様々なタイプやスペックが存在するため、適切な選択をしないと思い描いた加工ができなかったり、予算の価格をオーバーしてしまうリスクがあります。
また、加工する素材や目的の用途に合わせた最適な機械を選ばなければ、効率的な生産が難しくなったり事故に繋がったりするので、注意が必要です。
貴社が加工機に置いて最適な投資ができるよう、この記事ではCNC旋盤とは何か、CNC旋盤の種類、メリットと注意点、適切な選び方や主要なメーカー6社の比較方法を詳しくご紹介します。
目次
CNC旋盤の概要と類似する機械との違い
CNC旋盤とは、数値制御で動く旋盤の一つで、航空機部品や自動車部品、電子部品といった精密部品の製造を自動的に行えます。
CNCは「Computer Numerical Control」の略で、内蔵されているコンピューターで設定したプログラムに従う形で動作します。
- CNC旋盤はプログラムをもとに高精度の加工が可能
- 複数のツールを自動で切り替えることで、一連の加工工程を連続して効率良く進行できる
- 設定されたプログラムに従って加工が進みます。同一の部品を繰り返し同じ品質で加工可能
- 新しい部品の設計や仕様変更があっても、プログラムを更新するだけで迅速に対応可能
特にエンジン部品、スマホやPCのコネクタやハウジングなどの電子部品、ベアリングやギアなど一貫生産ラインや大量生産の現場では、その高い再現性と精度が求められるため、CNC旋盤の存在は非常に価値があります。
CNC旋盤は旋盤加工を自動ツールチェンジャーやライブツーリングなど、加工を自動化するにあたって多彩な機能を持つ製造機械ですが、他にも類似した機械が数多く存在します。
よく比較される機械は以下の通りです。
※クリックすると各違いに飛べます
CNC旋盤とNC旋盤の違い
「CNC旋盤」と「NC旋盤」、これらの旋盤は、名前が似ているため混同されやすいですが、2つ違いがあります。- 旋盤の数値制御の方法
- 制御プログラムの保存方法
数値制御の方法
CNC旋盤は、コンピュータを使って制御される旋盤です。このコンピュータは、CNC旋盤の操作全般を監視・制御します。一方で、NC旋盤はカードやテープなどの物理的な媒体にプログラムを入力してNC旋盤の操作を行います。
操作や監視は人の目や手を使うため、プログラムの動きに付随して手動で微調整をかけながら作業をすることがあります。
CNC旋盤の 数値制御の特徴 |
NC旋盤の 数値制御の特徴 |
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数値制御の方法 | キーボードやタッチスクリーンを通じて、 マシンに直接データを入力可能 |
専用のプログラムによって数値制御 |
プログラム 編集方法 |
専用のソフトウェアを活用 | パンチカードやテープ |
プログラムの 柔軟性・可変性 |
手元ですぐにプログラム内容を変更可能 | 専門スタッフや業者に依頼、一週間程度必要 |
制御プログラムの保存方法
CNC旋盤とNC旋盤の制御プログラムの保存方法をデータとして保存するか、カードやテープなど物理的な媒体に保存するかという大きな違いがあります。CNC旋盤の 制御プログラム保存方法 |
NC旋盤の 制御プログラム保存方法 |
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保存方法 | 内蔵コンピュータや外部PCに保存 | カードやテープなど物理的な媒体に保存 |
読み込み方法 | USBメモリやネットワークを通じた転送、 専用ソフトでの読み込み |
機械が穴の空いたカードやテープを解読 |
プログラム管理 | ダメージ・紛失リスクが低い バックアップが容易 |
物理的なダメージ・紛失リスクが高い バックアップ管理が手間 |
NC旋盤が今も使われている理由は?
NC旋盤と比較するとCNC旋盤は様々な点で優れていますが、導入コストの低さと手動操作での微調整が理由でNC旋盤が選択されることがあります。CNC旋盤 | NC旋盤 | |
---|---|---|
価格 | 高いと1,000万円以上 | 高くても300万円程度 |
制御 | プログラミングを学ぶ必要があるが 慣れると修正・改変は速い |
物理的に穴を開ける必要があり 変更・修正が手間 |
操作の 微調整 |
プログラム通りにしか動かず 微調整が難しい |
手動操作が多く、 機械の動作を手元で調整できる |
プログラムの可変性は落ちるものの、価格と操作の微調整という面でNC旋盤の需要がまだ根強いです。
大きさから2種類あるCNC旋盤。卓上・小型CNC旋盤の特徴
一般的なCNC旋盤はサイズが大きく、長さ3メートル×幅2メートルの床面積が必要になることもあります。一方、卓上・小型CNC旋盤は小型化されていて、長さ1メートル×幅0.5メートル程度、もしくはそれより小さくなるケースもあります。
機械の大きさが異なることから、以下のような違いがあります。
一般的なCNC旋盤 | 卓上・小型CNC旋盤 | |
---|---|---|
得意な加工サイズ | 大きく複雑な部品の加工 航空機のタービンブレードや 自動車のホイールハブなど |
小型でシンプルな部品の加工 RCホビー用部品、時計の部品など |
加工精度 | 数ミクロン以下の精度での加工が可能 | 数十ミクロン程度の精度での加工が可能 |
プログラム管理 | ダメージ・紛失リスクが低い バックアップが容易 |
物理的なダメージ・紛失リスクが高い バックアップ管理が手間 |
価格 | 高いと1,000万円以上になることも | 高くても100万円程度の投資 |
CNC旋盤とマシニングセンタの違いは何?
CNC旋盤と同じくマシニングセンタも精密な工作が可能で、加工の自動化や工具の交換を自動で行います。一方、この2つの決定的な違いは主に「得意な部品加工の種類」と「工具の動き方」の2点にあります。CNC旋盤は円柱型の部品製造が強みでボルトやナット、軸受などの部品製造が可能です。
一方、マシニングセンタは人体に使用されるインプラントなどの高精度な部品や自動車車体のフレーム部品、スマートフォンやカメラ、計測器具などの精密な筐体部品の製造が得意です。
CNC旋盤 | マシニングセンタ | |
---|---|---|
加工方法 | 加工の対象物を回転させて加工 | 工具を回転させて対象物を加工 |
加工精度 | 1本の主軸に1本の工具を装着 | 自動工具交換装置で複数の工具を使い分ける |
トレーニング期間 | 数ヶ月程度の研修で操作可能 | 半年以上の研修が必要 |
価格 | 高いと1,000万円前後 | 高いと数千万円になることがある |
加工例 | 高精度の円柱形状の部品製造に特化 航空浮きの翼や胴体の部品など |
3Dの複雑な加工が可能 自動車のエンジンや人工関節など |
導入するメリットと注意点
CNC旋盤を導入することで、円柱型の部品を精度高く量産で切るメリットがありますが、導入する上での注意点もあります。これらを比較して、貴社でどのようなCNC旋盤を導入すべきか検討しましょう。
CNC旋盤を導入する3つのメリット
CNC旋盤は、高精度なプログラム制御や多軸自動制御機能など手動では叶えられなかった動作を実現したことにより、以下のようなメリットを製造業にもたらしています。
- 高精度かつ効率的な加工ができること
- プログラムを簡単に変更できること
- 同じ部品の大量生産が可能であること
高精度かつ効率的な加工ができること
CNC旋盤なら高精度かつ効率的な加工ができることです。- 一度プログラムが設定されれば、指示通りに部品を再現可能
- 複雑なデザインや微細な部品も難なく加工可能
- 自動運転のためヒューマンエラーの影響を受けづらく、安定した品質の部品製造が可能
プログラムを簡単に変更できること
CNC旋盤ならプログラムの変更や調整が非常に簡単で、プログラミングができれば十分程度で改変できます。- 従来は1週間ほどかけて更新していたプログラムを数時間程度で改変可能
- 製造業者はCNC旋盤の柔軟性を利用して市場変動や顧客要求にすばやく対応可能
- プログラム更新が簡単なので新しい設計やプロトタイプ製作が数時間で終わる
- プログラム変更時のエラーチェックが可能、エラーのリスクを1%以下程度に低減
これらの要点を考慮すると、CNC旋盤のプログラム変更の容易さは、市場の変動に迅速に適応し、効率的な生産を実現する上での強力なツールです。
同じ部品の大量生産が可能であること
CNC旋盤は、一度のプログラム設定で同じ部品を繰り返し高精度で大量生産が可能で、例えば中規模のボルトであれば一時間あたり約500-1,000個の製造が可能です。NC旋盤で同じ条件のものを製造した場合は一時間あたり約300-600個、手動の加工機であれば一時間あたり約50~100個程度なので、CNC旋盤の効率の高さが伺えます。
- 手動操作の旋盤と比べて大量生産ラインの停止時間を75%程度削減
- 必要に応じてプログラミング修正による設定変更が可能
- 高精度な加工と一貫性により、品質の確認と管理が容易
他の旋盤加工機より効率よく、同じ部品を大量生産するのであればCNC旋盤がおすすめです。
ここまでCNC旋盤を導入する3つのメリットをご紹介しました。次の章でご紹介する注意点を踏まえて、どのようなCNC旋盤を導入すべきか検討しましょう。
CNC旋盤を導入する際の3つの注意点
CNC旋盤はその高精度や効率性から多くの製造業者にとって魅力的な選択肢となっています。
しかし、導入を検討する際にはいくつかの重要な点を考慮する必要があります。
- 高い初期投資が必要となること
- 特定のプログラミング知識が求められること
- 苦手な素材や加工形状が存在すること
初期投資が高いこと
CNC旋盤の導入には、数千万円程度、CNC旋盤の種類によっては億単位の導入コストがかかることがあります。中型の産業用CNC旋盤の初期費用のレンジを見てみると、以下のようになります。一方で、NC旋盤を導入する場合は総額がおよそ半分に、小型CNC旋盤になると1/4以下になるケースもあるので、資金状況との相談は必須です。
- CNC旋盤本体: 750万円~3,750万円
- 関連ツール・装備: 75万円~300万円
- ソフトウェア: 30万円~225万円
- インストール費用: 75万円~300万円
- トレーニング費用: 15万円~75万円
プログラミング知識が必要であること
CNC旋盤はNC旋盤と比べて1.7倍程度の生産性の高さで高精度な部品加工ができますが、これを実現するにはG-codeというプログラミング知識が必要です。このプログラムを使えば機械の動きや工具の選択、速度などを制御し、部品の仕様に応じてカスタマイズが可能です。
プログラミングという新たな知識が必要であるものの、G-codeは非常に直感的な操作が可能なので覚えやすいと言われています。
以下がG-codeの概要です。
- G-codeはCNCマシンの標準言語で、命令セットがシンプルで覚えやすい
(例:G01は直線移動、G02は時計回りの円弧移動、G03は反時計回りの円弧移動) - G-codeの習得には、合計で数十から150時間以上の学習が必要
苦手な素材・加工形状がある
CNC旋盤は多岐にわたる材料や形状の部品を加工できますが、以下で紹介している超硬質の材料や超大型の部品はCNC旋盤の加工には不向きです。一方で、CNC旋盤が得意とする鉄、アルミニウムや真鍮(黄銅)などの金属、ポリカーボネートなどのプラスチックなどの材料や部品に関しては、高速で精密かつ正確な加工が可能です。
用途や要件に応じて、適切な旋盤の選択が必要です。
- タングステンカーバイド (WC)
- シリコンカーバイド (SiC)
- ボロンカーバイド (B4C)
- ダイヤモンド
- 窒化ケイ素 (Si3N4)
- 船のプロペラ
- 風力発電機のブレード
- 大型の油圧プレス機のフレーム
- 鉄道の車両フレームやボディ
- 大型の橋の部材や建設機械のアーム
8種類のCNC旋盤
CNC旋盤といってもその形状や機能は多種多様です。大きく分けると以下の8種類があり、特定の加工ニーズや要求される精度に応じて開発・使用されています。
ベッド型旋盤
ベッド型旋盤は、CNC旋盤の中でも手動操作の旋盤と同じ形態を持つもので、ベッド部が水平に展開されています。 このデザインは、昔ながらの旋盤の形を継承しており、操作性やアクセス性に優れています。- 相場は1,000万円から3,000万円程度で、初期投資が他の種類より半分前後、もしくはそれより安い価格で購入できる
- メンテナンス部品は他の種類より1/3程度
- ボタンの数は10個程度と少なく、加工範囲が狭いため操作が容易
- 得意な素材:鉄、アルミニウム、ポリエチレンなどのプラスチック
- 得意な加工形状:シリンダー錠やドリルロッド、ボルト、ナットなどのシンプルな形状
- 加工例:工業用のパイプの端面加工や外径の仕上げ、一般的なボルトやナットの加工、小さなカスタム工具の製作など
- 苦手な素材:タングステンカーバイドなど超硬質な素材やソフトゴムなどの柔らかい素材
- 苦手な加工形状:複雑な3D形状
- 不向きな加工の例:航空機エンジンや発電機のタービンブレードなど
一見、多軸加工機や櫛刃型旋盤など高性能な旋盤加工機が高機能に見えますが、実は高機能であればその分だけ加工用途が狭まるデメリットがあります。
ベッド型旋盤は大量生産や基本的な旋盤加工に機能が絞られているからこそ汎用性が高く、多くの工場や工房で愛用されています。
タレット型旋盤
タレット型旋盤は、複数の加工を一度に行うことに特化した旋盤の一種で、複数のツールを装備できる回転タレットを持っていることが特徴です。ベッド型旋盤では一度のプログラムで一つの加工しかできませんが、タレット型旋盤であれば一度のプログラムで何種類もの加工を自動で行えます。
ツールの交換を頻繁に行うことなく、連続して異なる操作が迅速に実行できます。
- 得意な素材:ステンレス鋼、アルミニウム、アクリルやその他の一部のプラスチックなど
- 得意な加工形状:円筒形状や複数の特徴を持つ形状、エンジンのシャフトや建築用のボルトなど
- 加工例:自動車のエンジン部品やサスペンション部品、電気部品の大量生産など
- 苦手な素材:タングステンカーバイド等の超硬質な素材やソフトゴム等の柔らかい素材
- 苦手な加工:複雑な3D形状
- 不向きな加工の例:タービンブレードや人工関節など
櫛刃型旋盤
櫛刃型旋盤は、櫛のような形状を持つ一列に配置された複数の切削ツールを特徴とするCNC旋盤の一種です。この独特の配置により、加工する部品や素材を固定したまま、複数の操作を連続的に行うことが可能です。 工具の交換は手動で数分かかるところ、櫛刃型旋盤はその時間が不要です。
そのためツールの交換の時間を節約し、生産効率を大幅に向上させることが可能です。
また他の旋盤よりも10倍近くのスピードで回転するため、高速加工を実現しています。
- 得意な素材:アルミニウムや真鍮などの金属やポリエチレンなどのプラスチック
- 得意な加工形状:時計の部品や電子部品、医療機器の部品など高精度な加工が必要なもの
- 加工例:高精度な端子やコネクタ、微細なギアやネジの製造など
- 苦手な素材:インコネルなどの合金や航空機の主翼や胴体部分などの大型素材
- 苦手な加工形状:複雑な3D形状
- 不向きな加工の例:風力発電機の羽根などの大型素材、人工関節など
複合旋盤
複合旋盤は、旋盤加工とフライス加工の両方の機能を持つ革新的なCNC旋盤です。この統合された機能性により、ひとつのセットアップで、複数の加工操作を一度に行うことが可能です。
加工する角度を自由自在に調整できるため、部品の取り扱いや機械へのセットアップの回数が大幅に減少し、生産効率が大幅に向上します。
- 得意な素材:ステンレス鋼など耐食性や強度が高いもの、ポリカーボネートなど耐衝撃性や透明性が高いプラスチック
- 得意な加工形状:人工骨や関節などの複雑な3D形状のものやカーボンファイバーと金属を組み合わせた自動車の部品など
- 加工例:航空機エンジンのタービンブレードやギアやギアボックスの部品やベアリングなどの機械部品など
- 苦手な素材:超硬合金などの非常に硬質な材料や大型の鋼板や大径のバーなどの大型素材
- 苦手な加工:大型素材の加工
- 不向きな加工の例:大型の船舶や建築構造部材など
縦型旋盤
縦型旋盤は、大型の部品の加工に特化しており、数百キログラムから数トンの重量の部品でも安定を保ちながら効率的に加工できます。この旋盤の最大の特徴は、加工する対象の素材が垂直軸上での回転を行うことです。
部品の自重が直接台座に掛かるため、加工中の振動や部品の変形が大幅に減少し、加工精度が大幅に上がります。
- 得意な素材:鋳鉄、鋼、タングステンのような硬質の材料
- 得意な加工形状:タービンのブレードディスクなどの大きな円盤形状、重機の大きな歯車など厚みのある部品
- 加工例:タービンディスク、ブレードなどの航空宇宙部品や車輪、ブレーキディスクなどの鉄道部品
- 苦手な素材:フォーム (スチロールフォーム)やポリエチレンフォームなど非常に軽い材料、ラバーなどの柔らかい材料
- 苦手な加工:細長い部品の加工
- 不向きな加工の例:医療機器の針やカテーテル、電子部品のリード線などの細長い部品
多軸旋盤
多軸旋盤は、高度な技術の進化を反映したCNC旋盤の一種で、複数の加工軸を有しています。そのため、部品を再セットアップすることなく一度のプログラムで10種類以上の加工が可能です。
例えばCNC旋盤であれば一度のプログラムで5種類程度の加工しかできないため、効率的に6種類以上の加工を実施したいときに多軸旋盤は活躍します。
- 得意な素材:アルミニウム、ステンレス鋼、ポリエチレンなどのプラスチック素材
- 得意な加工形状:タービンブレードや航空機のエンジン内部の複雑な部品やバルブやピストンなど、異なる加工手法を組み合わせて製造される部品
- 加工例:航空機のエンジン部品やフレーム、医療機器のインプラントや外科用器具など
- 苦手な素材:ダイヤモンドなどの超硬質素材や、ゴムやシリコンなど非常に柔らかい素材
- 苦手な加工:細長い部品の加工
- 不向きな加工の例:医療機器の針やカテーテル、電子部品のリード線などの細長い部品
多主軸旋盤
多主軸旋盤は、大量生産に最適化された高機能なCNC旋盤の一種です。その名の通り、この旋盤は複数の主軸を持ち、一度のセットアップ加工を同時に多数の部品を加工することが可能です。一度にひとつの部品しか加工できないベッド型旋盤とは違い、例えば6軸の多主軸旋盤であれば6つの加工を同時に処理可能です。そのため大量の部品を短時間で製造することができ、生産効率の大幅な向上が期待できます。
- 得意な素材:真鍮、アルミニウムなどの金属やナイロンなどのプラスチック素材
- 得意な加工形状:ボルト、ナット、ピンなどシンプルな形状のものやエンジンのボルトやネジなど繰り返し生産される部品
- 加工例:自動車部品の大量生産、建設機械のボルトやナットの製造など
- 苦手な素材:タングステンやセラミックスなどの超硬質素材やゴムやゲルなど非常に柔らかい素材
- 苦手な加工:複雑な3D素材
- 不向きな加工の例:タービンブレードや生体医療インプラントなど
9つの比較ポイント | CNC旋盤の選び方
CNC旋盤を選ぶ際には、多くの要因を考慮する必要があります。加工の精度や速度はもちろん、機械の耐久性や拡張性、さらには使用時の安全性やコスト面など、多岐にわたるポイントが選択の鍵となります。
特に注視すべき点は以下の9つです。
- 主軸数
- 移動方式
- 旋盤の構造
- 刃物台
- 高速加工能力
- 堅牢性・耐久性
- 自動ツールチェンジ機能の有無
- 安全機能の充実
- メンテナンスの容易性 ※クリックすると各比較ポイントに飛べます
主軸数
CNC旋盤の選択時の重要なポイントとして、主軸の数があります。以下で紹介している主軸の数によって、加工の効率や適用される用途が大きく異なります。特徴 | メリット | デメリット | C対応機械の例 | |
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シングル主軸 |
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ダブル主軸 |
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多主軸 |
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多軸 |
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移動方式
CNC旋盤の特性を理解するためには、被削材の移動方式の分類を知ることが重要です。移動方式とは、旋盤の動きの方向や特性を示すもので、これによって機械がどのような加工を得意とするのか、どのような部品に適しているのかが決まります。
一般的には以下で紹介している5つの移動方式があります。
特徴 | メリット | デメリット | 対応機械の例 | |
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X-Y移動方式 |
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X-Y-Z移動方式 |
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縦型移動方式 |
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多主軸移動方式 |
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旋盤の構造
CNC旋盤の性能や用途は、その構造によって大きく変わります。旋盤の構造は、部品の形状、大きさ、加工の複雑さなど、多岐にわたる要因に基づいて選ばれます。特徴 | メリット | デメリット | 対応機械の例 | |
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ベッド型ベッド構造 |
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縦型構造 |
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櫛刃型構造 |
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タレット型構造 |
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刃物台
CNC旋盤の刃物台は、工具を保持しつつ、必要に応じて工具を切り替える上で非常に重要な部分です。以下では、その主な分類と特徴や製造できる製品の例を示しています。
特徴 | メリット | デメリット | 適した加工部品の例 | 対応機械の例 | |
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タレット型 刃物台 |
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櫛刃型 刃物台 |
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キャプトタイプ 刃物台 |
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高速加工能力
高速加工能力を持つCNC旋盤は、一般的な旋盤より数10倍近く速く回転するため、生産効率の向上や短い納期の実現が可能です。しかし、高速加工能力を持つ旋盤が優れているとは一概に言えません。
以下でご紹介するそれぞれのメリットを比較した上で、最小限のコストで必要なメリットを得られる加工機を選ぶことが重要です。
特徴 | メリット | デメリット | 対応機械の例 | |
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高速加工のCNC旋盤 |
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低速加工のCNC旋盤 |
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堅牢性・耐久性
堅牢性と耐久性が高いCNC旋盤を選択すると10年近くも使い続けられる一方、堅牢性が低い旋盤加工を選定するとその年数が半分、もしくはそれ以下になってしまう可能性があります。一方で、目先の導入コストが上がるため、現時点で確保できる予算とのバランスを取ることが重要です。
特徴 | メリット | デメリット | 対応機械の例 | |
---|---|---|---|---|
堅牢性と耐久性の高いCNC旋盤 |
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堅牢性と耐久性の低いCNC旋盤 |
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最終的には、使用する環境や予算、期待される生産量や品質などの要因を総合的に考慮し、堅牢性と耐久性に適したCNC旋盤を選択することが求められます。
自動ツールチェンジ機能の有無
CNC旋盤の自動ツールチェンジ機能は、加工の生産効率や柔軟性(加工できる素材の種類や重さ・大きさの幅)に大きな影響を与える要素です。特徴 | メリット | デメリット | 対応機械の例 | |
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自動ツールチェンジ機能付き |
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自動ツールチェンジ機能なし |
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安全機能の充実
どんなCNC旋盤にも最低限の安全機能がついていますが、その充実度は機械のグレードによります。最低限の安全機能だと緊急停止ボタンなど基本的な機能しかありませんが、安全機能が充実すると破損ツール検出機能やドアインターロックなどの機能が付きます。
予算に余裕がある場合は、安全機能が充実したCNC旋盤を選択して作業効率と安全性を確保することがおすすめです。
特徴 | メリット | デメリット | 対応機械の例 | |
---|---|---|---|---|
安全機能が充実したCNC旋盤 |
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安全機能が少ないCNC旋盤 |
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メンテナンスの容易性
CNC旋盤のメンテナンスの容易性は、長期的な生産効率や総所有コストに大きな影響を与えます。特徴 | メリット | デメリット | 対応機械の例 | |
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メンテナンスが容易なCNC旋盤 |
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メンテナンスが複雑なCNC旋盤 |
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以上がCNC旋盤を比較する上で必ず比較すべきポイントです。この9つの点を踏まえて、CNC旋盤を製造するおすすめのメーカーをご紹介します。
自社の用途に最適なCNC旋盤を製造するメーカーをお探しの方は、ぜひこのままご覧ください。
CNC旋盤を製造するメーカー6選
CNC旋盤は、精密な加工を行うための不可欠な機械として、多くの製造業者に利用されています。その背景には、高い技術と品質を持つメーカーたちの存在があります。今回は、世界中で信頼と実績を持つ6つのCNC旋盤メーカーを紹介します。
多くのメーカーは一通りの種類のCNC旋盤を製造していますが、それぞれ得意な機械や付加価値が異なります。以下の表でそれぞれが得意な機械や強みをご紹介しています。
貴社にとって優先順位の高い項目に強みがあるメーカーへ連絡してみましょう。
ベッド型旋盤 | タレット型旋盤 | 複合旋盤 | 縦型旋盤 | 多軸旋盤 | 多主軸旋盤 | 強み | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
岡本工作 機械製作所 |
☆ | ◯ | ☆ | ◯ | ◯ | ◯ | 汎用機から高精度機まで 幅広く取り扱い |
ハース・ オートメーション |
◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | コスパが良く、 価格重視の方におすすめ |
ツガミ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | 高精度と高生産性を両立したい方向け 小型旋盤で世界トップシェア |
ヤマザキマザック | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | AIを活用したCNC旋盤や IoTを活用した遠隔監視・診断技術を搭載 |
オーエム製作所 | ◯ | ◯ | ☆ | ◯ | ◯ | ◯ | 特に複合旋盤が高精度 |
シマダマシンツール | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | 幅広いニーズに対応 |
※右にスクロールできます→
岡本工作機械製作所(Okamoto Machine Tool Works)
1926年の創業から、岡本工作機械製作所は精密工作機械の製造販売を主軸として発展してきました。- 多岐にわたる産業の要求に応える堅牢性と精度
- 自動車部品製造、精密機器部品製造、時計部品製造などに使用される
具体的な納入先としては、自動車部品メーカーや精密機器メーカーが挙げられます。これらのメーカーは、岡本工作機械製作所のCNC旋盤の高精度と技術力を信頼し、生産ラインに組み込んでいます。
ツガミ(TSUGAMI)
1923年の創業から、ツガミは精密工作機械の製造のフィールドでその名を轟かせてきました。東京都中央区に本社を構えるツガミは、特にCNC旋盤において、高いシェアを誇り、世界100か国以上での販売実績を誇ります。
- ベッド型旋盤、タレット型旋盤から多軸旋盤、多主軸旋盤など幅広く製造
- 複雑な形状の加工や高精度な加工が可能
- 自動車業界や重工業業界などからの信頼が厚い
納入先としては、国内外の大手企業が挙げられます。国内では、トヨタ自動車や日産自動車、ホンダといった自動車メーカーや、川崎重工業、三菱重工業といった重工業メーカーなどがあります。
また、海外ではフォードやゼネラル・モーターズ、フォルクスワーゲンなどの大手企業がツガミのCNC旋盤を使用しています。
ハース・オートメーション(Haas Automation)
1983年、アメリカ・カリフォルニア州の地でハース・オートメーションは誕生しました。同社の製品は、世界100カ国以上で採用されており、自動車や重機、医療機器など様々な産業での信頼を勝ち取っています。
- ベッド型旋盤、タレット型旋盤から多軸旋盤、多主軸旋盤など幅広く製造
- 最先端の技術とシンプルな操作性を融合させており、使用者に高い性能を低価格で提供
- 特に自動車部品、航空機部品、医療機器の製造などからの信頼が厚い
納入事例を見ると、CNC旋盤は、自動車エンジンのバルブや燃料噴射装置、航空機のエンジンや機体部品、そして医療機器の精密部品の製造に至るまで、幅広い分野での信頼を得ています。
ヤマザキマザック(Yamazaki Mazak)
1919年の設立から、ヤマザキマザックはCNC工作機械の分野におけるリーディングカンパニーです。愛知県大口町を拠点に、世界的に活躍するこの企業は、CNC工作機械の設計、製造、販売を核とする事業を展開しています。
- ベッド型旋盤、タレット型旋盤から多軸旋盤、多主軸旋盤など幅広く製造
- 複合加工やマルチタスク加工が可能な旋盤
- 特に自動車産業や航空機産業、医療機器製造、エネルギー関連産業などからの信頼が厚い
納入先としては、具体的な企業名は公開されていないものの、自動車産業や航空機産業、医療機器製造、エネルギー関連産業など、多岐にわたる産業でヤマザキマザックのCNC旋盤が信頼されて使われています。
オーエム製作所 (O-M Ltd.)
1920年の創業以来、オーエム製作所は工作機械の製造販売の世界で名を馳せています。大阪府大阪市を拠点とし、長い歴史を背景に、CNC旋盤の分野での高い技術力とノウハウを持っています。
- ベッド型旋盤、タレット型旋盤、櫛刃型旋盤、複合旋盤、縦型旋盤、多軸旋盤を製造
- CNC旋盤の自動化をさらに進化させた製品
- 多品種少量生産への対応力
納品事例を見ると、自動車から航空機、さらには精密機器まで、多岐にわたる産業でオーエム製作所のCNC旋盤が活躍しています。
これらの産業での成功事例は、オーエム製作所の製品が持つ高い技術力と品質の証となっています。
シマダマシンツール(SHIMADA Machine Tool Drives)
シマダマシンツールは、1947年の創業から、愛知県豊川市を拠点とし、工作機械の製造のフィールドで確固たる地位を築いてきました。特に多軸旋盤に強みを持っており高精度、高生産加工を実現する技術提供をしています。- ベッド型旋盤、タレット型旋盤から多軸旋盤、多主軸旋盤など幅広く製造
- 多様性と高度な技術が詰まっています。ホリゾンタル旋盤、バーチカル旋盤、マルチタスク旋盤など
納入先業界は主に自動車産業、航空宇宙産業、エネルギー産業などが挙げられ、特に多軸旋盤を使った効率的な加工と生産において信頼を獲得しています。