検査ロボット

検査ロボット

製造業の現場で品質を確保するために欠かせない存在となっている「検査ロボット」。製品や部品が設計通りであり、品質基準を満たしているかを自動でチェックするその技術は、効率的で高精度な品質管理を実現します。

しかし、どのような検査手法があるのか、どの検査ロボットを選べば良いのかといった疑問も多いはずです。

そこで当記事では、検査ロボットの仕組みや活用事例から、種類や選び方までを詳しく解説します。また、記事後半では検査ロボットのおすすめメーカーの紹介もします。

当記事を読むことで、あなたの製造ラインの品質管理をさらに強化し、効率化できるヒントが得られるでしょう。

目次

検査ロボットとは? 仕組みや活用事例を解説

検査ロボットとは? 仕組みや活用事例を解説

検査ロボットとは、製品や部品が設計通りであるか、品質基準を満たしているかを自動で確認するために、製造工程内で使用されるロボットです。

検査ロボットは、基準や規格に適合しているかをチェックすることに特化しており、外観検査や寸法測定、さらには非破壊検査など、さまざまな検査手法を用いて製品の品質を保証します。

検査ロボットの仕組みは、主にカメラ、センサー、3Dスキャナー、X線、超音波などの技術を活用して、製品の状態を正確に測定し、規定の基準に合致しているかを自動で判断します。

さらに、AIや機械学習が加わることで、欠陥パターンの認識や異常検知の精度が上がり、人間では難しい検査・判定を実現可能です。

活用事例としては、電子機器の製造ラインや自動車部品の検査などが挙げられます。

例えば、外観検査ロボットは、製品に傷や欠陥がないかをチェックし、寸法測定ロボットは部品の正確なサイズを測定します。また、非破壊検査ロボットは、X線や超音波を用いて内部の欠陥を検出可能です。

検査ロボットの定義や活用事例が分かったところで、次は種類を見ていきましょう。

検査ロボットは3種類に分けられる

検査ロボットは3種類に分けられる

本章では、検査ロボットの種類を紹介します。検査ロボットは「対象の何を検査するか」によって3種類に分けられ、それぞれ活用する技術が異なります。

外観検査ロボット

外観検査ロボットは、カメラや3Dスキャナを用いて、製品の外部に傷、ひび、汚れ、色むらなどの欠陥が無いかを自動で検査するために使用されます。特に、精度が要求される製品においては、外観検査ロボットの導入により、高い品質管理が実現できるでしょう。

外観検査ロボットのメリット

  • 高精度で細かな欠陥を検出可能
  • 目検による外観検査に比べ、均一で再現性のある検査ができる
  • 製造ラインのスピードに合わせてリアルタイムで検査が行える

外観検査ロボットのデメリット

  • 複雑な形状や特殊な素材の製品には対応が難しい場合がある
  • 高精度なカメラやセンサーの設置が必要で、初期投資が高い傾向にある
  • 環境や照明条件によって精度が影響を受けることがある

外観検査ロボットについてより詳しく知りたい方は、外観検査ロボットに特化した以下の記事をご覧ください。

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寸法測定ロボット

寸法測定ロボットは、製品の寸法が設計通りであるかを正確に測定するために使用されます。これには、レーザー測定や高精度測定器、3Dスキャナなどが活用され、製品の形状やサイズが仕様に合致しているかを自動で確認します。

寸法測定ロボットのメリット

  • 微細な寸法のズレも正確に検出できる
  • 一貫した品質管理が可能で、製品の精度を高める

寸法測定ロボットのデメリット

  • 高精度な機器の導入にコストがかかる
  • 製品が極端に複雑な形状をしている場合、正確な計測が困難になることがある
  • 測定のための準備時間が必要になる場合がある

寸法測定ロボットについてより詳しく知りたい方は、寸法測定ロボットに特化した以下の記事をご覧ください。

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非破壊検査ロボット

非破壊検査ロボットは、X線や超音波などを使用して、製品や部品の内部に潜む欠陥や異常を自動で検査するために使用されます。非破壊検査ロボットは、製品を壊すことなく、内部の状態を正確に確認できるため、特に外部の構造と内部の構造が異なる場合に重宝されます。

非破壊検査ロボットのメリット

  • 製品を破損せずに内部の欠陥を検出できる
  • 材料や部品の品質を評価できる

非破壊検査ロボットのデメリット

  • X線や超音波機器の導入コストが高い
  • 高度な技術や専門的な知識が必要となる
  • 検査対象物の厚さや材質によっては検出精度が低下する場合がある

非破壊検査ロボットについてより詳しく知りたい方は、非破壊検査ロボットに特化した以下の記事をご覧ください。

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以上が、検査ロボットの種類です。さて、検査ロボットと似た概念として点検ロボットというものも存在します。これらはどの様に違うのか、次章で見ていきましょう。

点検ロボットと検査ロボットの違いを解説

点検ロボットと検査ロボットの違いを解説

結論、検査ロボットと点検ロボットの違いは明確には決まっていません。どちらも、ある基準に基づいて対象物がその基準を満たしているかを、カメラや3Dスキャナ、X線などの技術を使って自動で調べるロボットで、会社や人によってどちらの言葉を使うかは分かれます。

しかし、市場にも一定の傾向は存在し、検査ロボットは、外観検査ロボットや非破壊検査ロボットなどがあるように「対象物の何を調べるか」に焦点が当たることが多いです。

また、「検査ロボット」という言葉は、製造工程の中に組み込まれ対象物が品質基準などの「完成水準」に達しているかを調べる際によく使われます。

一方点検ロボットは、インフラ点検ロボットや橋梁点検ロボットなど「どれを調べる対象物とするか」にフォーカスが当たること多く、製造が終わり完成水準に達していた対象物に「異常がないか」を調べる際に使われる傾向があります。

以上より、JET-Globalでは、検査ロボットと点検ロボットを以下のように定義して、使い分けています。

検査ロボットと点検ロボットの定義

  • 検査ロボット
  • 製造工程の中で、製品が品質基準を満たし、設計通りに完成しているかを調べるロボット。

  • 点検ロボット
  • 製造ライン外にて、対象に異常がないかや劣化度合いを調べるロボット。

以上が、検査ロボットと点検ロボットの違いと定義です。次章では検査ロボットの選び方を解説するので、自社で製品を選ぶ際の参考にしてください。

品質管理の水準を上げて効率化するための選び方を解説

品質管理の水準を上げて効率化するための選び方を解説

本章では、検査ロボットの選び方を解説します。先述した通り、検査ロボットには様々な種類があるため、自社の目的にそぐわない製品を選ぶと、思うように品質管理を改善できません。

本章を読んで、自社の理想の品質管理に近づけるよう検査ロボットを選べるようにしましょう。

検査対象の欠陥や不良の種類に応じた検出手段の選定

検査ロボットの選び方として、まず検査対象の欠陥や不良の種類に応じた検出手段を選定することが重要です。選択する検出手段は、製品の材質、形状、そして対象の何を検査したいかによって変動します。

例えば、外観の欠陥をチェックする場合、画像処理や3Dスキャナを使用することが一般的です。一方、内部の欠陥を検出する場合は、X線や超音波を使用することが多いです。

適切な検出手段を持った検査ロボットを選ばないと、目に見える不良や内部の問題を見逃し、品質トラブルに繋がる可能性があります。例えば、外観の欠陥を画像処理で検出しようとした場合、複雑な形状や特殊な素材の製品には適していないことがあります。

特に高付加価値製品や安全基準が厳しい業界(医療機器や航空部品など)では、検出手段の選定が重要です。

適切な検出手段の検査ロボットを選定することで、見逃しを最小限に抑え、精度の高い検査が実現し、品質管理が強化されるでしょう。

搬送方法やライン構成に応じた検査方式の選定

検査ロボットを選定する際には、検査対象物の搬送方法やライン構成に応じて、インライン、ニアラインなどの、どの検査方式を採用するかを選ぶことが重要です。

この選択は、現在の製造プロセス、タクトタイム、スペース制約、搬送機構の有無に影響されます。たとえば、ライン上で直接検査を行うインライン方式は、製造プロセスに組み込むことで効率的に品質管理を行えるため、製造速度を落とさずに品質保証が可能です。

もし、適切な検査方式の検査ロボットを選ばなければ、検査ボトルネックが発生し、生産ラインに遅延が生じるだけでなく、再設計コストがかかることになりかねません。この問題は、すでに確立されたラインに検査ロボットを後付けで導入する場合に特に重要です。

適切な検査方式を選定することで、製造ラインに自然に検査ロボットを組み込むことができ、生産フローを中断することなく品質保証を強化できるでしょう。

AI・機械学習を活用した不良判定の自動化

検査ロボットによる不良品判定の自動化を効率化するためには、AIや機械学習による判定アルゴリズムの導入が効果的です。検査対象の外観にばらつきがある場合や不良の定義があいまいな場合、AIは学習データを基にして不良品を高精度に判定できます。

この際、十分な学習データが必要となり、学習データの量と質がアルゴリズムの精度に直接影響を与えます。

もし現在、人による目検やAIを活用していない(もしくは精度の低いAI)システムで検査を行っていて、検査の精度に満足が言っていない場合は、検査ロボット導入の際に、より精度の高いAIを活用している製品を選ぶことをおすすめします。

AIや機械学習を活用した検査ロボットを導入することで、目視では判断が難しいグレーゾーンの不良も安定して検出でき、より一貫した品質管理が実現します。これにより、不良品を排除し、品質の安定性を向上させられるでしょう。

以上が、検査ロボットの選び方です。選び方が分かったところで次は、検査ロボットのメーカーを見ていきましょう。

おすすめの検査ロボットメーカー・SIerを紹介! 各社の特徴を比較

おすすめの検査ロボットメーカーを紹介! 各社の特徴を比較

本章では、JET-Globalがおすすめする検査ロボットのメーカーやSIerを3社ピックアップして紹介します。気になるメーカーがいる場合は、ページ下部の問い合わせボタンより、まずはJET-Globalにお問い合わせください。

FAプロダクツ/FA Products

メーカー名 FAプロダクツ/FA Products
設立年 2011年
本拠地 東京都港区
概要 製造業向けスマートファクトリー化支援およびFA装置の開発・導入を行う

FAプロダクツは、2011年に設立された、製造業向けのスマートファクトリー化支援およびFA装置の開発を手掛けるSIerです。東京都港区に本拠を構えており、AIやセンサー技術を活用した外観検査などの自動化ソリューションを提供しています。

FAプロダクツは、「画処ラボ」を運営しており、事前検証から装置化まで一貫対応可能です。これにより、導入前の検証や最適化が行いやすく、現場での運用に合わせたカスタマイズが容易です。

そして、FAプロダクツは自動車部品や電子機器製造などの業界で多く利用され、これまでに400社以上の取引実績があります

ダイヘン/DAIHEN

メーカー名 ダイヘン/DAIHEN
設立年 1919年
本拠地 大阪府大阪市
概要 溶接機器、産業用ロボット、クリーン搬送ロボットなどを手掛ける総合FA機器メーカー

ダイヘンは、1919年に設立され、大阪府大阪市に本拠地を構える溶接機器、産業用ロボット、クリーン搬送ロボットなどを手掛ける総合FA機器メーカーです。

特に、世界初のレーザ超音波法(LUT)を活用した非接触型検査技術を開発し、薄板溶接部の内部欠陥検出を可能にする高精度な検査システムを提供しています。

同社が提供する検査ロボット「溶接内部欠陥自動検出ロボットシステム」は、非接触型レーザ超音波法により、溶接直後の高温状態でも内部欠陥検査が可能であり、小さな対象物や曲面にも対応可能です。

自動車産業(特にEV車体軽量化に伴う薄板溶接部品)や足回り部品など幅広い分野で採用が進んでいます。

川崎重工業/Kawasaki Heavy Industries

メーカー名 川崎重工業/Kawasaki Heavy Industries
設立年 1896年
本拠地 東京都港区
概要 総合重工業メーカー

川崎重工業は、1896年に設立された、総合重工業メーカーです。東京都港区に本拠を置き、長年の産業用ロボット技術を活かして、高精度な外観検査や寸法測定を実現しています。

同社が提供する「外観検査システム」や「duAro」「Successor」などは、特に高速パルス出力機能を搭載しており、複雑な曲面形状の製品に対しても正確な外観検査が可能です。この技術により、製品の品質を高いレベルで保つことができます。

川崎重工業の検査ロボットの強みは、特に塗装品質や樹脂成型品の形状検査において優れたパフォーマンスを発揮する点です。これにより、従来の方法では難しかった形状や色むらの検出を精密に行うことができ、高い信頼性を提供します。

自動車、航空宇宙、電子機器製造など、幅広い分野で活用されており、特に塗装品質や樹脂成型品の形状検査で多く採用されています。