
RobiZyユーザーサロン会レポート~リアルな現場とロボットの最前線~
2025年、建設・不動産・介護・製造など多様な業界の企業とロボット開発企業が一堂に会するイベント「RobiZyユーザーサロン会」が開催されました。
本イベントは、ロボットを導入したい企業が自社の業務環境を共有し、どこにロボットを導入できそうかを参加者同士で意見交換する場であると同時に、ロボット開発企業が製品の開発状況を共有・PRし、現場ニーズや協賛を得ることができる貴重なコミュニケーションの機会を提供してくれます。
本記事では、JET-Global編集部が実際に参加して取材した中から、みなさんにお伝えしたい注目の取り組みを紹介します。
注目の取り組み①:ロボット開発企業の現状と協賛募集~建設現場での実証を目指して~
※画像はイメージです
主に建設現場や施設運用に関わるロボットを開発しているエンジニアリング系の企業が登壇し、ロボット導入に向けた課題と開発の進捗状況、そして協業先への期待が語られました。
実証課題に挑む開発現場
大型で重く、かえって作業負担が増えてしまうロボットを開発した過去の反省から、現在は一人で設置可能な、小型・軽量ロボットの開発に注力中です。用途としては、墨出し作業・ゴミの集積・追従機能など単機能に特化しており、屋外・屋内問わず運用可能なように、通信インフラやエレベーター対応の整備も同時に進められています。
その場で生まれた実践的フィードバック
質疑応答の時間では、参加者であるモーター製造企業から具体的な技術助言が寄せられました。「この用途であれば24Wのモーターでは力不足だが、75Wクラスであれば十分対応可能」といったモーター選定のリアルなノウハウが共有され、会場内で技術同士のすり合わせが生まれる貴重な機会となっていました。
さらに、「実証実験の場を提供してくれる施設を探している」といった開発企業の呼びかけに対し、他の参加企業からは「自社で紹介できる」「受け入れ可能な施設がある」といった前向きな連携提案が複数寄せられ、その場でマッチングが始まるような熱気あるやり取りが展開されていたのも印象に残っています。
注目の取り組み②:ロボット導入相談のリアル~シニア住宅での可能性を探る~
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シニア向けマンションの管理・運営や生活支援サービスを展開する会社が登壇し、ロボット導入に関する現場課題と検討状況を率直に共有しました。
現場での導入検討と壁
人材不足や清掃スタッフの人件費高騰(時給2,500円前後)を背景に、館内清掃や大浴場の管理といった日常業務の一部をロボットで代替したいというニーズが高まっています。しかし、完全自動化にはコスト面での課題があるため、現実的にはリースによる部分導入や、作業者とロボットの併用による段階的な導入を模索しているとのことです。
実例を交えた導入相談の共有
実際にはすでに、介護向けコミュニケーションロボットの試験導入が一部施設で進行しており、清掃のみならずフロント業務や飲食サービスにも今後の活用の余地があるといった見解が語られました。
会場では、こうした具体的な課題に対して開発企業側から「既存サービスに組み込めるようカスタマイズ可能」「実運用の構成例を提案したい」といった提案が活発に寄せられ、現場と開発側の視点が交差する生きた議論が展開されていました。
注目の取り組み③:ロボット開発企業のサポート情報~社会実装に不可欠な“安全”を整える~
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ロボットの社会実装を進めるうえで欠かせない「安全性の担保」にフォーカスした登壇が行われました。登壇したのは、試験認証や評価を専門とする第三者機関です。
安全認証という開発の土台
この機関では、電気的・機械的な安全性評価や、ISO・JISといった国際・国内基準への適合支援を通じて、ロボット開発企業の市場展開をサポートしています。とくに人と協働するサービスロボットや、無人搬送車(AGV)など、公共空間での使用が想定される製品に対する問い合わせが急増しているとのことです。
開発企業と導入側の“橋渡し”役として
また、ロボットを導入したいが安全面での知見やリスク評価に不安がある企業に対しては、無料相談・勉強会・研修の提供も行っており、単なる技術認証にとどまらず、社会的信頼を構築する基盤支援としても重要な役割を担っています。
ロボットのビジネスにまつわる第一歩を支援するRobiZy
ロボットを導入したいが、どこに相談すればよいかわからない。開発した製品をまずは現場で試してみたい。 ――そんな企業にとって、RobiZy(ロビジー)は“最初の一歩”を支えてくれるプラットフォームを提供している団体です。
回数制限はありますが、非会員企業でも気軽に参加できるイベントも用意されていますので、上記お困りの方は導入側と開発側がフラットに意見交換できる機会をぜひ体験してみてはいかがでしょうか。