コンバイン

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農作物収穫の際に「収穫・脱穀・選別」を同時におこなえるコンバインを適切に運用することで、収穫効率が大幅にアップします。人手不足が深刻化する農業でもDX化が進んでいくことが予想されます。

最新機にはデジタル技術で自動運転が可能になるコンバインも発売されています。進化し続けるコンバインが販売され「どれが自身に合ったコンバインなのかわからない?」と感じる人も少なくありません。

頻繁に購入するものではないからこそ、事前情報が必要です。そこで本記事では、コンバインの種類や選び方、おすすめするメーカーを解説します。

目次

コンバインとは

コンバインの概要

コンバインは、稲・麦・大豆・トウモロコシなどの農作物を効率的に収穫できる農業機械です。刈取機(バインダー)と脱穀機を組み合わせた構造で「収穫・脱穀・選別」の3工程を同時に行えます。

元々、コンバインはアメリカやヨーロッパが発祥で、大規模農業地に適合するように設計されていました。しかし、輸入当時は国内の農業地事情には適さないことが多く、すぐには普及しなかったようです。

その後、各メーカーが改良改善を加えて、コンバインは国内独自の進化を遂げました。従来、各工程を手作業でおこなっていた作業時間を大幅に削減し、現代の農業にはなくてはならないツールになっています。

2種類のコンバイン

コンバインの種類と特徴

国内では、汎用農作物用の「普通型コンバイン」と水田用の「自脱型コンバイン」が普及しています。ここでは、コンバインの種類や特徴について解説していきます。

  • 普通型コンバイン
  • 自脱型コンバイン

 

普通型コンバイン

大規模農場で効果を発揮しやすい普通型コンバインの魅力は、汎用性の高さです。コンバイン正面の刈取部を変更することで、稲・小麦・大麦・トウモロコシ・大豆などさまざまな農作物にも対応できます。広い農場で多品種の作物を栽培する農家にとっては、非常に重要な農作機械です。

万能で扱いやすい普通型コンバインはデメリットもあります。選別機能が自脱型コンバインと比較すると劣ってしまう点です。また、サイズが大きく、日本の狭い水田では効果が発揮できないことも多いです。

しかし、シンプルな機械構造ゆえに耐久性が高く、メンテナンスが容易です。年間に使う時期が限られているからこそ、使わない時期にはメンテナンスがしやすく長期的な運用に向いていると言えます。

自脱型コンバイン

稲作に特化した機能を求めているのであれば、日本独自の「自脱型コンバイン」が適しています。刈取・脱穀・選別を一度に行えるのは普通型コンバインと同様ですが、自脱型コンバインは選別機能が優れています

茎や葉を一緒に脱穀する普通型コンバインとは異なり、自脱型コンバインは刈取後に穂先だけを取り込んで脱穀と選別を同時におこないます。籾を傷つけずに効率的に作業を進められるため、高品質の米を収穫したい場合には重宝します。

コンバインの構造

コンバインの構造

一連の流れで収穫作業をおこなうコンバインは、大きく分けて下記の5つの要素によって構成されています。

  • 刈取部:作物を刈り取る
  • 輸送部:刈り取った作物を機械内部に搬送する
  • 脱穀部:茎や籾殻が外され、穀粒が分離される
  • 穀粒処理部:穀粒を貯める ※グレンタンク式と袋詰方式があります
  • 排藁処理部:収穫後の藁を処理する

 

普通型コンバインは、シンプルな構造で茎や葉も脱穀部にかけられます。一方、自脱型コンバインで脱穀部にかけられるのは稲や麦の穂先だけです。水稲収穫時に籾の損傷が少ないメリットがありますが、構造が複雑になります。

コンバインの語源・歴史

コンバインの歴史

コンバインの語源は、結合・合体を意味する英語「combined」といわれています。手作業でおこなわれていた収穫・脱穀・選別をひとつにまとめた機能を有していることから「コンバイン」と呼ばれるようになりました。

日本には1960年代に導入されましたが、国内の農業事情に適しておらず定着しませんでした。

ところが「井関農機」が1967年に発表した「HD50型フロンティア」が、国内の農業事情に考慮した性能と評価され大ヒットに繋がります。その後、コンバインは各メーカーの改善改良を加えて、国内の農業に大きな変革をもたらしています。

4つの比較基準 | コンバインの選び方

コンバインの選定基準

コンバイン選定のコツは、農地に適したスペックを見極めることです。効率的に作業ができるコンバインを選べば、燃料などの経費や人件費などの運用コストを削減できます。ここでは、コンバイン選定時のポイントを紹介します。

  • 刈り取り面積を確認する
  • 作業スピードを考慮する
  • ランニングコストを考える
  • コンバインのサイズ

 

刈り取り面積を確認する

刈り取り面積とは、コンバインが一度に刈る作物の広さを示します。効率的な収穫作業に直結するため、選定の際には優先順位が高い要素です。

カタログ上では、推奨される使用面積や適用面積が記載されているため、参考にしてください。また、関連要素として、条数(一度に刈り取れる列の数)と刈幅(一度に刈り取れる幅)も併せて確認しておきましょう。

ただし、刈り取り面積が広いコンバインだからといって最良とは限りません。大型のコンバインは狭い農地では扱いにくく、作業性が落ちる要因にもなります。農地に合わせて適切な刈り取り面積を持つコンバインを選定してください。

作業スピードを考慮する

収穫効率を上げるには、コンバインの作業スピードにも着目する必要があります。カタログの「搭載エンジン」の項目を確認すれば、出力や馬力の能力が把握できます。

出力の高いエンジンは馬力があり、条数や刈幅にも影響を与えます。馬力が高ければ、運用時の安定感が違うだけではなく、1時間あたりの刈り取り面積(ha/h:ヘクタール/時間)が大きくなる傾向です。快適に作業を進めたい場合には、出力が高いエンジンが搭載されたコンバインを選ぶことがおすすめです。

また、作業スピードに大きく影響するタンク容量も重要です。一時的に収穫物を貯蔵するタンクが大きいほど、収穫作業の中断回数を減らします。選定の際には注目したいポイントです。

ランニングコストを考える

イニシャルコストも大切ですが、長期的に運用する場合にはランニングコストも考慮してください。手頃な価格のコンバインを購入しても、ランニングコストが高くなってしまえば収益に影響する可能性があります。長期的な運用を考慮し、農地に合ったコンバインを選ぶことがおすすめです。

また、故障時には多額の修繕費がかかります。ランニングコストを低くするためにも、故障時のサポートが手厚いメーカーを選びたいものです。購入前には、アフターサービスについて確認してください。

コンバインのサイズ

農地や車庫のサイズに合ったコンバインを選ぶことも大切です。日本の農地は狭い場所や曲がりくねった道が多いため、コンバインのサイズが適していないと取り回しが困難です。また、トンネルや屋根が低い建物の下を通る場合には、サイズが小さいコンバインのほうが適しています。

コンバインの性能は大切ですが、農業全体の作業効率を考えたうえで最適なサイズのコンバインを選びたいものです。購入時には、実物を確認して決断することをおすすめします。

コンバインのおすすめメーカー

コンバインを製造する会社

国産メーカーを中心に、性能・サポート体制・スマート農業対応を総合的に見て選ぶのがポイントです。圃場条件(倒伏・湿田・傾斜)や作付け作物、データ連携の要否を整理したうえで比較検討してください。

※JET-Globalの問い合わせフォームに遷移します。
一部の会社とは正式な提携がない場合がありますが、皆さまに最適なご案内ができるよう努めています。

クボタ / Kubota

会社名 クボタ / Kubota
設立年 1890年
本社 大阪府大阪市浪速区敷津東1丁目2番47号
概要 総合農業機械メーカー

クボタは、KSASや食味・収量センサ、アグリロボなどスマート農業の実装力と全国サービス網に強みを持つメーカーです。

主力のコンバインはER6120DR6130Aなどがあり、データ連携や自動運転アシストへの対応が進んでいます。KSAS連携と自動運転アシストにより「収量・食味の見える化」と省力化を同時に実現しやすい点が魅力でしょう。

導入事例として、岡山県や岐阜県、北海道などの農家で収穫作業の効率化が報告されています

ヤンマー / Yanmar

会社名 ヤンマー / Yanmar
設立年 1912年
本社 大阪府大阪市北区茶屋町1番32号 YANMAR FLYING-Y BUILDING
概要 ディーゼルエンジンを核とする総合機械メーカー

ヤンマーは、自動操舵や自動ロス制御を搭載するオートコンバインや直進アシストなど先進機能に強みがあります。

コンバインはYH6115(オートコンバイン)YH1170(普通型)などを展開し、米・麦・大豆・そば等の汎用対応にも配慮しています。自動化機能と汎用対応を組み合わせた高精度な収穫と省力運用がしやすい点が魅力です。

活用例として、YH570/YH6115ユーザーの収穫トラブル低減・省力化の声や、オート機能でオペレーター負担軽減を示す公式事例が公開されています。

井関農機 / ISEKI

会社名 井関農機 / ISEKI
設立年 1926年
本社 愛媛県松山市馬木町700番地
概要 農業機械専業メーカー

井関農機は、HJ“Japan”シリーズの大型機で直進アシストを搭載するなど、高精度化と扱いやすさを追求しています。

コンバインはHJ6130(直進アシストZ)HJ5101などをラインナップし、圃場条件に応じた選択ができます。直進アシスト等の操作支援により、中割りや倒伏条件下でも安定した刈取りを行いやすい点が強みでしょう。

実証では、茨城県つくばみらい市で収量コンバイン等を活用したスマート稲作や、新潟市等でのデータ連携・圃場管理の取り組みが報告されています。

三菱マヒンドラ農機 / Mitsubishi Mahindra Agricultural Machinery

会社名 三菱マヒンドラ農機 / Mitsubishi Mahindra Agricultural Machinery
設立年 1945年
本社 島根県松江市東出雲町揖屋667-1
概要 トラクター・耕うん機・管理機等整地機械、田植機・野菜移植機等栽培用機械などの開発、販売、据え付け、修理

三菱マヒンドラ農機は、大出力モデルの展開に加えて水平制御やデータサービス(MIT)連携などのサポートが充実しています。

コンバインはV6120VCH750に加え、近年はXC217/XC220の発表もあり、用途や規模に合わせて選定できます。湿田や傾斜地で安定する制御と価格・装備のバランス、稼働データの可視化による運用最適化が進めやすい点が持ち味でしょう。

事例として、ユーザー誌ASUMA掲載の生産者活用例や、MITサービス連携で収穫記録を自動反映する運用事例が紹介されています。

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