全固体電池とは?種類とメリットの解説と製造メーカー3社を比較
  • 最終更新日:2024年4月1日
全固体電池とは、従来の電池の液体電解質を固体にした電池を指します。

従来の液体電解質を使った電池では液漏れによるショートや発火のリスク、短い寿命や固定された形状などの問題点がありました。

現在、製造・販売されている全固体電池はこれらのリスクを抑えた上で効率的なエネルギー供給が可能で、電気自動車やドローンなど、電池の耐久性や小型化が求められる機器への搭載が期待されています。

しかし、用途に合った選び方をしないと必要以上に開発コストが上がって製品開発が失敗するリスクがあり、注意が必要です。

貴社のプロジェクト推進をする上で、これから開発するプロダクトでも全固体電池の選定・採用をする際の基準と信頼できる企業を理解しておく必要があります。

全固体電池の選定を成功させるため、今回の記事では全固体電池の種類と選び方をわかりやすく解説し、信頼できるメーカー企業を4社ご紹介します。


全固体電池の2種類の形状

バルク型と薄膜型の全固体電池比較

全固体電池とは、電池の中の電解質が固体の電池を指します。

従来の電池はリチウムイオンなど液状のものでしたが、液漏れや発火のリスクという点、エネルギー効率という点で全固体電池の優位性が期待されています。

全固体電池には以下の2種類の形状があります。それぞれの構造的な特徴と向いている用途や使用事例を解説します。

  • バルク型全固体電池【電気自動車や再エネ蓄電池向け】
  • 薄膜型全固体電池【ウェアラブルデバイスやスマホ向け】

バルク型全固体電池

バルク型全固体電池は、固体電解質を電極材料と密接に接触させることで、イオン伝導を行う全固体電池の一種です。

薄膜型全固体電池と比較した時の特徴は以下の通りです。主に大容量化や製造のシンプルさが期待されています。

  • 電極と電解質の接触面積が大きく、高エネルギー密度の電池が実現可能
  • 製造プロセスが簡素で薄膜型の全固体電池と比べて30%程度のコスト削減が可能
  • 液漏れや発火などのリスクを解消し、
    運転や宇宙飛行などの衝撃や温度変化に対応できる安定性
  • 電流容量が大きく衝撃が発生しやすい電気自動車(EV)やグリーンエネルギー向けの大型蓄電池に適切

薄膜型全固体電池

薄膜型全固体電池は、厚さ数nmという非常に薄い固体電解質層を持つ全固体電池の一種です。高度な薄膜形成技術を利用して製造されていて、面積は数mmから数cm程度で非常に小さいです。

また、従来のリチウム電池と比べても2倍以上のエネルギー密度を実現できることが特徴です。

その他、薄膜型全固体電池ができることは以下の通りです。

  • 極薄の電解質層を持つため、コンパクトで軽量なバッテリーデザイン
  • 薄い電解質層により、リチウム電池と比べて10倍以上も速い充電
  • スマートウォッチやリングなどウェアラブルデバイスで対応が必要な形状の柔軟性(曲げなど)


4種類の全固体電池の電解質

全固体電池の電解質の特徴と比較

全固体電池は大きく分けると、正極(+)、負極(-)とその間に挟まれる電解質で構成されており、電解質は電池内部でイオンを伝える役割を果たしています。

電解質には以下の4種類が存在します。それぞれの特徴を理解し、貴社の製品開発に適切、かつ開発スパンに合う電池を選択することが重要です。

  • オキシド系固体電解質
  • 硫黄系固体電解質
  • ポリマー系固体電解質
  • ハロゲン系電解質

オキシド系固体電解質

オキシド系固体電解質とは、酸化リチウムや酸化ニッケルなど酸化物を主成分とする材料からなる電解質です。

イオン伝導性が高く、リチウムイオンが気温35度程度までしか動作しない中、全固体電池は100度まで許容できるほど安定していることが特徴です。

化学的に安定性が非常に高く、以下のような用途で使用することが期待されている電解質です。

  • 電気自動車(EV)
  • プラグインハイブリッド車(PHEV)
  • スマートフォン
  • ノートPC
  • 蓄電池(産業用・家庭用)

4種類ある中で最も研究が進んでおり、その高い性能と安全性から次世代電池として非常に注目されている技術の一つです。

硫黄系固体電解質

硫黄系電解質とは、硫化リチウムや硫化ニッケルなど、主成分として「硫黄」を含む材料からなる電解質です。

オキシド系はイオン伝達の際に高温になることに対して、硫黄系は低温でも良好なイオン伝導性を持っています。

安全性が高く低温環境でも安定して動作することから、寒冷地や低温環境での使用に最適です。

例えば以下のような用途での活用が期待されています。

  • 電気自動車(EV)(冬場の山や気温が低い場所など寒冷地で使用する場合)
  • 携帯型充電器やドローン、電動バイクなどアウトドア用途の機器
  • 宇宙や南極など温度が低い環境で使用する蓄電池

電池メーカーとして有名なマクセルは硫黄系固定電解質の全固体電池の開発・製造を行っており、小型バッテリーだけでなく大型のEV向け全固体電池の開発にも力を入れています。

ポリマー系固体電解質

ポリマー系固定電解質は主成分にポリマー(大分子化合物)が使われています。ポリマーは私達の身近にも使われている素材で、プラスチックやゴムにも含まれています。

ポリマー系固体電解質は柔軟性が高い上に薄く、軽い特徴があり、スマホやスマートウォッチなどのウェアラブルに最適です。ポリマーの膜を重ねることで高電圧化できる可能性があるため、トヨタ自動車は電気自動車にも使用できるサイズのポリマー系全固体電池の開発を検討しています。(参照:日経XTECH) 一方で、ポリマー系全固体電池はイオン伝導性が低いことが課題です。

軽量でありながら高電圧化を実現できる可能性があるため、電気自動車やドローンなどバッテリーの軽量化が求められる分野で活躍する可能性のある電解質です。

ハロゲン系電解質

ハロゲン化物系固体電解質とは、主成分としてハロゲン化物が使われている電解質です。

イオン伝導率が非常に高く、オキシド系電解質と比べて数十倍から数百倍程度の差が出る可能性
があります。

ハロゲン化物はイオン伝導性が高く、以下のようなメリットがあります。
  • 全固体電池の中でもイオン伝導性が高く、数十倍から数百倍程度の差が出る可能性がある
  • 動作する温度範囲が-60℃~120℃まで広がる可能性がある
  • 宇宙探査機や鉱山機械など高温環境が過酷な場所での用途を想定

まだ研究開発段階ですが、開発が進めば日本における宇宙探査機開発や工業製品での使用が拡大する可能性が高いです。


導入するメリットとデメリット

全固体電池のメリットとデメリット

全固体電池は液体電池のような液漏れによるリスクがなく、電気自動車や宇宙環境などでの使用が期待されています。

しかし、全固体電池はメリットばかりではありません。メリットとデメリットをしっかり比較することで、貴社の製品に本当に役立つのか判断する必要があります。

ここでは全固体電池を導入するメリットとデメリットを比較します。

メリット

全固体電池には以下の3つのメリットがあります。もし貴社の製品開発で重視している点がある場合、全固体電池は大きなメリットをもたらす可能性が高いです。

  • 動作できる温度の範囲が広いこと
  • 安全性が高いこと
  • 形状やサイズの自由度が高いこと


動作できる温度の範囲が広いこと

全固体電池の動作範囲はリチウムイオン電池など液体電池よりも広く、以下のような動作温度の範囲の違いがあります。

  • 液体電池:-20°Cから60°Cの範囲での動作が推奨
  • 全固体電池:-30°Cから100°C以上の範囲での動作が可能

このため、全固体電池を搭載した機械はロシアや北欧、北海道など緯度が高い地域や山間部での利用が可能である他、鉱山機械や冷凍・冷蔵設備など高温・低温の環境にさらされる産業用機械にも使用できます。

安全性が高いこと

液体電池と違い、全固体電池には液体の電解質が使われていないため、以下のようなリスクを解消できます。

  • 電解液の漏れによる発火や爆発のリスク
  • 電解液の過熱による発火や爆発のリスク
  • 電解液が漏れて人体に触れることで皮膚が溶けたり目に入ることによる失明のリスク

全固体電池の電解質はすべて固体であるため、これらのリスクを解消できます。振動や衝撃がかかりやすい環境や高温多湿の環境でも安定して使用できるため、以下のような環境での使用が可能です。

  • 宇宙や航空機などの高温・低温・振動などの厳しい環境
  • ペースメーカーやインプラントなどの医療機器
  • 事故や衝突時に、バッテリーが物理的なダメージを受ける可能性がある電気自動車(EV)
  • 鉱山機械や冷凍・冷蔵設備など高温・低温の環境にさらされる機械

電池に負担がかかる環境で全固体電池を使用しても、液体電池と比べて安全性が確保できることが全固体電池の強みです。

形状やサイズの自由度が高いこと

全固体電池は電解質が漏れ出る心配がないため、カードやスマートウォッチなどに入る大きさまで小型化・薄型化しやすいです。

液体電池であれば液体電解質が漏れない限界の数mm以上の厚さ、曲率半径数mm以上が必要でした。

しかし、固体電解質であれば薄さは数μm以下、曲率半径も数μm以下に抑えられます。

そのため、液体電解質では搭載が難しかった以下の機械での使用が広がっています。

  • 腕時計や健康モニタリングのウェアラブルデバイス
  • 体内に挿入するカプセル型のエンドスコープやインプラントデバイス
  • クレジットカードサイズの電子機器や電子ペーパー

全固体電池は液漏れの心配がないので、電池の小型化や薄型化が求められている機械にはうってつけのプロダクトです。

デメリット

全固体電池はまだ発展途上の技術であるため、以下のようなデメリットも存在します。

メリットと比較して、どちらの方が貴社の製品に多いな影響を与えるか確認しましょう。

  • コストが高いこと
  • イオン伝導性が低いこと

コストが高いこと

全固体電池は液体電池と比べてコストが上がりやすく液体電池と比べて1.3倍程度、もしくはそれ以上の予算確保が必要です。具体的には以下の要素でコストが上がる傾向にあります。

  • 電解質:高価な無機材料(酸化リチウムや酸化ニッケル、硫化リチウムなど)の使用
  • 製造プロセス:液体電池と比べて製造工数は1.5倍から2倍程度で効率化がまだ進んでいない
  • 電極材料:純度の高い酸化リチウムや硫化リチウムが必要
    液体電池のコバルト酸リチウムや黒煙とは違い、10倍から100倍程度高額

電池として高コストになる傾向にあるものの、全固体電池は液体電池を使用しづらかった緯度や高度が高い寒冷地や振動や衝撃が多い自動車や宇宙探査機、スマホなどでの使用が可能です。

イオン伝導性が低いこと

全固体電池の電解質は液体電解質と比べて研究開発が未発達で、イオン伝導性が1/10から1/100程度だと言われています

このため液体電池と比べて1.5倍程度充電速度が遅く、エネルギー伝導率が10%程度だと言われています。全固体電池はまだ発展途上だと言われているのは、このようにイオン伝導性に改善の余地があるためです。

とはいえ、全固体電池は電流容量を大きくすることで充電速度やエネルギー伝導率の低下を防いでいるケースもあります。

目的に対して、実質的に必要な充電速度やエネルギー利用時間を比較することで、全固体電池を貴社の製品開発に活用できるか考える必要があります。

ここまで全固体電池のメリットとデメリットをご紹介しました。これらを踏まえて、次のセクションでは全固体電池の具体的な選び方を解説します。

メリットとデメリットを比較して、貴社のプロジェクトで全固体電池のメリットが大きいと感じた方、全固体電池の選び方を理解したい方はこのまま読み進めてください。


7つの比較ポイント | 全固体電池の選び方

適切な全固体電池を選定比較する方法

全固体電池には様々な形状や種類があり、用途や必要なスペックによって必要な全固体電池が変わります。

以下の7つのポイントを抑えて、適切な全固体電池と製造メーカーを選びましょう。

※クリックすると各比較ポイントに飛べます

エネルギー密度

エネルギー密度とは、同じ体積に対して吸収・持ち運べる電気の量を指します。

例えば300Whと150Whの全固体電池をそれぞれ10Wのデバイスに搭載した場合、300Whの電池なら30時間、150Whの電池なら15時間程度の使用が可能です。

長時間利用することを考えるとエネルギー密度が高いほうがメリットですが、エネルギー密度が高いと破損やショートのリスクも上がります。

用途に適したエネルギー密度のものを選ぶ必要があります。

  • 高いエネルギー密度を持つ電池は、一回の充電で長時間の使用
  • 同じ容量を持つ電池をより小さく、軽いものを製造可能
  • 電気自動車やドローンなど、一度の充電で長く電力供給が必要な機器に適切
  • シンプルな構造や一般的な材料を使用しているので製造コストが安いことが多い
  • 異常時の熱の発生や発火リスクが低減する
  • リモコンや時計など、長時間、弱い出力を出し続ける必要のある製品に最適

以上の情報を踏まえると、エネルギー密度が高い電池は電気自動車やドローンなど、高電圧・電力が必要な製品への搭載が適しています。

一方、エネルギー密度が低い電池はウェアラブルデバイスやリモコン、スマホなど電圧や電力量が求められない製品での使用が適切です。

電流容量

電流容量が大きな全固体電池は高速充電や高出力での使用が可能で、電気自動車など、短時間に大容量の電気を充電したり放電したりする機械に最適です。

ただし、用途によっては電流容量が必ずしも大きくある必要ありません。

以下のタブから電流容量の大きな全固体電池と小さな全固体電池を比較しましょう。

  • 電流容量が大きい全固体電池は10分程度で80%程度の高速充電が可能
  • 電気自動車やドローンなど大電流が必要な機器や設備への対応が可能

  • 低電流での充電・放電は、電池の劣化を抑えることができ、寿命が2倍近く持つことがある
  • 熱の発生や異常時のリスクを低減できる
  • リモートセンサーや家庭用電子機器など、必要な電力が少ない機器に適切

電流容量が大きな全固体電池は急速充電や高い出力性能・持続力が必要な電磁車両や高性能ドローンなどに向いています。

一方で、電子機器や架電、セキュリティ機器など電力の消費量が小さい背品、コンパクトな設計が求められる場合は、電力量が小さな全固体電池がおすすめです。

電池の大きさ

全固体電池には自動車のバッテリーになるほど大きなものがあれば、スマートウォッチに入るような小さなものがあります。

用途によって使い分ける必要がありますが、電池のサイズが大きいと電流容量も大きくなる傾向にあります。

スマートウォッチに搭載する全固体電池は、電気自動車に搭載するものほと大きくある必要はありません。

サイズが大きな全固体電池と小さな全固体電池のメリットを比較して選定することが重要です。

  • EVで言うと10分の充電で1,200mの走行実現を見据えるほどの大きな電池はより多くのエネルギーを蓄えられる
  • 安定した電力の供給が可能なので電気自動車や再エネ蓄電池など大きな電流が必要な機器に適している
  • 内部の電極や電解質の微細な変化が全体の性能に与える影響が小さく、長寿命

  • 小さい電池は軽量で、スマホ等のポータブルデバイスやドローンなどの移動する機器に最適
  • デザインの自由度が高く、さまざまな形状やサイズの機器に組み込める
  • 内部の抵抗が低く、1,000mAhを20分程度で充電できるほどの迅速な充電・放電が可能

充電速度

電池の充電速度は早ければ早いほど良いと考える方もいますが、一概にそうとも言い切れません。用途によっては充電速度が遅くても問題がなく、コストカットができます。

充電速度が速い電池のメリットと遅い電池のメリットを比較することで貴社の電池選びに充電速度が重要か考える必要があります。

  • 電気自動車を10分程度で充電できるなど充電速度が高い
  • 測定精度が安定して高く、データにムラがない
  • 大規模地形測量や建築物の3Dモデリングなど、詳細なデータ取得に最適

  • 充電速度が遅いと電池の寿命が長持ちしやすい(電極への負担が減るため)
  • 充電時に熱が発生しづらく、家庭用蓄電池などの故障や劣化を1/5近くまで軽減できる
  • 急速充電をサポートするための高度な充電技術や設備が不要

サイクル寿命

全固体電池のサイクル寿命の差は10倍以上開くことがあり、ものによっては10年以上使用できることがあります。

しかし、その分だけ導入コストも上がるので、全固体電池のサイクル寿命と価格のバランスを取る必要があります。

  • 専門業者に依頼するメンテナンスの頻度が少なく、維持コストを削減可能
  • 廃棄物の量を減少できるので環境負荷が低い
  • 再エネ蓄電池などサイクル寿命の長さが必要な場合はコストとのバランスを確認
  • 再生可能エネルギー蓄電(太陽光、風力など)、家庭用蓄電池など長期的な使用に最適

  • シンプルな設計や材料で製造される可能性があるので低コストになりやすい
  • コストが重視される短期間の使用を前提とした製品、研究・実験などに最適

一時的な使用を想定していない限り、サイクル寿命はできるだけ長い方がおすすめです。

価格

全固体電池の価格帯は広く、30,000円/kWh以上のものもあれば、10,000円/kWh程度で購入できるものもあります。

価格が高いほどエネルギー効率や密度、耐久度が高いことが多い一方、用途によっては高額でなくても十分に役割を果たすことがあります。

用途にあわせて、適切な予算で購入できる全固体電池を選びましょう。

  • イオン伝導率が高いため、充電速度やエネルギー密度が向上
  • 耐熱性が高く、高温環境下でも使用可能
  • 衝撃や振動に強いため、ドローンや自動車などに問題なく使用可能

  • 液体電池に比べてコストが安い
  • 大量生産が可能
  • スマホやタブレット、ハンディクリーナーなど家電で使用できる価格に抑えられる

安全性

全固体電池は安全と安定が重要です。購入した全固体電池が原因で製品不良や事故が起きてしまうことも考えられるため、製造プロセスや材料選定、品質管理などに厳格な基準を持っている企業を選ぶことが重要です。

メーカーは全固体電池の安全を担保するため、以下のようなテストを実施しています。

  • 過充電試験
  • 過放電試験
  • 短絡試験
  • 熱衝撃試験
  • 温度サイクルテスト
  • 過熱テスト
  • 圧壊テストなど

特に過充電試験から温度サイクルテストまでの試験は最低限の安全性や性能を確認するためのテストです。

過熱テストや圧壊テストなどは、より高い信頼性や性能をアピールするために実施する企業があります。

安全面や材料選びの際の基準はネットに掲載されていないことが多いので、営業担当に確認する必要があります。

以上が、全固体電池を選定する上で必ず比較すべきポイントです。この7点を踏まえて、全固体電池を製造するおすすめのメーカーを紹介します。

自社の用途に最適な全固体電池を製造するメーカーをお探しの方は、ぜひこのままご覧ください。

全固体電池を製造するメーカー4選

全固体電池を製造する会社

全固体電池の研究開発や製造に取り組む企業は多くあります。

ここではそのうち厳選した4社をご紹介し、それぞれが強みとする全固体電池を比較します。

マクセル トヨタ自動車 日本電気硝子 レゾナック
(日立化成)
オキシド系
全固体電池
× ×
硫化系
全固体電池
× ×
ポリマー系
全固体電池
× × ×
ハロゲン系
全固体電池
× × × ×

マクセル

マクセル(Maxell, Ltd)は日立製作所のドライセル電池事業部から独立しました。乾電池やリチウム電池、アルカリ電池などの分野で技術の蓄積が、現在の全固体電池の研究開発へとつながっています。

  • オキシド系や硫黄系の固体電解質を研究
  • 小型デバイスやウェアラブル機器向けに注力
  • 薄型で高エネルギー密度の全固体電池の開発を進行中
  • 2023年の夏に全固体電池の量産化を開始している
  • 2030年までに事業規模を300億円、市場シェア10%の獲得を目指す

マクセルは、長年にわたる電池技術を蓄積しており、非常に厳格な品質管理基準を持っています。

トヨタ自動車

トヨタ自動車は日本の大手自動車メーカーで、世界の自動車産業をリードする企業の一つです。

  • 硫黄系の全固体電池を開発中
  • 商業化される電気車への全固体電池の技術採用を目指す
  • 安全性、エネルギー密度の向上、および高速充電の実現を研究テーマとして進行中
  • 技術知見とグローバルネットワークを活用し、電気自動車用の全固体電池の開発を進める

トヨタ自動車は、全固体電池技術の研究開発を進めることで、電気自動車の普及と環境問題への対応を強化しています。

レゾナック(日立化成)

レゾナック(日立化成)は、ポリマー系全固体電池の製造コストの低減に特に力を入れています。

レゾナック(日立化成)は、独自の電解質技術を開発することで、製造コストの低減を実現しています。

  • ポリマー系電解質を使った全固体電池の開発
  • 全固体電池向け素材ベンチャーのアイオニックマテリアルズに出資し、ポリマー系全固体電池の開発を進める
  • オキシド系全固体電池の開発も行っており、ポリマー系全固体電池の長所である低コストとオキシド系全固体電池のエネルギー密度の両立を目指す

レゾナック社の全固体電池は、電気自動車や蓄電池などエネルギー密度が要求される製品からスマホやウェアラブルデバイスなどの小型電化製品まで、幅広く使用できる可能性があります。

日本電気硝子

日本電気硝子は、オール結晶化ガラス技術に特に力を入れており、安全性とエネルギー密度の向上を追求しています。

日本電気硝子の全固体電池は、電気自動車やスマートフォンなどのさまざまな機器への搭載が期待されています。

  • オキシド系電解質を使った全固体電池の開発
  • 電解質に酸化物全固体ナトリウムイオンを使用している他、正極と負極に結晶化ガラスを使用
  • 結晶化ガラスのナトリウムイオン伝導率が液体電解質より高く、安全性とエネルギー密度の両立を目指す

研究開発段階ではありますが、電気自動車やスマートフォンなど軽量化や高いエネルギー密度が求められる製品への搭載が想定されています。