ホットエアーはんだ付けロボット

ホットエアーはんだ付けロボットのIC

電子部品の小型化・高密度化が加速する現代において、精密かつ高品質なはんだ付け技術の重要性は増すばかりです。

非接触で局所加熱を実現するホットエアーはんだ付けロボットは、こうした高度な要求に応える解決策として注目を集めています。

本記事では、ホットエアーはんだ付けロボットの基礎知識から、具体的な活用例、種類ごとの特徴、導入前に押さえておくべき課題と対策、そして自社に最適な一台を選ぶための重要なポイントやおすすめメーカーに至るまで、導入検討に必要な情報を網羅的に解説します。

この記事を最後までお読みいただくことで、ホットエアーはんだ付けロボット選定における失敗を避け、品質向上と生産効率化を両立させるための具体的な知識と判断基準を習得できます。是非ご一読ください。

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目次

ホットエアーはんだ付けロボットとは? 原理やメリット・デメリット、活用例などを解説

ホットエアーはんだ付けロボットとは?

ホットエアーはんだ付けロボットは、熱風(ホットエアー)を利用して対象物にはんだ付けを行う自動化装置です。

従来のこて先を使用するはんだ付けロボットとは異なり、非接触で加熱できる点が大きな特徴です。

この技術は、電子部品の実装や微細な接合、熱にデリケートな部品のはんだ付けなど、様々な分野で活用が進んでいます。

本章では、ホットエアーはんだ付けロボットの基本的な原理から、そのメリット・デメリット、具体的な活用例を詳しく解説します。

ホットエアーはんだ付けロボットの原理

ホットエアーはんだ付けロボットは、主に以下の要素で構成されています。

  • ロボットアーム
    設定されたプログラムに基づき、ホットエアーノズルを正確な位置へ移動させます。
  • ホットエアー発生ユニット
    ヒーターとブロワーによって高温の空気を生成し、ノズルから噴射します。温度や風量は精密に制御されます。
  • ノズル
    対象物の形状やサイズに合わせて様々な種類のノズルがあり、熱風を効率的に対象箇所へ導きます。
  • 制御装置
    ロボットの動作、温度、風量、はんだ供給(必要な場合)などを統合的に制御します。
  • カメラ・センサー(オプション)
    位置補正や品質検査のために搭載されることがあります。

はんだ付けのプロセスは、まずロボットアームがホットエアーノズルをはんだ付けポイントに位置決めします。

その後、設定された温度と風量の熱風を対象物に吹き付け、はんだ(通常はクリームはんだや予備はんだ)を溶融させ、接合を完了します。

次にホットエアーはんだ付けロボットのメリットとデメリットを確認していきましょう。

ホットエアーはんだ付けロボットのメリットとデメリットを解説

ホットエアーはんだ付けロボットは、その独自の加熱方式により多くの利点をもたらしますが、他の方式、特に従来型のこて式はんだ付けロボットと比較した場合に考慮すべき点も存在します。

導入を成功させるためには、これらのメリットとデメリットを正確に理解することが不可欠です。

ホットエアーはんだ付けロボットのメリット

  • 非接触での精密加熱と部品への低ストレス
  • 多様な形状・範囲への対応力と均一な熱伝達
  • 鉛フリーはんだへの優れた適性

つまり、ホットエアーはんだ付けロボットは、対象物への物理的ダメージを最小限に抑えた高品質な加熱、微細な箇所から広範囲まで対応できる柔軟性、そして扱いが難しい高融点の鉛フリーはんだへの適応力という点で、従来方式にはない価値を提供します。

次にデメリットを確認しましょう。

ホットエアーはんだ付けロボットのデメリット

  • 周辺部品への熱影響リスクと対策の必要性
  • 加熱効率とタクトタイムの変動可能性
  • 設備構成の複雑性と初期コスト
  • はんだ供給方法とはんだボール管理

これらのデメリットを踏まえると、ホットエアーはんだ付けロボットを最大限に活用するためには、精密な熱管理と周辺部品への配慮、生産計画における加熱時間の考慮、初期投資と運用ノウハウの確保、そしてはんだ付けプロセス全体の最適化といった事前の検討と対策が重要になることを示しています。


これらのメリット・デメリットを総合的に比較検討し、自社の製品特性や生産体制、求める品質レベルに最適なはんだ付け方法を選定することが重要です。

それでは次に、これらの特性が実際の製造現場でどのように活かされているのか、具体的な活用例を見ていきましょう。

活用例を紹介

ホットエアーはんだ付けロボットは、その特性を活かして以下のような様々な分野で活用されています。

電子部品の実装

現代の電子機器に不可欠な多種多様な電子部品の実装において、ホットエアーはんだ付けロボットは有効です。

  • 表面実装部品(SMD)の精密なはんだ付け

    チップ抵抗やコンデンサといった微小なSMD部品から、QFP(Quad Flat Package)やSOP(Small Outline Package)のような多ピンICまで、非接触で均一な加熱が可能です。
    これにより、部品や基板への熱ストレスを低減しつつ、確実なはんだ接合を実現します。

  • コネクタやスイッチ類のはんだ付け

    多数のピンが密集しているコネクタや、熱に弱い樹脂製のハウジングを持つスイッチ類のはんだ付けに適しています。
    ホットエアーは、狙った箇所に集中的に熱を供給できるため、隣接するピンへのブリッジを防ぎ、樹脂部品の変形リスクを低減します。

  • シールドケースの確実な固定

    ノイズ対策などで使用される金属製のシールドケースを基板に固定する際にも活用されます。広範囲を均一に加熱することで、確実で安定したはんだ付けを実現し、シールド効果を最大限に引き出します。

  • フレキシブルプリント基板(FPC)とリジッド基板の接合

    薄くて柔軟性があり、かつ熱に弱いFPCのはんだ付けは繊細な作業です。
    ホットエアーはんだ付けロボットは、精密な温度コントロールと非接触加熱により、FPCへのダメージを抑えながら、リジッド基板との確実な電気的接続を可能にします。

微細部品のはんだ付け

スマートフォン、ウェアラブルデバイス、医療用小型センサーなど、小型化・高機能化が進む製品では、極めて小さな部品のはんだ付けが求められます。

ホットエアーはんだ付けロボットは、微細なノズルと精密な位置決め制御、そして局所的な加熱により、こうした微細部品に対しても高品質なはんだ付けを提供します。

熱に敏感な部品のはんだ付け

カメラモジュール内のイメージセンサー、各種センサー素子、光学部品など、熱による特性変化やダメージを受けやすい部品のはんだ付けにも最適です。

ホットエアーは、比較的低い温度で、かつ短時間で効率的に熱を伝えることができるため、部品への熱影響を最小限に抑えることが可能です。

高密度実装基板へのはんだ付け

部品が密集して配置されている高密度実装基板では、こて先が入り込むスペースがなかったり、隣接する部品へのはんだブリッジや熱影響が懸念されたりします。

ホットエアーは、狙ったエリアにピンポイントで熱風を吹き付けることができるため、このような困難な条件下でも、周辺部品への影響を抑えつつ、特定箇所のはんだ付けを実現します。

リペア・リワーク作業

製造工程での不良部品の取り外しや、市場から戻ってきた製品の修理(リペア・リワーク)においても、ホットエアーはんだ付けロボットは有効です。

特に、BGA(Ball Grid Array)やCSP(Chip Scale Package)といった高密度な表面実装部品(SMD)の取り外しや再実装において、対象部品のみを局所的に均一な熱風で加熱できるため、基板や周辺部品へのダメージを最小限に抑え、効率的かつ高品質な修正作業を可能にします。

樹脂の溶着や熱カシメ(はんだ付け以外の応用)

はんだ付け以外にも、熱風を利用する特性を活かして、熱可塑性樹脂部品の溶着や熱カシメといった接合用途に応用されることもあります。

非接触でクリーンな熱エネルギーを供給できるため、様々な材料の加熱加工プロセスでの活用が期待されています。


これらの活用例は一部であり、ホットエアーはんだ付けロボットの応用範囲は、技術の進化とともにさらに広がっています。

特に、鉛フリーはんだへの対応や、より複雑な三次元実装など、次世代の製造ニーズに応える技術として、その重要性はますます高まっています。

ここまで、ホットエアーはんだ付けロボットの基本的な原理やメリット・デメリット、活用例を確認しました。次の章ではより具体的に、種類ごとの特徴を確認しましょう。

自社にとって最適な種類のホットエアーはんだ付けロボットを見つけるために是非、ご参照ください。

ホットエアーはんだ付けロボットを種類ごとに解説

ホットエアーはんだ付けロボットを種類ごとに解説

ホットエアーはんだ付けロボットは、様々な特徴に基づいていくつかの種類に分類されます。主な分類軸としては、熱風をどのように対象物へ当てるか(加熱範囲や加熱方法)という点が挙げられます。

これは、使用されるノズルの形状や機能といった特性と深く関わっており、また、搭載される制御システムの高度さやフィードバック機能の有無なども、各タイプの性能や得意とするアプリケーションを左右する重要な要素です。

本章では、これらの要素が総合的に影響し合って特徴づけられる、「ノズル集中加熱型」「エリア加熱型(面加熱型)」を取り上げ、それぞれの詳細、主なメリット・デメリットを解説します。

ご自身のワーク(はんだ付け対象物)の特性や生産方法、求めるはんだ付け品質に合わせて、最適なタイプを選定するための参考にしてください。

ノズル集中加熱型ホットエアーはんだ付けロボット

ノズル集中加熱型は、先端が絞られたノズルから熱風を吹き付け、特定の一点または狭い範囲を集中的に加熱するタイプのロボットです。

ノズルの形状やサイズを交換することで、様々な部品サイズやはんだ付け箇所にピンポイントで対応できます。特に、隣接する部品への熱影響を最小限に抑えたい場合や、微細な電子部品のはんだ付けに適しています。

メリット

  • ピンポイントでの精密な加熱が可能で、周辺部品への熱影響範囲を限定できます。
  • 微細なSMD(表面実装部品)や狭ピッチコネクタなど、デリケートな部品のはんだ付けに適しています。
  • ノズルを交換することで、多様な部品形状やはんだ付け箇所に柔軟に対応しやすいです。
  • 一般的に、後述するエリア加熱型と比較して装置コストを抑えられる傾向があります。

デメリット

  • 一度に加熱できる範囲が狭いため、広範囲の同時加熱には不向きで、多数個取りや大型部品のはんだ付けには作業時間がかかることがあります。
  • 最適なノズルの選定や、ロボットによる正確な位置決め精度が、はんだ付け品質に影響します。
  • 大型部品や、一度に多数の箇所をはんだ付けする必要がある場合には効率が悪いことがあります。

エリア加熱型(面加熱型)ホットエアーはんだ付けロボット

エリア加熱型(面加熱型)は、比較的大きな範囲を一度に、かつ均一に加熱することを得意とするタイプのロボットです。

大きな開口部を持つノズルや複数のノズルを組み合わせたユニット、あるいは赤外線ヒーターなどを併用した特殊なヒーターユニットを用いて、広範囲の部品や複数の箇所をまとめて加熱します。

BGA(ボールグリッドアレイ)やCSP(チップスケールパッケージ)のような多数の接続端子を一度にはんだ付けする必要がある部品や、ある程度の面積を持つシールドケースなどの固定に適しています。

メリット

  • 広範囲を比較的均一に加熱できるため、多数のリードを持つ部品や大型部品のはんだ付け効率が良いです。
  • BGAやCSPなど、部品全体を均一な温度プロファイルで管理することが重要となる部品のはんだ付けに適しています。
  • リフロー炉に近い、精密な温度プロファイル(予熱、本加熱、冷却など)を再現しやすい機種もあります。

デメリット

  • ピンポイントでの局所的な加熱制御はノズル集中型に比べて難しく、熱に弱い部品が加熱エリアの近傍に存在する場合は、マスキングなどの熱対策が必要になることがあります。
  • ノズル集中型と比較して、装置が大型化したり、コストが高くなる傾向があります。
  • 基板上に高さの異なる部品が混在しているなど、複雑な形状の基板やワークに対しては、均一な加熱が難しい場合があります。

これらの代表的な種類とそれぞれの特徴を理解することで、自社の製品や生産プロセスに最適なホットエアーはんだ付けロボットを選定するための、より具体的な検討が進められるはずです。

しかし、どのタイプを導入するにしても、メリットだけでなく注意すべき点も存在します。

次の章では、ホットエアーはんだ付けロボットの導入前に知っておきたい注意点と、対策方法を説明します。

導入前に知っておきたい課題と対策

導入前に知っておきたい課題と対策

ホットエアーはんだ付けロボットは多くのメリットをもたらしますが、導入を成功させるためにはいくつかの課題や注意点を理解し、事前に対策を講じることが重要です。

ここでは、代表的な課題と、それらを克服するための具体的な方法について解説します。

課題1:周辺部品への熱影響とその対策

ホットエアーはんだ付けは非接触で加熱するため、対象物以外にも熱が拡散しやすいという特性があります。

特に高密度実装された基板では、隣接する部品やコネクタ、既に実装済みの部品が意図しない熱を受けてしまい、特性劣化や破損を引き起こす可能性があります。

【対策】

この課題を克服するためには、まず適切なノズル選定が不可欠です。加熱範囲を最小限に抑える専用ノズルや、遮熱板を併用することで、周辺への熱影響を軽減できます。

また、ロボットのティーチング精度を高め、熱風が当たる位置や時間を厳密にコントロールすることも重要です。

さらに、基板の材質や部品配置を考慮した温度プロファイル(加熱の時間と温度のパターン)を慎重に設定し、必要に応じて部分的なマスキングや冷却機構の導入も検討しましょう。

課題2:精密な温度コントロールの難しさと品質安定化策

ホットエアーはんだ付けの品質は、熱風の温度、風量、加熱時間、そしてワークまでの距離といった多くのパラメータに左右されます。

これらの要素が最適でない場合、はんだの溶融不足、過加熱による部品や基板の損傷、ボイド(はんだ内部の空隙)の発生といった不良につながり、製品の信頼性を損なう可能性があります。

【対策】

この課題への対策としては、高精度な温度センサーとフィードバック制御機能を備えたロボットを選定することが基本です。

これにより、設定温度と実際の加熱温度のズレを最小限に抑え、安定した加熱の実現が可能です。

また、ワークの材質や熱容量を考慮した上で、複数のテストピースを用いて最適な温度プロファイルを作成し、それを厳密に管理・運用することが求められます。

定期的なキャリブレーションやセンサーのメンテナンスも品質安定化には不可欠です。最近では、AIを活用して最適なプロファイルを自動生成する機能を備えた機種も登場しています。

課題3:導入・運用コストと費用対効果の検討

ホットエアーはんだ付けロボットは、その高機能性ゆえに、初期導入コストが比較的高額になる傾向があります。

また、専用ノズルの設計・製作費用や、高度な知識を持つオペレーターの育成、定期的なメンテナンス費用といったランニングコストも考慮に入れる必要があります。

【対策】

コストに関する課題に対しては、まず現状の生産体制における課題(不良率、作業時間、人件費など)を明確にし、ロボット導入によって得られる具体的なメリット(品質向上、生産性向上、省人化など)を数値化して比較検討することが重要です。

また、全ての工程を最高スペックのロボットで賄うのではなく、必要な機能を見極め、オーバースペックにならない機種を選定することもコスト削減に繋がります。

中古のロボットやリース、補助金制度の活用なども検討の余地があるでしょう。メーカーや専門業者に相談し、自社の生産規模や予算に最適なソリューションを見つけることが肝要です。


これらの課題と対策を理解することで、ホットエアーはんだ付けロボット導入の成功確率は向上します。それでは次に、実際にロボットを選定する際に、どのようなポイントに注目すべきかを見ていきましょう。

ホットエアーはんだ付けロボットの選び方を解説

ホットエアーはんだ付けロボットの選び方を解説
ホットエアーはんだ付けロボットの導入を成功させるには、自社の製品、生産量、求める品質、予算などを総合的に考慮し、最適な一台を選び出す必要があります。

この章では、後悔しないために特に重要な選定ポイントを3つに絞って解説します。

温度制御精度と均一性を見極める

ホットエアーはんだ付けロボット選びで重要なのは、温度制御の精度と、加熱範囲内での温度の均一性です。

これが不十分だと、はんだの溶融不足による接合不良や、過加熱による部品・基板損傷といった致命的な問題に直結し、不良率増加や生産性低下を招きます。特に微細部品や熱に敏感な部品、高い信頼性が求められる製品では、この点が品質の生命線となります。

確認するべきポイントは以下の3点です。

  • 設定温度と実測温度のズレはどの程度か?(高精度な温度センサーとフィードバック制御の有無)
  • 狙った範囲をムラなく均一に加熱できるか?
  • 設定した温度プロファイルを忠実に再現できるか?

これらをクリアするロボットを選べば、はんだ付け品質は劇的に安定し、不良率も低減し、信頼性の高い製品づくりが可能になります。

ロボットアームの可動範囲と柔軟性を確認する

ホットエアーはんだ付けロボット選定時、アームの可動範囲と柔軟性は、生産効率と将来の拡張性を左右する重要項目です。

アームに必要な可動範囲や柔軟性は、生産ラインのレイアウト(スペース、周辺設備との干渉)、製品特性(サイズ、形状の複雑さ)、部品の実装状態(高密度基板へのアクセス、立体配置)など、現場の状況で決まります。

アーム能力が不足すると、複雑な基板へのアプローチ困難による作業効率低下、多様な製品への対応力不足、生産ライン変更や自動化拡大の障害といった問題が生じ、将来性に影響します。

特に、多品種少量生産、頻繁な設計変更、複雑な三次元動作が求められるはんだ付けでは、アームの広範な可動性と高い柔軟性が不可欠です。

柔軟な生産体制構築のため、アームの以下を確認しましょう。

確認項目 具体的な視点
XYZ軸ストローク ロボットアームが前後・左右・上下に移動できる範囲は、対象ワークに対して十分か?
軸数と制御 3軸、4軸、6軸(垂直多関節)など、必要な自由度を持つか?回転軸や手首のひねり動作は可能か?
アプローチ角度 様々な角度からノズルをワークに接近させることができるか?
コンパクト性 アーム自体や駆動部が、他の設備や治具と干渉しにくい構造・サイズか?
拡張性 将来的に周辺装置(例:基板反転機、パーツフィーダーなど)との連携は考慮されているか?

適切なアーム選定により、多様な製品への対応力向上、生産ライン変更・拡張への適応力向上、そして最適なアプローチによる品質安定、タクトタイム短縮、生産性向上といったメリットが期待できます。

動作の再現性と自動化機能を重視する

ホットエアーはんだ付けロボットを選定する上で、作業動作の高い再現性と、可能な限りの自動化機能の搭載は、生産効率と品質安定化の鍵を握る要素です。

再現性と自動化レベルを左右する技術的要素

この選定で重視すべき度合いが左右される要因は、ロボットのプログラム可能な動作精度、搭載センサーの種類と性能、そしてフィードバックシステムの有無や高度さなどです。

もし動作の再現性が低いロボットを導入してしまうと、はんだ付け位置のズレや加熱条件のばらつきが頻繁に発生し、製品ごとの品質が不安定になり、結果として手直し作業の増加や生産効率の低下を招くことになります。

特に、大量生産を行うラインで安定した品質の製品を継続的に供給する必要がある場合や、人的ミスを極限まで排除し、『いつ、誰が、何を、どのように作ったか』を確実に把握できる体制を確保したい場合には、この再現性と自動化レベルが極めて重要となります。

高度な再現性と自動化機能がもたらすメリット

したがって、精密な位置決め機能、安定した熱風供給システム、そして異常検知や自動補正といった高度な自動化機能を備えたロボットを選定することで、作業者の熟練度に依存することなく、常に均一で高品質なはんだ付けが実現でき、人的ミスの削減と合わせて生産性の向上が期待できるでしょう。


これらの選定ポイントを押さえることで、より自社に適したホットエアーはんだ付けロボットを見つけることができるでしょう。では最後に、信頼できるおすすめのメーカーをいくつかご紹介します。

JET-Globalがおすすめするホットエアーはんだ付けロボットのメーカーを紹介

JET-Globalがおすすめするホットエアーはんだ付けロボットのメーカーを紹介

ホットエアーはんだ付けロボットを選定する上で、どのメーカーの製品を選ぶかという点は重要です。

ここでは、実績と信頼性のある代表的なメーカーをいくつかご紹介します。それぞれのメーカーの特徴や強みを比較検討し、自社のニーズに最適なパートナーを見つけましょう。

ジャパンユニックス / Japan Unix

メーカー名 ジャパンユニックス / Japan Unix
設立念 1974年
本拠地 神奈川県横浜市
概要 はんだ付け自動化装置・ロボットの専門メーカー

ジャパンユニックスは、1974年に神奈川県横浜市で設立された、はんだ付け自動化装置・ロボットおよび関連機器の専門メーカーです。

同社の強みは、ホットエアーはんだ付けロボット本体だけでなく、はんだ付けコントローラー、こて先、ノズル、周辺機器に至るまで自社で開発・製造し、トータルでの品質とサポートを提供する点にあります。

ホットエアーはんだ付けロボットシステムとしては、多目的はんだ付けロボットプラットフォーム(例:UNIX-700シリーズ、410シリーズなど)に、ホットエアー(熱風)ユニット(例:UFH-01、UFH-05など)を搭載する形で構成・提供されています。

ジャパンユニックスのホットエアーシステムは、独自開発の多彩なノズルと精密な熱風制御が特長です。これにより、μm単位の微細部品や熱に弱い基板のピンポイント部分へも、周辺への熱影響を抑えつつ安定した加熱が可能です。

さらに、豊富な標準ノズルとカスタム対応力により、特殊なワークや困難な条件にも最適なソリューションを提供し、自動化範囲の拡大と生産性向上に貢献します。

ジャパンユニックスの高性能なホットエアーはんだ付けロボットは、自動車部品、医療機器、スマートフォン等の電子機器、家電、通信機器といった、高品質な接合が不可欠な多様な業界で豊富な採用実績があります。

エルザ / Ersa

メーカー名 エルザ / Ersa
設立念 1921年
本拠地 ヴェルトハイム(ドイツ)
概要 エレクトロニクス製造向け熱処理技術の総合メーカー

エルザは、1921年にドイツのヴェルトハイムで創業した、エレクトロニクス製造向け熱処理技術の老舗総合メーカーです。100年以上にわたり、はんだ付け装置、リワークシステム、および関連消耗品などを幅広く提供しています。

同社では、単独の「ホットエアーはんだ付けロボット」という標準シリーズを前面に出すよりも、高度に自動化されたホットエアーリワークシステムが主力です。

これには、HR 600/3PHR 550 XL、さらにはホットエアーと赤外線(IR)ヒーターを組み合わせたハイブリッド加熱方式のIRPL 650 XLなどがあり、実質的な「ロボット」と呼べる精密制御機能と自動化レベルを有しています。

エルザ社のこれらのシステムは、特に大型基板や熱容量の大きな部品、複雑な実装基板への対応力と、ホットエアーと赤外線(IR)ヒーターを組み合わせた独自のハイブリッド加熱技術が大きな特長です。

このハイブリッド加熱は、対象物全体を効率的かつ均一に加熱することで精密な温度プロファイル制御を実現し、お客様は温度均一性の確保と生産能力の向上を両立できます。

その結果、反りの抑制や高品質な接合といった明確なメリットを享受できます。

エルザ社の高信頼なホットエアー関連システムは、自動車、航空宇宙、産業機器、医療、通信、EMSなど要求の厳しい分野で豊富な実績があり、ホットエアーはんだ付けソリューションを検討する企業にとって有力な選択肢です。

JBC / ジェービーシー

メーカー名 JBC / JBC
設立年 1961年
本拠地 バルセロナ(スペイン)
概要 はんだ付け機器と関連ツールの製造

JBCは、1961年に設立され、スペイン・バルセロナに本社を構える、はんだ付け機器および関連ツールの専門メーカーです。

特に高精度な温度管理技術と、人間工学に基づいた使いやすいはんだ付けツールの提供に強みを持っており、プロフェッショナルユースに応える高品質な製品群を展開しています。

同社のホットエアーはんだ付けステーションとしては、例えば「JBC-ADI」シリーズなどがラインナップされており、これらは精密なリワーク作業や特定エリアの加熱に適しています。

JBCのホットエアーシステムは、その卓越した高精度な温度制御により、熱に敏感な微細部品へのダメージを最小限に抑えつつ、確実なはんだ付けを実現できる点が他のメーカーの製品と比較した際の強みです。

過熱による部品の損傷リスクを低減し、安定した作業品質を提供します。

このような高性能なホットエアーはんだ付けシステムは、品質要求の厳しいエレクトロニクス業界や半導体業界の研究開発部門、高信頼性が求められる航空宇宙分野などで広く利用されており、精密な作業が不可欠な現場で高く評価されています。

Weller Tools / ウェラー

メーカー名 Weller Tools / ウェラー
設立年 1945年
本拠地 ベージヒハイム(ドイツ)
概要 はんだ付け機器、工具、リワークツールの製造

ウェラーは、1945年に設立されたドイツ発祥の、はんだ付け機器、関連工具、そしてリワークツールの老舗メーカーです。

長年にわたるはんだ付け分野での豊富な経験と、継続的な技術革新により、高品質で信頼性の高い製品を提供し続けていることが同社の大きな強みです。

Wellerが提供するホットエアーはんだ付けシステムとしては、例えばリワークステーション「WHA 3000」シリーズなどがあり、これらは精密なSMDリペア作業から比較的小規模な量産用途まで対応できます。

Wellerのホットエアーはんだ付けロボット(またはステーション)は、同社が長年培ってきた高度な温度管理技術によって、熱風の温度と風量を正確にコントロールし、対象物へ均一かつ安定した加熱を提供することで、精密なはんだ付け作業を力強く支援します。

この安定した加熱性能が、他社製品と比較した際の強みです。

その結果、Wellerの製品は、高い品質と信頼性が求められる電子機器製造、通信機器、半導体関連、さらには航空宇宙や医療機器といった幅広い業界に広く導入されており、プロフェッショナルな現場で確固たる地位を築いています。

また、ご不明点がございましたら、以下からお気軽にお問い合わせください。

※JET-Globalの問い合わせフォームに遷移します。