平行チャック
生産現場や自動化ラインで使用される「平行チャック」は、ワークを正確に把持するうえで欠かせない存在です。
しかし「具体的にどんな種類があるのか」「メリットやデメリットは?」「どのように選べばいいのか」「おすすめメーカーはあるの?」など、疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、平行チャックの基本情報から選び方、さらにはおすすめメーカーまで幅広く解説します。あなたの状況に合った平行チャック選定のヒントがきっと見つかるはずですので、ぜひ最後までご覧ください。
とりあえず話を聞きながら考えたい方やすぐにメーカーへ問い合わせをしたい方は、以下のボタンからお問い合わせください。担当者におつなぎいたします。
目次
平行チャックとは? 特徴や活用例などを解説
平行チャックとは、ワーク(加工物や組立部品など)を挟むために用いられる把持機構の一種です。主に2つ以上の爪が平行にスライドすることでワークを掴むため、把持力が安定しやすく、多種多様な製造現場で活用されています。
たとえば、自動車部品の組立ラインや電子部品の精密加工現場で用いられ、ロボットアームの先端ツールとしても欠かせません。定位置でしっかりホールドする性質から、高い位置決め精度が求められる用途に特に重宝される傾向があります。
平行チャックには、爪が平行に動くことで常に一定の径や幅を保持できるメリットがありますが、一方で、重量物の保持は困難という制限がある点はデメリットとして挙げられます。
このように平行チャックは多様な産業で活躍しますが、種類によって把持力や精度、価格などが大きく異なるのが実情です。次の見出しでは、爪数に注目して平行チャックを分類し、それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説していきます。
タイプによって違いは? 平行チャックの種類ごとメリット・デメリットを解説
2爪タイプ
2爪タイプは、最も一般的な平行チャックです。2つの爪が平行にスライドすることでワークを挟み込む構造で、シンプルなため導入コストを抑えやすいのが特徴です。特に形状が円柱や角柱のワークを扱うラインで広く利用されます。使用圧力範囲は0.2~0.6MPaが一般的です。
3爪タイプ
3爪タイプは、3つの爪を平行に動かすことでワークを挟む方式です。繰り返し精度がミクロン単位で超精密なため、精密な加工や組立工程での使用が多く見られます。
4爪タイプ
4爪タイプの平行チャックは、四方からワークを挟むため偏りを抑えながら大径や変形したワークを保持しやすい構造です。工作機械での特殊加工や、複雑形状の部品ハンドリングに使われることが多いですが、市場にはやや少数派として出回っています。
構造から平行チャックを理解する
平行チャックの構造は、大きく「駆動ローラ」「ピストン部」「フィンガ部」「エア供給ポート」の4つです。単動式の平行チャックであれば、エア供給ポートからエアが供給されるとピストンを押し、駆動ローラがフィンガを動かします。単複動式であれば、2つのエア供給ポートを使用して開閉動作を制御します。
爪は実際にワークを挟むパーツであり、摩耗や衝撃を受けやすいため、耐久性に優れた材質や表面処理が施されることが一般的です。
また、平行チャックには防塵・防滴構造を備えたモデルもあり、切削粉や液体が飛び散る環境でも安定した稼働が可能となっています。こうした構造上の違いは、選定の際に非常に重要なポイントです。
ここまで平行チャックの基礎を理解していただいたところで、次は実際にどのような点を考慮して製品を選ぶべきか、平行チャックの選び方を解説していきます。
比較するポイントは? 平行チャックの選び方
平行チャックを導入する際は、製造ラインの目的や取り扱うワークの形状・材質などに応じて、いくつかの観点から選定する必要があります。ここでは選ぶ際に重要なポイントを順番に解説します。
ストローク量
平行チャックを選ぶうえで、多様なワークサイズに対応するためのストローク量を確保することが重要です。ワーク寸法のバラつきや設置スペースの制約といった要因によって必要なストローク幅が変動するからです。
もし十分なストロークを確保できないまま選定してしまうと、大小異なるワークをしっかり把持できずに段取り替えの回数が増え、生産性が下がる影響があります。特に多品種少量生産でワークサイズが頻繁に変わる現場では、このストローク量の確保がより大きな課題となるでしょう。
一方で、ワークの形状特性を念頭に置きつつ、最適なストロークを選定できれば、段取り替えの手間や時間も削減できます。
繰り返し精度
高い繰り返し精度を確保するために、ガイド部の剛性やバックラッシュの少なさに配慮した平行チャックを選ぶこともポイントの一つです。要求される位置決め精度やワークの寸法公差が厳しい場合ほど、ガイド構造やチャック内部の精度が大きく影響する要因となるからです。
もしガイド精度が低いチャックを導入してしまうと、組立や後工程の加工精度に悪影響を及ぼします。微細なズレが品質を左右する精密組立や高精度加工工程では、この点を無視できません。
しかし、繰り返し精度の高い平行チャックをしっかり選定しておけば、長期的な生産効率の向上が期待できます。
異物混入対策
最後に、防塵・防滴構造の有無など、使用環境を考慮した平行チャックを選ぶことも重要です。水分や粉塵が飛散する現場では、内部に異物が侵入しやすく故障リスクが高まる要因となるため、チャックのシール性や潤滑対策は欠かせません。
もしシールや潤滑対策を軽視すると、切削粉や液体がチャック内部に入り込み、思いがけないライン停止やメンテナンスコスト増という影響が出る可能性があります。特に、切削油や粉塵が発生する工作機械周辺ではメンテナンスを行うことが難しい状況も考えられます。
そのため、防塵・防滴構造が備わった平行チャックを導入することで、異物によるトラブルを最小限に抑え、長期間安定したライン稼働を維持できるようになります。
以上が平行チャックの選定で押さえておきたい3つのポイントです。次の章では、実際にどのメーカーが平行チャックを製造しているのか、注目すべき製品ラインナップとともにご紹介していきます。
JET-Global編集部が平行チャックのおすすめメーカー
ここからは、平行チャックを手掛ける代表的なメーカーを5社ご紹介します。各社ともユニークな技術や特長を持っており、製品選定の際に比較検討する価値があります。ぜひラインナップや強みをチェックしてみてください。
SMC / エス・エム・シー
メーカー名 | SMC / エス・エム・シー |
設立年 | 1959年 |
本拠地 | 東京都千代田区 |
概要 | 空気圧機器・FA機器の総合メーカー |
SMCは空気圧制御システムを網羅的に扱う大手メーカーで、幅広い製品ラインナップとグローバルなサービス体制が強みです。
同社のMHZ2シリーズは、コンパクトなボディながら高精度リニアガイドを採用し、高把持力を実現した平行チャックです。
MHZ2シリーズは製造ラインの設計自由度を高めたいユーザーにとって魅力的な選択肢と言えます。安定した品質とサポートが期待できる点も魅力です。
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マシンエンジニアリング / Machine Engineering
メーカー名 | マシンエンジニアリング / Machine Engineering |
設立年 | 1979年 |
本拠地 | 長野県上伊那郡 |
概要 | FAシステム・自動組立機器の総合メーカー |
マシンエンジニアリングはトータルFAシステム構築を強みとしています。
MEPACシリーズは独自のアクションレバー+ローラガイド方式を採用し、高速応答性と高い把持力を実現しています。
繰り返し精度が高精度であることが大きな特長で、精密工程でも安心して使用できるのが魅力です。
自動組立機や搬送装置など、正確で高速な把持が求められる現場に多く導入されています。
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オリムベクスタ / ORIMVEXTA
メーカー名 | オリムベクスタ / ORIMVEXTA |
設立年 | 1984年 |
本拠地 | 東京都台東区 |
概要 | FAシステム関連機器の総合メーカー |
オリムベクスタは、オリエンタルモーターとの密接な連携提案を強みとしています。
スタンダードタイプ平行チャックは、コンパクトながら強い把持力を持ち、高い繰り返し精度を実現する点が特徴です。
平行開閉スィングアクションレバー機構を採用し、摺動部には超小型精密ローラを内蔵しています。
小型機構でありながら高精度を両立しているため、さまざまな業界で活用されています。
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日本ピスコ / PISCO
メーカー名 | 日本ピスコ / PISCO |
設立年 | 1976年 |
本拠地 | 長野県岡谷市 |
概要 | 空気圧機器の開発・製造・販売メーカー |
日本ピスコは、品質と環境マネジメントシステムでISO認証を取得している空気圧機器の総合メーカーです。
ベーシックタイプ平行チャックは高精度な把持を特徴としています。
外径・内径の両方の把持に対応でき、様々な生産ラインでの自動化に貢献しており、多くの導入事例を通じて評価を得ています。
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NKE / エヌ・ケー・イー
メーカー名 | NKE / エヌ・ケー・イー |
設立年 | 1969年 |
本拠地 | 京都府京都市伏見区 |
概要 | 空気圧機器の開発・製造・販売メーカー |
NKEは空気圧機器のみならず、全体最適モノづくりの提案や関連機器の開発にも注力するメーカーです。
CHPシリーズは、軽量化に優れた設計が特徴で、ロボットの可搬重量に制約がある場合でもチャックの選択肢を広げやすいです。
重量物や生産効率が重視される現場で多く採用されています。
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