セーフティリレーユニット

セーフティリレーユニット

セーフティリレーユニットは、製造現場や産業設備において「安全」を守るために欠かせない制御機器です。 「種類が多すぎてどれを選べばいいのかわからない」「導入して本当に効果があるのか不安」と感じている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、セーフティリレーユニットの基本情報から、種類ごとの特徴、導入のメリット・デメリット、さらには選び方やおすすめメーカーまでを網羅的に解説します。 単なる製品紹介にとどまらず、現場で役立つ実践的な視点を盛り込んでいます。

この記事を読むことで、セーフティリレーユニットに関する知識が深まり、自社に最適な製品選定ができるようになるでしょう。 ぜひ最後までご覧いただき、安全かつ効率的な設備運用のヒントを見つけてください。

目次

セーフティリレーユニットとは? 基本情報や実際の事例も紹介

セーフティリレーユニットとは? 基本情報や実際の事例も紹介

セーフティリレーユニットとは、産業用機械や設備において、人や設備の安全を確保する制御機器です。 非常停止ボタンや安全センサーなどの入力信号を受け取り、異常を検知した際に機械を即座に停止させる役割を担います。安全リレーとも呼ばれ、国際的な安全規格(例:ISO 13849、IEC 61508)に基づいて設計されるのが通常です。

実際の現場では、自動車の組立ライン、工作機械、食品工場の包装機械、さらには医薬品製造装置など、さまざまな分野で使用されています。 たとえば、自動車メーカーの塗装ラインでは作業員の侵入検知と連動し、ロボットアームの動作を停止する仕組みに活用される、などです。

このように、セーフティリレーユニットは現場の安全性を高める中心的存在と言えるでしょう。

次は、ロボット用途におけるセーフティリレーユニットの種類について解説します。

ロボットに使用されるセーフティリレーユニットの種類

ロボットで使用されるセーフティリレーユニットの種類

ロボットに搭載されるセーフティリレーユニットには、用途やシステム構成に応じてさまざまな種類があります。 以下では代表的な3種類を取り上げ、それぞれの特徴や選定時のポイントを解説しましょう。

プログラマブル型

プログラマブルセーフティリレーは、ソフトウェアで制御ロジックを自由に設定できるセーフティユニットです。 従来のリレーのような配線変更を伴わず、プログラム上で安全回路を構成できるため、設計の自由度と保守性に優れています。

メリット

  • ロジック変更がソフト上で完結し、柔軟な設計が可能
  • 省スペース化が図れ、多機能な制御が実現可能
  • 拡張性が高く、大規模システムへの対応も容易

デメリット

  • 初期設定にプログラミングスキルが必要
  • 価格がほかの方式より高め

モジュール型

モジュール型は、用途に応じた機能を持つユニットを組み合わせることで、安全制御を構成するタイプです。 入出力やタイミング設定、診断機能などを個別に選択でき、現場ごとの最適設計がしやすい点が特徴と言われています。

メリット

  • 構成が自由で柔軟性が高い
  • 必要機能のみを導入することで既存構造への最適化可能
  • メンテナンス時の交換が容易

デメリット

  • 複数モジュールの管理が手間になる
  • 設計に経験や知識が求められる

ネットワーク対応型

ネットワーク対応セーフティリレーは、産業用ネットワーク(例:PROFIsafe、EtherNet/IP)を介して安全制御を実現するセーフティリレーです。 遠隔監視やセンサ・コントローラ間の通信が可能となり、IoTやスマートファクトリーに最適です。

メリット

  • 配線の削減と省工数化が可能
  • リアルタイムモニタリングに対応
  • ネットワークへの統合管理が実現

デメリット

  • ネットワーク設定が複雑
  • 通信品質に依存するため安定性確保が重要

それぞれの特性を理解することで、目的や現場に合ったセーフティリレーユニットの選定が可能になります。 次は、セーフティリレーユニットの導入によるメリットを見ていきましょう。

セーフティリレーユニットを使用することによるメリット

セーフティリレーユニットを使用することによるメリット

セーフティリレーユニットを導入することで、以下のような利点が得られます。

総合的なメリット

  • 人身事故のリスクを抑えられる
  • 法令・規格対応が容易になり、監査対応がスムーズになることが多い
  • 生産設備の停止回数が減り、生産性が向上する

安全面では、非常停止スイッチやセンサーからの入力を素早く処理し、機械を即停止させることで作業者の事故を未然に防ぎます。人との接触が多い工程や、可動部分の多い装置においてその効果を発揮するでしょう。

また、国際的な安全規格への対応がしやすくなるのも利点です。ISOやIECといった規格を満たす構成が実現でき、監査や法令対応にも十分対応できるでしょう。

このように、安全性の確保だけでなく、監査や法令対応などにも貢献します。 では次に、セーフティリレーユニットの課題やデメリットについて確認しましょう。

セーフティリレーユニットの課題やデメリット

セーフティリレーユニットの課題やデメリット

セーフティリレーユニットは利点を持つ一方で、導入や運用に際していくつかの課題やデメリットも存在します。 これらを把握し、事前に対策を講じることが、安全かつ効率的な運用に繋がります。

総合的なデメリット

  • 導入時の設計難易度が高い
  • 誤配線・設定ミスによる誤動作のリスク
  • 誤作動を回避するための定期点検が必要

たとえば、複数の安全機器を連動させる構成の場合、誤った回路構成によってシステム全体が停止してしまうことがあります。 また、ネットワーク対応型ユニットでは、通信障害やアップデートによる互換性の問題が課題となるケースも見られます。

これらの課題に対応するには、熟練したエンジニアによる設計・保守と、製品選定時の情報収集が重要です。 次は、一般的なセーフティリレーユニットの仕組みと、どのように使われているかを見ていきましょう。

一般的なセーフティリレーユニットの仕組みと使い方を解説

一般的なセーフティリレーユニットの仕組みと使い方を解説

セーフティリレーユニットの基本的な仕組みは、「入力」「論理演算」「出力」の3ステージに分けて理解可能です。

まず、入力としては非常停止スイッチや光電センサー、安全マット、ドアスイッチなどの安全機器が使用されます。 入力情報は、セーフティリレー内部で演算され、「OR」「AND」「遅延」などの安全論理によって処理され、問題が検知されれば出力側でリレー接点を切断し、対象機器への電力供給を即座に停止させる、といった流れです。

たとえば、作業員が作業区域に侵入するとドアスイッチが反応し、セーフティユニットが機械の動作を止めるという連携が行われます。 このように、ユニットは「停止させるまでの処理」を高速かつ確実に実行する役割を担います。

使い方としては、製品マニュアルや各種規格に準拠しながら配線・設定を行い、動作テストと定期的な点検を実施することが必要です。 近年では、設定ソフトウェアや診断ツールの活用により、設置から保守までの負担が軽減されつつあります。

セーフティリレーユニットは、正しく仕組みを理解したうえで運用することで、職場の安全性と生産効率の両立に貢献するでしょう。

セーフティリレーユニットの正しい選び方とは? いくつかの観点から解説

セーフティリレーユニットの正しい選び方とは? いくつかの視点で解説

セーフティリレーユニットを導入する際には、選定ミスによって安全性や生産効率に支障をきたす可能性があります。 ここではいくつかの観点から、失敗しない選び方をわかりやすく解説します。

安全機能(非常停止やインターロックなど)を確認する

セーフティリレーユニットの選び方ポイントとして挙げられることのひとつは、セーフティリレーユニットの安全機能(非常停止やインターロックなど)を確認することです。導入対象となる機械の危険度や、作業者がどのような環境で運用するかといった要因によって、この項目の検討優先度は左右されます。

仮に適切な安全機能が備わっていなければ、万一の異常発生時に装置を素早く停止できず、作業者が事故に巻き込まれるリスクが上昇します。 危険の大きい設備や、人の手が頻繁に入る工程では、この観点は欠かせません。

事故や人的被害を防ぐことができ、安全な作業環境を作業員に提供するためにも、機能の中身まで踏み込んでチェックしましょう。

メンテナンス性を考慮する

次に意識したいのが、セーフティリレーユニットのメンテナンス性を考慮するという観点です。 設備の運転時間が長い現場や、生産停止が直接的な損失に繋がるラインにおいて重要です。 設備の稼働頻度や、社内での保守体制、さらには部品供給のスピードといった実務面の要因に左右されます。

メンテナンスがしづらい機種を選んでしまうと、突発的なトラブル時に復旧が遅れ、結果として長時間の停止や生産ロスが発生しかねません。

一方で、故障時のダウンタイムを短縮し、保守コストの削減ができるような製品を選べば、運用全体の安定感を高めることができます。

冗長性を選ぶ

そして最後に確認すべきなのが、セーフティリレーユニットの冗長性を選ぶという視点です。 生産ラインの規模や業務上の連続稼働の必要性に関係しています。 特に、24時間体制での生産や、止めることで数百万円単位の損失が発生するような業界では、冗長構成を無視することはできません。

万が一、ユニットの一部が故障した際に安全停止し、危険を回避できるようにするためには、あらかじめそのような仕組みを持つ製品を選ぶことが必要です。

結果として、故障時の影響をなるべく抑え、安定した稼働を維持できるというメリットを享受することができるでしょう。

以上のような観点を押さえて検討することで、より現場に最適化されたセーフティリレーユニットの選定が可能になります。次は、主要なメーカーについて詳しく見ていきましょう。

おすすめのセーフティリレーユニットメーカーを厳選して紹介!

セーフティリレーユニットの選定で迷ったときに役立つ、おすすめのメーカーと製品を紹介します。 技術力、製品ラインアップ、信頼性といったさまざまな視点から、注目すべきメーカーを厳選しました。

※JET-Globalの問い合わせフォームに遷移します。
※一部メーカーとは提携がない場合がありますが、ユーザー様に最適なご案内ができるよう努めています。

日本制禦機器 / Nihon Seigyo Kiki

メーカー名 日本制禦機器 / Nihon Seigyo Kiki
設立年 1959年
本社 大阪府高槻市
概要 制御機器の専門メーカー

日本制禦機器は1959年に設立され、大阪府高槻市に本拠を構える制御機器の専門企業です。 情報通信・計測・機械など多岐にわたる制御ユニットの開発・製造を手がけ、特に産業用途での信頼性に強みを持っています。

セーフティリレーユニットとしては、DMD-101DC、DPD-101DC、DME-110AC、DPE-120DCなどがラインアップされています。 増設ケーブル1本で簡単に接点増設が可能な構造や、DINレール対応設計により、設置と保守の柔軟性に優れている点が特徴です。

オムロン / Omron

メーカー名 オムロン / Omron
設立年 1948年
本社 京都府京都市
概要 制御機器と社会システムの総合メーカー

オムロンは1948年設立、京都府京都市に本社を構える、制御機器や社会システム、電子機器まで幅広く展開する大手企業です。 安全制御分野においても技術力は高く、工場の自動化を支える中核製品としてセーフティリレーユニットを提供しています。

同社の製品には、G9SAシリーズ、G9SBシリーズなどがあります。 ワンタッチ接続対応の増設ユニットや、タイムディレイ調整機能などが搭載され、柔軟な構成が可能です。

フエニックス・コンタクト / Phoenix Contact

メーカー名 フエニックス・コンタクト / Phoenix Contact
設立年 1923年
本社 ドイツ・ノルトライン=ヴェストファーレン州
概要 産業用接続機器・制御機器のグローバルメーカー

フエニックス・コンタクトは1923年設立、ドイツを拠点に世界中に展開する産業用制御・接続機器の大手企業です。 高機能・高信頼性を両立したセーフティ機器を多数開発し、グローバル市場でも高い評価を受けています。

セーフティリレーユニットの製品ラインアップを多種展開しています。 国際的な安全規格を取得した製品で、グローバル対応力と規格準拠を重視するユーザーにとって魅力的です。