多関節ロボット

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多関節ロボットは、製造業や産業の現場で活躍する重要な技術で、複数の関節を持つ柔軟な動きが特徴です。導入すると、精密な作業や危険な環境での作業代行が可能となり、安全性と生産性が向上します。特に、精密な組立や搬送作業、自動車業界や医療分野での活用が目立つのが、この多関節ロボットです。

しかし、多関節ロボットはいくつか種類に分けることができ、それぞれ異なる特性を持っているのをご存じでしょうか。この記事では、多関節ロボットの特徴、活用例や種類ごとのメリット、デメリットを説明します。また、選ぶ際の選び方も解説しているため、以上を踏まえたうえでメーカーを選ぶことで、貴社に相応しい多関節ロボットを導入できる見込みが高まるでしょう。導入を検討している方はぜひご一読ください。

また、JET-Globalでは実際に、多関節ロボットの導入支援も行っております。

ロボットの専門家による製品の選定から補助金の活用、ロボット研修による社内人材の育成まで、多関節ロボット導入をあらゆる面からサポートいたします。

「一度ロボットを触ってみたい」「こんな自動化ができるか知りたい」などの軽い相談も可能です。

相談は無料ですので、関心のある方は以下のサービス詳細をご覧ください。

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目次

多関節ロボットとは? 特徴や活用例などを解説

多関節ロボットの概要と活用例

多関節ロボットは、複数の関節を持つロボットで、産業や製造業で幅広く活用が可能です。これらのロボットは、人間の腕と似た構造を持ち、複雑な動作を行うことができます。多関節ロボットの特徴としては、高精度な操作、柔軟な動き、効率的な作業が挙げられるでしょう。

例えば、自動車産業や電子機器の組立などで使用されていますが、それも多関節ロボットであれば繰り返し作業を正確にこなしてくれるためです。また、人間が危険な場所で作業する代わりに、多関節ロボットがその作業を代行することで安全性が向上します。最近では、医療分野でも手術支援ロボットとして活躍するなど、多様な場面で利用されています。

多関節ロボットを種類ごとにメリット・デメリットを解説

多関節ロボットの種類ごとメリット・デメリット

この章では、多関節ロボットの主要な3つについて、メリット・デメリットと共に解説します。多関節ロボットは複数の関節を持つロボットの総称です。軸数や関節の可動方向などによって種類を分けることができます。

垂直多関節ロボット

垂直多関節ロボットは、直立したアームに複数の関節を持つロボットで、特に重い物を持ち上げたり、上下方向に動かしたりする作業に適しています。このタイプのロボットは、高い可搬重量や広い作業範囲が特徴です。

垂直多関節ロボットのメリット

  • 広い可動範囲と高い可搬重量が得意
  • 複雑な作業を精密に行える
  • 狭い場所での作業にも対応可能

垂直多関節ロボットのデメリット

  • 空間的に高さが必要で、設置場所を選ぶことがある
  • 可搬重量が大きい分、ロボット自体が重くなる
  • 高精度な位置決めが求められるため、制御が難しい場合がある

垂直多関節ロボットについて、詳細は以下の記事をご覧ください。

水平多関節ロボット(スカラロボット)

水平多関節ロボットは、水平面で動作するロボットで、特に搬送作業や軽量物の取り扱いに適しています。このタイプは、直線的な動きに強く、製造ラインでよく使用されます。

水平多関節ロボットのメリット

  • 水平方向の動きに限って、広い作業範囲を確保できる
  • 軽量物の搬送に特化している
  • 単純な動作が得意で、効率的な作業が可能

水平多関節ロボットのデメリット

  • 可動範囲が限られるため、大きな作業には不向き
  • 精密な作業には向かないことがある
  • 特定の作業に特化しているため、汎用性が低い

水平多関節ロボット、スカラロボットについて、詳細は以下の記事をご覧ください。

協働ロボット

協働ロボットは、アセスメントを行ったうえで人間と共に作業を行うことができるロボットで、安全性を重視した設計がされています。これらのロボットは、人間との接触を前提として動作し、柔軟な動きと精度で人間の作業をサポートします。作業環境に応じて、アームの力を制限したり、動作の速度を調整することができます。

協働ロボットのメリット

  • 人間と同じ作業エリアで共存できる
  • 安全設計が施されており、事故を防止できる
  • 柔軟な運用が可能で、様々な業務に対応できる

協働ロボットのデメリット

  • ほかのロボットと比較して性能が劣る場合がある
  • 重作業や大規模な作業には不向き
  • 価格が高めで、投資に慎重になることがある

協働ロボットについて、詳細は以下の記事をご覧ください。

世界シェアの大きい多関節ロボットメーカーランキング

世界シェアの大きい多関節ロボットメーカーランキング

多関節ロボット市場には、世界的に影響力を持つ大手メーカーが多数存在します。これらのメーカーは、技術力や生産能力において競い合いながら、さまざまな業界のニーズに応えています。以下は、現在の多関節ロボット市場でシェアを有する主要なメーカーのランキングです。(2025年7月時点)

1. ABB

ABBはスイスの企業で、世界中で多関節ロボットのリーダーとされています。特に自動化ソリューションに強みを持ち、産業界で幅広い分野に対応したロボットを提供しています。

2. ファナック

ファナックは日本の企業で、ロボット技術のパイオニアとされています。産業ロボット市場において高いシェアを持ち、特に精密作業や繰り返し作業に適したロボットを多く提供しています。

3. KUKA

KUKAはドイツの企業で、産業用ロボットの先進的な技術を提供しています。自動車産業を中心に広く導入されており、高度な精密加工を必要とする作業に特化したロボットを扱っているのが強みです。

ティーチングの方法|多関節ロボットの特異点についてなど

多関節ロボットのティーチング方法

多関節ロボットのティーチングとは、ロボットの動作をプログラムするプロセスで、実際の作業をシミュレートして動きを学習させることです。この作業を行うことで、ロボットが特定の作業を繰り返し正確に行えるようになります。

ティーチング方法には、従来の手動でのティーチング、プログラミングソフトを使用したティーチングなどがあります。近年では、より直感的で簡単に操作できるインターフェースを備えたティーチング方法も登場しており、初心者でも容易に操作が可能です。

ただし、多関節ロボットのティーチング方法として最適なのはいくつか種類が存在するオフラインティーチングのうち、シミュレーションソフトウェアを使用したティーチングであると言われています。衝突、干渉などの検証を3Dによって視覚化して行うことができるためです。

多関節ロボットのティーチングにおいて重要なのは、動作の精度を高めることです。ロボットは正確な位置決めが必要なため、微細な誤差が生じないよう注意しながらティーチングを行う必要があります。また、ロボットが特異点(関節が極端な角度を取る状態)に達した際の動作を避けるためには、事前にシミュレーションを行うことが有効です。

多関節ロボットの選び方|比較する際のポイントを解説

多関節ロボットの選び方

多関節ロボットなどのロボットを導入する際には、基本的にSIerに依頼をすることが多いです。そのため、多くの人が基本的な知識がなくとも問題ないと判断しがちですが、相談するにあたって基本的な知識があるのとないのでは円滑な導入などに大きな影響が発生します。この章では、SIerとの連携がうまくいくような前提知識をいくつか解説します。

作業範囲、精度、負荷能力、動作速度、耐久性、インターフェースの互換性

作業範囲、精度、負荷能力、動作速度、耐久性、そしてインターフェースの互換性といった要素を適切に検討することが不可欠です。これらの項目は、実際の作業内容(例えば組み立て、溶接、塗装など)や設置される作業環境の条件(温度、湿度、粉塵の有無など)、さらにはロボットが担う可搬重量や動作速度、使用頻度など多様な要因によって左右されます。

以上の項目を検討していないと、作業精度の低下や、ロボットが必要な範囲で正常に動作しないといった問題が生じる恐れがあります。加えて、機器の故障リスクが高まり、修理やメンテナンスにかかるコストが増加する可能性も考えられます。とりわけ、複雑な工程で高精度が求められる場合や、高温多湿、粉塵が舞うといった過酷な環境下での運用が想定される場合に、この比較ポイントが重要です。

適切な選定を行えば、生産性の向上、停止時間の短縮、さらには保守コストの低減といった効果が期待できます。

ロボットの可動軸数やアームの構造

可動軸数やアームの構造が直線的か曲線的かといった点を検討し、必要な動作の自由度と操作性を満たす仕様のロボットを選ぶことも重要です。この選定は、対象となる作業の複雑さ(多軸の動きが必要かどうか)、作業空間の形状、ロボットがアクセス可能な範囲、さらには作業対象物のサイズや形状といった要因に依存します。

これらを適切に検討せずにロボットを選定すると、想定される動きに対応できず、作業効率が低下する可能性があります。また、操作が複雑になり、従業員へのトレーニングに余計な時間やコストがかかるリスクも生じます。

一方で、適切なロボットを選定すれば、必要な自由度を確保しつつ複雑な動作にも対応できるため、効率的かつ高精度な作業の実現が可能となります。

特にロボットが限られたスペース内で稼働する必要がある場合や、精密な動きが要求される工程において、この項目の検討優先度が高くなります。

ロボットの制御システムやプログラムの柔軟性、カスタマイズ性

制御システムやプログラムの柔軟性、さらにカスタマイズ性を考慮し、将来的な生産ラインの変更や拡張に対応可能な機種を選定することが重要です。この判断は、製造プロセスの変更頻度、新しい製品ラインへの対応力、さらにほかの機器やシステムとの連携能力といった要因に基づいて行う必要があります。

これらを考慮せずにロボットを選んでしまうと、システムのアップデートや生産ラインの再構成が必要になった際に対応できず、結果として追加投資やシステムの再構築が発生し、コスト負担が増加する可能性があります。

一方で、柔軟性とカスタマイズ性に優れたロボットを選定することで、将来的な生産ラインの変更や新規プロジェクトにも迅速に適応でき、長期的な視点で見たときにコスト面でも効果的な運用が期待できます。今後の製品バリエーションの拡大や新製品の投入が計画されている企業にとっては、特に重視すべき判断項目です。

JET-Global編集部おすすめの日本の多関節ロボットメーカー

多関節ロボットの日本のメーカー

多関節ロボットを開発・製造するメーカーの世界シェアについては上記で説明しましたが、ここでは、特に日本のメーカーに焦点を絞っていくつか紹介します。多関節ロボット導入を検討する際の補助情報として活用してください。

また、JET-Globalでは、多関節ロボット活用した生産ラインの自動化支援も行っております。

ロボットの導入成功まで専門家がサポートいたします。相談は無料ですので、ぜひ以下よりサービス詳細をご覧ください。

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ファナック / FANUC

会社名 ファナック/FANUC
設立年 1972年
本社 山梨県南都留郡忍野村忍草3580
概要 FA機器、ロボットのメーカー

ファナックは、世界累計100万台超のロボット出荷実績と、CNC・サーボを自社で一体開発する制御技術を背景に、可搬0.5 kgから2,300 kgまで網羅する最大級のラインアップとグローバルサポート網を強みとするメーカーです。

同社の多関節ロボットである「R-2000iC/210F」は、210 kgの高可搬と最大2,655mmのリーチを6軸スリムリストに凝縮し、スポット溶接から重量物ハンドリングまで高い汎用性とIP54/IP67オプションによる耐環境性を兼ね備える点が特徴です。

同製品は、自動車業界の車体スポット溶接ラインを中心に、金属加工や一般製造業の重量物搬送工程など幅広い産業に導入されています。

川崎重工業 / Kawasaki Heavy Industries

会社名 川崎重工業 / Kawasaki Heavy Industries
設立年 1896年
本社 東京都港区海岸1丁目14-5(東京本社)
兵庫県神戸市中央区東川崎町1丁目1番3号 神戸クリスタルタワー(神戸本社)
概要 重工業・産業用ロボットの大手メーカー

川崎重工業は、可搬 0.5 kg から 1,500 kg までを網羅する多関節ロボットラインアップとグローバル SIネットワークを擁し、高剛性・高精度設計とシステム統合を一貫して提供できる総合力を強みとするメーカーです。

同社の多関節ロボットである「RS007N」は、7 kg 可搬・730 mm リーチを 35 kg のコンパクトボディに収め、クラス最速クラスの軸速度と ±0.02 mm の繰返し精度、さらに IP67相当の手首保護を備えて組立・ハンドリング工程を高密度ラインでも高速化できる点が特徴です。

同製品は、電子機器や食品などコンパクトロボット需要の高い業界をはじめ、自動車部品組立や一般製造業のマテリアルハンドリング・機械加工ラインに広く導入されています。

三菱電機 / Mitsubishi Electric

会社名 三菱電機 / Mitsubishi Electric
設立年 1921年
本社 東京都千代田区丸の内2-7-3 東京ビル
概要 インフラ、自動車機器、ロボット, 半導体、ビル、家電などのメーカー

三菱電機は、CNC・サーボ・PLC など自社 FA 製品とシームレスに連携する MELFA 多関節ロボットを世界市場へ展開し、制御技術と総合 FA プラットフォームを一体で提供できる開発・サポート体制 を強みとするメーカーです。

同社の多関節ロボットである「MELFA RV-8CRL」は、最大可搬 7 kg・リーチ 931 mm の6軸スリムアームに ±0.02 mm の繰返し精度を備え、ベルトレス伝達とエンコーダの バッテリーレス設計により保守負荷を低減しつつ、低コストで汎用ハンドリングや組立工程に導入できる点が特徴です。

同製品は、電子機器・精密部品の高速度組立や一般製造業のマテリアルハンドリング工程など、電子/電機・自動車部品・汎用機械製造の各業界に導入されています。

デンソーウェーブ / DENSO WAVE

会社名 デンソーウェーブ/DENSO WAVE
設立年 1976年
本社 愛知県知多郡阿久比町大字草木字芳池1番
概要 オートID、ロボット、制御機器などのメーカー

デンソーウェーブは、トヨタグループで鍛えた量産立ち上げ力を背景に、グローバルへ高信頼・高稼働の多関節ロボットを提供できる強みを持つメーカーです。

同社の多関節ロボットである「VM-6083」は、最大可搬 13 kg・リーチ 1 021 mm を6軸スリムボディに収め、0.89 秒サイクルと ±0.05 mmの繰り返し精度を両立しつつ、IP65(本体)/IP67(手首)やクリーンルーム ISO 5 オプションで厳しい環境にも対応できる点が特徴です。

同製品は、自動車電子部品の組立・マシンテンディング、半導体/電子機器のハンドリング、一般機械加工ラインの重量部品搬送など 自動車・電子部品・一般製造業 の工程に導入されています。

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