CTスキャナ
CTスキャナを導入したいと考えているものの、種類や価格、仕組み、導入メリット・デメリットなど、わからないことが多くて戸惑っていませんか?
本記事では、CTスキャナとは何かという基本から、具体的な種類別の特徴、そして導入時に押さえておきたい選び方のポイントを包括的に解説します。
さらに、おすすめのメーカー情報の比較もしました。CTスキャナが医療や工業、研究開発でどのように活用されているかを理解しながら、自分に最適なCTスキャナを見つけるためのヒントをお伝えします。
とりあえず話を聞きながら考えたい方やすぐにメーカーへ問い合わせをしたい方は、以下のボタンからお問い合わせください。担当者におつなぎいたします。
目次
CTスキャナとは? 特徴や活用例などを解説
CTスキャナとは、X線を使って被写体を多方向から透過撮影し、その情報をコンピュータ処理によって断層画像として再構成する装置です。
医療分野では人体の内部構造を3次元的に可視化できるほか、工業分野でも部品の内部欠陥を非破壊検査できるなど、さまざまな場面で活用されています。
一方で、装置本体の設置に広いスペースを必要とする場合があることや、導入コスト・維持コストが高額になりやすいなどのデメリットも存在します。
こうしたメリット・デメリットを踏まえた上で、適切に装置を選ぶことが大切です。では次に、CTスキャナの種類を詳しく見ていきましょう。
各種類ごとにCTスキャナのメリット・デメリットを解説
本章では、CTスキャナを種類ごとに分けて解説します。各種類を比較した際のメリット・デメリットも紹介するのでぜひご覧ください。
スパイラルCTスキャナ
スパイラルCTスキャナは、被写体テーブルを連続的に移動させながらX線管球を回転させることで、らせん状(スパイラル状)にデータを取得する方式です。
高速スキャンが可能で、患者や部品の動きによる画像ブレを最小限に抑える点が特長と言えます。
マルチスライスCTスキャナ
マルチスライスCTスキャナは、1回の回転で複数のスライスデータを同時取得できるように検出器を多列化したタイプです。
従来のシングルスライスCTに比べて撮影速度が速く、より高精細な画像を短時間で取得できる点が特徴となります。
コーンビームCTスキャナ
コーンビームCTスキャナは、X線を円錐(コーン)状に照射し、1回の回転で立体的な情報を取得できるタイプです。
歯科や小型部品の検査など、比較的小さな被写体の高精細撮影に向いています。
ここまで、スパイラルCTやマルチスライスCT、コーンビームCTなど、代表的なCTスキャナの種類を見てきました。
次は、導入する際に多くの人が気になるCTスキャナの価格相場について確認してみましょう。
導入コストだけでは不十分? CTスキャナの価格相場を紹介
CTスキャナの価格は、用途(医療用・歯科用・工業用)やスペック(管電圧や検出器の性能、スライス数など)によって変動します。
医療用のハイエンドモデルであれば数千万円から数千万円規模、工業用の場合は機種によっては数千万~数億円にも上ることがあります。
また、CTスキャナを導入するにあたっては、本体価格に加えて据付工事費や防護設備費、保守サービスなどの維持コストも必要です。
長期的な運用を見据えたトータルコストを把握しておかないと、思わぬ出費に悩まされるかもしれません。
価格相場を理解したところで、次は「そもそもCTスキャナはどうやって画像を生成しているのか?」という仕組みを見ていきましょう。
どんな仕組み? CTスキャナの構造と原理を解説
CTスキャナは、X線管球から発生するX線を被写体に照射し、透過したX線を検出器で計測して画像を再構成する仕組みです。
具体的には、複数方向から撮影したX線透過データを、コンピュータが演算処理することで断層画像として表示します。
医療用では人体の臓器や骨格を内部構造ごとに把握でき、工業用では製品の内部欠陥や寸法を測定できます。
近年ではAI技術や高速演算ハードウェアが進化し、CTスキャナを使い、より高精細かつ短時間で3D画像を生成できるようになってきました。
では次に、目的に合ったCTスキャナを選ぶための具体的な選び方のポイントを整理してみましょう。
自社の目的に合ったCTスキャナを導入するための製品の選び方を解説
先述したようにCTスキャナには、様々な種類があるため、導入に成功するためには自社の目的に合った製品を選定することが大切です。
そこで本章では、CTスキャナの選び方のポイントを3つ紹介します。
被写体の大きさに応じた撮影可能範囲(ボア径)の適合性を確認する
まずCTスキャナを選定する際には、被写体の大きさに合った撮影可能範囲(ボア径)を確認することが重要なポイントとなります。
これは検査対象の物理的サイズや形状によって、必要なボア径が変わるためです。
もしボア径が適合していないと、被写体そのものがスキャン範囲に収まらず、せっかく導入したCTスキャナを有効に活用できない可能性があります。
また、多種多様なサイズの部品や材料を検査する生産現場などでは、特にこの視点が欠かせません。
最適な撮影範囲を選べれば、撮影のやり直しを減らしコスト削減につなげられるだけでなく、運用効率も高められるでしょう。
必要な解像度に応じた検出器(デテクタ)の精度とピクセルサイズを確認する
CTスキャナの選び方として、必要な解像度に応じた検出器(デテクタ)の精度やピクセルサイズを見極めることも大切です。
これは、微小な欠陥を見逃さないための分解能や、密度測定の精度といった、検査目的によって求められる性能が変わるからです。
解像度が不足していると、細かい欠陥や内部構造の詳細を把握できず、不良品を見落とすリスクが高まります。特に精密部品や材料の内部欠陥検査を行う場合は、この点を考慮する必要があります。
逆に、十分な解像度を確保すれば、製品品質を管理しやすくなるため、製造ラインの信頼性が期待でき、結果的に顧客満足度やブランド力の向上にもつながる可能性があるでしょう。
回転速度やスキャン時間の性能が業務に適しているかを確認する
また、CTスキャナの回転速度やスキャン時間の性能が、業務フローとの相性に合っているかどうかも確認しましょう。
もしスキャンに要する時間が長すぎたり、業務フローに合わないスピードでしか運用できないと、生産性が低下し、納期に遅れが生じるなどの悪影響を及ぼす恐れがあります。
高頻度で迅速な検査が求められる生産現場や工程管理においては、特に注意が必要です。
業務に合ったスキャン性能を選ぶことで、作業のスムーズな進行と納期短縮が期待でき、ビジネス全体の効率向上に寄与するでしょう。
以上のように、撮影可能範囲や解像度、スキャン時間などを軸にCTスキャナを選ぶと、導入後のトラブルや無駄を防ぎやすくなります。
では最後に、おすすめのCTスキャナメーカーを具体的に見ていきましょう。
CTスキャナのおすすめメーカー5社の情報を比較! 各社の強みを解説
本章では、当編集部が厳選したCTスキャナのおすすめメーカー5社の情報を比較し、各社の強みを解説します。
興味のある会社がみつかったら、ぜひ問い合わせをしてみましょう。
島津製作所 / SHIMADZU
メーカー名 | 島津製作所 / SHIMADZU |
設立年 | 1917年 |
本拠地 | 京都市中京区西ノ京桑原町1番地 |
概要 | 精密機器・計測機器・医療機器の総合メーカー |
島津製作所(SHIMADZU)は、1917年に設立された京都市中京区に本拠地を構える精密機器・計測機器・医療機器の総合メーカーです。
分析・計測機器分野で培った高い技術力を強みに、幅広い分野へソリューションを提供しています。
同社のCTスキャナとしては「inspeXio SMX-225CT FPD HR Plus」や「XSeeker 8000」などが挙げられ、高解像度と広視野を両立した撮影能力が特徴的です。
特に、高精細な画像を求めながらも大型サンプルを検査したい場合に役立つため、他メーカーと比較しても汎用性が高いと言えます。
実際に、自動車部品や食品業界、製造現場での検査部門など、幅広い業界で導入されており、多様なニーズに対応しています。
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日本装置開発 / JED
メーカー名 | 日本装置開発 / JED |
設立年 | 1996年 |
本拠地 | 長野県安曇野市堀金烏川1640-1 |
概要 | 工業用検査装置と自動機組立装置の開発型企業 |
日本装置開発(JED)は、1996年に設立された長野県安曇野市に本拠地を置く、工業用検査装置と自動機組立装置を開発する企業です。
工場の自動化設備とX線CTスキャナの両方の技術・ノウハウを持っているため、ユーザーの要望を詳細に反映できる柔軟性が強みとなっています。
主なCTスキャナとしては「CTH320/300μFPD」や「CTV110FPD」などを取り扱い、高速かつ長時間の連続稼働を実現しています。
従来30分~1時間かかっていた検査を1分以内で実施可能な高速性が特徴です。
自動車部品メーカーや電子部品業界、樹脂成型部品メーカーなどの現場で数多く導入されています。
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東芝ITコントロールシステム / Toshiba IT & Control Systems
メーカー名 | 東芝ITコントロールシステム / Toshiba IT & Control Systems |
設立年 | 1983年 |
本拠地 | 東京都新宿区西新宿六丁目24番1号 西新宿三井ビルディング17階 |
概要 | 非破壊検査システム、制御システム、パワーエレクトロニクスの総合メーカー |
東芝ITコントロールシステム(Toshiba IT & Control Systems)は、1983年に設立された東京都新宿区に本社を構える企業で、非破壊検査システムや制御システムなど幅広いソリューションを提供しています。
社内の技術系社員が87%を占める「技術屋集団」として、専門性の高さが定評です。
同社のCTスキャナには「TXScannerシリーズ」や「TXViewシリーズ」などがあり、最大管電圧300kV/230kVのX線発生器と高性能な検出器を組み合わせることで高い透過能力と鮮明な画質を実現します。
ほかのメーカーと比較しても、高電圧のX線が必要な金属部品や厚みのある素材をスムーズに検査できる点が強みです。
アルミダイカストや電子部品、バッテリーの製造業界など、重厚長大から精密分野まで幅広く導入されています。
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キヤノンメディカルシステムズ / CANON MEDICAL SYSTEMS
メーカー名 | キヤノンメディカルシステムズ / CANON MEDICAL SYSTEMS |
設立年 | 1948年 |
本拠地 | 栃木県大田原市下石上1385番地 |
概要 | 総合医療機器・システムメーカー |
キヤノンメディカルシステムズ(CANON MEDICAL SYSTEMS)は、1948年に設立され、栃木県大田原市に本拠地を構える総合医療機器メーカーです。
国内の医療機器市場で高いシェアを誇り、先進的な技術開発力が強みとなっています。
同社のCTスキャナには「Aquilion ONEシリーズ」や「Aquilion PRIME」「Aquilion Serve」などがあり、医療現場の多様なニーズに対応しています。
最速0.275秒での高速回転スキャンが可能で、他社と比較してもスピードと安定性のバランスが優れているのが特徴です。
大規模総合病院や個人クリニック、研究機関など、医療を中心に幅広い施設で導入されています。
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富士フイルムヘルスケア / FUJIFILM Healthcare
メーカー名 | 富士フイルムヘルスケア / FUJIFILM Healthcare |
設立年 | 2021年 |
本拠地 | 東京都港区 |
概要 | 医療機器・医療ITソリューションの総合メーカー |
富士フイルムヘルスケア(FUJIFILM Healthcare)は、2021年に新たな形で展開されている医療機器・医療ITソリューションの総合メーカーです。
富士フイルムグループが培ってきた画像処理技術とAI技術を融合し、より高度な医療サービスを提供しています。
同社のCTスキャナとしては「SCENARIA View Plus」「SCENARIA View」「Supria Optica」などが代表的です。
AI技術「REiLI」を活用した画像処理機能「IPV」によって、低被ばくと高画質を両立できる点は、他のメーカーと比較しても強みと言えるでしょう。
大規模病院や診療所など、多様な医療施設で導入が進んでおり、安全かつ効率的な診断を支えています。
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