エンドエフェクタ
ロボットが活躍する製造現場で、作業の要となるエンドエフェクタ。
ワークを把持したり、検査・溶接・加工を行ったりと、その機能や特性によって生産性や品質が左右されます。
しかし、いざ導入を検討すると「種類が多くてどれを選べばいいのか分からない」「具体的なメリット・デメリットを知りたい」という悩みに直面する方も多いのではないでしょうか。
この記事では、エンドエフェクタとは何かや種類、選び方、そしておすすめメーカー情報の比較までを紹介します。
とりあえず話を聞きながら考えたい方やすぐにメーカーへ問い合わせをしたい方は、以下のボタンからお問い合わせください。担当者におつなぎいたします。
エンドエフェクタとは? 特徴や活用例などを解説
エンドエフェクタとは、ロボットアームの先端に取り付けられるツールの総称です。
例えば、ワークを掴む「グリッパー」や「真空吸着パッド」、溶接や研磨を行うための「溶接ガン」や「研磨ツール」など、ロボットが実際に作業を行う手段となるパーツを指します。
人間でいうと“手や指”の役割にあたり、そのロボットが何を行うのかを決める重要な部品となります。
エンドエフェクタは多様な業種で活用されており、自動車部品の取り扱いや食品の包装、生産ラインのピッキング作業など、その用途は幅広いです。
ロボットが担う作業の最終段階を担うため、エンドエフェクタをうまく選定・活用できるかどうかで生産効率や品質、そしてコストにも影響してきます。
ここまでで、エンドエフェクタの重要性や役割がざっくりイメージできたかと思います。次は、エンドエフェクタを種類ごとに詳しく見ていきましょう。
4種類のエンドエフェクタのメリット・デメリットを解説
エンドエフェクタにはさまざまなタイプが存在します。一般的によく利用されるものから特殊用途のものまで幅広く、各タイプによってメリットやデメリットも異なります。
ここでは、代表的な例として4種類を取り上げ、それぞれの特徴を簡潔に解説していきます。
真空吸着式エンドエフェクタ
真空ポンプやエアの流れを利用してワークを吸着し、保持するタイプのエンドエフェクタです。吸着面とワークがしっかり密着すれば、円形や平面状、袋ものなどさまざまな形状のワークを安定して扱うことができます。
グリッパー式エンドエフェクタ
「指」のような爪でワークを挟み込むタイプのエンドエフェクタです。電動式・空圧式・油圧式など動力源によってバリエーションが豊富で、小型部品のハンドリングから大型ワークの搬送まで幅広く利用されています。
マグネット式エンドエフェクタ
磁力を利用してワークを吸着・保持するタイプのエンドエフェクタです。鉄やステンレスなどの金属ワークには非常に効果的で、吸着面さえ確保できれば素早く着脱が可能になります。
溶接ガン式エンドエフェクタ
自動車や金属加工の現場で用いられる「溶接ガン」をロボット先端に取り付けるタイプのエンドエフェクタです。スポット溶接やアーク溶接など作業内容に応じてガンの形状や機能が異なり、ロボットを活用することで高精度・高速な溶接が実現できます。
ここまで各種エンドエフェクタの特徴を見てきました。用途に合わせて選択する重要性を感じていただけたのではないでしょうか。次は、最適なエンドエフェクタを選ぶための具体的な選び方を解説していきます。
エンドエフェクタの選び方を解説
エンドエフェクタを選ぶ際には、多角的な視点から検討しなければなりません。以下では、代表的な3つの選び方を順にご紹介します。
可搬重量と可動ストローク
エンドエフェクタの選び方として、扱うワークの質量や形状に応じた余力のある可搬重量と、十分な可動ストロークを持つかという視点があります。
これはワーク重量や寸法、ロボット本体との取り付け位置、そして動作時の加速度といった要因によって変動します。
もし許容量を超える負荷やストローク不足のまま運用すると、動作不良や部品破損を招き、生産ラインにトラブルを起こしかねません。
また、ワークサイズや質量がまちまちで生産ラインの汎用性を高めたい場合には、特に重視したい要素です。
こうした要件を満たすエンドエフェクタを導入すれば、作業領域やワークバリエーションが拡大し、さまざまなタスクに柔軟に対応できるようになるでしょう。
センサーとコントローラ連携
接触力や位置検知、異常検知などのセンサー機能を備え、コントローラとの連携性が高いかどうかも重要です。
これはワークの精密度合いや位置合わせ精度、要求される品質レベルによって、求められる機能が大きく変わります。
もし適切なセンサーや制御がない状態で運用すれば、ワークのズレや異常を見落として品質不良や装置トラブルを発生させてしまうリスクが高まるでしょう。
特に高精度な位置決めや異物混入検知など、微細な不具合も許されない工程では慎重な検討が必要です。
逆にセンサー・コントローラ連携をしっかりと確保することで、リアルタイムに状態を把握しつつ安定した作業を行えるため、生産効率と品質を同時に高めることが期待できます。
取り付け容易性と互換性
最後に紹介するエンドエフェクタの選び方は、ロボット本体への取り付けが容易かどうか、標準化されたコネクタや通信規格に対応しているかです。
これは、使用するロボットメーカーや制御方式、電気・空圧配管の仕様との互換性によって左右されます。
もし互換性がないエンドエフェクタを導入すると、ライン変更や修理の度に改造や追加コストが発生し、結果的に生産性を下げる恐れがあります。
製造ラインを定期的に組み替えたり、異なるロボットを併用する現場ではこの選定項目が特に大切でしょう。
一方で、取り付け容易性と互換性を確保していれば、生産ラインのレイアウト変更や機種追加の際にもスムーズに対応でき、長期的な運用コストを削減できる可能性が高いです。
ここまでで、エンドエフェクタを選ぶ際の大切なポイントを3つご紹介しました。次は、具体的にどのメーカーがどのような強みを持っているのか、より実践的な情報を見ていきましょう。
エンドエフェクタのおすすめメーカー5社を比較
ここからは、エンドエフェクタを手がける代表的なおすすめメーカーを5社比較します。メーカーの概要から独自技術、製品の強みまで取り上げますので、ぜひ参考にしてみてください。
小倉クラッチ / Ogura Clutch
メーカー名 | 小倉クラッチ / Ogura Clutch |
設立年 | 1938年 |
本拠地 | 群馬県桐生市相生町2-678 |
概要 | クラッチ・ブレーキの総合メーカー |
小倉クラッチは、1938年に設立され群馬県桐生市に拠点を構えるクラッチ・ブレーキの総合メーカーです。摩擦と磁力の2つの技術を駆使した豊富な製品開発力と85年以上の技術経験をもっています。
同社が手がける小倉クラッチ独自の荷重センシング技術を搭載したロボットハンドは、ワークの状態を精密に把握しながらハンドリングを行える点が魅力です。
荷重センシング技術を組み込むことで、他社製品と比較してもより安定的かつ繊細な把持が可能で、把持ストロークも最大60mmと幅広く、多彩なワークを1つのハンドで扱えます。
実際には多種多様なワークを扱う製造現場や、生産ラインの汎用性を高めたい企業で導入が進んでいます。
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シナノケンシ / ASPINA
メーカー名 | シナノケンシ / ASPINA |
設立年 | 1918年 |
本拠地 | 長野県上田市上丸子1078 |
概要 | 精密小型モータおよび関連製品の総合メーカー |
シナノケンシ(ASPINA)は、1918年に創業し長野県に本拠地を置く、9,000機種以上ものモーター製品を扱う開発実績が強みの精密小型モータの総合メーカーです。
エンドエフェクタとしては「ASPINA電動ロボットハンド(ARH350Aなど)」を開発しており、コンパクトなサイズながら大きな最大開口径を実現しています。
他社製品と比較しても、1つのハンドで小さいワークから比較的大きいワークまで幅広く対応可能な点が魅力で、生産現場の効率化に貢献します。
製造業の部品ピッキングや多品種少量生産の現場に採用例が多く、ファナックやカワダロボティクスなど主要ロボットメーカーとの協働実績も豊富です。
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北川鉄工所 / Kitagawa Corporation
メーカー名 | 北川鉄工所 / Kitagawa Corporation |
設立年 | 1941年 |
本拠地 | 広島県府中市元町77-1 |
概要 | 工作機器・産業機械の総合メーカー |
北川鉄工所は、1941年に広島県で設立された工作機器・産業機械の総合メーカーです。旋盤用チャックで国内シェア60%を誇り、その長年にわたる「掴む技術」の蓄積が強みとなっています。
同社が展開するエンドエフェクタ「kitagawaロボットハンド」は、チャックで培った高品質・高耐久性が特徴です。
他社製品と比較すると、厳しい作業環境下でも性能を安定して発揮できるほか、長寿命を実現しているため、メンテナンスコストを抑えやすい点が魅力です。
自動車部品の製造ラインなど大量生産の現場から、多品種少量生産の工場まで幅広く導入されており、安定感のある把持力で高評価を得ています。
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ARMA / ARMA
メーカー名 | ARMA / ARMA |
設立年 | 2023年 |
本拠地 | 岐阜県各務原市鵜沼各務原町7-64 |
概要 | ロボットエンドエフェクターの設計製造を行う開発型企業 |
ARMAは2023年に設立され、岐阜県各務原市を拠点とするロボットエンドエフェクター専門の開発型企業です。3Dプリント技術を活用した製品開発力を武器に、独自のソリューションを提案しています。
同社の主力製品である「コラボレーティブグリッパー」や「電動真空グリッパー」は、タッチパネル搭載により手元からストロークを調整できるという画期的な特徴を持ちます。
他社と比較しても、UIタッチパネルを活かした操作性の高さは魅力で、製造現場でのセッティング時間を短縮できる点が強みです。
多様なワークに柔軟に対応できるため、組立や仕分け作業などの現場で徐々に採用例が増えています。
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デンソーウェーブ / DENSO WAVE
メーカー名 | デンソーウェーブ / DENSO WAVE |
設立年 | 1976年 |
本拠地 | 愛知県知多郡阿久比町大字草木字芳池1番 |
概要 | 産業用ロボット・自動認識機器・制御機器の総合メーカー |
デンソーウェーブは、1976年に設立された、QRコード、RFID、ロボット、IoT技術など幅広い技術を組み合わせたトータルソリューションの提供が可能な総合メーカーです。
エンドエフェクタとしては「K³ハンド」を提供しており、人との衝突時にクラッチ機構によりケガを回避できる安全性を実現しています。
非接触型出力軸エンコーダとクラッチ機構を搭載し、他社のエンドエフェクタと比べても小型軽量でありながら多指で可動域が広い点が強みです。
自動車・自動車部品産業や電気電子産業、医療機器産業など多くの導入実績があります。
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