サービスロボット

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スーパーマーケットやオフィスビルのお掃除ロボットや飲食店の配膳ロボットなど、日常生活の場で稼働するロボットを最近よく目にするようになりました。

これらのロボットはサービスロボットとも呼ばれ、人手不足の解消や顧客サービスの向上を目的として、多くの企業で導入が進んでいます。しかし、依然として普及のさなかということもあり、どんなサービスロボットがあるのか、どのようにして選べばよいのかなど、わからないことも多いという方もいらっしゃると思います。

本記事では、RobiZy事務局監修のもと、さまざまな種類のサービスロボット、活用例、導入のメリットやそれにに伴うデメリット、選び方や現在サービスロボットを扱っているメーカー・代理店などを解説します。初めて導入を検討する方からロボットの買い替えを検討している方まで、参考になる情報を記載しました。ぜひご一読ください。

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RobiZyの活動の根底にあるのは、技術とビジネスは別物という認識と、ロボットを通して社会やユーザーが本当に求めている価値を実現するという強い意志です。今後もロボットビジネスの可能性を広げるべく、実践的な支援と社会実装に取り組んでいきます。

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目次

サービスロボットとは? 国際標準化機構や国際ロボット連盟の定義を解説

サービスロボットとは
サービスロボットとは、人に対して物理的・心理的・知的なサービスを提供することを目的としたロボットです。飲食店や病院に限らず、オフィスや工場などさまざまな環境で活用されています。以上のようなサービスの提供によりタスクを自動化することで、さまざまな効率化を実現し、人手不足などの現実の課題を解決しています。

ISO 8373(国際標準化機構)では、次のように定義されています。

    工場内の産業用自動化装置を除く、人間または装置に対して有用なタスクを行うロボット

    (英語原文)A service robot is a robot that performs useful tasks for humans or equipment excluding industrial automation applications.

以上のような定義に基づくと、サービスロボットは以下のような場面での利用が想定されていることになります。

  • 小売・飲食だけでなく、医療・介護・清掃・建設・農業・物流倉庫・空港・公共施設・教育・オフィスなどの非製造環境
  • 工場内でも物流支援や巡回点検、清掃など「人にサービスを提供する用途」であれば対象として含む

また、International Federations of Robotics(国際ロボット連盟)やロボット工業会、そしてRobiZyにおいては、サービスロボットは「人に物理的・心理的・知的支援を行うロボット」と理解しており、用途も国際標準化機構の提案しているものと概ね同様です。

さらに国際ロボット連盟は、サービスロボットを以下のように詳しく分類しています。

  • パーソナル用サービスロボット(Personal Service Robot)
  • 家庭・個人向け(例:掃除ロボット、介護補助)

  • プロフェッショナル用サービスロボット(Professional Service Robot)
  • 業務用(例:物流ロボット、医療ロボット、警備ロボット)

参照: International Federation of Robotics, https://ifr.org/

以上から、サービスロボットは飲食店などのサービス業界に限らず、様々な業界で使用することができるのが特徴です。また、近年になってさまざまなサービスロボットが登場してきていることから、徐々に日常においても見られるようになってきています。

次の章ではサービスロボットの種類について、より詳しくみていきましょう。

サービスロボットとして挙げられる主要8種類と活用場面例

サービスロボットの種類と活用事例
サービスロボットには様々なものがありますが、メジャーなサービスロボットとして以下の8種類が挙げられます。以下ではそれぞれのサービスロボットの簡単な説明と関連記事を紹介します。

配膳ロボット

配膳ロボットは、主に飲食店やホテルなどで、お客様に自動で配膳する役割を担うロボットです。

これらのロボットは、注文された料理やドリンクを運搬し、あらかじめ決められた場所(テーブル)に自動的に移動する。配膳中はセンサーで障害物や人を検知して安全に回避・停止します。

急な欠勤や採用難航などが原因の人手不足を解消したり、ロボットの存在が新たなコミュニケーションを生み、顧客満足度を向上させ、売り上げアップにつながるなどのメリットが挙げられます。

配膳ロボットは、特に飲食店などでの配膳作業に特化しています。配膳ロボットについて、詳しくは以下の記事を参考にしてください。

配送・運搬ロボット

配送・運搬ロボットは、物流拠点や小売店舗などで様々な荷物や商品を配送するために設計されたロボットです。

EC市場の拡大などにより宅配需要が急増し、配達員の負担も増加する中、配送ロボットは複数の依頼を同時に処理でき、効率的な配送が可能なので、物流分野の人手不足や買い物弱者対策などの課題解決のための早期の社会実装が期待されています。

広い敷地内や観光地などで活用されており、将来的には、物流業界の配送を担うことを目的に、開発・導入が進んでいます。配送ロボットについて、詳しくは以下の記事を参考にしてください。

受付・案内ロボット

受付・案内ロボットは、人間の代わりにお客様との対話や接客を担当するロボットです。AIや独自の接客プログラムを搭載しており、お客さまからの質問対応や商品案内など、さまざまな形での接客応対をします。

また、24時間稼働が可能であり、時間や人件費の削減にもつながるうえ、多言語対応や顔認証技術を導入することで、外国人観光客への対応やバリアフリーの改善をすることが可能です。

受付・案内ロボットは、来客を迎えるファッションブランドやホテルなどで、人型のデザインとおもてなし機能が重宝されています。詳細は以下の記事をご覧ください。

警備ロボット

警備ロボットは、高機能カメラ、センサー、画像認識AIなどを搭載し、自律運転で巡回しつつ、必要に応じて遠隔操作・監視も行えるハイブリッド型のロボットです。

カメラやセンサーなどの最新のロボット技術を駆使して、入力されたプログラムに従って24時間365日安定した警備を提供してくれるため、人間の警備員では難しい長時間の監視も可能にし、警備業務を補完できるようになりつつあります。

近年では、通常時は自律的に巡回し、異常検知時や判断が必要な場面では管制センターのオペレーターが遠隔で対応する準自律運転モデルが主流です。主にショッピングモールやオフィスビル、工場や病院などで活用されることが多いです。詳しくは以下の記事をご覧ください。

清掃ロボット

業務用清掃ロボットは、清掃箇所を学習し、障害物を避けながら自律清掃を行うロボットです。

毎日の清掃を自動で行い、業務効率を大幅に改善します。従業員の身体的負担を軽減し、業務時間の短縮にも貢献します。24時間稼働が可能で、人件費と比較してコスト削減が期待できます。

また、事務作業や育成が不要で、ボタンを押すだけで簡単に操作できる機体が多いです。さらに、ロボットは均一的に全面清掃を行うため、安定した高品質の清掃が可能です。

特に、オフィスビルやスーパーマーケット、飲食店、宿泊施設、医療機関、工場、小売店などで広く活用されています。清掃ロボットについて詳細は次の記事をご参照ください。

介護・福祉ロボット

介護・福祉ロボットは、ロボット技術を応用した、利用者の自立支援や介護者の負担の軽減に役立つ介護機器のことを指します。

介護者による移乗の支援をする装着型パワーアシストスーツや認知症の方をモニタリングできる見守りセンサー、利用者の移動を支援する歩行アシストカートなど、介護活動や福祉活動にまつわる支援をするのがこのロボットです。

近年は厚生労働省が積極的に開発支援などを行っているため、さまざまな介護・福祉ロボットが生まれています。介護・福祉施設や老人ホームへの導入はもちろんのこと、個人を対象にした介護ロボットも存在しています。詳しくは以下の記事をご一読ください。

医療ロボット

医療ロボットは、医療機器として使用される支援ロボットです。

医師や看護師と協力して、手術、診断、治療、患者のモニタリングなどのタスクを支援します。例えば手術に使用される医療ロボットは高い精度で手術を実行できるため、ヒューマンエラーを最小限に抑えることができます。

近年は医療ロボットによって微細な手術や内視鏡手術を行えるようにもなってきているため、今後さらに導入が進んでいくことが期待されています。

教育・接遇支援ロボット

教育・接遇支援ロボットは、発達支援や外国人との多言語コミュニケーションに使われる小型ロボットのことです。受付・案内ロボットとは異なる文脈で使用されます。

二足歩行や起き上がる、踊る、言葉や身振り・手振りを使った自然な対話など、豊かな表現力により、人との間に言語的・非言語的な関わり合いを創出できます。こうしたロボットは意図的に不完全であること(「弱い」ロボットとも言います)により、周囲の人間のパフォーマンスを引き出します。

活用の場を徐々に広げつつあり、現在は特別支援教育などの発達支援や多言語コミュニケーションの場で活用されています。

以上、主要なサービスロボット8種類を紹介しました。ここまでサービスロボットについて詳細に説明してきましたが、ロボットにはサービスロボットのほかに、産業用ロボットが存在します。前の章で国際標準化機構によるサービスロボットの定義を見ましたが、産業用ロボットとはどのように違うのでしょうか。次の章でもう少し詳しく説明します。

産業用ロボットとサービスロボットの違い

産業用ロボットとサービスロボットの違い
ロボット技術はさまざまな分野で活用され、「産業用ロボット」と「サービスロボット」に大別されます。それぞれの特徴を見ていきましょう。

産業用ロボットは、主に工場の製造現場で使用されます。自動車や電子機器の組み立て、加工、溶接、塗装など、製造ラインの一部を担い、高精度かつ高速で作業を行うことが特徴です。

これらのロボットは特定の場所に設置され、プログラムによって正確な動作を繰り返します。多くの場合、移動は限られた範囲で行われますが、自動運搬車(AGV)など移動機能を持つものもあります。

ISO 8373(国際標準化機構)による定義には次の通りです。

    産業環境における自動化アプリケーションで使用するために、所定の位置に固定することも、移動プラットフォームに固定することもできる、3軸以上のプログラムが可能な、自動制御式多目的マニピュレーター

    (英語原文)automatically controlled, reprogrammable multipurpose manipulator, programmable in three or more axes, which can be either fixed in place or fixed to a mobile platform for use in automation applications in an industrial environment.

一方、以上の産業用ロボットの説明を踏まえると、サービスロボットは産業用ロボット以外の用途で使用されるロボットの総称です。屋内用としては家庭での掃除や介護、オフィスでの案内業務を行うロボットがあります。

屋外用には農業用ロボットや配達ロボットなどが含まれます。また、業務用ロボットは病院やホテルなどで案内や運搬、清掃を行い、個人用ロボットは家庭内でのエンターテインメントや生活支援を目的としています。

産業用ロボットは製造業に特化しており、繰り返し作業や精密な作業を高速で行うために設計されています。一方、サービスロボットは日常生活や業務の中で人々の利便性を向上させるために設計され、多様な環境や用途に対応します。

次の章では、サービスロボットを導入するメリットと課題について説明します。サービスロボットを使用することによる恩恵は多々ある一方、導入に際した課題も存在します。サービスロボットの運用には適切な理解が求められるため、導入を検討している方はぜひご一読ください。

サービスロボットを導入するメリットと課題

サービスロボットのメリットと課題
サービスロボットを導入するメリットは確かにありますが、導入する上で課題となる点も存在します。それぞれを比較し、納得感のある導入を行いましょう。

メリット

サービスロボットを導入するメリットには、次のようなものが挙げられます。

メリット

  • 労働力不足の解消
  • 生産性の向上
  • 顧客体験の向上
  • QoL(生活の質)の向上
  • サービスの均質化・標準化
  • 業務の安全性向上
  • ブランディング・集客効果
  • データ取得とDX基盤の構築

労働力不足の解消

サービスロボットは仕様の稼働時間以内であれば休むことなく動作することができるため、人手不足を解消したり、人材不足を補完することができます。

以上のような効果は、以下のような具体的な場面で発揮されます。

  • 人が不足しがちな夜間や休日でも、警備ロボットは休まずに動作が可能
  • 非接触でホテルのチェックインを行うことで、感染症のリスクを減らしつつ、効率的なサービスを提供可能

生産性の向上

サービスロボットは作業が効率化できるため、同じ時間で多くのアウトプットを出せます

効率的、かつ安定的にアウトプットを出せるため、特に以下のようなシーンで活用されることが多いです。

  • 労働力不足が深刻な介護分野で、サービスロボットは介護補助や見守りとして活躍し、生産性を向上
  • 薬剤や検体などを正確に、迅速に搬送することで、医療スタッフの負担を軽減

顧客体験の向上

ロボットによるユニークなサービス提供は、顧客に新しい体験を提供し、満足度を向上させます。

そのため、以下のようなメリットを提供してくれます。

  • ロボットが顧客に対して商品情報を提供し、購買体験を向上
  • ロボットを活用したショーやアトラクションで、来場者に特別な体験を提供

QOL(生活の質)の向上

QOL(生活の質)は、特に介護や医療、家庭向けロボットで最重要視される指標です。高齢化社会でのQOL向上は、定量的指標よりも定性的価値が大きいと考えられています。

QOLは”Quality of Life(クオリティ・オブ・ライフ)”の略称で、「生活の質」や「人生の質」などと訳されます。一般的には、人が生きていく上で感じる満足度や幸福感を指す主観的な概念です。

具体的には、次のような場面とこの指標は関わります。

  • 排泄支援ロボットによる尊厳の保持
  • 見守りロボットによる孤独感の緩和
  • 家庭での清掃支援による自由時間の確保

サービスの均質化・標準化

ロボットは作業の質が人によって差が生じないため、どの時間帯・どの場所でも同じレベルの対応が可能です。

以上のようなシーンとして想定できるのは次のとおりです。接客レベルのばらつきを低減します。

  • ホテルのチェックイン
  • 飲食店の受付、案内業務

業務の安全性向上

危険な作業や深夜業務をロボットに任せることで、人間の労災リスクを低減します。こうした取り組みによる安全性の向上は離職率の改善にも役立ちます。

具体的には、次のような場面でロボットの使用を想定できます。

  • 建設現場の測量ロボット
  • 病院での薬剤搬送ロボット
  • 警備ロボットの夜間巡回

ブランディング・集客効果

ロボットの導入により、企業の先進性や話題性、テック感の訴求が可能です。特に子どもや観光客向けの店舗・施設では、非日常体験を提供できることが価値になりえます。

また、店舗や施設を訪れたユーザーのSNS投稿による二次的な集客や宣伝効果も期待されて導入するケースもあります。

データ取得とDX基盤の構築

サービスロボットにはカメラやセンサー、通信機能があるので、「現場のデータ化」、つまりDXの第一歩となりえます。例えば、CRMや在庫管理、施設管理などの他システムとの連携により、業務最適化へ発展させることが可能です。

具体的には、次のようなデータ化が可能になります。

  • 来店者数・移動パターンの記録
  • 商品前での立ち止まり情報

導入の課題・デメリット

一方で、サービスロボットを導入する上で、以下のような課題やデメリットがよく挙がります。

課題・デメリット

  • 技術者不足
  • ユーザーのロボットリテラシー不足

技術者不足

サービスロボットの開発やメンテナンスには専門の技術者が必要ですが、技術者不足により多くの企業が課題に直面しています。技術者の不足は開発企業だけの問題ではなく、多方面に影響を及ぼすため、デメリットになる可能性があります。

具体的には、開発速度の遅延、メンテナンスの遅延、高コストの技術者採用、教育とトレーニングの必要性、技術の進化への対応などです。

こうしたリスクに対処するため、企業は社内教育プログラムの強化、外部パートナーシップの活用、リモートメンテナンスと自動化の推進、技術者の待遇改善を行うことが重要です。これにより、技術者の確保と育成が促進され、サービスロボットの運用効率が向上します。

ユーザーのロボットリテラシー不足

ロボットを実際に活用するスタッフにも、ロボットリテラシーが求められます。

ロボットの操作や機能について十分な知識を持たない場合、企業は操作ミスやサポートコストの増加、ユーザーエクスペリエンスの低下、安全性の懸念などの課題に直面します。

以上のリスクに対処するため、以下のことを実施することでデメリットを軽減しましょう。

  • ロボット導入前後に教育プログラムを実施し、操作方法や機能の理解促進
  • オンライン講座や実地トレーニングを通じて、使用者は適切な知識を学ぶ

以上、サービスロボットを導入することのメリットと課題・デメリットを紹介しました。メリットと課題・デメリットを把握することは、サービスロボットを導入することで期待している状況を獲得できるのかに関わるため、重要なステップになります。

次の章では、実際にサービスロボットを選ぶとなった際の選び方について説明します。ここまで説明してきたように、サービスロボットにもいろいろな種類があるので、適切なロボットを選ぶためにも、次の章をぜひお読みください。

6つの比較基準 | サービスロボットの選び方

サービスロボットの選び方

この章では、サービスロボットと呼ばれるロボットの中から、ふさわしいものを選ぶ際に念頭に置いておくとよい項目を紹介します。数あるサービスロボットの中で、導入するものに悩んだ場合は以下の指標に参考に選ぶことがおすすめです。

ロボットの機能

サービスロボットには様々なものがあるため、それぞれの機能や用途を最初に決めることで、比較すべきサービスロボットが決まります。

以下に、様々なサービスロボットの機能、それぞれに適した用途、そして期待される効果を紹介しますので、参考にしてみてください。

機能 活用場面 期待される効果
配膳ロボット 飲食物の自動運搬、目的地ナビゲーション、障害物回避 飲食店、ホテルのレストラン、病院の食堂 スタッフの業務負担軽減、回転率向上、顧客満足度向上
配送・運搬 ロボット 荷物搬送、自律移動、エレベーター連携 倉庫、病院、オフィスビル、ショッピングモール 物流効率化、業務の省人化、ヒューマンエラー削減
受付・案内ロボット 来客対応、案内、顔認証、予約確認、音声対話 ホテル、商業施設、企業受付、観光施設 業務自動化、非接触接客、訪問体験の向上
警備ロボット 自律巡回、カメラ監視、画像解析、遠隔通報 工場、ショッピングセンター、病院、物流拠点 24時間監視強化、警備人員の補完、安全性向上
介護・福祉ロボット 移乗支援、移動支援、排泄支援、モニタリング 介護施設、デイケア、老人ホーム、個人宅 介護者の負担軽減、使用者の自立支援、QOLの向上
医療ロボット 診療補助、手術支援、薬剤搬送、患者モニタリング 大学病院、地域クリニック、介護施設 医師・看護師の負担軽減、精密診察支援、感染症対策
教育・接遇支援ロボット 特別支援教育、多言語コミュニケーション支援、校内ガイダンス 学校、公的施設 教育実施の補助・パフォーマンス向上、会話の補完

ロボットのサイズ

ロボットのサイズは、機能、適用範囲、操作性、コストなどに影響を与えます。

それぞれのメリットを以下に記載しました。用途に対して必要な機能やメリットが多いサイズを選ぶことがおすすめです。

ロボットのサイズが大きいことのメリット

  • 重い荷物の運搬や複雑な作業が可能
  • 安定して作業でき振動やバランスの問題が少ない
  • 多くのセンサーやアクチュエータを搭載可能で、多様なタスクをこなせる

ロボットのサイズが小さいことのメリット

  • 狭いスペースも通れるなど移動性が高く、運用しやすい
  • 設計や製造のコストが低い傾向にあるため、手頃な価格で購入できる
  • 電力効率が良くバッテリー寿命が長いことがある

ロボットの情報処理能力

ロボットの情報処理能力の変動で一番大きく変わるのは、マルチタスクの可否と価格です。

処理したい作業にマルチタスクが求められるのか、そして確保できる予算に対して超過しないか、そして予算に対して適切な効果を得られるのかを考えて、貴社に適したサービスロボットを選ぶことがおすすめです。

ロボットの情報処理能力が高い場合のメリット

  • タスクを迅速に完了できるため生産性が高い
  • AIや機械学習などの高度な技術を活用できるため、より賢い意思決定が可能
  • 複数の作業を同時に行うことができ効率的な運用が可能

ロボットの情報処理能力が低い場合のメリット

  • 運用コストが低く抑えられる
  • シンプルなタスクに特化しているため操作やメンテナンスが容易
  • 一般的に電力効率が良い

ロボットの稼働時間

ロボットの稼働時間が変動すると、連続運転時間や充電回数、運用スケジュールが変わります。

ポイントは、何時間の連続運転が必要かという点です。ロボットを何台も導入できるのであれば、ロボットの稼働時間が短くてもロボットの台数でカバーできます。

また、こまめに充電ができる場合、それほどロボットの稼働時間や充電容量は考慮する必要はないかもしれません。

一方で、少ない台数で長時間の稼働を求める場合は、稼働時間が長いロボットを選ぶことで効率的な運用が可能になります。

ロボットの稼働時間が長い場合のメリット

  • 人間の作業者に代わって長時間稼働できるため、生産性が向上
  • 長時間稼働することで人件費を削減でき、特に夜間や休日の作業に有効
  • 運用スケジュールを柔軟に設定可能

ロボットの稼働時間が短い場合のメリット

  • 一般的に低コストで導入しやすい
  • 短時間稼働はバッテリー消費を抑えられる
  • 充電などメンテナンスが比較的容易
  • ロボットのパワー

    ロボットのパワーは、一度に可搬できる物量やワークの重さの大小に関係します。

    パワーが強いロボットは、重量が重い荷物を運べたり、比較的早い速度での移動が可能で、パワーが弱いと耐荷重が軽くなったり移動速度が遅くなったりします。

    ロボットのパワーが強い場合のメリット

    • 重い物体を運べたり、速い速度で移動できる
    • 作業を迅速にこなすため、定形業務における生産性が向上
    • 幅広いタスクに対応できるため柔軟性が生まれる

    ロボットのパワーが弱い場合のメリット

    • バッテリー消費効率が良く電力消費が少ない
    • 低コストで導入できるため予算に制約のある場合に導入しやすい

    通信機能

    通信機能に関する仕様が変動すると、ロボットの運用能力や対応範囲に大きな影響があります。

    例えば、通信機能について注意すべきポイントは、通信可能な範囲の広さやデータの送受信量です。この2つによって、サービスロボットの活用範囲と受け付けられる指示の複雑さが決まります。

    良い通信機能が搭載されていることのメリット

    • 広い範囲での作業が可能
    • 大量のデータを迅速に送受信できるため複雑な指示や大規模なシステムとの連携がスムーズに活用できる
    • 遠隔地からの精密なコントロールが可能になり遠隔監視や遠隔支援が実現

    通信機能がない場合のメリット

    • 一般的にコストが低く抑えられる
    • 基本的な通信機能のみを持つロボットはセットアップや運用が簡単
    • 限られた通信機能を持つためセキュリティ管理が比較的容易

    以上、サービスロボットを選ぶ際に検討するとよい項目について解説しました。一般的にサービスロボットと総称されるロボットから選ぶ際の要検討項目として、ぜひ参考にしてください。次の章では、実際にサービスロボットを開発・製造しているメーカーや販売している代理店を紹介します。

    サービスロボットを製造・販売するメーカー・代理店

    ここからは、サービスロボットを開発・製造している有力メーカーや販売している代理店を紹介します。サービスロボットを取り扱っている企業は多くありますが、以下の企業を参照点にぜひ導入を検討してみてください。

    サービスロボットのメーカー

    サービスロボットを製造する主なメーカーとして、以下の企業が挙げられます。

    • ロボットバンク/RobotBank
    • オリオンスターロボティクス/OrionStar Robotics
    • プードゥーロボティクス/Pudu Robotics
    • エイム・テクノロジーズ/AIM Technologies

    ロボットバンク / RobotBank

    メーカー名 ロボットバンク / RobotBank
    設立年 2022年
    本社 東京都新宿区
    概要 AIシステムの受託開発・導入コンサルティングやロボットに関する研究開発、製造、販売事業など

    東京都新宿区に本社があるロボットバンクは2022年に設立されました。AIシステムの受託開発、導入コンサルティングやロボットに関する研究開発、製造、販売事業、ロボットDXソリューション事業などに取り組んでおり、各国にあるネットワークを駆使して先端技術の導入や企業の生産性革新を推進できることが強みです。

    同社は、屋内用として配膳ロボット、受付ロボットなどのロボットを提供しているほか、AMR搬送ロボットやドローンなども扱っています。

    OrionStar Robotics/オリオンスターロボティクス

    メーカー名 OrionStar Robotics/オリオンスターロボティクス
    設立年 2016年
    本社 中国・北京
    概要 受付ロボット、配送ロボットなど各種類なサービスロボットを開発・製造・販売

    オリオンスターロボティクスは、2016年9月に設立された先端的なサービスロボットソリューションを提供する企業です。

    AIロボット技術を駆使し、人々を繰り返し作業から解放し、生活と仕事をよりスマートにすることを目指しています。音声認識、画像識別、ナビゲーション、ビジュアルアルゴリズム、マルチチップシステムなど、全モジュールを自主開発する技術力を誇ります。

    オリオンスターロボティクスの強みは、以下の点にあります。

    • 総合的な技術力:音声認識、画像識別、ナビゲーションなど、最先端の技術を全て自社開発しており、ロボットの高い性能と信頼性を実現
    • 多様な製品ラインアップ:受付ロボットや配送ロボット、さらにはコーヒーを作るロボットなど、多種多様なロボットを開発
    • カスタマイズ可能なソリューション:顧客のニーズに応じて、ロボットの機能やデザインをカスタマイズ可能

    Pudu Robotics/プードゥ・ロボティクス

    メーカー名 Pudu Robotics/プードゥ・ロボティクス
    設立年 2016年
    本社 中国・深圳
    概要 サービスロボットの研究開発、製造、販売

    プードゥ・ロボティクスは、商業サービスロボットの設計、研究開発、製造、販売に特化した国際的なハイテク企業です。2016年に深圳で設立され、現在は世界60か国以上で約70,000台を出荷しており、1,500以上の特許を持っています。

    同社のサービスロボットは、ガスト、しゃぶ葉、バーミヤン、サイゼリヤ、焼肉の和民、日高屋、和食さとなどの飲食業界での導入が進んでいます。

    エイム・テクノロジーズ/AIM Technologies

    メーカー名 エイム・テクノロジーズ/AIM Technologies
    設立年 2019年
    本社 東京都港区
    概要 AIサービスロボットの開発・製造・販売、エレベータ連携ソリューション開発・製造・販売など

    エイム・テクノロジーズは、2019年9月に設立された企業です。AIロボット開発、ソリューション、スマートヘルス、ホテルサービス支援事業など、多岐にわたるテクノロジーを世界市場で展開しています。

    同社のサービスロボットは、オフィスビル、医療・介護施設、ホテルなど、様々な業界で導入されており、例えばオフィスビルのエレベーター連携を活用した自律走行を開発して提供したり、医療・介護施設ではサービス支援を提供しています。

    サービスロボットの代理店

    センシードロボティクス/Senxeed Robotics

    メーカー名 センシードロボティクス/Senxeed Robotics
    設立年 2020年
    本拠地 東京都港区
    概要 ロボット活用サービス事業、販売代理店

    センシードロボティクスは、インダストリーに合わせた複数のロボットを組み合わせたソリューションやサービスを企画・開発して提供している企業で、2020年に設立されました。

    ロボット・インダストリーソリューションの企画・開発・展開、ロボット導入コンサルティング支援、ロボット活用サービスの企画・開発・展開、ロボット向けアプリケーションの設計・開発
    AI/IoT機器の企画・開発・販売などを行っているのが事業の特徴です。

    センシードロボティクスのロボットは、AI案内ロボット「Cruzr」やエレベーターに乗れる配送ロボット「GAEMI」、広告周遊ロボット「CADEBOT」などを販売しています。こうしたロボットは、観光案内所、物産センター、道の駅、ショールーム、ミュージアム、ホテル、小売店など、多岐にわたる場面ですでに活用されています。

    まとめ

    サービスロボットは、配膳ロボット、配送・運搬ロボット、医療ロボット、受付ロボット、警備ロボットなど、多岐にわたる種類があります。それぞれが特定の業務を効率化し、人手不足の解消や顧客体験の向上に寄与しています。近年では、飲食店やホテル、医療・介護施設などでの導入が進んでおり、需要が高まっている状況です。

    サービスロボットの導入を検討する際には、自店舗や施設の課題やニーズ、予算を考慮したうえで、ここまで紹介してきたポイントをもとに比較検討することが重要です。特に海外製ロボットの場合、代理店によってサポート体制が異なることがありますので、導入後に困ることがないよう重要事項は確認するようにしましょう。

    また、導入コストがネックになる場合は、助成金や補助金の利用についても検討しましょう。これらのサービスを提供する企業に相談することで、よりスムーズに導入を進めることができます。サービスロボットを効果的に活用することで、ぜひ貴社の業務の効率化やサービス品質の向上を実現してください。

    以上、サービスロボットについて詳しく解説しました。サービスロボットの導入を検討したいという方は、以下のボタンよりお気軽にお問い合わせください。

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