棚卸しロボット

棚卸しロボット
棚卸しロボットは、倉庫や店舗の在庫管理を自動化・効率化する次世代のソリューションとして注目を集めています。しかし、「そもそもどんなことをするロボットなのか」「本当に現場に合うのか不安」といった悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。

本記事では、棚卸しロボットの基本情報から種類別の特徴、導入によるメリット・デメリット、主要おすすめメーカーの比較、そして注目されるRFID技術についてまで、総合的にわかりやすく解説します。

このコンテンツを読むことで、自社に最適な棚卸しロボットを選定するための視点を得られ、失敗のない導入につなげられるはずです。人から話を聞きたい方や話しながら導入を決めたいという方は以下のボタンより問い合わせをお願いします。

目次

棚卸しロボットとは? 基本情報や実際の事例も紹介

棚卸しロボットとは? 基本情報や実際の事例も紹介
棚卸しロボットとは、倉庫や店舗、工場などにおける在庫管理業務を自動化するロボットのことです。従来、人の手によって行われていた商品や資材のカウント・照合作業を、センサーやカメラ、AI、RFIDなどの技術を用いて効率化・省人化することができます。

物流の現場では「人手不足」「ミスの発生」「作業の属人化」といった課題が多く存在し、それらを解決する手段として注目を集めているのが棚卸しロボットです。近年では大手小売業でも導入が進んでおり、実際に次のような事例があります。

  • 大手スーパー:夜間に棚を巡回するロボットを導入し、棚卸し時間を従来の1/3に削減
  • 物流倉庫:高所在庫もスキャン可能なロボットを導入し、人的作業負荷を軽減
  • ホームセンター:ロボットによる定期棚卸しで在庫精度を常に95%以上に維持

このように、棚卸しロボットは単なる省力化ツールではなく、業務の精度や効率を改善できる存在として注目されています。

次に、棚卸しロボットにはどのような種類があるのかを見ていきましょう。

棚卸しロボットにはどんな種類があるのか

棚卸しロボットにはどんな種類があるのか

棚卸しロボットは搭載する技術によりいくつかの種類に分かれます。それぞれの方式に特徴があり、導入現場の条件や目的に応じた選定が必要です。ここでは商品の認識方式によって分ける主な4つの種類をご紹介します。

画像認識

カメラとAIを用いて、棚卸しロボットが棚の商品やラベルを撮影・解析するタイプです。画像解析によって商品の有無や数を特定し、在庫情報と照合します。

メリット

  • 商品形状や外観の変化にも対応しやすい
  • 既存のバーコードやタグに依存しない
  • 陳列状態も確認できるため販促チェックにも活用可能

デメリット

  • 照明や影、画質によって精度が左右される
  • カメラの解像度により読み取り距離に制限がある
  • 識別エラーが発生した際の確認作業が必要

RFID

商品やパッケージにRFIDタグを取り付け、棚卸しロボットが無線通信によって情報を一括読み取りする方式です。離れた場所からでも読み取れるため、高速・高効率な棚卸しが可能です。

メリット

  • 非接触・非視認でも読み取り可能
  • 複数アイテムを一括で認識可能
  • 遠距離からもスキャン可能なため高所にも対応

デメリット

  • タグの導入コストがかかる
  • 金属や液体の干渉で読み取りエラーが起こる
  • タグの装着管理が必要

バーコード/QR

商品に貼付されたバーコードやQRコードを棚卸しロボットがスキャンし、在庫を管理する方式です。既存のバーコード資産をそのまま活用できるため、導入のハードルが比較的低いのが特徴です。

メリット

  • 既存のバーコード・QR環境をそのまま活用可能
  • 低コストで導入できる
  • 市販のスキャナ技術がそのまま活かせる

デメリット

  • コードが隠れていると読み取れない
  • 1点ずつスキャンするため時間がかかる
  • 印刷状態や破損による読取エラーの可能性がある

レーザー距離

レーザーセンサーを用いて、棚の形状や商品配置を測定し、数量や位置を把握するタイプです。寸法や位置の変化を高精度に捉えることができ、特殊な形状の製品管理にも活用されます。

メリット

  • 測定対象に物理的に接触しない
  • 寸法管理や配置異常検知にも活用可能
  • 視覚的な情報に依存しないため安定した計測が可能

デメリット

  • 対象の材質や角度によっては誤計測が起きる
  • 導入コストが高め
  • 商品識別まではできないため他技術との併用が必要

ここまで、棚卸しロボットの主な4つの方式について紹介しました。次は、それらを導入することによって得られるメリットと、注意すべきデメリットについて解説します。

導入によって期待される棚卸しロボットのメリット・デメリット

導入によって期待される棚卸しロボットのメリット・デメリット

棚卸しロボットを導入することで、さまざまな業務課題の解消や効率化が実現できます。しかし、導入には一定のデメリットも伴うため、事前の理解が重要です。ここでは棚卸しロボットの代表的なメリットとデメリットを整理して紹介します。

メリット

  • 人手による作業を減らし、人件費や作業負荷を軽減できる
  • 棚卸し精度の向上により在庫差異の発生を抑制
  • 深夜・休日にも稼働可能で業務の柔軟性が増す
  • 定期的な棚卸しでリアルタイムの在庫把握が可能

デメリット

  • 初期導入コストが高い
  • ロボットの通行やスキャンに適した環境整備が必要
  • 技術トラブル時の対応に専門知識が求められる
  • 全ての業務を自動化できるわけではない

棚卸しロボットの導入は、適切な環境と目的を設定すれば大きな効果を発揮します。次は、棚卸しロボットに多く採用される「RFID」技術について詳しく解説します。

棚卸しロボットに使用されることの多いRFIDとは? その技術を紹介

棚卸しロボットに使用されることの多いRFIDとは? その技術を紹介
RFID(Radio Frequency Identification)とは、電波を利用してタグの情報を非接触で読み書きする技術です。棚卸しロボットの中でもRFIDは、効率的かつ精度の高い在庫管理を実現する要素として、特に多く採用されています。

RFIDの仕組みは、次のとおりです。

  • RFIDタグ:商品やパレットなどに取り付けられ、個別の情報を記録します。
  • リーダー(読み取り装置):ロボットに搭載され、タグに電波を送り返ってきた信号から情報を取得します。
  • 通信方式:電波を使うため、視界が遮られていても読み取りが可能です。

特に物流や小売業では、手動でのバーコードスキャンに比べて時間短縮と正確な在庫把握が実現されており、棚卸しロボットにとっては欠かせない中核技術の一つです。

また、RFIDには「パッシブタグ(電池なし)」「アクティブタグ(電池あり)」といった種類があり、用途や予算に応じて選定されます。前者は低コストかつ軽量で大量運用に向いており、後者は通信距離や精度に優れているのが特徴です。

RFIDを活用することで、リアルタイムな在庫可視化やトレーサビリティの強化といった高度な在庫管理が可能となります。これから棚卸しロボットを導入するにあたって、RFID技術の理解は不可欠でしょう。

棚卸しロボットを選ぶ際に重視すべきポイント

棚卸しロボットを選ぶ際に重視すべきのポイント

棚卸しロボットを導入する際には、目的や使用環境に合った機種を選定することが重要です。ここでは、特に注目すべき選定ポイントについて解説します。

移動精度とカバー範囲の確認

棚卸しロボットの選定ポイントとして、棚卸しロボットの移動精度とカバー範囲があります。倉庫や店舗の規模、通路の広さ、障害物の有無、棚卸しの頻度といった要因によって、このポイントの重要度は変わるためです。

これらの条件に合わないロボットを選んでしまうと、棚卸し作業に余計な時間がかかったり、在庫確認に誤りが生じるなど、精度の低下を招きかねません。特に広い倉庫や複雑な通路を持つ現場、または棚卸しを高頻度で実施する現場では、移動精度や範囲の広さが作業効率に影響します。

適切なロボットを選ぶことで、精度高く効率的に棚卸しを行い、誤差を抑えることができるでしょう。

RFIDやバーコードスキャン、画像認識の性能

次に重視すべきは、RFIDタグやバーコードスキャニング、画像認識機能の搭載です。在庫管理における精度の高さや、導入商品群のタグ仕様、倉庫内のタグ配置などが、この機能の選定を左右します。

もし読み取り性能が低いロボットを選定した場合、商品の認識精度が落ちてしまい、誤認識やスキャン漏れによって全体の作業効率が低下する恐れがあります。とくに多品種商品を扱う現場や在庫更新が頻繁な環境では、この機能の精度が棚卸し全体の質に影響を与えてしまうので、注意が必要です。

高性能なタグスキャン機能を持つロボットを選ぶことで、迅速で正確な商品認識が可能となり、棚卸し時間を短縮できるようになります。

ロボットの性能や特性を見極めることで、現場に最適な1台を選定することができます。次は、棚卸しロボットのメーカーや製品情報について詳しく見ていきましょう。

おすすめの棚卸しロボットメーカーを厳選して紹介!
棚卸しロボットの導入を検討する際、信頼できるメーカー選びは重要です。以下では、技術力・実績・導入事例の面から見ても安心して導入を検討できる、注目のおすすめ棚卸しロボットメーカーを紹介します。

※JET-Globalの問い合わせフォームに遷移します。
※一部メーカーとは提携がない場合がありますが、ユーザー様に最適なご案内ができるよう努めています。

Simbe Robotics / シンベ・ロボティクス

メーカー名 Simbe Robotics / シンベ・ロボティクス
創業年 2014年
本拠地 アメリカ・カリフォルニア州
概要 小売業向けの棚卸しロボットを開発・提供する企業

シンベ・ロボティクスは、2014年にアメリカ・カリフォルニア州で創業された、小売業向けの棚卸しロボットを専門とする企業です。AIと自動化技術を駆使し、実店舗の小売業者に対してデータドリブンな在庫管理ソリューションを提供しています。

同社が提供する棚卸しロボット「Tally」は、最新の画像認識やセンサー技術を活用した自律型ロボットです。小売業向けに特化した機能設計により、店舗内の在庫状況をリアルタイムで把握しやすい点が魅力です。

デカトロンSCHnucksジャイアント・イーグルなど、アメリカ・ヨーロッパを中心に250店舗以上の小売店で導入されています。

Bossa Nova Robotics / ボサノヴァ・ロボティクス

メーカー名 Bossa Nova Robotics / ボサノヴァ・ロボティクス
創業年 2005年
本拠地 アメリカ・ペンシルバニア州
概要 小売業向け棚卸しロボットの開発・提供企業

ボサノヴァ・ロボティクスは、2005年にアメリカ・ペンシルバニア州で創業されたロボットベンチャー企業です。カーネギーメロン大学発のテクノロジーを活かし、スリムで実用的な棚卸しロボットを開発してきました。

開発されていた製品はBossa Nova 2020で、限られた店舗スペースでも運用しやすい設計が特徴です。小規模店舗にも導入しやすいスリム設計で、柔軟なスキャンが可能なのが魅力です。

ウォルマートをはじめ、アメリカやヨーロッパの約350店舗で試験導入されています。

PAL Robotics / パル・ロボティクス

メーカー名 PAL Robotics / パル・ロボティクス
設立年 2004年
本拠地 スペイン・バルセロナ州
概要 サービスロボット・人型ロボットの総合メーカー

パル・ロボティクスは、2004年にスペイン・バルセロナで設立されたサービスロボットとヒューマノイドロボットの先進メーカーです。高度な研究開発能力と柔軟なカスタマイズ対応により、自律性・精度・安全性のバランスが取れたロボット開発を得意としています。

棚卸し用途ではStockbotが提供されており、RFIDによる自動検知でヒューマンエラーを抑えつつ、作業時間も削減できる点が魅力です。

小売業をはじめ物流・製造・医療分野でも導入されており、幅広い業種に対応しています。