コンベアとは? 種類とメリット・デメリット、おすすめのメーカー3選をご紹介
  • 最終更新日:2024年11月22日
コンベアとは、物を一方向に一定スピードで運搬する装置のことです。

「コンベア」「コンベヤ」「コンベアー」「コンベヤー」など様々な呼び方で呼ばれています。

コンベアは運搬することが主な目的ですが、運搬しながら組み立てや加工を行う場合もあります。

コンベアを導入する際にコンベアの種類や価格、カスタマイズ性などで悩んでいる方に、今回の記事では、コンベアの種類と比較すべき4つのポイント、3つのおすすめのメーカーをご紹介します。

4種類のコンベアと特徴、活用例を解説

4種類のコンベアと特徴、活用例を解説

コンベアは様々な場面で活用されており、特に以下のように多様な業界や場所で使用されることが多いです。

  • 製造業::工場内での生産ラインで、部品や製品の連続的な移動を効率化
  • 物流・配送業::荷物の仕分けや輸送に用いられ、倉庫や配送センターでの作業効率を向上
  • 空港:荷物取扱所での旅客の荷物の取り扱い
  • 食品産業:食品の加工、包装、検査などの工程で使用
  • 鉱業や建設業:鉱石、砂利、セメントなどの重量物や粉体を運搬

コンベアには、以下の4つの種類があります。


ベルトコンベア

ベルトコンベアは、物品や材料を運搬するための一般的な機械装置です。

長い帯状のベルトが無限ループの形で回転し、動くベルトの上に物品を置いて運搬します。ベルトは一般に、ふたつ以上のプーリー(ローラー)によって支えられ、そのうちの少なくともひとつが動力を提供するための駆動プーリーです。

ベルトコンベアには、以下のような特徴があります。

  • 様々なサイズ、形状、重量の物品を運搬することができ、その用途は非常に広範
  • 直線的な運搬はもちろん、カーブや傾斜を含むルートにも対応可能
  • 連続的かつ安定した運搬が可能で、生産ラインの効率化を実現
  • 比較的低コストで導入可能で、メンテナンスも容易

ベルトコンベアの活用例

  • 自動車、電子機器、食品加工などの製造工程で、部品や製品の連続的な運搬に使用
  • 荷物の仕分けや輸送に使用され、倉庫内の効率的な物流を実現
  • 旅客の荷物を飛行機への搭載や荷物受け取りエリアへ運搬
  • 加工食品の製造ラインでの材料の移動や、包装工程での製品の運搬
  • 鉱石、砂利、セメントなどの大量かつ重量のある物質の運搬
  • マジックペン生産工程の搬送

チェーンコンベア

チェーンコンベアは、一連の連結されたチェーンを使用して物品を運搬するタイプのコンベアです。これらのチェーンは、ひとつ以上の駆動スプロケットによって動かされ、特に重量物や大きな物品の運搬に適しています。耐久性と強度が求められるアプリケーションでの使用に最適です。

この機械には、以下のような特徴があります。

  • 重量物や大きな物品を支えるための十分な強度と耐久性を持っている
  • スラット、バケット、ローラーなど、様々なタイプがあり、特定の用途に合わせた設計
  • 他のコンベアタイプに比べて、より重い荷物の運搬能力が高い
  • 粉塵が多い環境や高温、低温などの過酷な条件下でも使用可能

チェーンコンベアの活用例

  • 食品機械の充填~焼成設備の搬送
  • プラスチック部品の成型設備の搬送
  • 自動車部品(小型)の溶接工程の搬送
  • パネル張り合わせ設備の搬送

これらの特性により、チェーンコンベアは重量物の取り扱いや過酷な環境条件下での運搬が必要な産業において非常に有用です。

リンクコンベア

リニアコンベア(リニアトランスポーター)は、小規模な部品や製品を高速かつ正確に位置決めしながら直線的に運搬するためのコンベアシステムです。磁気や空気圧を用いた様々な動作原理を持つリニアコンベアは、物品を所定の位置へスムーズかつ正確に移動させることを目的としています。

リニアコンベアには、以下のような特徴があります。

  • 高速で正確な物品の移動を実現
  • ベルトの動きが静か
  • リンクが伸びないので、メンテの頻度が低い
  • 割り出し後の微調整が不要

コンベアシステムの活用例

  • 電子部品や半導体の製造工程で効率的な部品運搬と正確な位置決め
  • 小規模な部品を組み立てる自動化ラインで、部品の供給や移動
  • 製品を検査装置への正確な輸送
  • 包装業務: 小規模な製品の包装ラインで、製品を包装機械へ効率良く運搬

リニアコンベアの高速性、正確性、省スペース性は、特に精密な製造業や自動化が進んだ生産ラインでの使用に適しています。

エプロンコンベア

エプロンコンベアは、金属やその他の素材で作られた連続するプレートやパネルが連結されたコンベアシステムです。このシステムは、特に過酷な条件下での運搬や、通常のベルトやチェーンコンベアでは扱いづらい特殊な物品の運搬に適しています。

エプロンコンベアには、以下のような特徴があります。

  • 高い耐久性と強度: 重いまたは鋭利な物品を運搬するのに最適
  • 耐熱性と耐薬品性: 極端な温度や薬品に曝される環境でも使用可能
  • 多様なサイズ対応: 大きなサイズや不定形の物品の運搬に対応

エプロンコンベアの活用例

  • 鉱石や金属スクラップなどの運搬
  • 重量物や鋭利な廃棄物の処理プラント
  • 建設資材の運搬や大型プロジェクトでの使用

これらの特性により、エプロンコンベアは、特に過酷な環境条件下や普通のベルトやチェーンコンベアでは扱いづらい特殊な物品の運搬に適しています。


ここまで、コンベアの種類をご紹介してきました。次のセクションでは、コンベアそれぞれの種類のメリット・デメリットを解説します。貴社の目的に最適なコンベアをお探しの方は、ぜひ次のセクションに読み進めてください。

コンベアを比較した際のメリット・デメリット

コンベアの強みと弱みを比較

このセクションでは、各コンベアの種類のメリットとデメリットをご紹介します。


ベルトコンベアのメリット・デメリット

ベルトコンベアのメリット

  • 操作が簡単で、物品の搭載や取り外しも容易
  • 滑らかなベルト表面は様々な種類の物品を損傷せずに運搬可能
  • 低コストで導入可能で、製造コストとメンテナンスコストも低い

ベルトコンベアのデメリット

  • 高温や化学薬品にさらされる環境では、ベルトの材質によっては損傷を受けやすい
  • 非常に湿った環境や屋外での使用も、ベルトの耐久性が落ちる
  • 特に300キログラムを超える重量物の運搬は難しい

特に重量の大きなものを運搬する場合は、チェーンコンベアやローラーコンベアなどの他の運搬システムを検討する必要があります。

チェーンコンベアのメリット・デメリット

チェーンコンベアのメリット

  • 頑丈な構造により重量物の運搬に適していて、数百キロから数トン程度の重量に対応可能
  • 耐熱性のある材料で作られているため、数百度を超える温度にも対応

チェーンコンベアのデメリット

  • パレットの準備が必要で、特に小さな物品や不定形の物品を扱う場合、追加のパレットや運搬用フレームの準備が必要
  • チェーンの伸びやたわみが生じる可能性があり、定期的なメンテナンスとチェーンの調整や交換が必要

リンクコンベアのメリット・デメリット

リンクコンベアのメリット

  • 毎分100サイクル以上の速度で物品を運搬できるので、特に生産ラインや物流システムにおいて時間効率が必要な場面で活躍
  • 非常に正確な位置決めと運搬が可能で、精密な製造工程や自動化された組立ラインに特に有用

リンクコンベアのデメリット

  • 高度な技術と精密な構造を必要とするため、他のコンベアシステムに比べてコストが高くなりがち
  • 数十キログラム程度までの物品の運搬にしか対応しておらず、重量物の運搬には不向き

エプロンコンベアのメリット・デメリット

エプロンコンベアのメリット

  • 耐久度が高く、重い物品や鋭利な物品の運搬に最適
  • 極端な温度や薬品に曝される環境にも耐えられる
  • 大きなサイズや不定形の物品の運搬に対応可能

エプロンコンベアのデメリット

  • 高い耐久度と特殊な設計のため、他のコンベアシステムに比べてコストが高い
  • 複雑な構造のため、メンテナンスに時間がかかりやすい
  • ほかのコンベアシステムに比べて運搬速度が遅い場合があり、高速運搬には不向き

ここまで、各コンベアのメリットとデメリットをご紹介してきました。次のセクションでは、具体的に貴社に最適なコンベアを選定するためのポイントを解説します。

4つの比較方法・最適なコンベアを選ぶためのポイント

4つの比較方法・最適なコンベアを選ぶためのポイント

貴社に最適なコンベアを選定する上で考慮すべきポイントは、以下の4点です。


用途

コンベアを選ぶ上で、まずは用途と目的を明確にする必要があります。

それぞれのコンベアにはそれぞれの強みや適切な使い方があるので、適した場面への導入が求められます。

以下の内容を参考に、貴社に適しているコンベアを探すことがおすすめです。

ベルトコンベアの用途例

  • 工場の組立ライン
  • 物流・配送センター
  • 空港の荷物取り扱い
  • 食品産業の加工・包装ライン

チェーンコンベアの用途例

  • 重工業(例:鉄鋼、自動車製造)
  • 重い食品パッケージや原材料の運搬
  • 鉱業での鉱石や石炭の運搬

リンクコンベアの用途例

  • 電子機器の製造
  • 自動組立ライン
  • 製品検査システム
  • 小規模製品の包装業務

エプロンコンベアの用途例

  • 鉱石や金属スクラップなどの運搬
  • 重量物や鋭利な廃棄物の処理プラント
  • 建設資材の運搬や大型プロジェクトでの使用

これらの点を考慮することで、特定の運搬ニーズや作業環境に最適なコンベアシステムを選択できます。

耐荷重

コンベアの選択は、その耐荷重能力を基に行うことが重要です。

ベルトコンベア、チェーンコンベア、リンクコンベアはそれぞれ異なる耐荷重を持ち、適切なシナリオでの使用が推奨されます。

ベルトコンベアの一般的な耐荷重

  • 耐荷重: 数キログラムから数百キログラム
  • 特徴: 軽量から中量の物品の運搬に適しており、一般的な運搬ニーズに対応
    特殊な設計により、より重い物品の運搬も可能

チェーンコンベアの一般的な耐荷重

  • 耐荷重: 数百キログラムから数トン
  • 特徴: 重量物の運搬に特化しており、特に重工業や鉱業などでの使用に適している
    耐久性と強度が高く、過酷な環境にも対応可能

リンクコンベアの一般的な耐荷重

  • 耐荷重: 数キログラムから数十キログラム
  • 特徴: 軽量から中量の物品の運搬に適しており、高速運搬と正確な位置決めが可能。
    特に精密な製造ラインや自動化された環境での利用に最適

エプロンコンベアの一般的な耐荷重

  • 耐荷重:数百キログラムから数トン
  • 特徴:重い物品や鋭利な物品、高温の材料など、過酷な条件下での運用に適している鉱業、鋳造工場、廃棄物処理施設など、重量があり、かつ扱いが難しい物品の搬送に最適

これらの特性を考慮して、特定の運搬ニーズに最適なコンベアの選択が可能です。

重量物を扱う場合はチェーンコンベアが、軽量物や高速運搬を必要とする場合はベルトコンベアやリンクコンベアを検討することをお勧めします。

対応サイズ

コンベアの選択において、ワークサイズの対応範囲を理解することが重要です。

ベルトコンベア、チェーンコンベア、リンクコンベアは、それぞれ異なるサイズのワークに最適な設計となっています。

ベルトコンベアの一般的な対応サイズ

  • 対応ワークサイズ: 小さな部品から大きな箱まで対応
  • 特徴: ベルトの幅が数センチメートルから数メートルまであり、幅広いワークサイズに対応

チェーンコンベアの一般的な対応サイズ

  • 対応ワークサイズ: 大型の機械部品、重い工業用コンテナ、パレットに積まれた製品
  • 特徴: 大きく重いワークに特化。その頑丈な構造により、大きなサイズのワークを安定して運搬可能

リンクコンベアの一般的な対応サイズ

  • 対応ワークサイズ: 小さな部品や中程度のサイズの製品
  • 特徴: 主に高速運搬と正確な位置決めに特化し、小から中サイズのワークに特に有効
以上の情報をもとに、特定の運搬ニーズや作業環境に最適なコンベアを選択することができます。

それぞれのコンベアタイプは特定のワークサイズに適しており、適切な選択によって作業効率と生産性の向上が期待できます。

価格

コンベアの種類ごとの一般的な価格レンジを日本円で示します。

ただし、これらの価格は大まかな目安であり、実際の価格はサプライヤー、設計の詳細、特定の仕様やカスタマイズによって異なります。

ベルトコンベアの一般的な金額感

  • ベルトコンベアは比較的手頃な価格で、小規模から中規模のシステムでは数十万円から数百万円程度で購入可能
  • 特別な機能や大規模なシステムになると価格は上昇

チェーンコンベアの一般的な金額感

  • チェーンコンベアは一般的にベルトコンベアよりも高価
  • 小規模なシステムでも数百万円から、大規模かつ複雑なシステムでは数千万円に及ぶことがある

リンクコンベアの一般的な金額感

  • リンクコンベアは高度な技術と精密な構造を必要とするため、通常は高価
  • 小規模なシステムでも数百万円から始まり、より高度な制御システムや特別な要件がある場合はさらに高額になることがある

エプロンコンベアの一般的な金額感

  • 重い物品を扱う能力や耐久性、特殊な環境への対応力を備えているため、価格が高くなる傾向あり
  • 小規模なものでも数百万円から、大規模でカスタマイズされたシステムでは数千万円以上になることもある

実際のコストは、選択されるコンベアの種類、サイズ、カスタマイズのレベル、そしてサプライヤーによって異なるので、複数の見積もりを比較検討することをお勧めします。


ここまで、貴社に最適なコンベアを選定する上で抑えるべきポイントをご紹介しました。

次のセクションでは、いよいよ各コンベアを製造する企業をご紹介します。

コンベアの代表的なメーカー

コンベアの代表的な製造企業

各コンベアを製造している企業をご紹介します。貴社の導入条件を整理し、比較基準の4点を確認した後は、実際にコンベアを製造している企業を探しましょう。

チェーンコンベア ベルトコンベア リンクコンベア エプロンコンベア
三共製作所
共和工業所
クレタス

三共製作所(Sankyo Seisakusho)

三共製作所のリンクコンベア

三共製作所は、自動化技術サービスを提供するメーカーで、カム技術をコア技術としています。

特に、カム技術を用いた自動化機器の製造で知られており、精密減速機、ローラドライブ、間欠割出装置、インデキシングドライブなどを主要製品としています。

  • FA向けの精密位置決め機器、工作機械用精密位置決め機器など止める技術に強み
  • カム形状の評価は、自社開発された三次元CADモデル作成システムと三次元計測結果との照合により、ミクロンレベルの評価が可能

同社はリンクコンベアを製造していて、以下のような特徴があります。

  • 高精度:位置決め精度±0.1ミリメートル以内の送りが可能
  • 高速:毎分最大120サイクルの送り速度を実現
  • コンベアの長さ:480ミリメートル単位で無限に延長可能

同社のリンクコンベアは電子機器の製造、自動組立ライン、製品検査システム等の設備への納入実績がございます。

三共製作所のリンクコンベアについて、より詳しく知りたい方は、ぜひ以下よりお問い合わせください。直接メーカーにお繋ぎし、具体的なご相談にも対応させていただきます。

三共製作所にお問い合わせ

共和工業所(KYOWAKOGYOSYO)

共和工業所は、ベルトコンベアの製造も行っており、生産現場での部品加工や大量生産の組み立て、鉱業や建設現場での鉄鉱石、石炭、土砂などの運搬など、様々な場面で使用されるベルトコンベアを提供しています。

同社とその製品には、以下のような特徴があります。

  • ベルトコンベアを製造
  • オーダーメイドの製品提供、低コスト・短納期、高品質・長寿命
  • スウェーデンスティールの高強度、高硬度、高耐衝撃の材料を使用

共和工業所は、各種のコンベアシステムを通じてお客様のニーズに応じた製品を提供しています。

クレタス(Cretas)

クレタスは、1969年に設立された東京都八王子市に本社を置く企業です。

同社は工業用ゴム・プラスチック製品の専門商社として、高品質な製品の提供と技術コンサルティングサービスに取り組んでいます。

会社の経営理念として、技術と想いを融合した製品とサービスで、お客様と共に価値を創造し、社会の発展に貢献することを掲げています。

  • クレタスは、お客様の要望に応じてオーダーメイド品を製造
  • 低コスト・短納期: 企画から設計、製造、組立、据付、メンテナンスまで一貫体制
  • 軽量化された耐久性のある高品質・長寿命の設備を提供