「第4回 ロボデックス 秋」は、製造業や物流業界における最新ロボット技術の展示会として多くの注目を集めました。本記事では、JET-Robotics編集部の駒木が現地で取材した、 特に注目すべき4つの展示をレポートします。
今回訪問した場所
第4回 ロボデックス 秋
- 場所:幕張メッセ
- 開催期間:2025/9/17-9/19

「第4回 ロボデックス 秋」で訪れた4つの展示の概要
「第4回 ロボデックス 秋」は、工場や物流現場で活躍するロボット、搬送ロボットや、ロボット向けの部品、材料などが出展するロボット総合展です。工場向けロボットや物流向けロボットのほかに、人型ロボット、センサ、モーターなどの周辺設備などが対象製品となって、多くの企業が展示していました。JET-Roboticsは現在ロボット系のカテゴリ開拓に注力して活動しています。そのなかで、第4回 ロボデックス 秋はロボットの総合展としてさまざまなロボットが展示されていたため、ロボットの今を知るまたとない機会となりました。今回はJET-Robotics編集部の駒木が実際に現地を訪れ、特に注目した以下の展示4点をレポート形式で紹介します。
- ヒバラコーポレーション×プレミアエンジニアリング 塗装現場で培ったノウハウをもとにした外観検査ロボットによる自動化支援
- トーヨーコーケン × 協働ロボット エアバランサー×協働ロボットで産業用ロボットでは難しかった工程を自動化
- ワイヤレスパワートランスファー 移動体への非接触・常時給電で“止めない搬送”を実現。配線レスで保守性も向上
- FOVAテック 「どこから自動化すべきか」を見極める伴走型商社
塗装現場発の“塗装検査ロボット”|ヒバラコーポレーション×プレミアエンジニアリング

※画像はイメージです
ヒバラコーポレーションはもともと発電所を始めとするインフラに関わる塗装を中心にしている企業です。その後、自社工場の省人化のためにDXシステムを開発し、工場の自動化をしたことをきっかけに、現在では自動化の支援もしています。今回の展示会では自動化支援の一環として、ロボットを使用した塗装の外観検査システムを展示されていました。(未発売)同社の外観検査ロボットは、テックマンロボットの特徴である、マーカーを使用した自動位置補正機能による安定した動作と、直感的なシステムの採用などで傷・タレ等の基本不良を検出する仕組みです。塗装に関わる会社の経験が活かされた製品になると感じました。
“持ち上げはバランサー、位置決めはロボット”の最適分担|トーヨーコーケン × 協働ロボット

※画像はイメージです
トーヨーコーケンはバランサーのメーカーです。今回の展示では、重力状態をコントロールするエアバランサーと協働ロボットを連携。重い物の“持ち上げ”はバランサー、正確な座標移動はロボットという役割分担で、作業者の負荷を軽減します。今回のデモでは、ツールチェンジャを使ってバランサと協働ロボットを組み合わせているため、①協働ロボットが部品を箱にいれる②ツールチェンジャでハンドからバランサに変える③部品が複数入った重い箱を搬送する一連の動作を自動で行っていました。
産業用ロボットの導入には前後工程も自動化しなければならないため、時間とコストがかかります。その点、協働ロボット+バランサの組み合わせであれば、部分的な自動化が可能で、重量物にも対応でき、そのうえ省スペース・短期間での自動化が実現できます。
“配線レス”を実現する非接触・常時給電|ワイヤレスパワートランスファー

配線レスで稼働率と保守性を両立
同社はワイヤレス充電に特化したメーカーで、2022年と最近設立されたベンチャー企業です。今回展示されていたものは移動体への非接触給電システムです。皆さんはワイヤレス充電というと、AGVやAMRの充電システムなどを思い浮かべる方が多いかと思います。また、電動のレンタサイクルの充電システムを見た事がある方もいらっしゃるかもしれません。それらのワイヤレス充電システムは充電したいものを停止させて充電を行うタイプかと思いますが、同社の充電システムは給電部が帯のような形状をしています。そのため、動く機械の可動域に合わせて給電部を設置すれば、動きながら充電をすることができるため、可動部への配線レス化を実現することができます。
今後はさらに対応できる製品が増えていき、2026年にも新製品を出す予定とのことなので今後が楽しみな企業でした。
“どこから自動化?”から考える伴走型商社|FOVAテック

現場起点の自動化提案
FOVAテックは、企業の自動化を支援する商社(SIer)です。ブースではAMRを中心とした搬送ロボットが所狭しと走行し、稼働デモが来場者の関心を集めていました。ロボット事業の責任者への取材では、現在、自動化が思うように進まない背景として、「人手不足で自動化はしたいが、どこに相談すべきか分からない」「何を自動化すべきかが分からない」という課題が多いことが挙げられました。
そこで同社は、現場と徹底的に向き合い、全体を俯瞰して優先度の高い工程を特定。その上で、「どこを・どの順番で・どう実装するか」まで提案し、実装まで一気通貫で支援する方式を採用しています。コンサルティングと実装を一体で行う伴走型のアプローチにより、現場起点で着実な自動化を推進している点が特徴でした。
まとめ
第4回 ロボデックス 秋ではほかにもたくさんのロボットの展示があった
今回の4展示に共通するのは、「現場に合わせて実装できること」への徹底したこだわりです。フル自動化だけでは拾いきれないニーズに対し、段階的・部分的な導入で確実に効果を出す“現実解”が際立っていました。気になる会社の基本情報は以下の通りです。1社目①:塗装現場発の“塗装検査ロボット”|ヒバラコーポレーション
メーカー名 | ヒバラコーポレーション / HIBARA CORPORATION |
設立年 | 1975年 |
本社 | 茨城県那珂郡東海村村松平原3135-85 |
概要 | 工業塗装とDX・塗装ロボットソリューションの開発・提供 |
1社目②:塗装現場発の“塗装検査ロボット”|プレミアエンジニアリング
メーカー名 | プレミアエンジニアリング / Premier Engineering |
設立年 | 2019年 |
本社 | 千葉県船橋市北本町1-17-25 ベンチャープラザ船橋218号室 |
概要 | 協働ロボット(テックマン)販売・導入支援・トレーニング |
2社目:“持ち上げはバランサー、位置決めはロボット”の最適分担|トーヨーコーケン × 協働ロボット
メーカー名 | トーヨーコーケン / TOYOKOKEN |
設立年 | 1957年 |
本社 | 東京都江東区南砂2-11-1 |
概要 | ウインチ・ホイスト・荷揚機・バランサ・ジラフ等の設計/製作/販売 |
3社目:“止めない搬送”を実現する非接触・常時給電|ワイヤレスパワートランスファー
メーカー名 | ワイヤレスパワートランスファー / Wireless Power Transfer |
設立年 | 2022年 |
本社 | 愛知県名古屋市中区栄五丁目27番3号 |
概要 | 産業機器・モビリティ等向けの非接触給電(ワイヤレス給電)技術・製品の開発・提供 |
4社目:“どこから自動化?”から考える伴走型商社|FOVAテック
メーカー名 | FOVAテック / FOVA Tech |
設立年 | 1954年 |
本社 | 愛知県名古屋市中区大井町4-19 |
概要 | オフィス機器~ITソリューションの提供 |
今回訪問した場所
第4回 ロボデックス 秋
- 場所:幕張メッセ
- 開催期間:2025/9/17-9/19
