
第1回関西ロボデックスレポート~人と協働するロボットたち~
2025年5月14日から16日にかけて、インテックス大阪で開催された「第1回 関西ロボデックス」は、人型ロボット、産業用ロボット、アシストスーツをはじめ、センサシステム、グリッパなどの周辺設備、ロボットの開発技術など、ロボットに関する技術が出典する展示会です。製造業や物流業界における最新ロボット技術の展示会として、「第1回 関西ロボデックス」は多くの注目を集めました。本記事では、JET-Global編集部の駒木が現地で取材した、特に注目すべき3つの展示をレポートします。
今回訪問した場所
関西ロボデックス
- 場所:インテックス大阪
- 開催期間:2025/5/14-5/16

「関西ロボデックス」で訪れた3つの展示の概要
「関西ロボデックス」は、工場や物流現場で活躍するロボット、AGVや、ロボット向けの部品、材料などが出展するロボット総合展です。工場向けロボットや物流向けロボットのほかに、サービスロボット、アシストスーツ、ロボットハンド、ロボット向け部品などが対象製品となって、多くの企業が展示していました。今回が始めての開催です。JET-Globalは現在ロボット系のカテゴリ開拓に注力を入れて活動しています。そんななか、関西ロボデックスはロボットの総合展としてさまざまなロボットが展示されていたため、ロボットの今を知るまたとない機会となりました。今回はJET-Global編集部の駒木が実際に現地を訪れ、特に注目した以下の展示3点をレポート形式で紹介します。
- オリエンタルモーター株式会社 老舗モーターメーカーが協働ロボット分野へ進出。高互換性&高信頼性の設計に注目
- 株式会社Doog(ドーグ) 人と“協働”する新発想の搬送ロボット「サウザーシリーズ」。直感的操作と柔軟な機能性が魅力
- ヒューマノイドロボットショー リアルな関節動作と重心制御で観客を魅了。人との共存を感じさせるロボット技術に注目
ヒューマノイドロボットショーは、最新のヒューマノイドロボット(人型ロボット)の実物を展示する特別展示企画です。さまざまな企業がヒューマノイドロボットを開発していると最近話題になっています。どんなヒューマノイドロボットがあるのか、興味のある方はぜひご一読ください。
業界のトレンド? モーター提供からロボットメーカーへ|オリエンタルモーター株式会社
オリエンタルモーターのブースに展示されていた稼働中のロボット
モーターメーカーとして長年の実績を持つオリエンタルモーターが、協働ロボット市場に本格的に参入を始めました。これまで産業用の小型モーターや駆動システムを中心に展開してきた同社ですが、今回の展示では、既存の協働ロボットと高い互換性を持っている、中空ロータリーアクチュエーター「DGⅡシリーズ」や、同社のオリジナルの小型協働ロボット「OVRシリーズ」など、ロボットと関連する展示物が紹介されていました。
まだ市場投入前の試作モデルとのことでしたが、同社が長年蓄積してきた制御技術や駆動技術をベースにした、シンプルかつ信頼性の高い設計に期待が集まります。
このように、ロボットのパーツを作っていた会社が、ロボット本体も作るようになる流れが現在より加速しています。今後も新たなロボットメーカーが誕生していくことでしょうし、その先陣を切ろうとしているのがオリエンタルモーターなのだろうと、今回の展示で肌に感じることができました。
運ぶのを任せっきりにするのではなく「一緒に運ぶ」という考え方|株式会社Doog(ドーグ)
協働搬送ロボットのライントレース機能を実演しているところ
Doog(ドーグ)が提案する「サウザーシリーズ」は、従来のAGV(無人搬送車)やAMR(自律移動ロボット)とは異なる、「協働搬送ロボット」という独自の立ち位置で製品を展開しているとのこと。現在のAGV、AMRのトレンドとしてはLiDARやSLAMなどの技術を用いて、現場の地図を作ります。この「完全自動化に近づけていく」ことがこれまでの主流の方向性としてあると私は感じていました。
しかし、Doogの思想は異なっています。動画にある操作の方法からもわかるように、完全な自動化を目指すことはせず、あくまで人とともに働くためのもの」をコンセプトに据えてロボットが設計されている「ように感じます。
ブースにいらっしゃった担当の方にもお話を伺ったところ、「人と一緒に働くためのロボット」というコンセプトがあるのだと仰っていました。
協働搬送ロボットのメモリトレース機能を実演しているところ
サウザーシリーズなどは、人や台車を追従して自律的に走行する「自動追従機能」や、床面に敷設したラインを認識して走る「ライントレース機能」、さらには過去に走行したルートを記憶して再走行する「メモリトレース機能」など、多彩な移動モードを搭載しています。特に自動追従機能、メモリトレース機能に関しては、人についてきてもらう、人に教えるような直感的な使い勝手で動作することができます。完全な自動化が難しいような環境でも使用しやすいのではないかと、実物を見て感じました。
もし仮に完全自動化に寄せたくなった際には、ライントレース機能によってAGVのような動きをさせることも可能なため、急な設定変更など柔軟な対応もできそうなのが「サウザーシリーズ」でした。
大盛況! 予想よりも人間らしい挙動で観客を魅了|ヒューマノイドロボットショー
観客に手を振るヒューマノイドロボット
会場内でひときわ注目を集めていたのが、ヒューマノイドロボットによるデモンストレーションです。はじめは「展示向けのパフォーマンスかな?」という軽い気持ちで立ち寄ったのですが、いざ始まってみると、ヒューマノイドロボットの挙動など、完成度の高さに思わず見入ってしまいました。ロボットは、ダンスのようにリズムよく動いたかと思えば、わざと倒されるような動作を受けても即座に体勢を立て直す。その動きは非常に滑らかで、関節の動きや重心移動があまりに自然なため、一瞬「本当にロボットか?」と思うほどでした。

ヒューマノイドロボットの動作原理についての説明
こうした高度な動作制御を目の当たりにして、製造現場での作業やサービス業など、今後人手不足が懸念される分野において、人がこれまで担ってきた役割の一部を難なく担ってくれるだろうという大きな可能性を私は感じました。ヒューマノイドロボットは人間の単なる代替労働力ではなく、人と共存・協調する存在としてのロボットであるという未来像を改めて実感できる機会となりました。
この分野は日進月歩で技術が変化していくため、またチャンスがあればヒューマノイドロボットの実物を見てその変化を感じられたらと思います。
まとめ

関西ロボデックスではほかにもたくさんのロボットの展示があった
以上、2025年開催の関西ロボデックスの展示会レポートをお届けしました。気になる会社の展示は見つかったでしょうか。今回訪れた会社の基本情報は以下の通りです。1社目:業界のトレンド? モーター提供からロボットメーカーへ|オリエンタルモーター株式会社
メーカー名 | オリエンタルモーター / ORIENTAL MOTOR |
設立年 | 1950年 |
本社 | 東京都台東区 |
概要 | 精密小型モーターおよび制御用電子回路などの開発・製造・販売 |
2社目:運ぶのを任せっきりにするのではなく「一緒に運ぶ」という考え方|株式会社Doog(ドーグ)
メーカー名 | Doog / ドーグ |
設立年 | 2012年 |
本社 | 茨城県つくば市 |
概要 | 協働搬送ロボットの開発・製造・販売など |
今回訪問した場所
関西ロボデックス
- 場所:インテックス大阪
- 開催期間:2025/5/14-5/16
