空撮ドローン
空撮ドローンは、映像制作から測量・点検・災害対応に至るまで、さまざまな分野で活躍の場を広げています。とはいえ、「どんな機体を選べばいいかわからない」「法律や資格の知識がなく不安」「本当に業務に使えるのか疑問」といった悩みを抱えている方も少なくありません。
本記事では、空撮ドローンの基本から最新の種類、得られるメリット、実際の活用事例や注意点、法規制・資格情報、さらにはおすすめメーカーまで幅広く解説しています。初心者の方でも、読み進めることで空撮ドローンの全体像をつかみ、導入判断や選定のヒントなど何かしら得られるでしょう。
このガイドを通じて、あなたに最適な空撮ドローンと出会う一助となれば幸いです。
目次
空撮ドローンとは? 基本情報や実際の事例も紹介
空撮ドローンとは、カメラを搭載した無人航空機(UAV)を用いて、空中から静止画や動画を撮影するドローンのことです。主にプロモーション映像、測量、点検、農業、災害調査、報道など多岐にわたる分野で利用されており、近年その市場は拡大しています。
たとえば建設現場では、上空からの進捗確認や地形解析に用いられています。テレビ番組や観光PRでは、従来不可能だったダイナミックな視点からの映像表現が可能になりました。空撮ドローンは、その軽量性と高精度なカメラ、GPSによる自律飛行機能などの進化によって、専門家だけでなく一般ユーザーにも扱いやすくなりつつあります。
次は、そんな空撮ドローンを性能や用途から分類し、種類ごとに詳しく見ていきましょう。
2つの切り口から空撮ドローンの種類を紹介
空撮ドローンは、重量やカメラ構成などによってさまざまな種類に分類されます。ここではかつての法規制に関わることからよく選定の軸にされる「最大離陸重量(MTOW)」と映像のクオリティが軸の「カメラ/ペイロード構成」の2軸で、代表的なタイプを解説します。
機体の最大離陸重量(MTOW)で分ける
U250 クラス(~249g)
このクラスは、航空法の規制外だった時代から人気が高かった軽量モデルです。2022年6月以降は100g以上が航空法対象となり登録義務はあるものの、このクラスは初心者にも扱いやすい傾向にあります。
ライトクラス(250~900g前後)
中価格帯の消費者向けモデルが多いクラスです。ある程度のカメラ性能や飛行安定性を持ちながらも、コンパクトにまとめられています。
ミドルクラス(900g~2kg)
空撮業務において中核を担うクラスであり、商用レベルの映像制作やインフラ点検、測量などで幅広く活用されています。性能、安定性、カメラ品質のバランスが優れており、多くの法人が採用しているスタンダードなカテゴリーです。
ヘビークラス(2kg超)
映画撮影や大規模なインフラ点検など、極めて専門性の高い現場で活躍するハイエンド機が多いクラスです。高出力のモーターや多軸ジンバルを備え、安定した重機運搬や高精細な撮影が可能です。
次は、「カメラ/ペイロード構成」による分け方について詳しく解説します。
カメラ/ペイロード構成で分ける
固定レンズ一体型
本体にカメラが組み込まれているタイプで、設定や操作が簡単なため初心者から業務用まで幅広く使用されています。
可換レンズ一体型
本体と一体型ながら、複数のレンズに交換可能な構造を持つ中上級者向けのモデルです。
レンズ交換式(統合カメラ)
ドローン本体とカメラが分離できる設計で、業務ニーズに応じて自由な組み合わせが可能です。
外部カメラ搭載式
アクションカメラ(GoProなど)や業務用カメラを搭載可能なドローンで、ユーザーの機材をそのまま活用できます。
FPV/シネフープ
ドローンに搭載されたカメラの視点で操縦するタイプで、非常にスピーディで没入感ある撮影が可能です。
次は「空撮ドローンの導入によって得られるメリット」について解説します。
空撮ドローンの導入によって得られるメリットは?
空撮ドローンを導入することで、業務の効率化や表現力の向上といったさまざまなメリットを享受できます。特に、従来では困難だった空中視点の撮影や作業が、より安全かつ低コストで可能になる点が魅力です。
次は、導入が進む一方で判明してきた「課題」や「デメリット」について解説します。
空撮ドローンは実際に使用されている? 普及過程で判明した課題やデメリット
空撮ドローンはすでに多くの業界で導入されており、映像制作、農業、建設、インフラ点検、災害対応などで実績を上げています。しかしその一方で、普及が進む中で浮き彫りになってきた課題や運用上のデメリットも存在します。
空撮ドローンは大きな可能性を持つ一方で、安全かつ正しく使うための環境整備と利用者の理解が重要です。次は、ドローンを飛ばすうえで知っておきたい「法律」「規制」「必要な資格・免許」について詳しく解説します。
法律による規制や空撮ドローンを飛ばすのに必要な資格・免許について
ドローンの利用は年々拡大していますが、その一方で事故やトラブルも増加傾向にあり、法整備が進められています。空撮ドローンを正しく安全に運用するためには、航空法をはじめとした各種規制や資格制度についての理解が欠かせません。
ドローンに関わる主な法律と規制
- 航空法:100g以上の機体を飛行させるには、国土交通省への登録と一定条件での申請が必要です。
- 小型無人機等飛行禁止法:国会議事堂や総理官邸など重要施設周辺では飛行が禁止されています。
- 道路交通法:原則不要なものの、交通を妨げる形でドローンを使用する場合は警察署への許可が必要です。
- 電波法:ドローンの通信に使用される無線機器が技適マーク付きである必要があります。
- 民法・肖像権・プライバシー:撮影対象者の承諾がない映像公開や、私有地への侵入などは法的問題を生む可能性があります。
必要な資格・免許
現時点でドローンの操縦に必須の「国家資格」はありませんが、2022年から「無人航空機操縦者技能証明制度」が始まり、国家ライセンスの取得が可能になりました。
国家資格(無人航空機操縦者技能証明)
- 一等資格:有人地帯の上空などで補助者なしの目視外飛行を行う際に必要
- 二等資格:比較的限定された条件下での飛行に対応
- いずれも登録講習機関での講習+試験合格が必要
民間資格
- DPA(ドローン操縦士協会)認定資格
- JUIDA(日本UAS産業振興協議会)操縦技能・安全運航管理者資格
- DJI CAMPスペシャリスト認定
これらの民間資格は飛行申請時の信頼性向上や、就業におけるスキル証明としても活用されています。
飛行許可が必要となる主なケース
- 人口集中地区(DID)での飛行
- 夜間飛行・目視外飛行・人や建物の近くを飛ばす場合
- 高度150m以上の飛行や空港周辺での飛行
安全なドローン飛行には、これらの法律や制度を正しく理解し、必要な手続きや資格を取得することが不可欠です。
空撮ドローンを選ぶ際に重視すべきポイント
空撮ドローンにはさまざまな機能や性能があり、目的に応じた選び方をしなければ後悔してしまうケースも少なくありません。ここでは特に重要となる3つの観点から、ドローン選定時のポイントを解説します。
カメラとジンバル性能
空撮ドローンの選定ポイントとして、カメラセンサーのサイズ・解像度と3軸ジンバルの安定性能を確認するという視点があります。これらの性能は、センサーの物理サイズや有効画素数、そしてジンバルの制御精度や可動範囲といった複数の技術的要因によって左右されます。
もしこれらの条件を軽視した場合、画質が期待以下だったり、映像がブレてしまって使用できないという状況に陥ることがあります。特に不動産や観光施設のPR動画など、映像の美しさが問われるような現場では注意が必要です。
プロレベルのブレない4K映像を安定して得られるようになれば、納品物の品質も向上し、競争力のある映像制作が実現するでしょう。
法規制や運用負担に直結する最大離陸重量(MTOW)
空撮ドローンの選定において、機体の最大離陸重量(MTOW)を確認するという視点は見逃せません。バッテリーやカメラ、その他ペイロードを含めた機体全体の重さを指し、航空法における飛行ルールや飛行申請の有無、さらには飛行可能エリアにも大きく関わってきます。
たとえば100g以上になるとドローンの登録申請が必須です。飛行可能エリアが制限されたり、手続きが煩雑になったりと、運用上の負担が増すことになります。また、特定の飛行に関しては重量に関係なく許可申請が必要です。
MTOWが大きくなるほど機体サイズも大きくなり、持ち運びや保管の面でも課題が生まれます。屋外現場で頻繁に移動する撮影業務や、簡易な導入を求める事業者にとっては、重要なポイントです。手軽な運用と法令順守を両立できるドローンを選べるようになります。
耐風・防滴性能
空撮ドローンの選定では、耐風性能(最大耐風速)と防滴・防塵等級をチェックするという視点も重要です。耐候性は、機体の空力デザイン、プロペラやモーターの出力、そしてIP等級による防水・防塵処理などによって確保されるものです。
これらが不十分な機体では、少しの強風や軽い雨でも飛行中止を余儀なくされ、業務の進行に支障をきたします。特に海辺や山間部など、気象条件が変化しやすい場所では飛行に影響を及ぼします。
天候待ちのダウンタイムを減らせる機体を選べば、現場作業を予定通りに進められ、結果的にコスト削減にもつながるでしょう。
次は、空撮ドローンを製造・販売する主要メーカーやブランドについて詳しく解説します。
JET編集部ピンクアップの空撮ドローンのおすすめメーカー
空撮ドローンの選定では、メーカーごとの強みや開発姿勢も重要な判断基準となります。ここでは、映像・産業・物流と異なる強みに特化した空撮ドローンメーカーを紹介します。
下記で紹介している企業の製品およびサービスは各種補助金の適用対象となる場合があります。詳しくは以下の問い合わせボタンよりお問い合わせください。
※JET-Globalの問い合わせフォームに遷移します。
※一部メーカーとは提携がない場合がありますが、ユーザー様に最適なご案内ができるよう努めています。
ソニー/Sony
メーカー名 | ソニー/Sony |
設立年 | 1946年 |
本社 | 東京都港区 |
概要 | 映像機器とセンサーに強い総合エレクトロニクスメーカー |
ソニーは1946年に設立された、東京都港区に本社を構える世界的エレクトロニクス企業です。イメージセンサーや光学制御技術に強みを持ち、空撮ドローン分野では高画質映像の撮影に特化した製品を展開しています。
代表機種であるAirpeak S1は、同社のαシリーズカメラと完全連携し、業務用途にも耐える安定飛行性能を実現しています。フルサイズαカメラをそのまま搭載して映画水準の映像を撮れる点が強みで、プロの映像制作に理想的な機体です。
映画・CM撮影やテレビ局の競技場PR映像などで数多く採用されています。
プロドローン/PRODRONE
メーカー名 | プロドローン / PRODRONE |
設立年 | 2015年 |
本社 | 愛知県名古屋市 |
概要 | 大型産業用ドローンの開発・製造に特化したメーカー |
プロドローンは2015年に愛知県名古屋市で設立され、大型の業務用ドローンに特化した開発・製造を行っています。高剛性フレームや積載構造に優れ、中量級の搭載にも対応可能なカスタムドローンを短納期で設計・提供できるのが特徴です。
PD6-AW2やPD8Xシリーズなどの機体群は、産業用途に向けた高積載・耐環境性能を備えています。8kgの積載やシネマカメラを載せた全天候型空撮が可能な高積載プラットフォームが強みで、屋外作業の多い現場に最適です。
KDDIとの5G 4Kライブ映像実験や埼玉スタジアム警備・大面積レーザー測量などの高度な実証に採用されています。
エアロセンス/AEROSENSE
メーカー名 | エアロセンス/AEROSENSE |
設立年 | 2015年 |
本社 | 東京都北区 |
概要 | ソニー×ZMP発のVTOL型を含む国産ドローン専業メーカー |
エアロセンスは2015年に東京都で設立され、VTOL(垂直離着陸)機などを含む国産ドローンに特化して開発を進める企業です。自社開発のVTOL機で国交省の第二種型式認証を取得しており、法制度に準拠した長距離自律飛行を実現しています。
主要製品にはエアロボウイング(AS-VT01K)やエアロボオンエアがあり、遠隔地での空撮や物資搬送に対応します。エアロボウイングは垂直離着陸VTOLで滑走路不要かつ50km航続で広域空撮できる点が強みで、インフラの点検や物流用途でも注目されています。
砂防点検や医薬品配送実証など建設・防災・物流分野で多数の実績があります。
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