バリ取りロボット

バリ取りロボット

バリ取りロボットを導入したくても、「どのメーカーを選べば良いのか分からない」「自社の素材や形状に対応できるか不安」といった悩みを抱える担当者も少なくありません。

特に、自動化を検討しているものの、バリ取りロボットの導入実績や対応領域、機種ごとの違いが整理されていないと、判断が難しくなるでしょう。

本記事では、バリ取りロボットの導入を検討する企業に向けて、国内で高い信頼と実績を誇るおすすめメーカーを5社厳選し、それぞれの特徴や対応業界、代表的な製品などを詳しく紹介します。

また、バリ取りロボットの基本やメリット・デメリットも解説するので、バリ取りロボットにご興味ある方はぜひご覧ください。

また、JET-Globalでは実際に、バリ取りロボットの導入支援も行っております。

バリ取りロボットの専門家による製品の選定から補助金の活用、ロボット研修による社内人材の育成まで、バリ取りロボット導入をあらゆる面からサポートいたします。

「一度ロボットを触ってみたい」「こんな自動化ができるか知りたい」などの軽い相談も可能です。

相談は無料ですので、関心のある方は以下のサービス詳細をご覧ください。

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目次

バリ取りロボットとは? 基本情報や事例を確認

バリ取りロボットとは? 基本情報や事例を確認

おすすめメーカー紹介や製品選定のポイントを解説する前に、まずはバリ取りロボットの基本情報を確認します。基本から確認したい方はぜひご一読ください。

バリ取りロボットの特徴や活用事例を紹介

バリ取りロボットとは、金属や樹脂などの部品加工後に生じる「バリ」を除去する作業を自動化する産業用ロボットです。バリはエッジ部や穴の周辺に生じる微細な突起であり、製品の品質や安全性、組立精度に悪影響を与えることがあります。

従来は人手によるバリ取り作業が主流でしたが、近年ではロボットによる自動化が進み、加工の精度・速度・安定性の向上が図られています。

バリ取りロボットは、専用のエンドエフェクタや工具を装着したロボットにより構成され、素材や加工方法に応じたプログラミングを施すことで、多様な形状・材質のバリ除去に対応可能です。

実際の活用事例としては、自動車業界ではエンジン周辺部品やブレーキ関連部品の鋳物バリ除去、建設機械業界ではアーム部品やピストンの仕上げ、さらに航空・精密機器分野ではアルミやチタン合金の微細なバリ取りが行われています。

そもそもバリとは? 発生原因と種類やデメリットを紹介

「バリ」とは、切削・穿孔・成形などの加工工程で部品の端部に発生する不要な突起物です。発生の主な原因は、加工工具の摩耗、切削条件の不適合、材料特性に応じた処理不足などが挙げられます。

バリの種類は主に以下のように分類されます。

  • 切削バリ
  • フライスや旋盤などの加工時に出るエッジ部の突起

  • 穿孔バリ
  • 穴あけ加工の出口側に発生する突起

  • せん断バリ
  • プレス加工の金型すき間が適切でない場合に生じるバリ

  • 鋳造バリ
  • 鋳型の合わせ目に溶融金属が流れ込んでできる余剰部分

これらのバリを放置すると、組立時の不具合、製品外観の低下、作業者のケガ、信頼性の低下など、さまざまな問題が発生します。

基本情報について理解が深まったところで、次章ではバリ取りを手作業で行った場合とロボットで自動化した場合を比較して、それぞれのメリット・デメリットを解説します。

人手による作業と比較した際のバリ取りロボットのメリット・デメリットを解説

人手による作業と比較した際のバリ取りロボットのメリット・デメリットを解説

昨今、製造ラインにおける様々な作業工程がロボットに自動化されていますが、その中でもバリ取りはロボットによる自動化が難しいとされている作業のひとつです。

そのため、バリ取りロボットは、人手による作業と比較した際にデメリットも存在します。本章では、バリ取りロボットのメリット・デメリットを見ていきます。

バリ取りロボットのメリット

バリ取りロボットのメリット

  • 仕上がり品質の均一化と再現性の向上
  • 安全性と作業環境の改善

仕上がり品質の均一化と再現性の向上

バリ取りロボットはプログラムに基づいて一貫した動作を行うため、作業者のスキルや体調によるばらつきがありません。これにより、製品のバリ取り品質を安定的に確保でき、量産ラインにおける品質管理が容易になります。

安全性と作業環境の改善

バリ取りは金属粉や騒音、振動を伴う作業であり、作業者の負担が大きい工程です。バリ取りロボットにより自動化することで、作業者の危険作業への従事を減らし、職場環境の安全性と快適性が向上します。

バリ取りロボットのデメリット・課題

バリ取りロボットのデメリット・課題

  • 初期コストとROIの見極め
  • 形状変化や多品種対応への課題

初期コストとROIの見極め

ロボット本体、ツール、周辺設備、導入工事など、初期投資が大きくなりがちです。導入効果を正しく見積もり、回収期間やコストパフォーマンスを精緻に評価する必要があります。

形状変化や多品種対応への課題

複雑な3次元形状や頻繁な形状変更に対応するには、高度なセンサ制御や柔軟なティーチングが必要となります。特に少量多品種生産においては、立ち上げ負荷や切り替え時間がボトルネックとなるケースがあります。

以上が、バリ取りロボットのメリット・デメリットです。両側面をしっかりと吟味したうえで、導入を決定し製品やメーカーの選定に移りましょう。

バリ取りロボットの製品選定ポイント|工程適合性・形状追従・品質管理の視点で解説

バリ取りロボットの選び方|工程適合性・形状追従・品質管理の視点で解説

本章ではバリ取りロボットを実際に導入することを想定して、製品を選ぶときのポイントを3つの視点から解説します。これらの視点を複合的に考えて製品を選ぶようにしましょう。

材質やバリ量に適したメカニズムと回転数を選定する

バリ取りロボットを選定するうえで、ワークの材質やバリの突出量に対して最適な除去メカニズムと回転数のレンジを備えた機種を選ぶことが重要です。

ワークの硬度やバリの根元の厚さ、要求される面粗さの水準、冷却や乾式といった工程条件といった複数の要因により、適した除去ツールやその制御条件が大きく変わるため、仕様確認は必須でしょう。

これらを無視して不適合な組み合わせで運用した場合、バリの取り残しやワークへのクラックが発生し、後工程の歩留まりが低下するリスクが生じます。

とくに鋳鉄やアルミ、樹脂といった異なる素材を混流で処理する工程や、表面粗さ規格の厳しい製品を扱う現場では、この選び方が安定品質に直結します。

最適なツールと回転条件での処理が可能なバリ取りロボットであれば、ワンパスでの完全除去が実現でき、結果的にサイクルタイム短縮と設備稼働率の最大化が同時に図れるでしょう。

エッジ形状に追従可能な機構や制御の有無を確認する

バリ取りロボットを選定する際には、対象ワークのエッジ形状に対して追従できる機構、具体的にはフローティング(ばね・エアでツールを浮かせ段差に追随する機構)や力覚フィードバック制御が標準またはオプションで提供されているかどうかを確認する必要があります。

追従機構の必要性は、部品の寸法公差や治具のクランプ精度、エッジ部の三次元曲率、押し付け力の許容幅といった要因によって決まってきます。

これらに適切に対応できないまま導入すると、取り残しや過研削が頻発し、外観検査での不良判定、再加工、ラインの停滞といった影響が生じかねません。

特に、エッジ形状にばらつきがある鋳造品や鍛造品、プレス部品を大量に処理する場合には、この選定基準を確認しましょう。

適切な追従制御を備えたバリ取りロボットであれば、ティーチング工数を削減できるため、プログラム補正や仕掛品のストック削減にもつながります。

品質検査と摩耗補正機能の拡張性を評価する

バリ取りロボットを選定するうえで、後付け可能な3Dビジョンやトルクセンサ、データロギングI/Oといった、工具摩耗の補正やバリ残存の検査を自動化できる仕組みを備えているかどうかを評価しておくのもおすすめです。

要求される残存バリの高さ、取引先から求められる全数トレーサビリティ、工具の寿命ばらつきといった要因が、こうした品質監視機能の必要度を左右します。

これらの機能が不十分な場合、不良品が発生するリスクが高まり、顧客満足度の低下や生産停止、原因調査・対策にかかるコストといった不要なコストを招く可能性があります。

特に、μm単位のバリ許容値が求められる医療機器や航空機、EVバッテリー部品などの分野では、品質証跡と自動検査の仕組みが導入の前提となる場合もあるでしょう。

検査・記録機能が拡張可能なバリ取りロボットを選定すれば、リアルタイムでの品質モニタリングやデータ蓄積が可能となり、顧客からの監査にも迅速かつ信頼性のある対応が可能になります。

上記の観点を抑えつつバリ取りロボットを選ぶことで、自社の目的や目標に合った製品選定が可能になるでしょう。

次章では、代表的なバリ取りロボットのおすすめメーカー情報を比較して紹介します。

代表的なバリ取りロボットのおすすめメーカー情報を比較! 各社の製品も紹介

代表的なバリ取りロボットのおすすめメーカー情報を比較! 各社の製品も紹介

本章では、バリ取りロボットメーカーの中でも代表的でおすすめできる5社を厳選して紹介します。各社のバリ取りロボット製品の強みも解説するので、ぜひご覧ください。

JET-Globalでは、バリ取りロボットを活用したバリ取り工程の自動化支援も行っております。

ロボットの導入成功まで専門家がサポートいたします。相談は無料ですので、ぜひ以下よりサービス詳細をご覧ください。

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ファナック / FANUC

メーカー名 ファナック / FANUC
設立年 1972年
本拠地 山梨県南都留郡
概要 CNC・サーボ・産業用ロボットを一貫開発する総合FAメーカー

ファナックは1972年に設立され、山梨県南都留郡に本拠を構える、CNC・サーボ・産業用ロボットのフルラインナップを展開する総合FAメーカーです。

100機種を超える豊富なロボットラインアップと豊富な導入実績があり、あらゆる工程に対するノウハウを蓄積しています。

同社のロボット「R-2000iCシリーズ」には、バリ取りオプションが用意されており、バリ除去に最適化された制御が組み込まれています。

特に多様な専用ツールと高感度の力覚センサを組み合わせることで、鋳物や薄板といった異なる材質でもワンパスで安定した除去を実現できる点が強みです。

自動車外板やアルミ鋳物などの高品質が求められる製品を対象にしたバリ取りセルにおいて、多くの企業で採用されています。

安川電機 / YASKAWA

メーカー名 安川電機 / YASKAWA
設立年 1915年
本拠地 福岡県北九州市八幡西区
概要 サーボ・インバータ・ロボットを中心としたモーション制御機器の大手メーカー

安川電機は1915年に設立し、福岡県北九州市に本社を構えるモーション制御技術のリーディングカンパニーです。サーボ技術を活用した高精度の押付け制御や多様なアプリケーションへの対応力に強みを持ちます。

同社の「MOTOMAN DX1350」は、バリ取り用途に対応するモデルで、重研削を要する工程にも対応可能です。特に高剛性なアーム構造と力覚センサによる押付け力の安定制御が評価されており、複雑なバリ形状にも対応できます。

このバリ取りロボットは、EV関連ラインや歯車部品などのバリ除去ラインで数多く導入されています。

川崎重工業 / Kawasaki Heavy Industries

メーカー名 川崎重工業 / Kawasaki Heavy Industries
設立年 1896年
本拠地 東京都港区
概要 プラント・船舶から産業用ロボットまで展開する総合重工メーカー

川崎重工業は1896年設立の東京都港区を本拠地とする、幅広い産業分野に対応した重工メーカーです。産業用ロボットでは、大型・高可搬モデルを豊富に揃え、60年近くにわたる開発実績を有しています。

同社のバリ取り向けロボットは「RS080Nシリーズ」にバリ取り専用ソフトウェアを組み合わせることで提供され、高度な除去作業を実現します。

Successor制御技術により、複雑な三次元曲面でも一定の押付け力を保った加工が可能となっており、他社にない滑らかな追従性能が強みです。

バリ取り・研削セルとして、鋳造部品の仕上げ工程などに導入されています。

不二越 / NACHI-FUJIKOSHI

メーカー名 不二越 / NACHI-FUJIKOSHI
設立年 1928年
本拠地 東京都港区
概要 切削工具・ベアリング・産業用ロボットを展開する総合機械メーカー

不二越は1928年に設立され、東京都港区に本社を構える、切削工具・ロボット・ベアリングなどを手がける総合機械メーカーです。中小型ロボットの高速・高剛性設計に加え、工具メーカーとしての加工ノウハウが強みとなっています。

同社の製造する「MZ12H」はIP67対応で、バリ取りを含む粉塵・液飛散環境向け仕様のモデルです。冷却液や切粉が飛散する厳しい環境でも安定稼働が可能で、長期間の運用でもメンテナンス頻度の低減を実現しやすいといえます。

実際には自動車部品の連続加工ラインなどで活用され、高速かつ高精度なバリ除去が求められる現場に適しています。

三菱電機 / Mitsubishi Electric

メーカー名 三菱電機 / Mitsubishi Electric
設立年 1921年
本拠地 東京都千代田区
概要 FA機器とロボットを統合制御できる総合電機メーカー

三菱電機は1921年設立の、東京都千代田区に本社を置く、FAからロボット制御までを一貫提供できる総合電機メーカーです。

iQ Platformと呼ばれる独自の統合制御基盤を用いて、ロボットと周辺機器を含めた生産ライン全体を一体制御できる点が強みです。

主力モデルとしては RV-FR シリーズがバリ取り・研磨パッケージに対応しており、専用アプリケーションを用いれば、治具輪郭をティーチングするだけで加工パスを自動生成可能です。

電子部品や医療機器など微細バリ除去ニーズの高いラインでも採用事例が報告されています。