充填機

充填機のIC

充填機の選定にお悩みの皆様へ。このページでは、さまざまな充填機の種類とそれぞれの特長について詳しく解説します。

液体、粘体、粉末など、多種多様な充填物に対応する充填機の選び方を知ることで、製造効率を最大化し、コスト削減を実現しましょう。各充填機のメリットやデメリット、具体的な使用シーンを理解することで、最適な充填機を見つけるためのヒントが得られます。

この記事を読んで、製品品質の向上や生産ラインの効率化にお役立てください。

目次

6種類の充填機

充填機の種類と特徴

充填機は、液体や粉末などを容器に充填するための機械です。容器にはボトルやチューブ、袋、缶など、さまざまなサイズや形状があります。充填機はこれらの容器に一定量ずつ正確に充填し、効率的に作業を行うことが可能です。

充填機には、以下の6つの種類が挙げられます。

  • 液体充填機
  • 粘体充填機
  • 粉末充填機
  • 重量式充填機
  • ぺリスター充填機
  • 容量式充填機

液体充填機

液体充填機は、水のようにサラサラした液剤から、粘度の高い液体まで、様々な液体を瓶やチューブ、缶などの容器に充填するための機械です。医薬品の目薬や消毒薬、化粧品の化粧水、食品や日用品など、幅広い製品に対応しています。

このタイプの充填機の主な強みは以下の通りです。

  • 充填作業の省人化によるコスト削減と品質の均一化
  • 異物混入リスクの低減
  • 作業者の習熟度に依存しない安定した品質での製造が可能
  • 液の飛び跳ねや泡立ちを抑えられる
  • より衛生的な充填が可能

粘体充填機

粘体充填機は、粘度が高い物質を充填するための機械です。シャンプーやコンディショナー、ソース、マヨネーズなどの食品、化粧品、医薬品など、さまざまな産業で使用されています。粘体充填機は、液体充填機と同様に容量式や重量式の充填方式を採用しており、ピストンポンプを使用して粘体を計量し、容器に充填します。

このタイプの充填機の主な強みは以下の通りです。

  • 低粘度から高粘度まで幅広い粘度の物質に対応できる
  • 部品が少なく洗浄が容易
  • 衛生的な充填が可能
  • バルク温度管理により安定した充填温度を保てる
  • 多品種小ロット生産に対応できる

粉末充填機

粉末充填機は、粉末や顆粒状の物質を正確に分注・充填するための装置です。食品業界での小麦粉や調味料、化学業界での電池材料やトナー、肥料など、幅広い産業で使用されています。主にオーガー式、カップ式、スクリュー式などの計量方式があり、粉体の流動性や精度の要求に応じて選ばれます。

このタイプの充填機の主な強みは以下の通りです。

  • 高い定量精度の実現
  • 粉供給フィーダーと組み合わせることで高精度の充填に対応可能
  • 粉体の直接充填が難しい課題にも対応

重量式充填機

重量式充填機は、秤を使用して実際に充填された充填物の重さを計測し、目標充填量に到達する直前に弁を閉じて充填を終える機械です。容器の風袋を自動で計量し、内容重量をロードセルとバルブで自動調整しながら定量充填する特徴があります。
このタイプの充填機の主な強みは以下の通りです。

  • 充填物の温度や比重に関係なく一定重量を充填できる
  • 高精度の充填が可能
  • 液種が多くても対応可能
  • バルブの構造上接液面が少なく分解洗浄が容易

ぺリスター充填機

ぺリスター充填機は、シリコンチューブ(軟質チューブ)をローラーで押しつぶしながら液体を送るタイプの充填機です。この方式では、チューブ以外に接液部がないため、クロスコンタミネーションのリスクが低く、無菌充填に適しています。また、チューブの交換が容易で、異なる種類の液体を迅速に充填することが可能です。

このタイプの充填機の主な強みは以下の通りです。

  • 高い精度と再現性
  • 過剰充填を防ぎコスト削減が可能
  • 泡立ちや液垂れの発生を排除
  • 洗浄が容易で衛生的な充填が可能

容量式充填機

容量式充填機は、ピストンを使用してメスシリンダー内に充填物を必要量吸引し、その後弁を開けて容器に充填する機械です。この方式は、注射器の原理に似ており、ピストンのストローク量を調整することで、決められた容量の液体を計量し充填することができます。
このタイプの充填機の主な強みは以下の通りです。

  • 充填精度が非常に高い
  • 構造がシンプル
  • 多様な充填ラインで使用可能
  • 部品交換が不要
  • 多様な容器形状や容量サイズに対応できる
  • 小型容器への充填も可能
  • 分解が容易でメンテナンスがしやすい

充填機を活用するメリット・デメリット

充填機の強みと課題

充填機で充填作業を自動化することのメリットは計り知れませんが、デメリットも存在します。そのため、両方を比較して導入を検討することがおすすめです。

メリット

充填機を活用する上で、以下の3つのメリットが挙げられます。

  • 生産性の向上
  • 人件費削減
  • 品質の安定性

生産性の向上

充填機は、手作業と比較して圧倒的に高速で効率的な充填が可能です。これにより、大量生産を実現し、製造コストを削減できます。また、正確な計量と充填が可能なため、製品の品質を均一に保つことができます。

充填機を使用することで人件費を削減し、生産効率を向上させることができます。

  • 飲料業界:清涼飲料水やミネラルウォーターのボトリング工場では、高速で正確な充填が必要
  • 医薬品業界:目薬や注射薬など、微量の薬液を高精度で充填する必要がある場合

人件費削減

充填作業を自動化することで、人件費を削減しコストパフォーマンスを改善できます。自動化されたシステムは、手作業と比較して効率的に動作し、ミスを減らし、一定の品質を保つことができます。

自動化されたシステムは、手作業よりも高速で動作し、一度に大量の作業を短時間で行うことができます。これにより、生産効率が向上し、製品の品質が均一になります。また、自動化により人件費を削減し、長期的なコストパフォーマンスを向上させることが可能です。

このため、充填機は以下のような場面で活用されることが多いです。

  • 人手が不足しがちな繁忙期における生産ライン
  • 高い習熟度を要する作業を自動化し、教育コストを削減する場面

品質の安定性

機械による充填で、一定の品質で数多く製造できます。機械は手作業と比べて高い精度で動作し、一貫した製品を提供することが可能です。

充填機を使用することで製品の品質が安定し、一貫した品質を保つことができます。また、高速で効率的な充填が可能なため、生産効率が向上し、コストを削減することができます。これにより、手作業では難しい大量生産が実現できます。

  • 化粧品の充填で、一貫した品質を保つ必要がある場面
  • 食品安全規格に準拠した製造プロセスが要求される場面

デメリット

充填機を選ぶ際には、以下の3点に注意する必要があります。

  • 泡立ち
  • 漏電や感電のリスク
  • メンテナンスの手間

泡立ち

充填機で液体を充填をする際、泡が発生することがあります。

この主な原因は、液体が充填ノズルから容器に落ちる際に空気が混入するためです。特に高粘度の液体や炭酸を含む液体では、泡の発生が顕著になります。

この問題を解決するには、充填ノズルを液面に近づける方法が有効です。これにより、液体が容器内で落下する距離が短くなり、空気の混入を防ぐことができます。また、真空状態で充填する充填機を使用することも効果的です。この方法では、容器内の空気が抜かれた状態で充填が行われるため、泡の発生が抑えられます。

漏電や感電のリスク

電気を使用する機械なので、漏電や感電のリスクがあります。

このリスクは、電気系統の故障や不適切な配線によって発生する可能性が上がります。特に、湿度の高い環境や水分が多い作業現場では、これらのリスクが高まります。

この問題を改善するには、適切なアース工事を行うことが重要です。これにより、漏電時に電流が安全に地面に流れるようになります。また、定期的なメンテナンスを実施することで、電気系統の不具合を早期に発見し、感電のリスクを減らすことができます。

メンテナンスの手間

充填機は複雑な構造をしているため、メンテナンスに手間がかかることがあります。

この問題は、内部の部品が多く、清掃や部品交換が難しいために発生します。特に、頻繁に使用される部分が汚れやすく、メンテナンスを怠ると機械の性能が低下することがあります。

このデメリットを改善するには、メンテナンスのしやすさを考慮した充填機の選定が重要です。分解が簡単で清掃しやすい設計の機械を選ぶことで、メンテナンスの手間を軽減できます。また、定期的なメンテナンスプランを策定し、計画的にメンテナンスを行うことで、機械の性能を維持し、長期的な運用コストを削減できます。

5つの比較基準 | 充填機の選び方

充填機の比較方法

充填機を選ぶ上で、以下の5つのポイントを検討することがおすすめです。

  • 充填量
  • 充填物の粘性
  • 充填容器のサイズ
  • 充填速度
  • 求められる衛生状態

充填量

目的や用途に応じて、まず充填量を考える必要があります。

充填量によって、重点精度や生産コストが変わるため、それぞれのメリットを比べて必要な機能を持った充填機を選ぶことがおすすめです。

充填量が多いと、以下のメリットがあります。

  • 規定量以上に充填することで、顧客に対して価値ある製品を提供可能
  • 充填量が多いと製品の鮮度を保つための余分な空間を減らせる
  • 規定量以上を充填することで、製品の品質を保証する余地を持たせることが可能

充填量が少ない場合のメリットは、以下のとおりです。

  • 原材料の使用量を抑え、コストを削減可能
  • 必要最小限の充填量にすることで、廃棄物を減らし、環境への影響を軽減
  • 小ロット生産や多品種生産において、充填量を調整することで柔軟に対応することが可能

充填物の粘性

充填物の粘性によって、充填機の選定や充填速度、充填精度が変わります。

充填物の粘性が変動すると以下の要素が変動します。

  • 充填機のタイプ:粘性が高い液体は、特定の充填機(例えばピストン式やぺリスター式)が必要
  • 充填速度:粘性が高いと充填速度が遅くなる可能性がある
  • 充填精度:粘性が低いと充填時の精度を維持するために、より高度な制御が必要になることがある
  • 充填物の粘性が高い場合のメリットは以下の通りです。

    • 高粘度の充填物は液だれや糸引きが少なく、清潔な充填が可能
    • 高粘度の充填物は、充填量の精度が高くなる傾向がある
    • 高粘度の充填物は容器内での動きが少なく、包装材を保護する効果がある

    充填物の粘性が低い場合のメリットは以下の通りです。

    • 低粘度の充填物は、より高速で充填することが可能
    • 低粘度の充填物は、よりシンプルな充填機構で処理できることが多い
    • 低粘度の充填物は、充填機の洗浄やメンテナンスが容易で、コスト削減につながる

    充填容器のサイズ

    用途に応じて、重点容器のサイズを考慮する必要があります。

    充填容器のサイズが変動すると、以下の要素に影響があります。

    • 充填機のタイプ:大きな容器には大量充填が可能な機種、小さな容器には精密な充填が可能な機種が合う
    • 充填速度:大きな容器は充填速度が遅くなる可能性があり、小さな容器はより高速な充填が可能

    充填容器のサイズが大きい場合のメリットは以下のとおりです。

    • 大きな容器は一度に多くの内容物を充填できるため、生産効率が向上
    • 大容量の製品は、パッケージングコストを削減できる可能性がある
    • 大きな容器は、在庫管理が容易になることがある

    充填容器のサイズが小さい場合のメリットは以下のとおりです。

    • 小さな容器は、より高精度な充填が求められるため、充填機は精密な制御が可能なモデルを使用
    • 小さな容器は、多品種少量生産に適しており、市場の変動に柔軟に対応できる
    • 小さな容器を使用する充填機は、スペースを節約できるため、設備投資コストを削減

    充填速度

    充填の目的に応じて、充填する際に速度を優先させるか、精度を優先させるかを考慮する必要があります。これにより、選ぶべき充填速度が決まります。

    充填速度が変動すると、以下の要素に影響があります。

    • 生産効率:充填速度が速いほど、短時間で多くの製品を充填でき、生産効率が向上
    • 充填精度:高速充填は精度の低下を招く可能性があるが、適切な速度で充填することで精度を保つことが可能
    • 泡立ち:速度が速いと液体が容器の底面に衝突し泡立ちが発生しやすくなるが、遅い速度では泡立ちを抑制

    充填速度が速い場合のメリットは以下のとおりです。

    • 高速充填により、生産ラインのスループットが増加し、より多くの製品を短時間で生産できる
    • 効率的な生産により、人件費や運用コストを削減可能
    • 急な需要増に迅速に対応できるため、市場の変動に柔軟に対応可能である

    充填速度が遅い場合のメリットは以下のとおりです。

    • 低速充填により、充填精度を高めることができ、品質の安定した製品を提供できる
    • 低速充填は液体の泡立ちを抑え、特に飲料などの充填において品質を保つのに有効
    • 充填速度を下げることで、機械への負担を減らし、メンテナンスの頻度やコストを削減できる

    求められる衛生状態

    求められる衛生状態が変動すると、以下の要素に影響があります。

    • 充填機の設計:高い衛生基準を満たすためには、容易に洗浄でき、滅菌可能な材質や構造が必要
    • 製造プロセス:衛生状態が厳しい場合、製造プロセスにおいても無菌環境の維持や定期的な洗浄が求められる
    • 製品の安全性:食品や医薬品など、人の健康に直接影響を与える製品を扱う場合、衛生状態は製品の安全性に直結

    衛生状態の要求レベルが高い場合のメリットは以下のとおりです。

    • 高い衛生基準により、製品の安全性が向上し、消費者の信頼を得やすくなる
    • 厳格な衛生管理により、異物混入のリスクが軽減され、リコールなどのリスクを減少させる
    • 高い衛生基準は、特に輸出市場において競争力を高める要因となる

    衛生状態の要求レベルが低い場合のメリットは以下のとおりです。

    • 衛生基準が低い場合、設備投資や運用コストが抑えられる可能性がある
    • 衛生要件が厳しくない場合、機械の設計や運用において柔軟性が増し、多様な製品に対応しやすくなる
    • 衛生基準が低いと、日常のメンテナンスが簡単になり、稼働停止時間が短縮される可能性がある

    充填機を製造するメーカー5社

    充填機を製造する会社

    充填機を製造する主な企業には、以下の5社が挙げられます。

    • 四国化工機
    • ヒロサワ機械
    • 三星工業
    • ナオミ
    • 宝計機製作所

    四国化工機

    四国化工機は1961年に設立された企業で、充填包装機および関連機器の設計、製造、販売を行っています。また、プラントエンジニアリングや食品用包装資材の企画・製造・販売、大豆加工食品の製造・販売も手掛けており、食文化の向上に貢献している企業です。

    同社は、液体充填機、粘体充填機を主に製造しています。

    ヒロサワ機械

    ヒロサワ機械は、土木機械や建築機械の設計や開発を手掛ける企業で、1972年に設立された会社です。省力自動機器や充填機の製作販売を行い、シンガポール企業との契約を締結し、海外での製品拡販も行っています。

    同社は、液体充填機、粘体充填機、重量式充填機を主に製造しています。

    三星工業

    三星工業は、1948年に設立された企業で、機械設計製作、工作機械、産業機械、部品加工を主な事業内容としている会社です。昭和21年に有間鉄工所として創業し、以来、技術の向上と信頼される製品づくりに努めてきました。社会のグローバル化と変化に対応しながら、ものづくりの世界で職人の技がハイテク技術を支える重要な役割を担っています。

    同社は、粘体充填機を主に製造しています。

    ナオミ

    ナオミは、小型充填機の製造販売を行う企業で、顧客の充填作業の効率化を目指しています。1972年に設立され、充填機の専門メーカーとして、卓上型の小型充填機から大型充填機まで、25機種以上の製品ラインナップを提供してきました。また、全国に営業所を展開し、顧客との心の通い合える会社を目指しています。

    同社は、液体充填機、粘体充填機、粉末充填機を主に製造しています。

    宝計機製作所

    宝計機製作所は、一般及び特殊計量機の製造・販売を行っている企業で、耐圧防爆型計量器や液体充填機、LPG充填機、選果システムなど、多岐にわたる製品を提供しています。ソフトウェアからハードウェアまで自社で製作可能であり、顧客のニーズに柔軟に対応できることが強みです。

    同社は、液体充填機、粉末充填機を主に製造しています。