フライス盤
フライス盤とは、多種多様な加工を可能とする工作機械のひとつで、近年の製造業の進化とともに、その重要性が増しています。
フライス盤の種類や特徴、加工例などは非常に多岐にわたり、適切な選択をしないと加工品質や効率が低下するリスクがあります。また、新たな機械を導入する際の選定は、現場の課題やニーズに合わせたものでなければ、コスト面や作業効率に大きな影響を及ぼすことがあるので、注意が必要です。
この記事ではフライス盤とは何か、フライス盤の種類、おすすめのメーカー、具体的な加工例とおすすめの企業を6社ご紹介します。
フライス盤とは? 8種類のフライス盤の特徴と加工例
フライス盤とは、フライス工具と呼ばれる工具を回転させ、平面、曲面、溝などの加工を行う機械のことを指します。
このフライス工具には、正面フライス、エンドミル、溝フライスといった多種多様なものがあり、それぞれの工具が異なる加工を得意としています。
(出典:一般社団法人 日本工作機械工業会)
フライス盤は、金属やプラスチック、木材などの素材の加工に広く利用される機械装置です。多様なフライス盤の種類が存在し、それぞれのフライス盤は特定の加工目的や用途に合わせて設計されています。具体的なフライス盤の種類は以下の9つです。
- NCフライス盤
【汎用的なフライス加工を実施したい方向け】 - ベッド形フライス盤(立てフライス盤)
【数メートル以上の大型素材を加工する方向け】 - ひざ形フライス盤
【小型部品の工具やプロトタイプを製作したい方向け】 - 万能工具フライス盤
【金型など複雑な加工を必要としている方向け】 - ならいフライス盤
【特定の部品を連続で製造したい方向け】 - プラノミラー
【1メートル以上の大型素材を平面加工したい方向け】 - ねじ切りフライス盤
【ネジの接続部分を加工したい方向け】 - 卓上フライス盤
【小型製品やプロトタイプの製造をしたい方向け】
NCフライス盤
NCフライス盤は、数値制御が可能なフライス盤で、高精度な加工が実現可能です。特に航空機部品や自動車部品、高精度な金型などの製品製造に多用されます。
このフライス盤の最大の強みは、高精度な加工を可能にすること、そして複雑な形状の加工ができる点です。
大量生産にも適しており、アルミニウム、鋼、チタン、合金鋼やプラスチック、木材などさまざまな素材に対する加工が得意です。加工サイズとしては、中から大型の部品、数ミリメートルから数メートルの範囲で対応可能です。
メーカーとしては、例えば牧野フライス製作所が知られています。
ベッド(立て)形フライス盤
ベッド(立て)形フライス盤は、主軸ボックスが固定されているのが特徴で、テーブルがXYZ軸上で動く構造を持っています。この特性により、一般的な機械部品やフレーム部品、そして特に大型の部品の加工において優れています。
このフライス盤の最大の強みは、大型の部品の加工が可能であり、加工中の安定性が高いことです。
また、一般的な加工に非常に適しています。アルミニウム、鋼、鋳鉄などのさまざまな素材に対する加工が得意で、加工サイズとしては中から大型の部品、数センチメートルから1メートル以上の範囲での対応が可能です。
メーカーの一例として武田機械が挙げられます。
ひざ形フライス盤
ひざ形フライス盤は、主軸ボックスがZ軸上で動くことが特徴のフライス盤です。この特性により、小型の部品や工具、さらにはプロトタイプ部品の加工に適しています。
このフライス盤の最大の強みは、小型の部品の加工が得意であり、操作が簡単で多機能性を持っていることです。
アルミニウム、真鍮、鋼といったさまざまな素材に対する加工が可能で、加工サイズとしては小から中型の部品、数ミリメートルから数十センチメートルの範囲での対応ができます。
メーカーとしては、イワシタなどが知られています。
万能工具フライス盤
万能工具フライス盤は、その名の通り多方向に動作するテーブルを持ち、様々な形状や加工方法に対応することができるフライス盤です。複雑な形状の部品や特殊な部品、さらには金型の製作など、多岐にわたる用途での加工が可能です。
このフライス盤の最大の強みは、複雑な加工が得意であり、多機能性と高い柔軟性を兼ね備えていることです。アルミニウム、鋼、鋳鉄、非鉄金属といったさまざまな素材に対する加工が可能で、加工サイズとしては小から中型の部品、数ミリメートルから数十センチメートルの範囲での対応ができます。
メーカーとしては、牧野フライス製作所、武田機械、そしてイワシタなどが知られています。
ならいフライス盤
ならいフライス盤は、2つ以上のスピンドルを並列に持つ特徴を有するフライス盤です。この特性により、大量の同じ部品や連鎖部品、さらには生産ラインの部品といったアイテムを一度に効率よく加工することができます。
このフライス盤の最大の強みは、大量生産と連続した加工が可能であること。さらに、同時多軸加工も行えるため、複数の部品を一度に加工することができます。
アルミニウム、鋼、鋳鉄といったさまざまな素材に対する加工が可能で、加工サイズとしては中から大型の部品、数センチメートルから1メートルの範囲での対応が可能です。
プラノミラー
プラノミラーは、特に平面の大型部品の加工に特化したフライス盤です。
これにより、機械のベッドや大型のフレーム、産業機械の基盤など、大きな寸法を持つ部品の加工を行う際に、高い精度と安定性を持って加工することが可能となります。
このフライス盤の強みは、大型部品の平面加工においてその精度と安定性を発揮すること。鋳鉄や鋼といった材料に対して、特に1メートル以上の大型部品の加工が得意とされています。
メーカーとしては、日精ホンママシナリーなどが知られており、その技術力と品質で多くの産業分野において信頼されています。
ねじ切りフライス盤
ねじ切りフライス盤は、名前の通り、ねじの加工に特化したフライス盤です。ボルトや工業用のねじ、さらには特殊な形状を持つねじの製造に使用されます。
このフライス盤の最大の強みは、ねじの高精度加工を実現すること。特に特殊なねじ形状の加工や、連続したねじの加工においてその能力を発揮します。鋼、アルミニウム、合金鋼といった素材を得意とし、小〜中型部品、数ミリメートルから数十センチメートルの範囲の部品の加工が可能です。
メーカーとして、カシフジがその技術力と品質で多くの産業分野で信頼されています。
卓上フライス盤
卓上フライス盤は、その名の通り、小型のフライス盤でデスクトップにも設置可能な工具です。特に小型部品やプロトタイプの製造、あるいは趣味としての加工においてその真価を発揮します。
このフライス盤の最大の強みは、省スペースでの設置が可能であること。さらに、低コストで簡単な操作が行えるため、初心者やホビー用途にも最適です。アルミニウム、真鍮、プラスチックといった素材を得意とし、数ミリメートルから数センチメートルの範囲の小型部品の加工が可能となっています。
メーカーとして、武田機械やイワシタがその技術力と品質で注目されています。
ここまで、フライス盤の種類について解説しました。フライス盤で素材を加工する際、フライス盤に取り付けるための工具が必要になります。
次のセクションでは、フライス盤に取り付ける工具の種類について解説します。フライス盤をより的確に駆使したい方は、ぜひ次のセクションに読み進めてください。
フライス盤に取り付けるフライス工具の種類
フライス盤が幅広い分野で活用されるのは、様々な加工方法に対応していることが大きな理由のひとつです。その対応分野の広さを実現する上でキモとなるのが、加工で使われるフライス工具の種類です。
ここでは、以下の6つのフライス工具をご紹介します。
正面フライス
正面フライスは、その名称が示すように主に部品の平面を加工するためのフライス工具です。
これは、すべてのフライス盤に取り付けることが可能ですが、特に大型の部品の平面加工に向いているフライス盤で頻繁に使用されます。
そのため、ベッド形フライス盤やならいフライス盤といったタイプのフライス盤での使用が最適とされています。
加工例としては、金属ブロックの平坦化や大型部品の表面仕上げなど、平面の加工が主な用途となります。
このような特性から、正面フライスは金属加工業界での基本的な工具として広く採用されており、その効率と精度の高さが評価されています。
溝フライス
溝フライスは、特に溝やキーウェイの加工に使用されるフライス工具のひとつです。
この工具は、すべてのフライス盤に取り付けることができる汎用性を持っています。
特に万能工具フライス盤やベッド形フライス盤での使用が最適とされており、これらのフライス盤と組み合わせることで、非常に高い精度と効率の加工が実現されます。
製品としては、機械や車両のトランスミッション部分に使用されるギアや、その他の連結部品など、特定の形状やサイズの溝やキーウェイが必要な部品の加工に適しています。その独特の形状と高い加工能力により、溝フライスは多くの製造業者にとって欠かせない工具となっています。
平(ひら)フライス
平(ひら)フライスは、その名の通り平面や側面の加工に特化したフライス工具です。
この工具は、その汎用性からすべてのフライス盤に取り付けることができます。特にひざ形フライス盤やベッド形フライス盤での使用が最適とされています。
これらの組み合わせにより、加工時の安定性や精度が向上し、効率的な作業が可能となります。
製品例としては、一般的な機械部品やフレーム部品などの加工に使用されます。そのシンプルながらも効果的な加工能力により、平(ひら)フライスは多くの製造業者や工場で欠かせない工具として利用されています。
側(がわ)フライス
側(がわ)フライスは、部品の側面や特定の形状の加工を得意とするフライス工具の一種です。この工具の特徴として、すべてのフライス盤に取り付けることができる汎用性が挙げられます。
特にひざ形フライス盤やベッド形フライス盤での利用が推奨されており、これらのフライス盤との組み合わせにより、より高精度で効率的な加工が可能となります。
製品例としては、外形の整形や特定の形状を持つ部品の加工に使用されることが多いです。その高い精度と安定性により、側(がわ)フライスは多くの製造業者や工場で重宝されています。
エンドミル
エンドミルは、複雑な形状の部品や金型の加工に特化したフライス工具の一種です。
すべてのフライス盤に取り付けることが可能という利点を持ちながら、特に「NCフライス盤」や「万能工具フライス盤」での使用が推奨されています。
これらのフライス盤との組み合わせることで、高精度な複雑な形状の加工や、特定の穴の加工が可能となります。
このエンドミルの最大の強みは、複雑な形状や特定の穴の加工を効率良く行えることです。そのため、高度な加工が求められる金型製作などの分野で、エンドミルは不可欠な存在となっています。
複雑な形状の部品や金型の製造に関わる方々にとって、エンドミルは信頼性と効率性を兼ね備えた重要なツールと言えるでしょう。
ドリル
ドリルは、特にNCフライス盤やひざ形フライス盤での使用が推奨されるフライス工具の一つです。この工具は、穴をあけるための加工に特化しています。
主にNCフライス盤や万能工具フライス盤での使用が一般的であり、これらの組み合わせにより、高精度な穴加工が可能となります。
ドリルの強みは、穴を必要とするすべての部品、例えばボルト穴やダウンピン穴など、を効率的に加工できることにあります。そのため、多岐にわたる製品の製造現場でドリルは欠かせないツールとして活用されています。
穴加工の要求される製造現場において、ドリルはその信頼性と効率性から多くの技術者に支持されています。
ここまでフライス工具の種類について解説しました。
フライス盤と工具を組み合わせれば、狙った通りのフライス加工が可能になります。次の章では具体的なフライス加工の種類と、種類に応じてフライス盤を選ぶ方法を解説します。
貴社に最適なフライス盤を選定したい方は、このまま次のセクションに読み進めてください。
7つの用途にあわせてフライス盤を選定する方法
フライス盤を選定するには、貴社の目的に合致した各方法を選定する必要があります。
以下に紹介する加工方法は、フライス盤の基本的な操作から高度な技術まで幅広くカバーしており、多様な製品の製造に寄与しています。具体的には以下のような多岐にわたる加工が可能です。
- 平面削り
【平面を削り出したい方向け】 - 側面削り
【部品の高さや幅を調整したい方向け】 - 段加工
【部品の接触や組み合わせる部分を作りたい方向け】 - 溝加工
【回路やケーブルの取り付け部をつけたい方向け】 - 穴あけ加工
【ボルト穴を開けたい方向け】 - ねじ切り加工
【ネジを製造したい方向け】 - 3次元加工
【複雑な立体形状加工を実施したい方向け】
平面削り
平面削り、または平面加工は、主に金属やプラスチックの表面を削ることで、指定された平らな面を作り出す加工方法です。
この加工手法は均一な表面を作成するために用いられ、表面の荒れや不均一を効果的に取り除くことができます。さらに、多くの材料で高い精度と仕上がりの良さを実現することが可能です。
平面削りは、エンジンのシリンダーヘッドやブロック、精密機械の台座やガイド、そして金属製のフレームやフランジなどの加工に使われ、以下の用途で活用されています。
- 金属部品の平坦性の向上
- 高精度な平面を必要とする機械部品の仕上げ
- 表面の仕上げや荒れの取り除き
平面削りの際には、以下の加工機と工具を選定することがおすすめです。
おすすめのフライス盤
- NCフライス盤
- 万能工具フライス盤
- ベッド形フライス盤
- プラノミラー
おすすめのフライス工具
- 平面フライス
- エンドミル
- 正面フライス(フェースミル)
一方、平面削りには向いていない工具としてボールノーズエンドミルやテーパエンドミル、そしてねじ切りフライス盤などのフライス盤の種類も存在します。
側面削り
側面削りとは、金属やプラスチックの材料の側面を削り取ることによって形状や高さを調整する加工方法の一つです。
この加工法の魅力は、縦、横、斜めといった多様な方向での加工が可能であり、多彩な形状の側面仕上げを行える点です。
側面削りは、ギアやプーリーの外周、金属製の機械カバーやシャーシ、さらに精密なブロックやホルダーの側面などの加工に使われ、以下の用途で利用されています。
- 機械部品の外周形状の仕上げ
- 金属製のブロックやフレームの高さの均一化
- スロットや溝の深さの調整
側面削りの際には、以下のフライス盤と工具を選ぶことがおすすめです。
おすすめのフライス盤
- NCフライス盤
- 万能工具フライス盤
- ベッド形フライス盤
おすすめのフライス工具
- サイドミル
- エンドミル
- 溝フライス
一方、側面削りに適さない工具としてボールノーズエンドミルやドリルビットがあり、さらにねじ切りフライス盤やプラノミラーといった特定の目的に特化したフライス盤も存在します。
段加工
段加工とは、材料の一部を所定の深さまで削ることにより、複数の段を持つ形状を生み出す加工方法です。この加工法は、機械部品や金型など、部品の接触や組み合わせる部分を作るために特化しています。
段加工は、治具の取り付け面やギアボックスの取り付け部、さらに精密機械のスライド部などの加工に用いられ、以下の用途で利用されています。
- 金型や治具の接触部や取り付け部の形成
- 部品同士を組み合わせるための合わせ面や段の作成
- 機械のガイドレールやスライド面の整備
段加工の際には以下のフライス盤と工具がおすすめです。
おすすめのフライス盤
- NCフライス盤
- 万能工具フライス盤
- ベッド形フライス盤
おすすめのフライス工具
- 正面フライス(フェースミル)
- エンドミル
一方、段加工に適さない工具としては、ドリルビットやボールノーズエンドミルがあり、さらにねじ切りフライス盤やプラノミラーといった特定の目的に特化したフライス盤も存在します。
溝加工
溝加工は、材料の表面に特定の幅と深さの溝を形成するための技術です。この加工法は、機械部品の接続部や取り付け部の作成、電気回路のボードの取り付け、ケーブルの通路の確保など、多岐にわたる用途に利用されます。
溝加工は、プーリーに設けられたギアやベルトの溝、筐体部品に通るケーブルやワイヤーの溝、そしてガイドレールの溝などの加工に使われ、以下の用途で活用されています。
- 機械部品や装置の連結部や取り付け部の形成
- 電気回路のボードやケーブルの通路の確保
- 機械のガイドレールや滑り部の整備
溝加工をする上でおすすめなフライス盤とその工具は以下の通りです。
おすすめのフライス盤
- NCフライス盤
- 万能工具フライス盤
- ベッド形フライス盤
おすすめのフライス工具
- スロットミル
- エンドミル
- Tスロットカッター
一方、溝加工に向いていない工具としては、ドリルビットやボールノーズエンドミルがあり、さらにねじ切りフライス盤やプラノミラーといった特定のフライス盤も適していません。
穴あけ加工
穴あけ加工は、ボルトの取り付けのための穴が開けられたフランジや、ピン接続のための穴が設けられた機械部品などの加工に使われ、以下の用途で活用されています。
- 材料に特定の深さと直径の穴を形成
- 穴の位置、深さ、直径の精度を特に重視した作業
- ドリル加工やボーリングを使用した穴あけ作業
穴あけ加工の際には、以下のフライス盤と工具がおすすめです。
おすすめのフライス盤
- NCフライス盤
- 万能工具フライス盤
- ベッド形フライス盤
おすすめのフライス工具
- ドリル
- ボーリングバー
一方、穴あけ加工に向いていない工具としては、エンドミルやスロットミルがあり、さらにプラノミラーやねじ切りフライス盤、3次元の曲面加工に特化したフライス盤も適していません。
ねじ切り加工
ねじ切り加工は、特定の材料にねじの形状を形成する加工手法として知られています。
これには、穴の内部に形成される内ねじや、材料の外周部に作成される外ねじの加工が含まれます。この加工方法の特徴として、ねじのピッチ、深さ、形状の精度が非常に重要とされます。
ねじ切り加工は、ボルトやネジとの接続部の作成、パイプやチューブの接続部の形成、そして機械部品の組み立てや取り付け部の作成などの加工に使われ、以下の用途で活用されています。
- ボルトやネジとの接続部の作成
- パイプやチューブの接続部の形成
- 機械部品の組み立てや取り付け部の作成
ねじ切り加工をする上でおすすめのフライス盤と工具は以下の通りです。
おすすめのフライス盤
- NCフライス盤
- 万能工具フライス盤
- ベッド形フライス盤
- プラノミラー
おすすめのフライス工具
- タップ
- ダイ
- ねじ切りエンドミル
一方、ねじ切り加工には向いていない工具としてツイストドリルやスロットミルがあり、さらにプラノミラーや3次元加工に特化したフライス盤の種類も適していません。
3次元加工
3次元加工は、XYZの3軸を同時制御することで、複雑な曲面や立体形状を加工する手法として広く認知されています。
これにより、従来の平面や2次元加工では難しかった複雑な形状も容易に実現可能となっています。この加工方法の鍵となるのは、3D CADデータを基にしたCAMソフトでのツールパス生成です。
3次元加工は、自動車のエアロパーツや航空機のタービンブレード、独自デザインのジュエリーや彫刻などの加工に使われ、以下の用途で活用されています。
- 複雑な立体形状の部品や金型の製作
- 航空機や自動車部品の高度なプロトタイピング
- 芸術的な価値を持つ彫刻やアート作品の制作
3次元加工の際には、以下のフライス盤と工具がおすすめです。
おすすめのフライス盤
- NCフライス盤
- 5軸フライス盤
おすすめのフライス工具
- エンドミル
一方、3次元加工には向いていない工具としてストレートドリルなどがあり、さらにプラノミラーやねじ切りフライス盤といったフライス盤の種類も適していません。
ここまで、フライス盤で実現可能な加工と具体的な加工例を解説しました。貴社が実現したい加工は見つかりましたか?
用途が決まったら、各用途に適したフライス盤とその工具を選定する必要があります。次のセクションからは、貴社が求める加工方法にマッチするフライス盤とその工具をご紹介します。
貴社の目的やユーザー需要にマッチしたフライス盤をお探しの方は、このまま読み進めてください。
他の加工機と比べたフライス盤のメリットとデメリット
フライス盤は、多様な金属加工機の中でも特にその多機能性と柔軟性から多くの製造現場で重宝されています。しかし、他の加工機と比べると、独特のメリットとデメリットが存在します。
ここでは、他の加工機と比較した際のフライス盤のメリット・デメリットを紹介します。まずは、メリットから目を通してみましょう。
フライス盤を導入するメリット
フライス盤を導入するメリットには以下の3つが挙げられます。
多様な形状の加工能力があること
多様な形状の加工能力があることは、フライス盤の利用で得られる最大の特長でありメリットのひとつです。
この機械は、回転するカッターを活用して、平面や側面だけでなく、溝や段差、さらには高度に複雑な3D形状の加工も手掛けることが可能です。
この能力のおかげで、エンジン部品や航空機の構造部品、そして複雑な金型など、多岐にわたる製品の製造が実現しています。
このような多様な形状の加工は、例えば旋盤のような機械では難しいものです。旋盤は、特に円筒形状や円環形状の部品の加工に特化しているため、フライス盤のような多様性は持ち合わせていません。
フライス盤を活用することで、幅広い製品の加工が可能となり、生産性や効率の向上に大きく寄与しています。
複数の刃での同時加工が可能なこと
フライス盤は、複数の刃での同時加工が可能です。この機械のカッターは通常、複数の刃を装備しており、それによって一度の回転で多くの部分を効率よく加工することができます。
特に、大量生産が必要とされる分野、例えば自動車の部品製造において、この特性は極めて価値があります。なぜなら、一度の操作で多くの部分を同時に加工できることは、生産効率の大幅な向上や製造コストの削減に繋がるからです。
他の加工機械と比較しても、フライス盤のこの能力は際立っており、多様な部品の生産においてその優位性を発揮しています。
多様な加工方法をもっていること
フライス盤の加工方法の多様性は、その刃先のバリエーションの豊富さに起因します。
使用する材料や加工の要求精度に応じて、さまざまな刃先を選択することができます。硬い材料の加工や特殊な形状の作成を目的とした刃先、軟らかい素材の加工や高い精度が求められる場合の刃先といった具体的な選択が可能です。
このような多様性は、航空宇宙産業のように極めて高い精度が求められる場面や、特定の素材を使用して部品を製造する電子機器の産業において、大きな価値を持っています。
フライス盤は、これらの多様な要求に対応することで、幅広い産業分野でその能力を最大限に活かしています。
フライス盤のデメリット
ここまでご紹介したメリットは様々な部品や機械を製作する上で欠かせないものですが、以下の3つのデメリットを頭に入れておくことで、より的確な機械選定と効率的な製作が可能となります。
加工速度が他の加工機より遅いこと
フライス盤の使用時においては、特に硬い材料の加工において速度面での制約が生じることがある点は注目すべき点です。具体的には、旋盤や研削盤との比較では、フライス盤による加工速度はおおよそ10~20パーセント遅くなることが通常となります。
この遅さは、特に大量生産を目指す場面や短時間での生産が求められるシーンでの制約として現れることがあります。しかし、その多様な加工能力や形状の自由度を考慮すると、速度の制約は許容範囲内と判断される場面も多いです。
設定時間が他の加工機より長いこと
強みである多様な加工形状への対応を活かす上で、フライス盤に工具や治具を設定するには平均で30分以上の時間が必要で、他の加工機より長い傾向にあります。
旋盤や研削盤のような専用性の高い加工機器は、約10分程度での設定完了が可能です。このような時間の差は、大量生産や急な生産要請がある場合など、時間が限られたシチュエーションでは大きな影響をもたらすことがあります。
しかし、フライス盤の多機能性や加工の自由度を考慮すれば、この設定時間の長さも納得のいくものとなるでしょう。
騒音が大きいことがあること
フライス盤のは動作する際の音が大きく、近隣住民への騒音になるリスクがあります。
特に大型のフライス盤や、高速で動作するカッターを使用する際には、作業中の騒音レベルが平均で75デシベル以上となることが一般的です。この数値は、他の工作機械に比べて5~10デシベル高く、これは耳にとってかなりの負担となる可能性があります。
また、この騒音は作業環境全体に影響を与え、オペレーターや周囲の作業員の集中力や労働環境を損なう要因ともなります。したがって、適切な防音対策や耳栓の使用など、騒音を軽減するための取り組みが求められます。
このような点を考慮しながら、フライス盤の性能や多機能性を最大限に活用することが重要となります。
フライス盤を製造するおすすめのメーカー
フライス盤の市場には、多数の優れたメーカーが存在します。今回は、その中でも特に「おすすめ」とされる企業をピックアップし、その特徴や製品の強みを紹介します。
※JET-Globalの問い合わせフォームに遷移します。
一部の会社とは正式な提携がない場合がありますが、皆さまに最適なご案内ができるよう努めています。
- 牧野フライス製作所 / Makino
- ヤマザキマザック / Yamazaki Mazak
- オークマ / Okuma
- ディーエムジー森精機 / DMG MORI
- ブラザー工業 / Brother
※クリックで各メーカーの詳細に飛びます。
牧野フライス製作所 / Makino
会社名 | 牧野フライス製作所 / Makino |
設立年 | 1937年 |
本社 | 東京都目黒区中根2-3-19 |
概要 | 工作機械の大手メーカー |
牧野フライス製作所は、金型や微細加工分野に強く、高精度と高剛性を兼ね備えた設計や長時間連続加工に対応できる点に強みがあります。
代表的なフライス盤にはD200Z(5軸立形)、V56i(立形)、a500Z(5軸横形)があります。金型加工における高精度と長時間の寸法安定性、さらに5軸×自動化を標準思想として統合できる点が魅力です。
導入事例では二明精機がD200ZとiAssistを組み合わせ金型加工の段取り自動化を実現し、自動車構造部品メーカーではa61nxでの全自動化運用、航空機分野ではa500Zを活用した工程集約が進められています。
ヤマザキマザック / Yamazaki Mazak
会社名 | ヤマザキマザック / Yamazaki Mazak |
設立年 | 1919年 |
本社 | 愛知県丹羽郡大口町竹田1-131 |
概要 | 工作機械大手 |
ヤマザキマザックは、対話式CNC「MAZATROL SmoothAi」とデジタルツインを活用した段取り効率化、自動化システムとの連携力に強みを持ちます。
主力製品にはVARIAXIS i-300 AWC、VARIAXIS C-600、VARIAXIS i-600 NEOがあります。対話式CNCと自動化システムを一体で提供し、多品種少量の生産において無人運転を可能にする点が特長です。
導入事例としてタチ製作所では、VARIAXISシリーズを活用した多品種少量生産の自動化を実現しています。
オークマ / Okuma
会社名 | オークマ / Okuma |
設立年 | 1918年 |
本社 | 愛知県丹羽郡大口町下小口5-25-1 |
概要 | 総合工作機械メーカー |
オークマは、熱変位制御「サーモフレンドリーコンセプト」により、一般工場環境でも高精度を維持できる点や、自社CNC「OSP suite」による操作性の高さに強みがあります。
代表製品にはGENOS M560-V、MB-46V II、MCRシリーズなどがあります。熱安定性と制御技術を中核に据え、大小さまざまなワークで精度の再現性を確保できる点が特徴です。
導入事例としてシンセメック、𠮷田鐵工所、タマテック、キンレイなどで採用され、省人化や工程集約の実現に貢献しています。
ディーエムジー森精機 / DMG MORI
会社名 | ディーエムジー森精機 / DMG MORI |
設立年 | 1948年 |
本社 | 東京都江東区潮見2-3-23 |
概要 | 工作機械・金属AM機メーカー |
ディーエムジー森精機は、5軸マシニングセンタの豊富なラインアップと高剛性設計、さらにデジタルソリューションや自動化提案を含む総合力が強みです。
代表的な製品にはDMU 50、DMP 70、NHX 4000があります。5軸と自動化の組み合わせに豊富な実績を持ち、難形状や高精度部品の生産を柔軟に最適化できる点が特長です。
導入事例では魚岸精機工業がDMU 50で金型部品の高精度加工を行い、中森技研では大型5軸DMU 210 Pを導入し治具・大型部品の工程集約を実現しています。
ブラザー工業 / Brother
会社名 | ブラザー工業 / Brother |
設立年 | 1934年 |
本社 | 愛知県名古屋市瑞穂区苗代町15-1 |
概要 | 小型・高速マシニングセンタメーカー |
ブラザー工業は、小型で省スペースかつ高速サイクルに優れた「SPEEDIO」シリーズを展開し、小物部品の量産に強みがあります。
主力製品にはSPEEDIO F600X1があり、アルミ部品やタッピング加工に適しています。コンパクトながら高スループットを実現し、面積当たりの生産性に優れている点が特徴です。
導入事例では大洋製作所でアルミ部品の短サイクル化、東北江南で多台数ラインによる省スペース量産、瑞浪精機で自動化と段取り短縮を両立しています。
フライス盤全製品
フライス盤の製品はまだありません。
フライス盤のカタログ
フライス盤関連記事
フライス盤関連記事はまだありません。