力覚センサ

力覚センサ

製造ラインの自動化や精密機械の操作などで力を正確に計測できる力覚センサに興味はあるものの、種類の多さや導入コスト、設置の複雑さなどで迷う方も多いのではないでしょうか。

本記事では、力覚センサの基本情報や種類の特徴、導入メリット・デメリットに加え、選び方のポイントやおすすめメーカーの比較まで網羅的に解説します。

この記事を読むことで、力覚センサのについて網羅的に知れるだけでなく、自社の目的に合った製品を選ぶヒントも得られるでしょう。ぜひ最後までご覧ください

とりあえず話を聞きながら考えたい方やすぐにメーカーへ問い合わせをしたい方は、以下のボタンからお問い合わせください。担当者におつなぎいたします。

目次

力覚センサの基本情報を分かりやすく解説

力覚センサの基本情報を分かりやすく解説

本章では、力覚センサの基本情報を解説します。まずはざっと概要を理解しましょう。

そもそも力覚センサとは?

力覚センサとは、物体に加わる力を検知し、その情報を電気信号として出力する計測デバイスです。

対象にかかる力の方向や大きさを捉えられるため、製造ラインの自動化やロボットの動作制御など幅広い用途に対応できます。力を検出する際の精度が高く、微細な変位や荷重の変化も正確に把握できる点が特徴です。

力覚センサの原理や構造を確認

力覚センサの原理では、センサー素子が鍵を握ります。ひずみゲージ式の力覚センサでは、力の加わりによるわずかな変形を抵抗値の変化として捉え、圧電式力覚センサでは圧電素子が受けた荷重に応じて電荷を発生させる仕組みを採用しています。

こうしたセンサー素子で力を電気信号に変換した後、変換回路が信号を増幅し、最終的には出力インターフェースを通じて外部機器へ送信されます。

これにより、力の大きさや方向をリアルタイムに測定し、製造設備や研究装置などさまざまなシステムの制御や監視に活用可能です。

力覚センサを10種類に分けてそれぞれの強みを紹介

力覚センサを10種類に分けてそれぞれの強みを紹介

ここでは代表的な10種類の力覚センサについて、その強みや導入事例と併せて説明します。

光学式力覚センサ

光学式力覚センサは、光の変化を利用する仕組みで、力が加わることで光の経路や強度が変化し、その差分を計測することで力を検出します。

非接触で高精度な測定が可能であり、電磁干渉の影響を受けにくいため医療機器や精密機械、ロボット工学分野で活躍しています。

圧電式力覚センサ

圧電式力覚センサは、圧電材料の性質によって、力が加わると電荷が発生し、その電圧を測定する方式が採用されています。

高感度かつ応答速度が速いため、微細な力の変化を即座に把握できる点が強みです。航空宇宙や医療機器の分野で使用され、振動解析など精度が求められる測定にも適しています。

電気抵抗式力覚センサ

電気抵抗式力覚センサは、力が加わることで抵抗値が変化する材料を利用し、その変動を測定する方式です。

構造がシンプルでコスト面でも優位性があるうえ、多軸力を測定できる製品も存在します。自動車産業やロボット工学、産業機械など幅広い分野で導入されており、堅牢性と扱いやすさで選ばれています。

静電容量式力覚センサ

静電容量式力覚センサは、静電容量の変化を利用して力を検知する仕組みが採用されており、小型化しやすいのがメリットです。

力を受けると電極間の距離が変化し、静電容量の変化量を測定することで力の大小を把握します。タッチパネルや医療機器、産業機械などの分野で広く応用されています。

ひずみゲージ式力覚センサ

ひずみゲージ式力覚センサは、ひずみゲージが力を受けて変形する際の抵抗値の変化を測定する方式で、古くから利用されているオーソドックスな手法です。

広範囲の力を高精度で測定できるため、建築構造物や橋梁、産業機械の安全監視など、多様な分野で不可欠な技術となっています。

超音波反射式力覚センサ

超音波反射式力覚センサは、超音波を発信し、対象物に当たって反射してくる時間差を検出することで力を推定する方式が用いられています。

物体の色や透明度に左右されにくく、柔らかい物体や液体にも対応可能です。医療機器や食品産業、産業機械で幅広く活用されており、多用途に適したセンサーとして評価されています。

光反射式力覚センサ

光反射式力覚センサは、光を対象物に照射し、その反射光の強度や角度を計測して力の大きさを推定する仕組みです。

応答速度が速く高精度な測定が可能ですが、周囲の光環境の影響を受けやすい面もあります。自動車産業やロボット工学、産業機械の分野で比較的多く採用されており、必要に応じて光の制御や遮蔽などの対策を施すことで精度を高めることができます。

静電容量式近接センサ

静電容量式近接センサは、力覚センサというよりは近接センサーの一種ですが、物体が近づくと変化する静電容量を計測し、接触前の検知や位置把握に活用します。

形状や材質に左右されにくく、広範囲の検出が可能です。ロボット工学や産業機械、医療機器などで使用され、接触のリスクを低減するためにも役立ちます。

加速度センサ

加速度センサは、物体の加速度を測定し、そのデータから力の大きさを割り出す方式です。

高感度かつ応答速度が速いため、振動や衝撃の測定に適しています。自動車産業や航空宇宙、振動解析の現場で利用され、稼働環境の安全性を確保するための重要な役割を担っています。

磁気センサ

磁気センサは、磁場の変化を検出することで力を測定するタイプで、非接触での測定が可能です。

電磁干渉に強いため、産業機械や医療機器、ロボット工学など幅広い分野で活用され、動作の安定性や制御精度の向上に寄与しています。

導入するメリット・デメリットを解説

導入するメリット・デメリットを解説

本章では、力覚センサを導入する際のメリットとデメリットをわかりやすく整理します。

力覚センサのメリット

精度の向上

力覚センサを導入するメリットは、高い計測精度により微小な力の変化を捉えられることです。

これにより、製品の品質管理が厳格になり、医療機器や精密機械のように細かい調整が求められる場面でも安定した結果が得られます。特に微小な誤差が大きな影響を及ぼす分野ほど、その価値は高まります。

安全性の向上

アルタイムで力の変化を監視できる点も、力覚センサのメリットでしょう。

過負荷や異常な力が加わった際に即座に検知できるため、産業機械やロボットの暴走、部品の破損事故を未然に防止しやすくなります。例えば、労働安全衛生を重視する現場においては、大きな安心材料になります。

効率の向上

力覚センサを導入すると、作業プロセスの自動化や効率化も期待でき、組み立てラインや食品加工など、人手を介さず正確に力の制御が必要な工程で効果を発揮します。

高精度な力制御により作業時間を短縮できるため、最終的には生産性の向上につながり、費用対効果が高まる可能性があります。

力覚センサのデメリット

コストの増加

力覚センサの1つ目のデメリットは、導入時に高い初期費用が発生する点です。

センサーそのものの価格だけでなく、関連機器や設置・保守にかかる費用も考慮する必要があります。そのため、必要な性能を見極め、長期的な視点で費用対効果を検討することが重要になります。

複雑な設置と調整

高精度な力の測定を行うためには、センサーの取り付け位置や角度、取り付け部材の剛性といった要素を厳密に管理する必要があります。

専門的な知識がないまま設置を行うと誤差が増えるリスクが高まるため、メーカーや専門家のサポートを受けながら導入することが望ましいです。

環境への影響

温度や湿度、振動などの環境条件に弱いケースがあることも力覚センサ デメリットの一つです。

選択するセンサーの種類によっては高温下や多湿環境でも安定計測が可能なものもありますが、事前に使用条件をよく確認し、防塵・防水仕様や定期メンテナンスなどの対策を行うことで精度低下を防ぐことが大切です。

自社に適した力覚センサの選び方を解説

自社に適した力覚センサの選び方を解説

力覚センサを選ぶうえでは、用途や環境に合った製品を選ぶことが重要です。ここでは、力覚センサの代表的な検討項目を挙げながら、それぞれの要点を解説します。

精度

力覚センサの精度は、微小な力の変化を正確に捉えられるかどうかを左右する要素です。

温度変化や振動などの環境要因によって測定値が変動する場合があるため、精度保証に関する仕様をしっかり確認する必要があります。

加えて、精密機械の組み立てや医療機器の開発など、誤差が許されない場面では特に高精度な製品を選ぶことが求められます。十分な精度を確保することで、製品品質の向上や安全性の確保に役立ちます。

耐久性

使用環境が過酷なほど、力覚センサには高い耐久性が要求されます。

過度な負荷や衝撃、あるいは長時間稼働が想定される現場では、耐久性が低い製品では故障の頻度が増加し、メンテナンスコストが膨らむ可能性があります。

そのため、産業機械や自動車産業など稼働時間が長い現場ほど、信頼できる素材や構造を採用しているセンサーを選ぶことで、長期的なコスト削減につなげることができます。

応答速度

動的なプロセスを扱う現場では、応答速度の速さが鍵を握ります。センサーの設計や材料によっては、力の変化に対する反応が遅れ、リアルタイムの測定や制御が難しくなる場合があります。

以上より、ロボット工学や衝突試験のように瞬時の力変化を把握する必要があるケースでは、高応答速度を確保できるタイプを選ぶことで安全性と精度を高められます。

感度

力覚センサが微小な力をどこまで検出できるかは、感度の高さによって左右されます。

特に、医療機器や精密機械の開発など、非常に微細な力加減を捉える必要がある場面では、感度を重視したモデルを選択しましょう。

十分な感度が得られない場合、わずかな力の差が見落とされる可能性があり、製品品質に影響が出ることもあります。

温度補償

温度補償が不十分だと、周囲の温度変化によって測定値に誤差が生じるケースがあります。

工場内での温度差が大きい現場や自動車産業など、作動環境の温度範囲が広い場合には、温度補償機能がしっかりしているセンサーを選ぶと安定した測定が期待できます。

一方で、温度による誤差が許容範囲を超えると、安全性や品質管理に重大な影響を及ぼすリスクが高まります。

サイズ

力覚センサのサイズは、設置スペースやレイアウトに直結する要素です。

医療機器や精密機械のように限られたスペースで取り付ける必要がある場合は、極力小型化されたモデルを選ぶことで運用の柔軟性が高まります。

大きすぎるセンサーを選んでしまうと、設計を大幅に見直す必要が生じる可能性があるため、使用環境や用途に合ったサイズを慎重に検討しましょう。

コスト

力覚センサの導入には本体価格だけでなく、設置や保守にかかる費用も考慮する必要があります。

高性能なセンサーほど価格は上がる傾向にありますが、過剰なスペックを求めると予算を大きく圧迫するリスクがあります。

そのため、中小企業やスタートアップでは特にコストパフォーマンスに優れた製品を選ぶことで、投資回収を早め、生産ラインの改善効果を最大化しやすくなります。

互換性

既存のシステムや機器との統合を検討する際は、センサーの出力形式や通信規格が適合するかを確認する必要があります。

仮に互換性が低い製品を導入すると、インターフェースを変換するための追加コストや開発工数が発生し、全体の導入期間が長引く可能性があります。

そのため、スムーズなシステム連携を目指すなら、互換性が高いモデルを選ぶことが得策です。

データの出力形式

力覚センサは、アナログ電圧出力やデジタル出力などさまざまな形式を持つ製品が存在します。

使用する機器やシステム側で対応可能な出力形式が制限されている場合は、導入時に変換機器を用意する必要があります。

最初から互換性のある出力形式のセンサーを選ぶことで、追加装置の導入を最小限に抑え、スムーズなデータ活用が期待できます。

設置の容易さ

センサーの設置方法やスペースの確保が難しい場合、導入に時間とコストがかかることがあります。

中小企業やスタートアップでは、限られたリソースでスピーディーに導入を進めたいケースが多いため、設置性に優れた製品を選ぶことが効果的です。

簡単な取り付けで計測を始められる製品であれば、トラブルを最小限に抑えながら早期に効果を得ることができます。

メンテナンス性

メンテナンス作業に手間がかかるセンサーは、運用コストを押し上げる可能性があります。

そのため、定期的な校正や部品交換の容易性、サポート体制などを事前に確認することで、トラブル発生時のダウンタイムを短縮できます。

長期間にわたって利用する場合ほど、メンテナンスしやすい構造や充実したメーカーサポートが重宝されます。

データ処理能力

センサー自体にデータ処理機能が付帯している製品もあり、大量のデータをリアルタイムで扱う必要がある分野では、この能力が導入効果を左右します。

ロボット工学や自動車の衝突試験など、瞬間的に発生する大きな力を高精度かつ高速に処理するためには、処理能力の高いモデルが必須です。処理スピードが不足すると、必要なタイミングでの制御や分析が難しくなります。

耐衝撃性

力覚センサは衝撃や振動に弱い場合があり、使用環境によっては頻繁にトラブルが発生する可能性があります。

特に産業機械や自動車産業では衝撃や負荷が日常的に発生するため、耐衝撃性の高いセンサーを選ぶことで安定稼働を維持しやすくなります。

以上より、衝撃を吸収する構造や設計が施されている製品を選ぶことで、故障リスクやメンテナンスコストを減らすことができるでしょう。

おすすめの力覚センサメーカー11社を比較! 各社の特長を紹介

おすすめの力覚センサメーカー11社を比較! 各社の特長を紹介

ここでは、力覚センサのメーカーで特に注目される11社を取り上げ、それぞれの強みをわかりやすく紹介します。

ワコーテック

ワコーテックは日本国内で力覚センサを製造する企業であり、DynPick®シリーズを中心とした静電容量式力覚センサが主力製品です。

シンプルな構造により高い耐久性を実現しており、過負荷からセンサを保護するストッパーを内蔵している点が特徴です。

ロボット工学や自動車産業、医療機器の分野で幅広く導入されており、高い信頼性が評価されています。

三菱電機

三菱電機は幅広い分野で電子機器を提供する大手企業であり、圧電式力覚センサを主力として高精度と耐久性の両立を図っています。

航空宇宙や自動車産業、産業機械など、厳しい環境下での使用にも耐えられる仕様になっているため、多くの実績を誇ります。

また、応答速度の速さも評価ポイントの一つで、微細な力の変化を捉える必要がある場面に活用されています。

ミツミ電機

ミツミ電機は電子部品の製造を専門としており、電気抵抗式力覚センサを主力製品として提供しています。構造のシンプルさからコストを抑えやすいことが特徴で、多軸力の測定も可能です。

ロボット工学や産業機械、自動車産業など、さまざまな現場で導入しやすい点が魅力であり、コストパフォーマンスを重視するユーザーからも注目を集めています。

キーエンス

キーエンスはセンサや測定機器の分野で豊富なラインナップを持ち、光学式力覚センサを主力製品として展開しています。

非接触測定が可能であるため、医療機器や精密機械など高い精度が求められる現場で多く採用されています。加えて、電磁干渉の影響を受けにくいという強みもあり、ロボット工学のように周囲環境が複雑なケースでも安定した測定を実現します。

オムロン

オムロンは制御機器や電子部品で世界的に知られている企業で、静電容量式力覚センサを主力としています。

小型化と高感度の両立に強みがあり、タッチパネルや医療機器、産業機械など多岐にわたる分野で利用されています。非接触測定が可能な点は、衛生管理やデリケートな作業が必要な領域でもメリットになるでしょう。

村田製作所

村田製作所は圧電式力覚センサを中心に展開し、微小な力の変化をも逃さない高感度な製品を提供しています。

応答速度の速さも評価されており、医療機器や振動解析、航空宇宙などの先端分野で多くの導入事例があります。センサ技術に強みを持つ企業として、研究開発の現場でも信頼度の高い選択肢とされています。

日立製作所

日立製作所は総合電機メーカーとして多岐にわたる事業を展開し、ひずみゲージ式力覚センサの開発にも注力しています。

高精度で広範囲の力を測定できることから、建築構造物や産業機械、橋梁といった大型のインフラ分野まで対応可能です。堅牢性に優れているため、長期間の安定稼働が求められる現場から支持されています。

東芝

東芝は電子機器や家電で知られる大手企業であり、静電容量式力覚センサを主力製品としています。

小型化しやすい設計に加えて高感度の測定が可能で、医療機器や産業機械、タッチパネルなど幅広い用途に対応しています。

非接触での測定にも強みがあるため、作業の安全性や製品精度を高めたい現場で採用されるケースが増えています。

パナソニック

パナソニックは総合電機メーカーとしてグローバルに事業を展開し、光学式力覚センサで高精度かつ非接触測定が可能な製品を提供しています。

電磁干渉に強いため、精密機械や医療機器、ロボット工学など要求品質が高い現場で活躍しています。

長年培った電子技術を背景に、信頼性の高いラインナップが整備されていることも魅力の一つです。

京セラ

京セラはセラミック技術や電子部品の分野で幅広く展開しており、圧電式力覚センサを高感度かつ応答速度に優れた形で提供しています。

医療機器や振動解析、航空宇宙といった先端領域での応用例が多く、微細な変化を迅速に検出する必要がある環境に適した製品づくりが特徴です。素材技術を活かした耐久性の面でも評価が高まっています。

ニコン

ニコンは光学機器や精密機械で長い歴史を持ち、光学式力覚センサを主力としています。高い精度と安定した非接触測定が可能で、電磁干渉の影響を受けにくい構造が強みです。

医療機器や精密機械、ロボット工学など、非常に繊細な測定が必要とされる分野で多くの実績を築いています。