5種類の産業用ドローンと比較方法と選び方、おすすめのメーカー5社をご紹介
  • 最終更新日:2024年8月9日
現代の産業において、ドローンは欠かせない存在となっています。農業、測量、点検、物流、メディア・撮影など、多岐にわたる分野でその力を発揮し、業務の効率化やコスト削減、安全性の向上に大きく貢献しています。

しかし、どのドローンがあなたのビジネスに最適なのかを見極めるのは難しいかもしれません。そこで今回は、産業用ドローンの種類とその特徴を詳しく解説します。

5種類の産業用ドローン

産業用ドローンの種類と特徴

産業用ドローンは、農業、測量、点検、物流、メディア・撮影など、多岐にわたる産業分野で使用される無人航空機です。これらのドローンは、特定の業務に特化した機能を備えており、業務の効率化やコスト削減、安全性の向上に貢献しています。

産業用ドローンの特徴は、以下のとおりです。

  • 特定の産業用途に合わせて設計されており、高品質なカメラ、長時間飛行可能なバッテリー、荷物の積載能力など、高度な機能を搭載
  • 人が立ち入ることが困難または危険な場所での作業を代行することで、作業員の安全を確保
  • 自動運航機能を利用することで、人員や作業時間を削減し、業務を効率化

産業用ドローンには、主に以下の5つの種類が挙げられます。

  • 空撮用ドローン
  • 農業用ドローン
  • 点検用ドローン
  • 測量用ドローン
  • 物流用ドローン

空撮用ドローン

空撮用ドローンは、主にメディアや映画制作、スポーツイベントの撮影、広範囲の地形や建築物の測量などに使用されるドローンです。これらのドローンは、高品質なカメラを搭載し、長時間の飛行や広範囲の撮影が可能です。

このタイプのドローンの強みは以下のとおりです。

  • 6Kやそれ以上の解像度で撮影できるカメラを搭載しており、詳細な映像や写真を提供
  • 大容量バッテリーを搭載しているため、長時間の連続飛行が可能
  • 防塵・防水性能が高く、厳しい環境下でも使用可能
  • 風や天候の変化に強く、安定した飛行が可能

空撮用ドローンは高品質な映像撮影に特化しています。

農業用ドローン

農業用ドローンは、農業分野に特化した無人飛行機で、農薬や肥料の散布、作物のモニタリング、播種や受粉など、農業生産の効率化を図るために開発されています。農薬や肥料を積載し、広範囲の農地に対して均一に散布することができます。カメラやセンサーを搭載し、作物の成長状況や病害の早期発見に役立てられます。播種装置を搭載し、種をまく作業や受粉を助ける用途にも使用されます。

このタイプのドローンの強みは以下のとおりです。

  • 手作業に比べて大幅に作業時間を短縮し、効率的な農作業が可能
  • GPSやセンサー技術を活用し、精密な作業が行える
  • 人が立ち入りにくい、または危険な場所での作業を代行し、作業者の安全を確保
  • 高齢化や人手不足が進む農業分野において、労働力の負担を軽減

農業用ドローンは散布装置やセンシング機器を搭載しており、農作業に特化した機能を持っています。

点検用ドローン

点検用ドローンは、インフラや設備の点検を効率的に行うために特化したドローンです。これらのドローンは、高解像度カメラや赤外線調査機器などを搭載し、人が立ち入りにくい場所や危険な場所での点検作業を安全かつ迅速に行うことができます。

このタイプのドローンの強みは以下のとおりです。

  • 高所や危険な場所での作業をドローンが代行することで、作業員の安全を確保
  • 少人数で短時間に広範囲の点検が可能になり、コスト削減に寄与
  • 高性能カメラやセンサーを使用して、人間の目では見落とす可能性のある微細な亀裂や腐食を検出
  • AIや5G、クラウド技術の統合により、自動損傷検知やリアルタイムデータ処理が可能

点検用ドローンは、点検作業に必要な高性能カメラやセンサー、そして場合によっては特殊なアームなどを搭載しています。

測量用ドローン

測量用ドローンは、地形や建築物の測量を目的として使用されるドローンです。これらのドローンは、カメラやレーザーなどのセンサーを搭載しており、これらのセンサーから得られるデータとGPS情報を組み合わせて専用ソフトウェアで解析することで、正確な地図や3Dモデルを作成することが可能です。

このタイプのドローンの強みは以下のとおりです。

  • 大規模な地域を短時間で測量することができる
  • cm単位の精度で測位データを提供し、正確なマッピングが可能
  • 人が立ち入ることが困難または危険な場所でも測量が可能
  • 地上での測量に比べて時間とコストを削減

測量用ドローンは、その高い精度と効率性により、建設、土木、測量などの業務において重要な役割を果たしています。

物流用ドローン

物流用ドローンは、荷物の配送や輸送を目的として使用されるドローンです。特に物流業界において効率化と迅速化を実現するために開発されています。主に小規模な商品や医療用品、食品などを短時間で配送することを目的としています。これらは自動飛行や障害物回避技術が進化しており、人口密集地域や災害地域への配送にも利用されています。

このタイプのドローンの強みは以下のとおりです。

  • EC業界での即日配送が可能で、消費者のニーズに応える形で商品を迅速に届けることができる
  • 遠隔地や災害地域への救急薬品や医療用品の配送に利用され、スピードと効率性が命を救うこともある
  • 自動飛行や障害物回避技術の向上により、より安全でスムーズな運用が可能

産業用ドローンを活用するメリット・デメリット

産業用ドローンの強みと課題

産業用ドローンは、導入することで業務を大幅に効率化できるメリットがありますが、同時にデメリットも存在します。その両方を考慮して、導入することが重要です。

メリット

産業用ドローンには、主に以下の3つのメリットがあります。

  • 業務効率化
  • コスト削減
  • 安全性の確保

業務効率化

産業用ドローンは、人が行うには時間がかかる作業を迅速に実行できます。

特に、以下のような用途の作業を効率化させ、単純作業より重要な作業に時間をかけられるようになります。

  • 広範囲の農地に対する農薬散布
  • 大規模な土地の測量などが効率的に行える

コスト削減

人件費や時間の節約により、コスト削減が可能です。特に、人が多く必要とされる作業や、有人航空機を使用する場合に比べて経済的です。

特に、大規模な農地での農薬散布や作物のモニタリングに利用し、作業の精度と速度を向上させる際には、大いに活躍します。

安全性の確保

高所作業や危険な環境での作業をドローンが代行することで、作業員の安全を確保できます。

特に、以下のような場面で、産業用ドローンは活躍します。

  • 人の立ち入りが困難な災害現場での状況把握や被害評価に活用
  • 高所や危険な場所の橋梁や建築物の定期的な点検に使用でき、人的リスクを削減

デメリット

一方で、産業用ドローンを導入する際は、以下のデメリットも考慮しておく必要があります。

  • 価格が高い
  • 操作の複雑さ
  • 法規制

価格が高い

産業用ドローンは一般的なドローンに比べて高価であり、初期投資が大きくなることが多いです。

もし価格が導入のネックになる場合は、レンタルサービスの利用や、ドローンの共同購入などを行うことで、初期投資を抑えることができます。

操作の複雑さ

高度な機能を持つため、操作が複雑になることがあり、専門的な訓練が必要になることが多いです。

操作にいち早く慣れるには、ユーザーフレンドリーな操作システムの開発や、操作トレーニングプログラムの提供により、操作の複雑さを軽減できます。

法規制

ドローンには、飛行には法的な制限があり、特定のエリアや条件下での飛行が制限されることがあります。

法関連のトラブルを回避するには、法規制に関する最新情報の把握と、必要な許可や免許の取得がおすすめです。

6つの選定基準 | 産業用ドローンの選び方

産業用ドローンの比較方法

適切な産業用ドローンを選ぶには、以下の6つのポイントを抑える必要があります。

  • 用途
  • 重量
  • 充電容量
  • 飛行時間
  • 飛行速度
  • カメラ性能

用途

産業用ドローンは、さまざまな用途に応じて特化した機能を持つモデルが存在します。用途に応じた適切なドローンを選ぶことで、作業の効率化やコスト削減、安全性の向上など多くのメリットが得られます。

以下で、主要なドローンの種類とそれぞれに適した用途をご紹介します。

空撮用ドローンの用途

  • メディアや映画制作
  • スポーツイベントの撮影
  • 広範囲の地形や建築物の測量

農業用ドローンの用途

  • 農薬や肥料の散布
  • 作物のモニタリング
  • 播種や受粉

点検用ドローンの用途

  • インフラや設備の点検
  • 高所や危険な場所での作業

測量用ドローンの用途

  • 地形や建築物の測量
  • 正確な地図や3Dモデルの作成

物流用ドローンの用途

  • 荷物の配送や輸送
  • 医療用品や食品の配送

重量

産業用ドローンの重量が変動すると、飛行性能が上下したり、考慮すべき法規制が変わることがあります。

ドローンの機体が重いと、以下のようなメリットがあります。

  • より多くの荷物を運ぶことができ、物流や救援物資の配送などで特に有利
  • 堅牢な構造を持ち、厳しい環境条件下でも運用可能
  • 風などの外部要因による影響を受けにくく、より安定した飛行が可能

逆に、ドローンの機体が軽いと、以下のメリットがあります。

  • より少ないエネルギーで長時間飛行可能
  • より敏捷で、狭い空間や複雑な環境での操作に最適
  • エネルギー効率が良く、運用コストが低く抑えられる

充電容量

産業用ドローンの充電容量が変動すると、飛行時間、重量とサイズ、充電時間に影響を与えます。

充電容量が大きい場合のメリットは以下のとおりです。

  • バッテリー容量が大きいと、ドローンは一度の充電でより長い時間飛行可能
  • 容量が大きいバッテリーは、通常、より大きなペイロードを運ぶ能力があり、重い機器を搭載する場合に有利
  • 一日の作業中に何度も充電する必要が少なく、作業効率が向上

充電容量が小さい場合のメリットは以下のとおりです。

  • ドローンの全体的な重量が少ないため、容量が大きなドローンと比べて機動性が向上し、狭い空間での操作が容易
  • より短時間で充電でき、作業の中断時間が短縮
  • 一般的に価格が低く、交換やメンテナンスのコストが抑えられる

飛行時間

産業用ドローンの飛行時間が変動すると、作業効率や運用計画、充電頻度に影響を与えます。

飛行時間が長い場合のメリットは以下のとおりです。

  • 長い飛行時間を持つドローンは、災害現場の監視や農地の調査など、長時間の作業に適している
  • 一度の飛行でより広い範囲をカバーできるため、測量や点検などの作業で有利
  • 頻繁な充電やバッテリー交換の必要が少なくなるため、運用コストが削減される

飛行時間が短い場合のメリットは以下のとおりです。

  • 飛行時間が短いドローンは、充電時間も短く、素早く再運用が可能
  • 一般的に、飛行時間が短いドローンは軽量であり、機動性が高い
  • 短い飛行時間のドローンは、製造コストが低い傾向にあり、初期投資を抑えることができる

飛行速度

産業用ドローンの飛行速度が変動すると、作業範囲、バッテリー消費、操縦性に影響を与えます。

飛行速度が速い場合のメリットは以下のとおりです。

  • 高速飛行により、調査や配送などのタスクを迅速に完了
  • 大規模な地域を短時間で調査できるため、測量や監視に有利
  • 災害救助や緊急配送など、時間が重要な場面での対応が可能

飛行速度が遅い場合のメリットは以下のとおりです。

  • 低速飛行により、精密な撮影や検査が可能
  • 低速で飛行することで、障害物回避が容易になり、安全性が向上
  • 低速飛行はバッテリー消費を抑えるため、長時間の運用が可能

カメラ性能

産業用ドローンのカメラ性能が変動すると、画像の品質やズーム能力、低光量性能に影響を与えます。

カメラ性能が高い場合のメリットは以下のとおりです。

  • 高解像度のカメラは、細部まで鮮明に捉えることができるため、点検や監視に非常に有効
  • 高性能なズーム機能を持つカメラは、広い範囲を詳細に観察可能
  • 高感度センサーを持つカメラは、暗い場所や悪天候でも使用でき、多様な環境での運用が可能

カメラ性能が低い場合のメリットは以下のとおりです。

  • 解像度が低いカメラは、一般的にコストが低く、初期投資を抑えられる
  • 低解像度のカメラは、通常、消費電力が少なく、バッテリー寿命を延ばすことが可能
  • 高度な機能が不要な簡易的な監視や調査には、低解像度のカメラで十分

産業用ドローンを製造するメーカー5社

産業用ドローンを製造する会社

産業用ドローンを製造する主なメーカーとして、以下の企業が挙げられます。

  • エアロセンス
  • DJI
  • テラドローン
  • ACSL
  • プロドローン

エアロセンス

エアロセンスは、ドローンのハードウェアからソフトウェアまで社内で一貫して開発する体制を持ち、日本の作業環境やワークフローに適したドローンソリューションを提供する会社です。

ソニーグループの技術力とベンチャー企業の機動力を活かし、測量、点検、中継、警備、農業など多岐にわたる産業分野でのドローン活用をサポートしています。

主に空撮用ドローン、点検用ドローン、測量用ドローンを主に製造しています。

DJI

DJIは、高品質なドローンと革新的な航空技術で知られており、農業、エネルギー、安全と人命救助、メディア、インフラ、建設など多岐にわたる産業分野にソリューションを提供する会社です。

同社のドローンは、高度な飛行性能と様々なセンサーを搭載しており、特に測量、点検、中継、警備、農業などの分野での活用が進んでいます。

主に農業用ドローン、点検用ドローン、測量用ドローン、物流用ドローンを主に製造しています。

テラドローン

テラドローンは、2016年に設立された日本の企業で、ドローンの開発やソリューションを展開している会社です。グローバル市場を視野に入れたビジネス展開を行い、インフラ点検や土木・建設業界に特化したサービスを提供しています。また、ドローンサービス企業として世界ランキングで2年連続で世界2位にランクインするなど、その実力は国際的にも認められています。

主に農業用ドローン、点検用ドローン、測量用ドローンを主に製造しています。

ACSL

ACSLは、産業用ドローンの製造販売及び自律制御技術を用いた無人化・IoT化に関するソリューションサービスを提供する企業です。最先端のロボティクス技術を追求し、社会インフラに革命をもたらすことをミッションとして掲げています。2013年に設立され、日本国内外で産業用ドローンの開発と実装を行っており、特にインフラ点検や物流、防災災害対応などの分野で活動しています。

ACSLは、空撮用ドローン、点検用ドローン、測量用ドローン、物流用ドローンを主に製造しています。

プロドローン

プロドローンは、高安全、高機能、高安定の産業用ドローンを製造販売する日本発の専門メーカーです。2015年に創業し、国産ドローンメーカーとしてトップの特許取得数を誇ります。長距離輸送・広域監視を担うシングルローター機から、重量物輸送・測量向けのマルチローター機まで、多様な産業用ドローンを手掛けています。

主に点検用ドローン、測量用ドローン、物流用ドローンを主に製造しています。