
FOOMA JAPAN 2025レポート~食の現場を変えるロボットたち~
2025年6月10日~13日に、東京ビッグサイトで開催された「FOOMA JAPAN 2025」は、食品製造の最前線を担う装置・技術の展示会です。製造、盛り付け、検査、洗浄、梱包、搬送といったさまざまな工程に対応するロボット技術も多数展示され、ロボット業界にとっても見逃せないイベントとなりました。食品製造に関わる21分野の製品・技術・サービスの展示や新技術、特許、ベンチャー企業などの展示が集まったFOOMA JAPAN 2025ですが、本記事では、JET-Global編集部の駒木が現地で取材して、特に注目した3つの技術をミニレポート形式でお届けします。
今回訪問した場所
FOOMA JAPAN 2025
- 場所:東京ビッグサイト
- 開催期間:2025/6/10~13

「FOOMA JAPAN 2025」で特に注目した3つの技術
今回の「FOOMA JAPAN 2025」では、食品製造の工程全体にわたるソリューションが紹介されていましたが、特に編集部が注目したのが「梱包・搬送」「盛り付け」「洗浄」など、後工程におけるロボットの活躍でした。なかでも印象に残ったのは、次の3つの技術です。- 盛り付けロボット~”つかむ”を極めた食品対応技術~
- バット洗浄自動化~”洗って・乾かす”をロボットで一括管理~
- ロボット&AMRの組み合わせ~”梱包・搬送”工程の自動化が加速中~
盛り付けロボット~“つかむ”を極めた食品対応技術~

※画像はイメージです
食品業界ならではの「形や硬さが不揃いな食材」を扱うための工夫が凝らされた盛り付けロボット。惣菜の盛り付け工程を担うこのロボットは、例えばネットリとしたポテトサラダや、大きさにばらつきのある唐揚げといった扱いにくい食材にも対応できるよう、ハンド部分の素材・形状にさまざまな工夫が施されていました。展示では、各社が独自の技術で「食品に最適化されたハンド」や「柔軟な動作制御」を競い合っており、エンドエフェクタの発想力やロボット全体の協調動作に注目が集まっていました。
バット洗浄自動化~“洗って・乾かす”をロボットで一括管理~

※画像はイメージです
食品加工の現場では欠かせない「バット」。大型の工場ともなると、洗浄の工程も膨大で、作業の負担は大きくなります。この洗浄工程を自動化する提案も登場しました。ワイドに設計されたエンドエフェクタを装着した協働ロボットが、使用済みのバットを洗浄機にセット・回収し、そのまま水切りまで行う一連の工程を自動でこなします。特に注目すべきは、既存の洗浄機と協働ロボットのシームレスな連携です。比較的省スペースで導入できる構成ということもあり、今後中小規模の加工場などへの広がりも期待できると感じました。
ロボットアーム&AMRの組み合わせ~“梱包・搬送”工程の自動化が加速中~

※画像はイメージです
ロボットアームとAMR(自律走行搬送ロボット)を組み合わせた展示は、今回のFOOMAでも多くの来場者の関心を集めていました。食品業界はもちろん、製造業や物流業界でも共通して課題とされている「梱包から搬送」工程に焦点を当てた構成が目立ち、業界を問わずニーズの高さを感じさせる内容でした。こうした工程は、製品自体の品質やクオリティに直接影響を与えにくいため、自動化による置き換えが進めやすい領域とされています。そのため、人的リソースの削減や現場の省力化、さらには作業の平準化を目指す企業にとって、最初の自動化対象として選ばれやすい工程ともいえるでしょう。
実際の展示でも、ロボットアームによる積み下ろしとAMRによる搬送を組み合わせたデモンストレーションが多く見られ、既に一部の現場では導入が始まっていると伺いました。改めて「梱包・搬送」は、業界横断的に注目されている自動化のホットスポットであることを実感しました。
まとめ
食品業界はその特性上、これまで自動化が難しいとされてきた工程が多く存在します。しかし、今回の「FOOMA JAPAN 2025」では、そうした課題に対してロボットが柔軟に対応する姿が随所に見られました。盛り付け、洗浄、搬送といった「人手が必要だった部分」へのアプローチは、単なる省人化だけでなく、衛生面の向上や工程の安定化にもつながる可能性があります。JET-Global編集部としても、今後の食品ロボット市場の動きには引き続き注目していきたいと感じる展示会でした。
FOOMA JAPANについて、詳細は以下のHPをご覧ください。
今回訪問した場所
FOOMA JAPAN 2025
- 場所:東京ビッグサイト
- 開催期間:2025/6/10~13
