発電機の選び方とおすすめメーカーは? 仕組みなど基本的な特徴も押さえてご紹介
  • 最終更新日:2024年10月25日
発電機は、家庭用の非常用電源から建設現場や工場での大型機器の稼働まで、さまざまな用途で活躍していますが、製品ごとの違いを比較するのは容易ではありません

この記事では、発電機の仕組みや使い方などの特徴を押さえたうえで、選び方のポイントと、代表的なメーカーの一覧をご紹介します。

実際に導入する前に、発電機の選び方を知っておくことで、用途に最適な製品を見つけることができます。ぜひ最後までご覧ください。

発電機とは? 仕組みなど基本的な特徴について

発電機とは

この章では、発電機の仕組みや種類、使い方とメリット・デメリットなど、発電機の基本的な特徴について総ざらいします。基本情報は押さえているという方は次の章で選び方のポイントを紹介しているので、そちらをご参照ください。

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ガソリンで動く? エンジンなど発電機の仕組み

発電機は、機械的エネルギーを電気エネルギーに変換する装置です。エンジンやタービンなどの機械的動力源を用いて、内部に配置されたコイルや磁石を回転させることで電流を発生させます。この回転によって、磁場の中を通過するコイルに電圧が誘導され、電気が生成されます。

多様なエネルギー源に対応しており、ガソリンなど燃料エンジンを利用するもののほか、風力や太陽光といった再生可能エネルギーも活用することが可能です。効率性にも優れており、エネルギー損失を最小限に抑えながら、安定した電力供給ができるよう設計されています。また、環境負荷の軽減にも配慮されており、排出ガスの削減や再生可能エネルギーの利用が進んでいる点も特徴です。

発電機の構造

  • 固定子(ステーター)
  • 固定されたコイルで構成され、発電した電力を外部に送る役割を担います。
  • 回転子(ローター)
  • 磁石や電磁石が取り付けられており、外部からの力で回転し、固定子のコイルに起電力を誘起します。
  • ブラシとスリップリング
  • 回転子と固定子の間で電流を伝達する部品で、回転運動がある発電機に使用されます。


発電機の仕組み

  1. 外部から力を加えて回転子を回転
  2. 回転子の磁石や電磁石が固定子のコイルを横切ることで、電磁誘導が発生、コイル内に起電力が生じる
  3. 起電力が電流を発生させ、ブラシとスリップリングを通して外部へ電力を送る


家庭用など7種類の発電機

発電機は家庭での用途に適したものなど、いくつか種類があります。ここでは7つの発電機を紹介します。



インバーター発電機

インバーター発電機は、精密機器やパソコンなど、安定した電力が求められる機器に最適な装置です。インバーター技術により高品質な電力を供給できる点が強みに挙げられます。

また、軽量かつコンパクトで、持ち運びが容易なため、アウトドアや災害時の非常用電源として活躍します。例えば、キャンプ場での照明や調理器具の電源として、また停電時には家庭用電源として活用されています。

サイクロコンバーター発電機

サイクロコンバーター発電機は、交流電力の周波数を変換し、50ヘルツと60ヘルツの両方に対応できる発電機です。周波数を変換できるため、異なる地域や用途で柔軟に使用できます。

周波数の切り替えが可能なことから、電力変換が高効率で、エネルギー損失が少ないことが利点です。異なる周波数の工具や機器に対応でき、農業やイベントでも安定した電力供給が求められる場面で重宝されています。

スタンダード発電機

スタンダード発電機は、インバーターを内蔵していないシンプルな構造の発電機です。パソコンや精密機器には不向きですが、一般的な電力供給には十分な性能を発揮します。

経済的で価格が安価な点、高出力を実現できる点、そして故障が少なく長寿命である点が利点です。建設現場で電動工具の電源として広く使用され、農業では灌漑システムの電力源として活躍しています。また、災害時の非常用電源としても利用されています。

三相発電機

三相発電機は、位相が120度ずれた3つの交流電力を組み合わせた三相交流電力を生成する発電機です。電力の損失が少なく、効率的な電力供給が可能です。

強みは、電圧の変動が少ないため安定した電力を提供できる点や、大規模な機械に対応できる高出力を持つ点です。工業用機械や建設現場の大型機器、データセンターでのバックアップ電源として広く利用されています。

軽油発電機

軽油発電機は、ディーゼルエンジンを使って機械的エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機です。燃費効率が高く、長時間運転が可能な点が挙げられます。

エネルギー密度の高い軽油の使用で燃費が良くなること、耐久性にも優れていることが強みです。建設現場における大型機械の電源としての活用、病院やデータセンターにおける非常用のバックアップ電源としての活用、そして農業における灌漑システムの電力供給に利用されています。

ガソリン発電機

ガソリン発電機は、ガソリンを燃料として電気を供給する装置で、家庭やアウトドア、小規模な商業用途でよく利用されています。他の発電機に比べて出力が高く、冷蔵庫やエアコンといった消費電力の大きい機器も動かせます。また、モデルの種類が豊富で、用途に応じて選びやすいのもポイントです。

停電時の家庭用非常電源として、キャンプなど電気のない場所での使用や、建設現場での電力供給にも広く役立っています。

ガス発電機

ガス発電機は、天然ガスやLPガスを燃料として、電気を生成する装置です。ガソリンなどの燃料に比べて劣化しにくく、長期保管が可能な点がメリットです。

環境に優しく、有害物質の排出が少ないため、クリーンエネルギーとして注目されています。また、静音性が高く、住宅地や病院などでも使いやすいのが特徴です。災害時には避難所や病院で使用され、商業施設や工場ではバックアップ電源として、安定した電力供給を行っています。

発電機の種類 特徴 主な用途
インバーター

・高品質な電力供給
・軽量でコンパクト
・持ち運びが容易

・アウトドア
・災害時の非常用電源
・家庭用電源

サイクロコンバーター

・周波数変換対応
・エネルギー効率が高い
・柔軟な用途対応

・農業
・イベント

スタンダード

・シンプルな構造
・高出力
・価格が安価

・建設現場
・灌漑システム
・非常用電源

三相

・電力損失が少ない
・安定した電力供給
・大規模機械対応

・工業用機械
・建設現場
・データセンター

軽油

・燃費効率が高い
・耐久性に優れる
・長時間運転可能

・建設現場
・病院
・農業の灌漑システム

ガソリン

・高出力
・モデルが豊富
・用途に応じて選びやすい

・家庭用電源
・アウトドア
・小規模商業

ガス

・燃料劣化しにくい
・環境に優しい
・静音性が高い

・避難所
・病院
・商業施設

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発電機の使い方とメリット・デメリット

ここまでの内容を発電機のメリット・デメリットという形でまとめると、次のようになります。

メリット

  • 高出力
  • 冷蔵庫やエアコンなどの消費電力が大きい家電製品を稼働させるのに十分な出力を提供します。災害時や建設現場など、安定した電力が求められる場面で役立ちます。

  • 長時間の使用が可能
  • 燃料を補充すれば長時間使用でき、電力供給が途切れる心配が少ないです。避難所やアウトドアでの利用において、安定した電力を確保できます。

  • 寒冷地で使用できる
  • 例えば、ガソリン発電機は、低温環境でも安定した動作が可能です。寒冷地の建設現場や冬季のアウトドア活動など、厳しい気候条件でも使用できる発電機もあります。



デメリット

  • 騒音
  • 発電機の運転音は大きく、住宅地や静かな環境では使用が難しいことがあります。軽減する方法として、防音ボックスを利用する、静音タイプの発電機を選ぶ、または設置場所を建物から離すなどの工夫が効果的です。

  • 燃料の取り扱い
  • ガソリンや軽油などの燃料は、保管場所や取り扱いに制限があり、取り扱いが難しいことが挙げられます。適切な容器で保管し、燃料の点検や交換を定期的に行うことで、安全性を高めることができます。

  • 排気ガス
  • 発電機の排気ガスには有害物質が含まれ、屋内での使用は一酸化炭素中毒のリスクがあります。必ず屋外で使用し、換気を徹底するほか、排気ガス浄化装置の取り付けや、定期的なメンテナンスで安全性を向上させることが可能です。



選び方は? 発電機の比較ポイント5点

発電機の比較ポイント

ここからは、発電機を選ぶ際の選定ポイントを詳細に解説します。発電機を導入する際に検討すべきポイントは以下の5点です。



使用する機器の消費電力

消費電力が変動すると、発電機のサイズ、燃料消費、メンテナンスの頻度などが異なります

消費電力が大きい場合

消費電力が大きい機器を使用する場合、発電機は高出力が必要となり、大規模な産業機器や建設現場に対応できる利点があります。発電機の容量が大きく、冗長性を持たせることもできるため、突発的な電力需要増加にも対応が可能です。また、高出力により多用途での使用が可能です。

高消費電力に対応する発電機は、建設現場や災害時の非常用電源として利用され、クレーンや冷蔵庫といった大型機器を安定して稼働させます。

消費電力が小さい場合

消費電力が小さい場合、発電機の運用コストが抑えられ、静音性や環境負荷が軽減される利点があります。燃料消費量も少なくなるため、経済的であり、燃料補給の頻度が減少します。また、メンテナンスの頻度も減り、部品の摩耗が少ないため、長期間にわたって安定した運用が期待できます。

低消費電力に対応する発電機は、家庭用の非常用電源として、LEDランタンや携帯電話の充電器などの低電力機器を稼働させる場面で活躍します。

持ち運びできるかなどのサイズ

サイズが変動すると、発電機の性能や利便性が変わるなど、出力能力や燃料消費量、設置スペース、移動性などに大きな影響があります

サイズが大きい場合

大きな発電機は、冷蔵庫やエアコンなどの消費電力が大きい機器を安定して動かせる高出力を提供します。さらに、電圧や周波数の変動が少ないため、安定した電力供給が可能です。加えて、大きな燃料タンクを備えているため、長時間の連続運転が求められる場面でも有利です。

工業用施設では、重機や大型モーターに電力を供給するのに必要とされ、データセンターでは24時間稼働が求められるサーバーやネットワーク機器の電力を安定して提供します。

サイズが小さい場合

小型の発電機は、軽量でコンパクトなため、持ち運びや設置が容易です。燃料消費量が少ないため、運転コストを抑えられ、経済的です。さらに、運転音が小さいことから、騒音問題が少ないのもメリットです。

キャンプやアウトドア活動でのLEDランタンや携帯電話の充電、小規模な商業施設での冷蔵庫や照明の電力供給に使用され、静かな環境でも快適に利用できます。

発電機の騒音

騒音の大きさが変動すると、使用できる環境や用途が大きく変わります。特に、静かな環境での使用や、周囲への配慮が求められる場面では重要なポイントです。

騒音が大きい場合

騒音が大きい発電機は、一般的に高出力であり、頑丈に作られているため長時間の連続運転が可能です。また、高出力により多くの機器を同時に動かすことができ、コスト効率が良い場合もあります。

建設現場では、クレーンや大型ドリルなどの重機を動かす際に使用され、大規模イベントでは音響機器や照明設備の電源としても活躍します。

騒音が小さい場合

騒音が小さい発電機は、住宅地や病院などの静かな環境でも使用が容易です。小型で軽量なため携帯性に優れており、設置も簡単です。また、騒音公害を抑えることができ、環境や住民への配慮がなされています。

住宅地では、冷蔵庫や照明など家庭用の非常用電源として使用され、病院や介護施設では医療機器や通信機器の電源として利用されることが多いです。

燃料の燃費効率

燃費効率が変動すると、燃料消費量やメンテナンスの頻度が変わるため、運用面での利便性に影響を与えます。運転コストや環境負荷、運転時間に関わるポイントです。

燃費効率が高い場合

燃費効率が高い発電機は、燃料消費量が少ないため運転コストを削減でき、CO2や排出ガスの量が減少します。これにより、長時間の運転が可能となり、環境への負荷も軽減されます。また、エンジンの負荷が軽減されるため、メンテナンスの頻度も少なくなります。

燃費効率が高い発電機は、建設現場や災害時の非常用電源として活躍し、長時間にわたり安定した電力供給を必要とする場面で使用されます。

燃費効率が低い場合

燃費効率が低い発電機は、初期コストが低く、シンプルな構造のためメンテナンスが容易です。短期間の使用であれば、燃料消費や環境負荷が問題になることは少なく、予算を抑えたプロジェクトに向いています。

短期間のイベントやフェスティバル、予算が限られている小規模プロジェクトでは、燃費効率が低くても十分に役立ちます。

使用する機器の起動電力

起動電力が変動すると、発電機の出力や燃料消費に直接的な変化が生じるため、特に運転効率に大きく影響するポイントです。

起動電力が高い場合

起動電力が高い機器を使用する場合、高出力の発電機が必要となり、冷蔵庫やエアコンといった消費電力が大きい家電を安定して稼働させることが可能です。また、複数の高消費電力機器を同時に使用する場合にも対応でき、効率的な電力管理が可能です。さらに、電圧や周波数の変動が少なく、安定した電力供給が期待できます。

災害時の非常用電源として、病院や避難所で冷蔵庫や医療機器などを稼働させる際に活用されるほか、大規模イベントでの音響機器や照明設備の電源としても使用されます。

起動電力が低い場合

起動電力が低い場合、燃料消費が少なく、運転コストを抑えられます。発電機自体も軽量でコンパクトなため、持ち運びや設置が簡単で、静音性にも優れています。これにより、騒音が気になる環境での使用にも適しています。

キャンプやアウトドア活動でLEDランタンや携帯電話の充電に使用されるほか、家庭用の非常用電源として、照明やラジオ、携帯電話の充電などにも利用されています。

発電機を製造するおすすめメーカー5社

発電機のメーカー

ここからは、発電機を製造している主要なメーカーを紹介します。主要なメーカーは以下の5社です。



本田技研工業(Honda)

本田技研工業は、1948年に日本で設立された、オートバイ、自動車、パワープロダクツを開発・製造しているメーカーです。本田技研工業は、インバーター発電機やサイクロコンバーター発電機、スタンダード発電機、三相発電機など多様な発電機を製造しています。正弦波インバーター搭載発電機は、パソコンや精密機器に適した高品質な電気を供給。また、サイクロコンバーター搭載発電機は電動工具などのモーター使用機器に最適です。

防災現場や商業施設、建設業など多様な業界で活用されています。避難所や災害現場での非常用電源、店舗やオフィスでの停電対策、建築現場での電源供給に貢献しています。

デンヨー(Denyo)

デンヨーは、1948年に日本で創立された、発電機、溶接機、コンプレッサを製造しているメーカーです。デンヨーは、主にスタンダード発電機や三相発電機を製造しており、特に可搬形ディーゼル発電機で高いシェアを誇ります。DCAシリーズやTLGシリーズは建設現場やイベントで使用されるモデルです。また、USシリーズは極超低騒音型で、マーリエシリーズは静音性を重視した発電機です。

医療業界では総合病院での防災バックアップ電源として、製薬業界では薬品倉庫の非常用電源として使用されています。

ヤマハ発動機(Yamaha Motor)

ヤマハ発動機は、1955年に日本で創立された、オートバイやマリン製品、発電機を製造しているメーカーです。ヤマハ発動機は、主にインバーター発電機やスタンダード発電機を製造しており、特に高品質な電気を供給するインバータ発電機EFシリーズが知られています。また、FWシリーズ発電機は、耐久性と信頼性に優れ、建設現場や業務用に適したモデルです。

防災分野においては自衛隊や地方自治体での非常用電源として、また建設業界では建築現場での電源供給に広く使用されています。

明電舎(MEIDENSHA)

明電舎は、1917年に日本で設立された、電力インフラや産業機器を製造しているメーカーです。明電舎は、スタンダード発電機や三相発電機を主に製造しており、非常用ディーゼル発電装置やガスタービン発電装置、小・中容量エンジン発電機など幅広い製品を提供しています。ZXシリーズは停電時に重要な電気設備への電力供給を担い、高効率のガスタービン発電装置は環境に配慮したモデルです。

医療業界では病院の非常用電源、商業施設ではショッピングセンターやオフィスビルの停電対策、工場では自家発電設備、さらに公共インフラとして地方自治体や公共施設での防災用電源として幅広く利用されています。

明和製作所(Meiwa)

明和製作所は、1945年に日本で創立された、電気モータや発電機、歯車、ダイカスト製品などを設計・製造しているメーカーです。明和製作所は、主にスタンダード発電機を製造しており、永久磁石発電機であるIRGシリーズは、高効率で堅牢性があり、メンテナンスが容易な点が特徴です。また、小水力発電機は低速回転でも高効率な発電を可能にしています。

再生可能エネルギー分野において、小水力発電システムとして地域の再生可能エネルギー事業に貢献しているほか、産業用機械の動力源や地方自治体の防災用電源としても利用されています。



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