5種類のレーザークリーナーと選び方、おすすめの製造メーカー4社
  • 最終更新日:2024年9月13日
近年、表面洗浄技術の進化により、従来の化学洗浄やブラスト加工に代わり、レーザークリーナーが脚光を浴びています。

この画期的な技術は、精密な作業を可能にするだけでなく、環境への配慮も兼ね備えた優れたソリューションとして、製造業界での採用が急速に進んでいます。

この記事では、レーザークリーナーの種類、各種のメリット、そして信頼できるメーカーをご紹介します。

5種類のレーザークリーナー

5種類のレーザー洗浄機

レーザークリーナーとは、対象物となる母材表面の汚れ(錆・油膜・塗装被膜等)の異物をレーザーを使用して除去できる機械です。この機械は、化学洗浄やブラスト加工のような従来の表面洗浄方法に代わる優れた方法として普及しつつあります。

レーザークリーナーには、以下の5種類があります。

  • パルス発振式レーザークリーナー
  • 連続発振式レーザークリーナー
  • レーザークリーナー(固体レーザー)
  • 半導体レーザークリーナー
  • 気体レーザークリーナー

パルス発振式レーザークリーナー

パルス発振式レーザークリーナーとは、レーザー光を短い時間間隔で断続的に発振させるレーザーで、レーザー光を照射することで対象物の汚れやサビを除去する洗浄方法です。

パルス発振式レーザークリーナーの強みは、以下のような点が挙げられます。

  • レーザー光の強さや波長をコントロールできる
  • ピークパワーを高くできる
  • 母材にダメージを与えにくい
  • 廃液や二次廃棄物が発生しない

パルス発振の場合はレーザー光の強さや波長をコントロールできるため、強力な汚れやサビを除去できます。

連続発振式レーザークリーナー

連続発振式レーザークリーナーとは、レーザー光を一定の出力で連続的に発振させるレーザーで、レーザー光を照射することで対象物の汚れやサビを除去する洗浄方法です。

このタイプのレーザークリーナーの強みは、以下のような点が挙げられます。

  • レーザー光の強さや波長を変える必要がない
  • レーザーの出力が安定している
  • レーザーの寿命が長い
  • 廃液や二次廃棄物が発生しない

連続発振の場合はレーザー光の強さや波長をコントロールできないため、軽度な汚れやサビの除去に適しています。

レーザークリーナー(固体レーザー)

レーザークリーナー(固体レーザー)とは、固体(人造宝石の結晶やガラス)を用いたレーザーで、レーザー光を照射することで対象物の汚れやサビを除去する洗浄方法です。

レーザークリーナー(固体レーザー)の強みは、以下のような点が挙げられます。

  • 小型でありながら、大きな出力を効率よく発振できる
  • 高調波を発生させることにより、広い波長範囲にアクセスできる
  • 長寿命でメンテナンスが容易である
  • 母材に損傷を与えない
  • 廃液や二次廃棄物が発生しない

半導体レーザークリーナー

半導体レーザークリーナーとは、半導体素子を用いたレーザーで、レーザー光を照射することで対象物の汚れやサビを除去します。

このタイプのレーザークリーナーの強みは、以下のような点が挙げられます。

  • 小型でありながら、高い光エネルギー密度を持つ
  • 電気から光への変換効率が高い
  • 波長を調整できる
  • レーザーの寿命が長い

半導体レーザーは波長を調整できるため、母材と汚れやサビのエネルギー吸収率の差を利用して選択できます。

気体レーザークリーナー

気体レーザークリーナーとは、レーザー媒質に二酸化炭素や希ガスなどの気体を利用して励起させるレーザーで、レーザー光を照射することで対象物の汚れやサビを除去します。

このタイプのレーザークリーナーの強みは、以下のような点が挙げられます。

  • 単色性・指向性が高い
  • 連続発振による出力が高い
  • 熱影響部を最小限に限定できる
  • 廃液や二次廃棄物が発生しない

気体レーザーは波長が長いため、母材と汚れやサビのエネルギー吸収率の差を利用して選択できます。

レーザークリーナーのメリット・デメリット

レーザー洗浄機の強みと課題

レーザークリーナーを導入するにあたり、メリットとデメリットを比較する必要があります。
このセクションで、一つずつ確認していきましょう。

メリット

レーザークリーナーには、以下のメリットがあります。

  • 非接触であること
  • 廃棄物が発生しないこと
  • レーザー出力をコントロールできること

非接触であること

レーザークリーニングは、レーザー光を用いて汚れやコーティングを非接触で除去する技術です。従来の物理的な方法と異なり、母材にダメージを与えることなく高精度な清掃が可能です。

レーザークリーナーは、特に繊細な素材や高価な部品の清掃に最適です。例えば、電子機器の製造現場や医療機器のメンテナンスにおいて、その非接触性と高精度な清掃が役立ちます。

また、化学薬品を使用しないため、環境規制の厳しい場所や作業環境をクリーンに保ちたい現場でも効果を発揮します。さらに、メンテナンスコストの削減や作業効率の向上により、大量の部品を扱う工場や定期的なメンテナンスが必要な設備でも重宝されます。

廃棄物が発生しないこと

レーザークリーナーは、廃棄物が発生しないことと、レーザー出力をコントロール可能な点が
大きなメリットです。これにより、環境への負荷が少なく、清掃作業の効率と精度が向上します。

廃棄物が発生しないため、レーザークリーナーは環境規制が厳しい場所やクリーンな作業環境が求められる場面で特に有効です。化学薬品を使わないため、製造現場や食品加工、医療機器のメンテナンスなどで活躍します。

また、レーザー出力を細かく調整できるため、繊細な素材の清掃や、頑固な汚れの除去にも適しています。これにより、多様な業界で高精度かつ効率的な清掃が可能となり、総合的なコスト削減にもつながります。

レーザー出力をコントロール可能

レーザークリーニングは、レーザー出力のコントロールが可能であり、環境に優しいという特長も持つ清掃技術です。このため、精密な作業や環境保護が求められる現場で高い評価を得ています

レーザークリーナーの出力調整機能は、異なる材質や汚れに応じた最適な清掃を可能にします。例えば、精密機器のメンテナンスや、頑固な汚れの除去において、その高精度なクリーニング性能が活躍します。

製造業、自動車産業、航空宇宙産業など、多岐にわたる分野での利用が期待され、廃棄物の削減やエネルギー効率の向上に寄与します。

デメリット

一方で、レーザークリーナーには以下のデメリットもあるので、確認が必要です。

  • 費用が高い
  • 安全用の道具が必要
  • 使用できない材料もある

費用が高い

レーザークリーナーのデメリットには、費用が高いという点が挙げられます。

レーザークリーナーの運用コストが高いのは、専用のレーザー装置や光学機器のメンテナンスが必要だからです。このコストを軽減するためには、定期的なメンテナンススケジュールを組むことで、予防保守を行い、大きな故障を未然に防ぐことができます。また、操作とメンテナンスの訓練を受けた専門技術者を育成することで、効率的な運用が可能になります。

初期費用の高さを軽減するためには、レーザークリーナーの設置に必要なインフラ整備を計画的に進めることで、初期費用の負担を分散させることができます。例えば、段階的に設備を導入し、必要に応じて拡張していくアプローチも有効です。

これらの対策を講じることで、レーザークリーナーの高いコスト面のデメリットを軽減し、効果的かつ経済的な運用が可能となります。

安全用の道具が必要

レーザークリーナーの使用には、安全用の道具が必要で、工場内の導線や設置場所を考える必要があります。これは、レーザー光が高出力であるため、オペレーターの安全を確保するための重要な対策です。

例えば、レーザークリーナーを操作する際、オペレーターは必ずレーザー防護メガネを着用します。これにより、高出力のレーザー光から目を保護し、視力への重大なダメージを防ぎます。

また、作業エリアにはレーザー防護カーテンやシールドを設置することで、周囲の人々の安全も確保できます。

レーザー使用中であることを明示するために、安全標識や警告灯を設置する必要があります。

設備を設置すれば良いだけでなく、工場内のレイアウトや導線を検討しなおす必要もあるため、社内や工場内の状況を吟味する必要があります。

使用できない材料もある

レーザークリーナーには、使用できない材料があり、特に光を透過や反射する物の加工には不向きです。

レーザークリーナーは、金属や硬い表面の清掃には適していますが、プラスチックやゴムのような柔らかい素材には不向きです。

そのため、導入時にはレーザークリーナーの適用範囲を事前に明確にし、適切な素材を選定することが重要です。また、コーティングや表面処理が施された素材には、異なる清掃方法を併用することで対応できます。

光を透過するガラスや透明プラスチック、光を反射する鏡や磨かれた金属に対しては、レーザーの設定や使用方法を工夫することが必要です。例えば、反射防止のコーティングを施すなどして、レーザー光の制御を容易にする対策が考えられます。適切なレーザー出力の調整や補助的な清掃方法を併用することで、これらの素材への対応力を高めることができます。

4つの比較基準 | レーザークリーナーの選び方

レーザー洗浄機の選び方

レーザークリーナーを選定する上で、以下の4つのポイントを確認しながら選定と導入を進めることがおすすめです。

  • レーザー出力
  • レーザー波長
  • ビーム品質
  • スキャン方式(手動 or 自動)

レーザー出力

レーザークリーナーの出力は、機械選定をする上で重要です。

レーザー出力が高い時のメリットは、レーザークリーニングの速度や効果が高い点である。また、重度の汚れやサビ、塗膜、樹脂、酸化物などの除去に適しています。

レーザー出力が低い時のメリットは、レーザークリーニングのコストが低い点である。また、レーザークリーニングの安全性が高くなります。また、レーザー光の強さや波長をコントロールできる場合、母材にを最小限に抑えられます。

レーザー波長

レーザークリーナーを選定する際、レーザーの波長も考慮する必要があります。

レーザー波長が短ければ短いほど、レーザー光のエネルギーは高くなります。しかし、レーザー光の吸収率は、素材の種類や汚染物質の種類によって様々です。そのため、レーザー波長を素材や汚染物質に合わせて選択することが重要です。

レーザー波長が高いとレーザー光の吸収率が高く、レーザークリーニングの効率が高い点である。熱に強い素材や重度の汚れやサビの除去に適しています。

レーザー波長が低いと、レーザー光のエネルギーが高く、レーザークリーニングの選択性が高いです。そのため、熱に弱い素材や軽度の汚れやサビの除去に適しています。

ビーム品質

レーザークリーナーを選定する際、ビーム品質を考慮する必要があります。

ビーム品質が高ければ高いほど、レーザービームはより集光しやすく、より小さなスポットサイズやより深い焦点深度を得ることができます。これにより、レーザークリーニングの効果や精度が高くなります。

ビーム品質が高いと、レーザークリーニングの効果や精度が上がります。また、レーザークリーニングのコストが上がる一方、より安全に作業に集中できるようになります。そのため、熱に弱い素材や微細な構造のクリーニングに最適です。

逆に、ビーム品質が低いと、レーザークリーニングの速度が速いです。また、レーザークリーニングの範囲が広く、熱に強い素材や大きな構造のクリーニングに適しています。

スキャン方式(手動 or 自動)

レーザークリーナーを選定する際、スキャン方式を確認する必要があります。

手動スキャンとは、レーザークリーナーの操作者がレーザーヘッドを手で動かしてレーザー光を照射する方法です。逆に、自動スキャンとは、レーザークリーナーがガルバノスキャナーやロボットなどを用いてレーザー光を自動的に走査する方法です。

手動スキャンは、操作者の技量や状況によってレーザー光の照射速度や位置が変わります。そのため、レーザークリーニングの速度や精度は低くなります。

一方で、自動スキャンは、レーザー光の照射速度や位置をプログラムで制御できるため、レーザークリーニングの速度や精度が上がります。

手動スキャンのメリットは、レーザークリーニングのコストが低い点です。また、レーザークリーニングの範囲や方向が自由に選べるほか、移動や設置が容易であることが特徴です。

逆に、自動スキャンであれば、レーザークリーニングの速度や精度が高いです。また、レーザークリーニングの安全性が高く、操作者の負担が小さいです。

レーザークリーナーの製造メーカー4社

レーザー洗浄機を製造する企業

レーザークリーナーを製造するメーカーには、以下の4社が挙げられます。

  • 光響
  • 新東工業
  • イデア
  • フルサト工業

光響

レーザー技術を用いた様々な製品やサービスを提供する会社です。レーザー加工機、レーザー測定機、レーザークリーナーなどのオリジナル製品の開発・販売・レンタル・サブスクのほか、レーザー安全教育やレーザー加工の受託なども行っています。

新東工業

鋳造機械や表面処理機械、環境機器などの製造・販売を行う会社です。レーザー機器の分野では、レーザークリーナーとレーザークリーナーの開発・販売・レンタル・サブスクを行っています。

イデア

防食技術を中心とした工業設備メンテナンスサポート企業です。レーザークリーナーとレーザークリーナーの開発・販売・レンタル・サブスクのほか、レーザー安全教育やレーザー加工の受託なども行っています。

フルサト工業

鉄骨建築用資材および配管用資材の販売商社です。主な商材として耐震用の補強材であるブレース(筋交い)や張力に耐久性が高いハイテンションボルトなどがあり、カスタマー・インデザインやグループ・ノウハウを活用した製品やサービスも提供しています。