【2026年版】レーザー溶接機とは? 原理や選び方、メーカーを紹介

レーザー溶接機は、高精度な接合と生産性の両立を図りやすい装置として、さまざまな製造現場で導入が進んでいます。特に、熱影響をできるだけ抑えながら細かな部品を接合したい工程や、自動化ラインへの組み込みを前提に設備を見直したい場面では、候補に挙がりやすい方式です。
ただし、レーザー溶接機は一括りにはできません。レーザーの種類、装置の構成、出力帯、対象材料、求める品質によって、向く用途は大きく変わります。価格や見た目の使いやすさだけで選んでしまうと、必要な品質を満たせなかったり、安全対策や運用負荷が想定より大きくなったりすることもあります。
この記事では、レーザー溶接機の基本原理、主なレーザーの種類と特徴、利用される業界や用途、メリット・デメリット、導入時の選定ポイント、さらに代表的なメーカー情報まで順を追って整理して解説します。
この記事を読み進めることで、レーザー溶接機を比較・検討する際に、どこを見て判断すべきかの大枠をつかみやすくなります。気になるメーカーや製品があれば、記事内の導線から問い合わせ先も確認できます。
【2026年版】レーザー溶接機とは? 原理と5つの種類の特徴を解説

レーザー溶接は、その名の通りレーザー光を熱源として材料を局所的に加熱し、接合する方法です。レーザーを一点に集めて必要な箇所へ照射するため、一般には精密な加工と相性が良く、熱の入れ方をコントロールしやすい溶接法として知られています。
基本的な作動の流れは、次のように整理できます。
実際の現場では、これに加えて溶接部の酸化や窒化を抑えるためにシールドガスを用いることもあります。
なお、ここで押さえておきたいのは、加工結果がレーザーの種類だけで決まるわけではないという点です。出力、ビーム品質、加工ヘッド、材料、板厚、継手形状などの条件によって、得られる品質や適用範囲は変わります。以下で紹介する各レーザーの特徴も、あくまで代表的な傾向として見るのが適切です。
5つのレーザータイプ
レーザー溶接機を選ぶうえで、まず見ておきたいのがどの種類のレーザーを使っているかです。代表的には、次の5種類に分けて整理されることが多くあります。
- CO2(炭酸ガス)レーザー
- YAGレーザー
- ファイバーレーザー
- ディスクレーザー
- 半導体レーザー
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それぞれ、得意とする用途や検討されやすい材料、装置の組み方に違いがあります。以下では、各レーザーの特徴を大づかみに押さえていきます。
(参考1:溶接革命「レーザー溶接」)
(参考2:MONO塾「レーザー溶接とは?原理や種類などをわかりやすく解説」)
CO2(炭酸ガス)レーザー
CO2レーザーは、気体を媒質に用いる代表的なレーザーです。比較的大きなワークや、ある程度の板厚を持つ材料の加工で検討されてきた方式で、条件が合えば厚みのある材料や広い範囲の加工でも、比較的安定した処理を行いやすい点が特徴です。
また、連続運転に向く構成を取りやすいことから、長時間の安定稼働が求められる生産現場で使われてきました。記事内でも自動車産業などの例が挙がっていますが、実際には対象材料や設備構成によって適性は変わります。
そのため、厚板や大面積の加工でも候補になりやすい方式の一つではあるものの、他方式との比較を前提に検討するのが現実的です。条件によっては、均一性や強度の出し方も機種仕様や加工条件に左右されます。
YAGレーザー
YAGレーザーは、固体レーザーの代表例として長く使われてきた方式です。CO2レーザーより波長が短く、金属への吸収の面で有利に働く場面があるため、精密部品や細かな接合で採用されてきました。
特に、パルス発振を活かした微細加工との相性が良く、医療機器や精密機器のように、熱の入れ方を細かく見たい工程で検討されることがあります。集光性や微細領域での扱いやすさが評価されるケースもあり、繊細な溶接を求める用途で候補になりやすい方式です。
一方で、現在の産業用途ではファイバーレーザーが主力候補になる場面も増えています。YAGレーザーは今でも重要な分類ですが、実務上はファイバー機との比較を前提に見るほうが自然です。
ファイバーレーザー
ファイバーレーザーは、現在の産業用レーザー溶接でとくに存在感の大きい方式の一つです。媒質に光ファイバーを用い、ビーム品質の高さとエネルギー効率の良さを活かしやすいことから、精密加工から量産用途まで幅広く採用されています。
記事にもある通り、薄板から中厚板の金属加工、自動化ラインへの組み込み、ハンディ(ハンド)トーチ型や切断・焼け取り・クリーナー機能搭載型など、製品の選択肢が広いのも特徴です。非接触で高速な加工が求められる場面や、自動化しやすさを重視する場面で検討されることも多くあります。
アルミニウムや銅のような材料でも検討されやすい方式ですが、実際の溶け込みや仕上がりは、出力や加工条件に大きく左右されます。そのため、高反射材への対応実績を持つ機種が多いと捉えるほうが、記事としては無理がありません。
ディスクレーザー
ディスクレーザーは、固体レーザーの一種で、熱によるビーム品質の低下を抑えやすいよう工夫された方式として知られています。本文でも触れている通り、固体レーザーで課題になりやすい熱の影響を抑え、安定したビーム品質と高出力を両立しやすい点が特徴です。
そのため、高い品質が求められる溶接や、出力の安定性を重視したい加工で検討されることがあります。記事では航空宇宙分野が代表例として挙げられていますが、これはあくまで一例です。実際の採用範囲は、対象ワークや設備条件によって変わります。
したがって、従来の固体レーザーより精度向上を図りやすい方向の方式として捉えつつ、機種や世代による差がある前提で確認することが重要です。
半導体レーザー
半導体レーザーは、固体レーザーの一種で、ダイオードレーザーやレーザーダイオードとも呼ばれる方式です。半導体素子を用いてレーザー光を発生させるため、比較的コンパクトな構成を取りやすく、装置によっては省スペース化しやすい点が特徴です。
また、励起源にランプを用いない構成で設計されることが多く、限られたスペースでも導入しやすい機種があります。微細部品や薄板、樹脂を含む用途で検討されることもあり、電子機器や小型部品の分野で存在感があります。
ただし、出力帯やビーム特性によって向く用途が分かれるため、「細かい作業に最適」と単純にまとめるのは避けたほうが安全です。電子機器製造との相性が語られることは多いものの、金属全般や厚板まで広く対応できるような印象にならないよう、適用範囲は慎重に見ていく必要があります。
ここまで、レーザー溶接機の基本原理と、代表的な5種類のレーザータイプを整理しました。次の章では、レーザー溶接機がどのような業界で、どのような用途に使われているのかを具体例ベースで見ていきます。業界ごとに求められる品質や生産条件はかなり異なるため、この違いを押さえておくと、後半の選定軸も読みやすくなります。
使い道は?利用業界・企業と用途例

前章ではレーザー溶接機の仕組みと各レーザーごとの特徴を説明しました。ここでは、レーザー溶接機が実際にどのような業界で使われているのか、また、どのような用途で導入が検討されやすいのかを見ていきます。
レーザー溶接機は、精密な接合、高い再現性、自動化との相性が求められる工程で採用されることが多い装置です。もっとも、実際に向いているかどうかは、対象材料、板厚、必要な強度、タクト、安全対策、既存ラインとの整合などによって変わります。ここで挙げる業界や用途は、あくまで代表例として押さえておくのが適切です。
(参考:NISHIHARA「レーザ溶接とは」)
以下、それぞれ順に見ていきます。
自動車業界
自動車業界では、ボディのスポット溶接やシーム溶接をはじめ、さまざまな接合工程でレーザー溶接機が検討されています。特に、生産性と加工精度を両立したい工程や、自動化ラインへの組み込みを進めたい工程では、有力な選択肢になりやすい装置です。
具体的には、次のような組み立て工程で使われることが多いです。
自動車の組み立てでは、部位ごとに求められる精度や強度、生産タクトがかなり異なります。レーザー溶接機は、そうした要求に対して有力な候補になることがあります。とくに、精密さ、高速性、自動化との親和性が重視される工程では、製造効率や品質の安定化に寄与しやすい装置です。
電子部品製造業界
電子部品製造の分野では、微細なワイヤーやピンのスポット溶接など、小型部品を精密に接合したい工程でレーザー溶接機が使われています。電子部品は熱影響を受けやすいものも少なくないため、局所的にエネルギーを与えられる加工法が求められる場面があります。
特に、次のような製造工程で使用されることが多いです。
電子部品製造では、寸法精度だけでなく、周辺部への熱影響をできるだけ抑えたいという要件も出てきます。レーザー溶接機は、微細加工との相性、異材接合への対応余地、熱影響を抑えやすい点などから、一貫した品質維持に役立つケースがあります。
航空宇宙業界
航空宇宙業界では、高い強度や耐久性、軽量化が求められる部品の製造で、レーザー溶接機が選択肢に入ることがあります。安全性に関わる部品が多いため、加工品質の安定性や再現性がとくに重視される領域です。
例えば、次のような製造プロセスで利用されることがあります。
航空宇宙分野で重視されるのは、品質の一貫性と軽量化の両立です。レーザー溶接機は、高い精度が求められる接合や、多様な材質を組み合わせる工程で候補になりやすい一方、実際の採用判断では材料特性や工程設計に応じた詳細な評価が欠かせません。
医療装置メーカー
医療装置メーカーでは、精密な医療機器の組み立てや修理の場面でレーザー溶接機が使われることがあります。対象部品が小さく、接合品質への要求も高いため、加工の再現性や熱影響の管理が重要になります。
例えば、次のような工程や修理対応で用いられることがあります。
医療分野では、品質基準や管理要件が厳しいことが多く、接合工程にも高い安定性が求められます。レーザー溶接機は、微細な加工への対応や、精度を重視した接合が必要な場面で、高水準の品質管理を支える候補になりやすい装置です。
機械メーカー
自動車や医療機器に限らず、一般的な機械製品の製造でもレーザー溶接機は幅広く利用されています。機械メーカーでは、精密部品の組み立てだけでなく、製品によっては大型構造物や複雑形状部品の加工でも検討されることがあります。
例えば、次のような場面で用いられることが多いです。
機械メーカーでの用途はかなり幅広く、必要とされる仕様も製品によって大きく変わります。そのため、レーザー溶接機の導入では、精度だけでなく、ワークサイズ、工程の複雑さ、自動化との整合まで含めて見ていくことが重要です。大型構造物の組み立てや、高品質な表面処理が求められる工程でも候補になりやすい点は押さえておきたいところです。
ジュエリーメーカー
ジュエリーメーカーでは、繊細な金属部品の接合や修理のためにレーザー溶接機が使われています。大きな熱を周囲に入れたくない場面や、細かな意匠を損なわずに接合したい場面では、レーザー溶接が候補になりやすい分野です。
ジュエリー製作では、接合強度だけでなく、見た目の仕上がりも重要な評価軸になります。レーザー溶接機は、細かな接合や熱影響を抑えた加工が求められる場面で適していることが多く、金やプラチナなどの材料を扱う工程でも検討されます。高価な材料をできるだけ損なわずに加工したい場面で評価されやすい点も、この分野ならではの特徴です。もっとも、材料特性や仕上げ要求によって最適条件は変わるため、実作業では十分な確認が必要です。
ここまで、レーザー溶接機の利用業界と用途例を整理しました。次のセクションでは、こうした用途を踏まえて、レーザー溶接機を導入する際のメリット・デメリットを見ていきます。導入判断の前提になる部分なので、選定前に押さえておきたいポイントです。
レーザー溶接機のメリット・デメリット

『レーザー溶接機の利用業界・企業と用途例』では業界・企業の分野ごとにレーザー溶接機が利用される理由と用途を解説しました。ここでは、それらを踏まえたうえで、レーザー溶接機を導入することで得られる利点と、事前に押さえておきたい注意点を整理します。
(参考:ウェルテック舎「レーザーによる精密溶接の原理や使用例・メリット・デメリット・コツ」)
レーザー溶接機は、精度や自動化適性の高さから魅力的に見えやすい装置です。ただし、実際の導入ではコストや運用体制、安全管理なども含めて判断する必要があります。「できること」と「現実的に運用できるか」は別物なので、この章はそのギャップを埋める視点で読んでおくと役立ちます。
メリット
レーザー溶接機の主なメリットは以下の3点を挙げられます。
高精度(スポット溶接など)と高品質
レーザー溶接の大きな特長は、狙った位置にエネルギーを集中させやすい点にあります。条件が合えば、微細な部品や複雑な形状でも安定した接合品質を出しやすいのが強みです。
とくに、外観品質や溶接部のばらつきが問題になりやすい工程では、この特性が活きてきます。電子部品や医療機器のように、小さく精密で品質要求の高い領域では、レーザー溶接が候補に挙がる理由もここにあります。条件によっては、強度を確保しながら、溶接箇所を目立ちにくく仕上げやすい点も評価されます。
見方を変えると、加工条件をきちんと詰められる現場ほど、性能を引き出しやすい装置とも言えます。製品全体の品質向上につながりやすい点は、導入メリットとして押さえておきたいところです。
コスト・時間の削減に繋がる溶接速度
レーザー溶接機は、条件次第では従来工法よりも高いスループットを出せるケースがあります。加工そのものが速いだけでなく、自動化ラインと組み合わせることで、工程全体のタクト短縮に効いてくる点がポイントです。
特に量産工程では、「速い」こと以上に「安定して同じ品質で繰り返せる」ことが重要になります。レーザー溶接機はこの点でも評価されやすく、自動車や電子部品の現場で採用される背景にもなっています。条件が合えば、工数の圧縮や生産効率の向上を通じて、コスト削減に結びつきやすいのも利点です。
ただし、すべての条件で速くなるわけではありません。ワーク形状や治具、前後工程とのバランス次第では、期待したほどの効果が出ないケースもあるため、事前検証は欠かせません。
多様な材質を加工可能
レーザー溶接機は、機種やレーザー方式によって差はあるものの、比較的幅広い材料で検討しやすい装置です。金属を中心に、用途によってはプラスチックや複合材料の接合が候補になることもあります。
この特性は、設計段階で材料選択の自由度を確保したい場合に活きてきます。異種材料の組み合わせや、軽量化を目的とした材料変更などにも対応しやすく、製品設計の幅を広げる要素になり得ます。条件によっては、1つの装置で複数の材料に対応できる可能性がある点も、運用面では見逃せません。
ただし、「何でも溶接できる」と捉えるのは危険です。実際には、材料特性や表面状態、接合条件によって適否が分かれるため、対象ワークごとの検証が前提になります。
デメリット
デメリットは主に以下の3点です。デメリットの把握は、レーザー溶接機を納得して導入する際に特に重要です。この3点以外にも、貴社導入にあたって気がかりとなりそうな点は予め書き出すなどして明確にしましょう。
高い設備投資・ランニングコスト(ガス・電気など)
レーザー溶接機は、装置単体だけでなく、レーザー発振器、制御系、加工ヘッド、安全対策機器などを含めると、導入コストが大きくなりやすい設備です。一般的な溶接機と比べて初期投資が高額になるケースが多く、導入規模によっては周辺設備の整備も必要になります。
また、導入後も電力消費や消耗部品、メンテナンスに加え、機種によってはガスを含む運用費が継続的に発生します。ハンディトーチ型のファイバーレーザー溶接機のように比較的導入しやすい機種もありますが、実際には安全対策や作業環境整備まで含めたトータルコストで判断する必要があります。
特に初めて導入する企業や小規模な企業では、装置価格だけで判断せず、周辺投資も含めて見ることが重要です。
技術的な専門知識が必要
ハンディタイプのレーザー溶接機には比較的扱いやすい設計のものもありますが、一般的にはレーザー溶接機の導入・運用には一定の専門知識や経験が求められます。操作だけでなく、材料特性、加工条件、安全管理、保守対応まで含めて理解しておく必要があるためです。
そのため、オペレーターの教育や継続的なトレーニング、適切な人材確保が課題になることがあります。設備導入だけでなく、運用を支える社内体制まで見込んでおく必要がある点は、事前に認識しておきたいポイントです。継続的な教育負担が発生しやすい点も、現場運用では見落としにくい論点です。
板厚によっては利用できない
レーザー溶接機は万能ではなく、対応できる板厚や条件には一定の範囲があります。機種や出力、レーザー方式、継手形状、材料によって適用領域は変わるため、極端に薄い材料や、逆に厚すぎる材料では適さない場合もあります。
そのため、多様な板厚や材料を扱う現場では、単一のレーザー溶接機だけでどこまで対応できるのかを事前に確認する必要があります。場合によっては、追加設備や別の溶接方法との併用も視野に入れるべきです。
特に製品バリエーションが多い企業では、自社の加工レンジに対して適合するかを丁寧に確認しておく必要があります。板厚や材料の条件を見誤ると、導入後に想定した使い方ができないおそれもあるため、この点は慎重に見ておきたいところです。
ここまで、レーザー溶接機のメリットとデメリットを整理しました。次のセクションでは、これらを踏まえて、実際に導入する際に迷いやすい「選定の軸」を具体的に見ていきます。比較検討の精度を上げるための重要なパートです。
どのような軸で選べば良いか|レーザータイプ別に解説

『レーザー溶接機を使用するメリット・デメリット』では、レーザー溶接機一般に見られる利点と注意点を整理しましたが、レーザー溶接機は種類によって得意分野が異なります。したがって、単純にスペックや価格だけで選ぶのではなく、自社の用途・材料・生産条件に対して適合しているかを軸に比較することが重要です。
ここでは、レーザーのタイプ別に、6つの観点からレーザー溶接機の選び方を解説していきます。貴社で求められている用途や使われている材料を把握した上で、以下の項目を参照してください。
- よく使われる業界と材料
- 機能的特徴と適切な溶接用途
- 価格・コスト
- 操作性とメンテナンス
- 生産効率
- 安全対策
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よく使われる業界と材料
材料にはさまざまな種類があるため、レーザー溶接機を選ぶ際は、まず自社で扱う材料と業界特性を整理することが重要です。どのレーザー方式が適しているかは、材料の種類や加工条件に大きく依存します。
同じ金属でも反射率や熱特性によって適した加工条件は変わりますし、業界によって求められる品質水準や加工精度も異なります。そのため、選定時には対象材料に対する対応範囲や実績を確認することが重要です。なお、以下の表は各レーザー方式の代表的な傾向を整理したものであり、実際の適用可否は機種や条件によって異なります。
| 適した材料 | 業界 | |
|---|---|---|
| CO2レーザー | 非鉄金属(アルミニウム、銅)、鋼、ステンレス鋼 | 自動車産業、航空宇宙産業、 重工業 |
| YAGレーザー | 鉄、ステンレス鋼、チタン、合金 | 医療機器製造、電子機器製造、 精密工学 |
| ファイバーレーザー | ほとんど全ての金属(鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、 チタン、銅など) |
自動車産業、電子機器製造、 一般工業 |
| ディスクレーザー | ステンレス鋼、鋼、チタン、非鉄金属 | 航空宇宙産業、自動車産業、 医療機器製造 |
| 半導体レーザー | 軽金属、薄板金属、プラスチック | 電子機器製造、小型部品製造、 医療機器製造 |
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ここで着目すべきは、溶接可能な材料の幅がどれほど広いかです。例えば、ファイバーレーザーは比較的幅広い材料に対応しやすい一方、条件によっては適否が分かれることがあります。半導体レーザーも用途によっては有力ですが、鋼など厚い傾向にある材料では慎重な見極めが必要です。
機能的特徴と適切な溶接用途
レーザー溶接機を選ぶ際には、どのような品質・仕上がりが求められているかを明確にする必要があります。用途によって、溶け込み、外観品質、歪みの少なさなど重視すべきポイントが変わるためです。
たとえば、精密部品では微細な溶接と熱影響の制御が重要になりますが、大型構造物では強度や溶け込みが優先される場合があります。したがって、用途ではなく求める結果から逆算してレーザー方式を選ぶことが重要です。以下の表も、各方式の特徴を比較する際の目安として活用してください。
| 機能的特徴 | 適切な用途 | |
|---|---|---|
| CO2レーザー |
高いエネルギー効率 深い浸透力 |
厚い材料の溶接に適切 大面積溶接作業で均一な溶接が可能 |
| YAGレーザー |
多様な金属に対応可能 微細な溶接が得意 |
高精度で細かい溶接 小型部品・精密機器に適切 |
| ファイバーレーザー |
優れたビーム品質 高いエネルギー密度 |
綺麗で精密な溶接が可能 薄板~中厚板に適切 |
| ディスクレーザー |
高いビーム品質と出力 精密かつ深い浸透力 |
高品質で均一な溶接が可能 金属加工に適切 |
| 半導体レーザー |
比較的低出力 小型の軽量部品の溶接が可能 |
微細な部品や薄い材料に適切 高精度、深すぎない溶け込みの溶接が可能 |
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レーザーの種類ごとの機能的特徴とその結果としての溶接品質には密接な関係があります。例えば、CO2レーザーは深い浸透力があるため厚い材料の溶接でも候補になりますが、最終的には個別機種や加工条件まで見て判断することが重要です。
価格・コスト
レーザー溶接機の選定では、装置価格だけでなく導入から運用までのトータルコストを把握することが重要です。まず、レーザー溶接機単体の価格帯は以下のように大きく整理できます。
ただし、実際にはロボット、搬送装置、安全設備などを含めるかどうかで総額は大きく変動します。初期費用だけでなく、長期運用を前提にした総コストで判断することが重要です。
レーザー溶接機の単価だけではなく、その周辺にもコストは発生します。コストの発生ポイントは主に以下の3点が挙げられます。
- 導入コスト(単価含む初期費用)
- 運用コスト(電力消費やメンテナンス)
- トレーニングコスト(オペレーターの育成・教育)
以下は、レーザーの種類ごとにかかる導入コストと運用コストです。
| 導入コスト | 運用コスト | |
|---|---|---|
| CO2レーザー | 初期設備投資が高め | 維持管理費用(ガス補充や交換、光学系の調整)がかかる |
| YAGレーザー | 初期設備投資は中程度 |
光源の寿命が短く、交換コストが発生する 高価な光学系のメンテナンスが必須 |
| ファイバーレーザー |
安価なものもあるが、 初期設備投資は高い傾向 |
長期的にはメンテナンスコストが低い |
| ディスクレーザー | 初期投資額が高め | 効率性の良さから長期的な運用コストは低い |
| 半導体レーザー | 初期投資額は比較的低い | 精密部品の修理や交換でコストが発生 |
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操作性とメンテナンス
レーザー溶接機は機種によって操作性やメンテナンス性が大きく異なります。導入後に無理なく運用できるかどうかは重要な判断ポイントです。したがって、現場のスキルレベルや体制で運用可能かを確認したうえで選定する必要があります。
レーザー溶接機によって仕組みが若干異なってくるのに伴い、操作性とメンテナンス方法についても違いがあります。
| 操作性 | メンテナンス | |
|---|---|---|
| CO2レーザー |
他と比較して複雑 光学系の調整が必要になることも |
光学部品のクリーニングと調整 定期的なレーザーガスの交換 |
| YAGレーザー |
他と比較してシンプル 精密なセットアップが必要 |
定期的なランプやレーザー媒体の交換 特にランプの寿命に注意が必要 |
| ファイバーレーザー |
比較的簡単で直感的な操作が可能 自動化と統合性が容易 |
ほとんどメンテナンスフリー 定期的なファイバーケーブルやレンズの検査 |
| ディスクレーザー |
他と比べて高度な操作が必要 一度セットアップすれば高い安定性発揮 |
定期的な光学部品のクリーニングや調整 全体的にメンテナンスは比較的容易 |
| 半導体レーザー |
小型で操作が簡単なことが多い ハンドヘルドタイプも存在 |
メンテナンスは少ない 部品チェックや交換が必要になることも |
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現行のレーザー溶接機が存在する場合は、それがどのような形で運用されているのか、運用上問題とされている点はないかなどの使用状況を把握しましょう。
また、レーザー溶接機に対してスタッフは技能をどれほど持ち合わせているのか、企業のノウハウレベルも確認することをおすすめします。
生産効率
生産効率はレーザー溶接機導入の大きな目的のひとつですが、単純に速度だけで判断するのではなく、工程全体として効率が向上するかで評価する必要があります。装置単体の性能だけでなく、前後工程や自動化との連携まで含めて見ることが重要です。
例えば、次のような点に注意するとよいです。
- 板厚に対するレーザータイプは適切か
- 貴社の製造ラインへ容易に統合が可能か
- 適切な効率度合いか(安全性を損なわないか)
以下が生産効率上の利点と欠点を表したテーブルです。
| 生産効率上の利点 | 生産効率上の欠点 | |
|---|---|---|
| CO2レーザー |
大量生産に適している 非鉄金属(アルミニウム、銅)、 鋼、ステンレス鋼などに適切 |
大型設備が必要となるため、 導入やセットアップに時間がかかる |
| YAGレーザー |
小規模な製品に対しては効率が良い 鉄、ステンレス鋼、チタン、合金などに適切 |
ランプ交換などメンテナンスに時間がかかる |
| ファイバーレーザー |
迅速な溶接が可能なため、大量生産に適している ほとんど全ての金属(鋼、ステンレス鋼、 アルミニウム、チタン、銅など)に対応可能 |
厚い材料には適していない場合がある |
| ディスクレーザー |
複雑な溶接作業に適切で、 一度稼働すれば効率が良い ステンレス鋼、鋼、チタン、非鉄金属などに適切 |
セットアップには専門知識が必要である |
| 半導体レーザー |
小規模な製品に対しては高い効率を発揮 軽金属、薄板金属、プラスチックなどに適切 |
大量生産にはあまり適していない |
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規模の大きいレーザー溶接機ほど大量生産には向いている一方で、大型設備となるためセットアップなどには専門知識が必要となるという傾向です。
また、既存の設備環境に新しく溶接機を導入する場合を踏まえるなら、検討中の製品が既存設備へ容易に統合できるかも重要な点です。
安全対策
レーザー溶接機は高エネルギーを扱うため、安全対策は必須です。レーザーの種類や出力によってリスクは異なるため、導入時には安全管理体制も含めて検討する必要があります。特に重要なのは、設備だけでなく運用を含めた安全管理です。
どのレーザー溶接機にも共通するのは、操作員が安全に関する適切なトレーニングを受け、安全ガイドラインに従って作業を行うことです。そして定期的にメンテナンスをすることも大切です。
| 危険性 | 必要な安全対策 | |
|---|---|---|
| CO2レーザー |
目に見える光を発する 高電力を扱う |
目に光が当たらないよう適切な保護眼鏡が必要 周囲への影響を考慮し適切なシールドや遮蔽が必要 |
| YAGレーザー |
目に対する危険性がある 高温のリスクがある |
適切な保護眼鏡が必要 使用の際は周囲の安全管理が重要 |
| ファイバーレーザー |
ビームの強度が強い ファイバーケーブルの取扱に 注意が必要 |
直接のビーム露出を避けるための 厳重な保護措置が必要 |
| ディスクレーザー |
高出力のレーザーを用いる ビーム漏れや反射の恐れ |
適切な保護措置とオペレーターの訓練が必要 周囲への影響を考慮した遮蔽と安全な操作環境の確保が必要 |
| 半導体レーザー |
低出力のものが多いものの、 直接のビーム露出は目に良くない |
保護眼鏡の着用が必要 |
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レーザー光を用いる溶接方法なので、保護眼鏡、溶接面、溶接ヘルメットの用意が必要です。溶接機の規模によって、安全管理が必要な範囲が異なってくる場合があります。
導入コストのみを考慮した選択方法だと、最悪の場合スタッフの怪我につながるなど、取り返しのつかない事態が生じてしまう可能性もあるので、注意が必要です。
ここまで、レーザー溶接機を選ぶ際の軸について説明してきました。次の章では、レーザー溶接機を製造しているメーカーを一覧で紹介します。選び方の大枠を踏まえながら次の章を読むと、貴社にとって適切なメーカーの判別がつくようになりますので、是非ご一読ください。
レーザー溶接機を製造するおすすめ企業

レーザー溶接機は、自動車・電子部品・医療機器など幅広い分野で高精度な接合を可能にする装置です。ここでは、信頼性と導入検討時の比較軸を踏まえて、代表的なメーカーを紹介します。なお、メーカーによっては溶接機単体ではなく、ロボットや制御を含む接合システムとして展開している場合もあるため、提供形態の違いも含めて比較することが重要です。
導入検討を進める際は、対象材料、板厚、求める品質、自動化の要否、安全対策を含む運用条件まで整理したうえで問い合わせると、より具体的な提案を受けやすくなります。
※JET-Roboticsの問い合わせフォームに遷移します。
一部の会社とは正式な提携がない場合がありますが、皆さまに最適なご案内ができるよう努めています。
- アマダ / AMADA
- 日本アビオニクス / Nippon Avionics
- パナソニック インダストリー / Panasonic Industry
- 三菱電機 / Mitsubishi Electric
- ダイヘン / DAIHEN
※クリックで各メーカーの詳細に飛びます。
アマダ / AMADA
| 会社名 | アマダ / AMADA |
| 設立年 | 1948年 |
| 本社 | 神奈川県伊勢原市石田200 |
| 概要 | 金属加工機械の総合メーカー |
アマダは、金属加工機械の総合メーカーとして知られ、レーザー溶接分野では微細接合を含む高品位な加工領域で検討しやすいメーカーです。
代表機種としてはMF-C2000A-S/SC、ML-3000Aシリーズが挙げられます。とくにMF-C2000A-S/SCは現行の製品情報でも確認しやすく、微小部品の高精度・低スパッタ溶接や、気密性が求められる接合を重視したい場面で候補になりやすい点が特徴です。
導入用途としては医療用カテーテル部品、光通信用パッケージのシーム溶接、二次電池タブ溶接などの分野で検討されやすいメーカーです。
日本アビオニクス / Nippon Avionics
| 会社名 | 日本アビオニクス / Nippon Avionics |
| 設立年 | 1952年 |
| 本社 | 神奈川県横浜市都筑区池辺町4475番地 |
| 概要 | 電子機器・精密機器の接合技術を提供するメーカー |
日本アビオニクスは、レーザー溶接機単体というよりも、抵抗・超音波・レーザーなど複数のマイクロ接合技術を組み合わせて提案できる点に強みを持つメーカーです。
代表製品はレーザーを含む接合システム・ソリューションとして整理するのが自然で、複数工法から最適な接合方式を選定し、微細領域の品質向上を図りやすい点が特徴です。
導入用途としては水晶・光デバイスの気密封止、車載電子部品の溶接、二次電池タブの接合などが挙げられます。
パナソニック インダストリー / Panasonic Industry
| 会社名 | パナソニック インダストリー / Panasonic Industry |
| 設立年 | 2022年 |
| 本社 | 東京都港区虎ノ門2-6-1 虎ノ門ヒルズ ステーションタワー 22階・23階 |
| 概要 | 産業デバイス/制御機器メーカー |
パナソニック インダストリーは、現行社名で見るとロボット・発振器・制御を統合したレーザ溶接システムを展開しており、単体機というよりシステム提案に強いメーカーとして見ると分かりやすいです。
代表製品はLAPRISSです。ロボットとビーム制御を統合し、高速化・低ひずみ・広範囲加工を重視したい場面で検討しやすい点が強みです。
導入用途としては自動車ボディ・サブフレームのレーザ溶接、EVモータ部品、家電筐体の薄板溶接などの分野が挙げられます。
三菱電機 / Mitsubishi Electric
| 会社名 | 三菱電機 / Mitsubishi Electric |
| 設立年 | 1921年 |
| 本社 | 東京都千代田区丸の内2-7-3 東京ビル |
| 概要 | インフラ、自動車機器、ロボット, 半導体、ビル、家電などのメーカー |
三菱電機は、光学ヘッドからNC、CAMまで含めた加工環境を提供し、3次元ワークや複雑形状部品のレーザー加工・溶接を含む用途で検討しやすいメーカーです。
代表製品はVZ20、VZ10です。複雑形状部品への高精度加工や、3Dワークへの対応を重視する場面で候補になりやすい点が魅力です。
導入用途としては自動車ボディ補強部品、建機部品、電機筐体の薄板溶接など、複雑形状や3次元ワークが関わる加工領域で検討されやすい製品群です。
ダイヘン / DAIHEN
| 会社名 | ダイヘン / DAIHEN |
| 設立年 | 1919年 |
| 本社 | 大阪市淀川区田川2丁目1番11号 |
| 概要 | 溶接機・変圧器メーカー |
ダイヘンは、レーザとアークを組み合わせたハイブリッド溶接や異材接合に強みを持ち、ロボットと電源を統合したシステム展開でも知られるメーカーです。
代表製品はレーザ・アークハイブリッド溶接システムです。アルミと鋼の異材接合や、高強度接合を重視した実装寄りのライン構築を検討しやすい点が特徴です。
導入用途としては自動車フロア・ドア部品の溶接、アルミと鋼の異材接合、建築鉄骨の長尺継手溶接など、ハイブリッド溶接の適用が検討されやすい領域が挙げられます。
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