単軸ロボット

単軸ロボット

単軸ロボットは、直線方向にのみ移動するシンプルで高精度なロボットシステムです。

この記事では、単軸ロボットの基本的な構造から、各タイプの特性、活用事例に至るまで、詳細に解説します。

また、導入に失敗しないための単軸ロボット選び方や、当編集部がおすすめするメーカーの情報比較も行います。

生産性向上やコスト削減を目指す方々にとって、単軸ロボットの活用は大きな一歩となるでしょう。

とりあえず話を聞きながら考えたい方やすぐにメーカーへ問い合わせをしたい方は、以下のボタンからお問い合わせください。担当者におつなぎいたします。

目次

単軸ロボットとは? 特徴や活用例などを解説

単軸ロボットとは? 特徴や活用例などを解説

単軸ロボットは、1つの軸(直線方向)での移動を行うロボットです。

主に自動化された生産ラインや搬送システムで使用され、物体を特定の位置に配置したり、一定の方向に移動させたりする作業に利用されます。

単軸ロボットの特徴としては、構造が単純であるため、他の産業用ロボットと比べて比較的安価で導入しやすい点が挙げられます。また、動作の精度が高く、限られた範囲での繰り返し作業が得意です。

活用例としては、製造業の組立ラインや検査ライン、パーツ供給システムなどで活躍しており、効率化やコスト削減が期待できるロボットとして注目されています。

単軸ロボットの概要を理解できたところで、次章では、単軸ロボットを種類別に分けて、それぞれの特徴を見ていきます。

3種類の単軸ロボットのメリット・デメリットをそれぞれ紹介

3種類の単軸ロボットのメリット・デメリットをそれぞれ紹介

本章では、単軸ロボットを駆動方式による3種類に分けて、それぞれの特徴やメリット・デメリットを紹介します。

ボールねじ駆動タイプ

ボールねじ駆動タイプは、モーターの回転運動をボールねじにより直線運動に変換する単軸ロボットです。

ボールねじ駆動タイプのメリット

  • 高精度な位置決めが可能
  • 高剛性で重負荷に対応
  • 安定した動作と優れた耐久性

ボールねじ駆動タイプのデメリット

  • 長ストロークでは速度制限がある
  • 定期的な潤滑が必要
  • ストロークが長くなると価格が上昇

ベルト駆動タイプ

ベルト駆動タイプは、モーターの回転運動をタイミングベルトで直線運動に変換する単軸ロボットです。

ベルト駆動タイプのメリット

  • 長ストローク(最大3000mm)に対応
  • 高速搬送が可能(最高2000mm/s)
  • コストパフォーマンスが良好

ベルト駆動タイプのデメリット

  • 位置決め精度はボールねじより劣る
  • ベルトの経年劣化による交換が必要
  • 重負荷への対応が限定的

リニアモーター駆動タイプ

リニアモーター駆動タイプは、モーターによって直接直線運動を生成する単軸ロボットです。

リニアモーター駆動タイプのメリット

  • 超高速動作が可能(最高5000mm/s)
  • 機械的な伝達機構が少なく保守が容易
  • 高加速度と高精度な位置決めを実現

リニアモーター駆動タイプのデメリット

  • 導入コストが高い
  • 発熱対策が必要
  • 磁気の影響を受けやすい

以上が単軸ロボットを種類分けした際の、それぞれの特徴とメリット・デメリットです。

次章では、単軸ロボットとよく混同されるロボシリンダの違いを明確にします。

単軸ロボットとロボシリンダの違いを解説

単軸ロボットとロボシリンダの違いを解説

単軸ロボットとロボシリンダは、どちらも直線方向に動くロボットですが、主に使用する目的や構造に違いがあります。

単軸ロボットは、精密な位置決めや繰り返し作業が得意なロボットで、活用用途は組立や搬送、検査作業です。

構造はモーターやアクチュエーターによって駆動され、機械的に精度が求められる用途に適しています。

一方、ロボシリンダは、電動式のアクチュエータであり、ボールねじ、リニアガイド、ACサーボモータまたはDCサーボ/ステッピングモータで構成されます。

動作が速く、精度も良好ですが、単軸ロボットと比較すると、重い荷物の取り扱いや長距離の運搬には向いていません。

次章では、単軸ロボットの構造を解説します。

単軸ロボットの構造とは?

単軸ロボットの構造とは?

本章では単軸ロボットの構造について解説します。

単軸ロボットの構造は、基本的には以下の要素で構成されます。

単軸ロボットの構成要素

  • 駆動部
  • モーターや空圧機器、リニアモーターなどを使って直線方向の動きを作り出す。

  • 制御部
  • モーターの動作を精密に制御するための制御ユニットが組み込まれている。エンコーダーを使用して、移動位置の精度を高める。

  • フレーム部
  • 軽量で剛性のある素材が使用される。ゴシックアーチ接触設計による全方向からの負荷に対応。

次章ではいよいよ、実際に単軸ロボットを選んでいく上で大切な、単軸ロボットの選定ポイントを解説します。

導入に失敗しないための単軸ロボットの選び方を解説

導入に失敗しないための単軸ロボットの選び方を解説

本章では単軸ロボットの選び方を解説します。自社の目的に合った製品を導入できるように、ぜひご一読ください。

作業要求に適したスペックを重視する

単軸ロボットを選定する際に重要なのは、ストローク長、耐荷重、精度、速度など、作業要求に適したスペックを選ぶことです。

たとえば、必要精度に満たなかったり、耐荷重が不足したりしている単軸ロボットを選ぶと、組立作業などで不具合が発生し生産性が低下したり、ロボットの稼働中に故障が起こりやすくなったりします。

特に高精度が求められる組立作業や、連続的な稼働が必要な場面では、これらのを十分に考慮しなければなりません。

正しくスペックの製品を選べれば、トラブルの少ないスムーズな運用が実現し、工場全体の効率向上に寄与するでしょう。

ロボットの制御システムとのを検討する

単軸ロボットの選び方として、その制御システムとの互換性や、既存設備とのインテグレーションの容易さを検討することも大切です。

製造ラインにおいては、使用するロボットが既存の制御システムとスムーズに連携できるかどうかが、運用の安定性に直結します。もし互換性を無視して選定を行った場合、システム全体が不安定になり、トラブルが頻発する可能性があります。

特に複数の機械が連携して稼働するラインに新しい単軸ロボットを追加する際には、既存システムとの統一を図ることが重要です。

互換性のある単軸ロボットを選ぶことで、トラブルシューティングもスムーズに行えます。

生産ラインに合わせた最適な動作速度の選定

単軸ロボットの動作速度は、生産ラインのサイクルタイムに合わせた最適な速度範囲を選びましょう。作業内容の特性や、ライン全体の速度要求に応じたロボット選定が必要になります。

もし、過剰な負荷をかけて単軸ロボットを高速で稼働させると、ロボット自体に過剰なストレスがかかり、最終的には故障を引き起こす可能性があります。一方、速度が遅すぎると、生産効率が低下し、作業が滞る原因となります。

生産ラインが要求する速度に合わせて単軸ロボットを選定することで、安定した生産ペースが確保でき、長期的にはロボットの寿命も延び、保守コストを抑えることができます。

以上が単軸ロボットの選び方の解説になります。上記を踏まえて次章では、当編集部がおすすめする単軸ロボットのメーカーを5社紹介します。

各社の情報を比較したうえでの強みも解説しているので、ぜひご覧ください。

おすすめの単軸ロボットメーカー5社の情報を比較! 各社の強みを解説

おすすめの単軸ロボットメーカー5社の情報を比較! 各社の強みを解説

本章では、当編集部がピックアップしたおすすめの単軸ロボットメーカー5社の情報を比較します。

比較したうえで各社の強みも解説するので、気になった会社がある場合は、問い合わせをしてみましょう。

アイエイアイ(IAI)

メーカー名 アイエイアイ(IAI)
設立年 1976年
本拠地 静岡県静岡市清水区庵原町1210
概要 小型産業用ロボットの専業メーカー

アイエイアイ(IAI)は1976年に設立された、小型産業用ロボットを専門とする企業で、静岡県静岡市清水区庵原町に本社を構えています。業界において、特に単軸・直交ロボットにおいて国内外でトップシェアを誇る実力派メーカーです。

アイエイアイの主力製品は、ISB/ISPBシリーズやISDB/ISPDBシリーズの単軸ロボットであり、その高精度・高剛性・高搬送能力・高速性を兼ね備えた性能が際立っています。

他のメーカーの単軸ロボットと比較して、特に精度と高い負荷能力に優れ、長時間の運転にも耐えうる設計が施されています。

これらは、自動車産業や電子部品製造、液晶・半導体業界など、様々な産業で利用されており、その高性能さが各分野で評価されています。

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②ヤマハ発動機(Yamaha Motor)

メーカー名 ヤマハ発動機(Yamaha Motor)
設立年 1955年
本拠地 静岡県磐田市新貝2500
概要 オートバイを中心とした輸送用機器・産業用ロボットの総合メーカー

ヤマハ発動機(Yamaha Motor)は1955年に設立され、静岡県磐田市に本社を構える、オートバイを中心とした輸送用機器や産業用ロボットの総合メーカーです。

特に、RobonityシリーズやFLIP-Xシリーズなどの産業用ロボットにおいて、高剛性・高精度・高耐久性を実現した独自のモータ減速機直結構造(完全ベルトレス構造)を採用しています。

この設計により、他のメーカーのロボットと比較して、耐久性と精度の面で優れたパフォーマンスを発揮します。

ヤマハのロボットは自動車部品製造業、食品製造業、さらには半導体製造工程などで活用されており、その高い国際競争力を発揮しています。

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③TOYO ROBOTICS(TOYO ROBOTICS)

メーカー名 TOYO ROBOTICS(TOYO ROBOTICS)
設立年 2019年
本拠地 神奈川県藤沢市江の島1丁目5番6号
概要 リニアモータ、単軸ロボット、卓上ロボットなどの電動アクチュエータの専門メーカー

TOYO ROBOTICSは2019年に設立され、神奈川県藤沢市に本社を構える電動アクチュエータ専門のメーカーです。リニアモータや単軸ロボット、卓上ロボットを中心に、カスタムやOEM対応も可能です。

TOYO ROBOTICSの単軸ロボットは、特に精度の高い位置決め性能を誇り、±0.01mmの繰り返し精度を実現しています。この高精度性能は、他のメーカーと比較しても強みであり、精密機器や特定のカスタムニーズに適しています。

カスタム対応が可能なため、さまざまな業界で活用されています。

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④平田機工(HIRATA)

メーカー名 平田機工(HIRATA)
設立年 1951年
本拠地 熊本県熊本市北区植木町一木111番地
概要 生産システム・産業用ロボットの総合メーカー

平田機工(HIRATA)は1951年に設立され、熊本県熊本市に本社を構える生産システム・産業用ロボットの総合メーカーです。

開発から製造、組立、検証、生産立ち上げ、メンテナンスまでを一貫して手がけており、MB-N120、MB-N150シリーズ、MB-207シリーズのロボットを提供しています。

これらのロボットは、1つの走行軸に複数のスライダ(駆動部)を設置可能な省スペース設計が特徴で、特に省スペースでの運用を求められる環境において強みを発揮します。

自動車産業や家電製造業、半導体製造業など、広範な産業に導入されており、その信頼性と効率性が評価されています。

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⑤ハイウィン(HIWIN)

メーカー名 ハイウィン(HIWIN)
設立年 1999年
本拠地 兵庫県神戸市西区井吹台東町7-4-4
概要 直動製品・メカトロ機器の総合メーカー

ハイウィン(HIWIN)は1999年に設立され、兵庫県神戸市に本社を構える直動製品・メカトロ機器の総合メーカーです。

世界12カ国に拠点を持つグローバル企業で、KKシリーズ、SKシリーズ、KSシリーズなどの単軸ロボットを展開しています。

ハイウィンのロボットは、メンテナンスが容易でありながら高い耐久性を持っているため、長期間の使用においても安定したパフォーマンスを発揮しやすいです。

工作機械産業、半導体製造装置産業、医療機器産業など、多岐にわたる産業で使用されており、特に精密な機器や長時間の運転が求められる分野で高く評価されています。

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