小売ロボット

小売ロボット

小売ロボットとは、店舗内の在庫管理や陳列、清掃、接客などの業務を自動化・支援するロボットで、近年ますます導入が進んでいます。

しかし、「どのロボットを選べばいいのか分からない」「価格や効果に見合うのか不安」と感じている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、小売ロボットの基本情報から導入メリット・デメリット、種類、価格、選び方、さらにはおすすめのメーカーまでを網羅的にご紹介します。

小売ロボットに関する疑問を解消し、導入を前向きに検討できるよう、ぜひ最後までご覧ください。

目次

小売ロボットとは? 活用事例も合わせて解説

小売ロボットとは? 活用事例も合わせて解説

小売ロボットとは、主に小売業における業務効率化や人手不足解消を目的に導入されるロボットの総称です。

具体的には、在庫管理や棚卸し、商品陳列、接客、清掃といった店舗運営の様々な作業を自動化または支援する機能を持っており、これまで人の手によって行われていた業務が、AIやセンサー技術を活用した小売ロボットによって最適化され、業務の正確性やスピードが向上しています。

また、国内外で導入が進んでおり、特に人手不足が深刻な中小規模の小売業で注目されています。

活用事例を紹介

たとえば、アメリカの大手スーパーマーケット「ウォルマート」では、商品棚の在庫をスキャンして補充の必要性を報告するロボット「Bossa Nova」が導入されています。また、日本国内では、ファミリーマートが自動陳列ロボットを導入し、夜間の作業効率を改善しました。

このように、小売ロボットは店舗ごとに異なる課題に応じて多様な形で活躍しており、今後さらに活用の幅が広がっていくでしょう。

次に、小売ロボットの「メリット」と「デメリット」について詳しく見ていきましょう。

小売ロボットのメリット・デメリットを解説

小売ロボットのメリット・デメリット

小売ロボットは多くの業務を効率化できる一方で、導入や運用において注意すべき点もあります。ここでは、導入前に把握しておきたいポイントを、メリットとデメリットに分けて解説します。

小売ロボット導入のメリット

  • 顧客対応の効率化
    店舗内での顧客誘導や商品案内、キャッシュレス決済のサポートによる接客業務の補完
  • リアルタイムの在庫管理
    商品の補充や陳列、在庫の追跡によるリアルタイムでの在庫状況把握
  • ユニークな顧客体験の提供
    進的な技術による新しいショッピング体験の提供、店舗の差別化やブランドイメージの向上

上記のように小売ロボットは、顧客対応の効率化やリアルタイムでの在庫管理、ユニークなショッピング体験の提供を通じて、店舗運営をより効果的にサポートします。

次にデメリットを確認しましょう。

小売ロボット導入のデメリット

  • 初期導入コストが高い
    小売ロボットの購入や設定、メンテナンスに必要な高い初期投資
  • 技術的なトラブルや障害
    ソフトウェアやハードウェアのトラブル発生時の業務滞留リスク
  • 客の受け入れ態度
    ロボットによるサービスに対する不安や不快感、導入に対する抵抗感

小売ロボットの導入には高い初期コストがかかり、技術的なトラブルや障害が発生するリスクが伴います。また、顧客の受け入れに対して不安や抵抗感を生じることがあります。

続いて、用途に応じた「小売ロボットの種類」についてご紹介します。

種類ごとに小売ロボットのメリット・デメリットを解説

小売ロボットの種類

小売ロボットには様々なタイプがありますが、ここでは「在庫管理ロボット」と「陳列ロボット」の2種類に注目し、それぞれの特長を詳しく解説します。

在庫管理ロボット

在庫管理ロボットは、棚の商品をスキャンし、在庫数の把握や欠品・陳列ミスを自動で検出するロボットです。カメラやセンサー、AIを搭載しており、店舗の在庫状況をリアルタイムで可視化できます。

メリット

  • 人手による棚卸し業務の負担を大幅に軽減できます。
  • 在庫のズレやロスを即座に把握できるため、販売機会損失を防げます。
  • 複数店舗の在庫を遠隔から管理できるため、本部の管理効率が向上します。

デメリット

  • 狭小な店舗や入り組んだ陳列には適さないことがあります。
  • センサーの精度やネットワーク環境に依存するため、誤作動の可能性があります。
  • データの精査や対応には結局人の判断が必要となる場面もあります。

在庫管理ロボットについてより詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

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在庫管理ロボットとは? おすすめのメーカー、導入のメリットや選び方を解説

陳列ロボット

陳列ロボットは、商品を棚に並べる作業を自動で行うロボットです。主にバックヤードから商品をピッキングし、決まった位置に配置する機能を備えています。主にコンビニやドラッグストアなどで導入が進んでいます。

メリット

  • 深夜や早朝など人手が確保しにくい時間帯にも陳列可能です。
  • 決まったレイアウトに基づくため、陳列ミスが起きにくくなります。
  • 人手の少ない小規模店舗でも高い陳列精度を実現できます。

デメリット

  • 商品サイズや形状に応じた調整が難しい場合があります。
  • 導入のために棚の設計や什器を変更する必要があるケースもあります。
  • 柔軟な判断が求められる緊急対応には対応できません。

次は、実際に小売ロボットを導入する際の「価格」について見ていきましょう。

小売ロボットの価格

小売ロボットの価格
小売ロボットの価格は、導入するロボットの種類や機能、規模によって大きく異なります。

以下では、一般的な価格帯や、価格に影響を与える要因について詳しく解説します。

小売ロボットの価格帯

小売ロボットの価格は、シンプルな在庫管理ロボットから、高度なAIを搭載した接客ロボットまで多岐にわたります。一般的には、次のような価格帯となります。

  • 簡易的な在庫管理ロボット
    50万円~200万円
  • 中程度の機能を持つロボット(棚卸しや陳列作業が可能)
    200万円~500万円
  • 高度なAIや自律走行機能を備えたロボット
    500万円以上

次に価格に影響を与える要因を確認しましょう。

価格に影響を与える要因

小売ロボットの価格は、以下の要因により大きく変動します。

  • 機能性
    ロボットの機能が高度であればあるほど、価格は高くなります。たとえば、AIを搭載した顧客対応ロボットや、複雑な在庫管理ができるロボットは高価です。
  • カスタマイズの有無
    標準的なモデルに加えて、特定の業務や店舗に合わせてカスタマイズが行われる場合、追加の費用が発生します。特に、大規模な店舗やチェーン店向けに特化したロボットは、カスタマイズが必要になることが多いため、価格はさらに高くなります。
  • 導入規模
    複数台のロボットを導入する場合、一台あたりの単価が割引されるケースがあります。そのため、単独での導入よりも複数台まとめて導入する方が、総額ではお得になることがあります。

次の章では小売ロボットの選び方を解説します。自社にとって最適な小売ロボットを導入するために是非、ご参照ください。

適切な小売ロボット選定のために、選び方を解説

小売ロボットの選び方

小売ロボットを導入する際には、業務効率化やコスト削減といった成果を最大化するために、店舗環境や業務要件に合った製品選定が欠かせません。ここでは、特に重要な3つの選定ポイントについて解説します。

ロボットのサイズと走行方式の確認

1つ目の小売ロボットの選定ポイントは、ロボットのサイズと走行方式の確認です。

これは、店舗図面や什器の配置、季節ごとのレイアウト変更頻度、床面の耐荷重といった複数の要因によって適正が左右されます。

これらの要因に適合しないロボットを導入してしまうと、通路を曲がりきれず立ち往生したり、床面を傷つけてしまい、販売機会の損失や修繕コストの発生につながります。

特に、通路幅が900 mm未満の小規模都市型スーパーや老舗百貨店のフロアでは、この点が導入の可否を大きく左右するでしょう。

適切な選定によって、最小限の改装で導入でき、巡回完了率が向上し、即戦力として機能するロボット活用が実現します。

商品情報の読み取り精度とコストを確認

もうひとつの重要な選定基準は、商品情報の読み取り精度とコストを確認することです。

SKUの点数や独自ラベルの使用割合、売場の照度変動、棚の傾斜角、AIモデルの更新頻度などが、ロボットの読み取り精度に影響を与える主要な要因となります。

こうした点を無視したロボットを選んでしまうと、誤った在庫アラートや欠品の見逃しが増え、結果として人による二重確認作業が必要となり、業務の手間が増加します。

SKU点数が数万点に及ぶドラッグストアやディスカウントストアでは、この選定ポイントが重要です。

高精度のロボットを選べば、欠品や価格ラベルの誤りをリアルタイムで検知でき、売上ロスを未然に防ぐことが可能です。

POS・ERP・WMSと双方向にAPI連携できるクラウド基盤

最後に見落とせないのが、POS・ERP・WMSと双方向にAPI連携できるクラウド基盤を持つロボットかどうかという点です。

この選び方に影響する要因には、既存システムのAPI仕様やデータ項目のマッピング、社内のセキュリティポリシー、さらには通信の冗長化対策などが関係します。

もしAPI連携が不十分なロボットを選んでしまうと、CSVでの手作業移管が必要となり、データ反映の遅延や人的エラーが発生しやすくなります。

特に、ECと実店舗在庫を統合し即時のピッキング指示が求められるオムニチャネル運営では、この選定ポイントは業務効率に直結するポイントです。

適切なクラウド連携型ロボットを導入すれば、在庫・売上・稼働情報を一元管理でき、戦略的な意思決定を迅速に行えるようになります。

次は、小売ロボットの「おすすめメーカー」についてご紹介します。

おすすめの小売ロボットメーカーを厳選して紹介!

ここでは、小売ロボット分野で注目される国内の主要メーカーを4社ご紹介します。それぞれに異なる強みがあり、用途や店舗の特性に応じた選定が可能です。

また、一部補助金を活用して導入することのできる製品もございます。ご不明点などございましたら、以下から気軽にお問い合わせください。

※JET-Globalの問い合わせフォームに遷移します。
※一部メーカーとは提携がない場合がありますが、ユーザー様に最適なご案内ができるよう努めています。

Telexistence / テレイグジスタンス

メーカー名 Telexistence / テレイグジスタンス
設立年 2017年
本拠地 東京都中央区
概要 AI搭載遠隔操作ロボットの開発・製造

Telexistenceは、2017年に設立され、東京都中央区に本社を構えるAI搭載遠隔操作ロボットの開発メーカーです。主に、小売業界での人手不足解消を目的とした高度なロボット技術を提供しています。

同社の強みは、リモート操作と自律制御を融合したユニークな技術にあります。これにより、ロボットが人間のように作業をこなすことが可能です。

具体的には、TX SCARAロボットが代表的な製品で、商品の陳列作業を担当することができます。

TX SCARAロボットは他社製品に比べて即応性が高く、実際の小売現場での活用が容易です。これらのロボットは、すでにファミリーマートの複数店舗で導入されており、深夜帯の陳列作業を担う実績があります。

オムロン / Omron

メーカー名 オムロン / Omron
設立年 1933年
本拠地 京都府伏見区
概要 産業用オートメーション機器およびロボットの製造

オムロンは、1933年に設立され、京都府伏見区に本社を構える産業用オートメーション機器を製造するグローバル企業です。同社の強みは、長年にわたるオートメーション技術のノウハウと、精密な制御技術を駆使したロボット製品です。

代表的な製品は、オムロン LDシリーズのロボットで、在庫管理や移動作業などで使用されます。

同製品は自律移動と安全な作業環境の確保が特徴です。倉庫や小売店などの在庫管理や物品移動作業を効率化し、労働力の削減と作業効率の向上に貢献します。

これらのロボットは、Amazonの倉庫などで利用されており、世界中で活躍しています。

ファナック /FANUC

メーカー名 >ファナック /FANUC
設立年 1956年
本拠地 山梨県南富士吉田市
概要 産業用ロボットの製造

ファナックは、1956年に設立され、山梨県南富士吉田市に本社を構える産業用ロボットのトップメーカーです。同社は、高性能な産業用ロボットを多数製造しており、その技術力は世界中で高く評価されています。

代表的な製品には、FANUC M-20iAなどのロボットがあり、特に小売業界における在庫管理作業や精密な陳列作業で活躍しています。

FANUCのロボットは、他のメーカーの製品に比べて高精度な動作と耐久性がある点が強みです。この強みから、長時間の運用が求められる業界で強みを発揮しています。

これらのロボットは、コンビニエンスストアや大手小売店などで導入され、効率的な業務運営をサポートしています。

デンソーウェーブ / DENSO WAVE

メーカー名 デンソーウェーブ / DENSO WAVE
設立年 1973年
本拠地 愛知県刈谷市
概要 産業用ロボットの製造

デンソーウェーブは、1973年に設立され、愛知県刈谷市に本社を構える産業用ロボットの大手メーカーです。同社は、精密な作業が要求されるロボット技術を提供し、そのロボット技術は小売業界にも大きな影響を与えています。

代表的な製品には、COBOTTAがあり、特に協働作業に強みを持っています。

COBOTTAは、他社製品に比べて人との協働が非常にスムーズで、安全性と効率性を兼ね備えた優れたロボットです。

これらのロボットは、小売店舗や物流センターで利用され、作業効率の向上を実現しています。