる安全監視で人やフォークを回避しつつ 24 時間インダクティブ充電で無停止運用できる点が特徴です。
同製品は、自動車ボディ溶接ラインの部品供給や電子機器・一般製造業の工程間搬送、倉庫・物流センターのパレット配送など、自動車・電子機器・物流/製造業全般の内部物流に導入されています。
※JET-Globalの問い合わせフォームに遷移します。
※一部メーカーとは正式な提携がない場合がありますが、ユーザーの皆さまに最適なご案内ができるよう努めています。
モバイルロボットのカタログ
モバイルロボット関連記事
モバイルロボット関連記事はまだありません。