
案内ロボットの価格相場を解説! 人件費との比較や低コストで導入する方法も
案内ロボットは、商業施設やオフィス、病院、観光地などで注目を集めている次世代の接客ツールです。しかし導入を検討する際、多くの方が「価格はどのくらい?」「レンタルと購入どちらが良い?」「人を雇うよりお得なの?」といった疑問を抱えるのではないでしょうか。
本記事では、案内ロボットの価格相場をはじめ、導入時にかかる費用やランニングコスト、レンタル費用、補助金制度までを徹底的に解説します。また、人件費と比較した費用対効果や、人気の案内ロボットの価格についても詳しく紹介します。
コスト面での不安を解消し、自社にとって最適な導入方法を見つけたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
案内ロボットはいくらで導入できる? 価格相場を解説
案内ロボットの導入にあたって、気になるのが価格面でしょう。ロボット本体の価格はサイズや性能によって大きく異なります。
また、レンタルと購入の選択でも初期コストや月額料金に差が出ます。ここでは、導入方法別に相場を詳しく解説し、導入前に把握しておきたい費用感をつかめるようにご案内します。
機体を購入する場合
案内ロボットを購入する場合、サイズや形態によって価格は次のように分類できます。
- 低価格帯(卓上・小型タイプ)
- 中価格帯(自律走行型の中型ロボット)
- 高価格帯(高機能・人型ロボット)
数十万円〜100万円程度
100万〜300万円程度
300万円以上
※価格は参考です。
また、上記の機体価格以外にも、バッテリーやメンテナンス費用などのランニングコストが別途かかってきます。こちらも、メーカーや製品によって異なるので、導入の際には総合的な価格を確認してください。
機体をレンタルする場合
購入せずにレンタルを選ぶことで、初期費用を抑えながら案内ロボットを導入できます。以下は主要案内ロボットのレンタル価格です。
- Pepper for Biz
- temi
- PALRO
- OriHime
- Sota
月額55,000円~
月額33,000円~
月額30,000円~
月額9,800円~
月額66,000円~
※上記は2025年7月時点の情報です。
レンタルでは月額料金に加え、契約期間や補償内容の違いも重要なポイントとなります。導入目的や利用期間に応じて、最適なプランを選ぶことが大切です。
上記の様に案内ロボットの導入費用は、購入とレンタルで異なります。次の章では、これらのコストをできるだけ抑えて導入するための方法を具体的にご紹介します。
案内ロボットを低価格で導入する方法を紹介
案内ロボットの導入に興味はあるものの、コスト面がネックで踏み出せないという方も多いでしょう。実は、ロボット導入には費用を抑えるさまざまな方法があります。
ここでは、低価格なモデルの選定から、リース・中古活用、さらには補助金制度まで、コストを下げる具体的なアプローチを紹介します。
低価格のロボットを選ぶ
案内ロボットを導入する際、手軽にコストを抑える方法のひとつが、価格帯の低い機体を選ぶことです。
案内ロボットには高性能な人型タイプから、シンプルな卓上型までさまざまなタイプがあり、価格も数十万円から数百万円まで幅があります。
すべての機能を備えた高額モデルにこだわるのではなく、自社の利用目的に本当に必要な機能だけを備えたモデルを選ぶことで、初期投資を抑えることができます。
たとえば、音声案内や定型対応に限定される業務であれば、高度なAIや自律移動機能は必ずしも必要ではありません。そのような用途に対して、あえてシンプルな構造の案内ロボットを選べば、導入コストだけでなく、ランニングコストやメンテナンス負担の軽減にもつながります。
また、低価格帯の機体であっても、クラウド連携や遠隔操作など、基本的な案内業務に必要な機能を備えているものも多く、十分に実用性がある製品も存在します。
はじめて案内ロボットを導入する場合や、限られた予算の中で効果を試したい場合には、こうした機体を検討することが現実的かつ戦略的な選択と言えるでしょう。
レンタルやリースを活用
案内ロボットを導入したいが、初期費用の大きさに不安を感じる企業にとって、有効な手段となるのがレンタルやリースの活用です。
購入とは異なり、一度に大きな資金を投じる必要がなく、月額固定の支払いで運用できる点がメリットです。導入ハードルを下げられるだけでなく、経費として処理しやすい点も企業にとっては魅力でしょう。
また、レンタル契約では機体本体に加えて、保守・サポート・ソフトウェア利用料などがパッケージ化されているケースも多く、トラブル時の対応も安心です。
万が一途中で運用を見直したくなった場合にも、リース期間終了後の見直しや機種変更がしやすく、導入の柔軟性を高める手段にもなります。
さらに、短期イベントや展示会、期間限定のプロモーションなどにも活用しやすい点が特徴です。実際に案内ロボットを運用してみて自社に合うかを試したい場合にも、レンタルは最適な選択肢となります。
初期投資を抑えつつ、効果や使い勝手を見極めたい場合は、まずレンタルから始める導入方法を検討してみてください。
中古品を購入する
案内ロボットには、新品だけでなく中古市場で流通しているモデルも存在します。中古品であれば、新品価格の半額以下で手に入るケースもあり、導入予算を大きく抑えたい場合には有効な選択肢です。
特に、展示会やイベントなどで短期間のみ使用するケースでは、中古品の購入によってコストを抑えることができます。
ただし、中古の案内ロボットには注意すべき点もあります。すでにメーカーのサポート期間が終了している機種や、部品の入手が難しくなっているモデルも含まれるため、購入前には販売元の信頼性や、アフターサービス・修理体制が整っているかどうかを必ず確認しましょう。
価格の安さだけにとらわれず、導入後の運用や保守のことまで見据えた上で、慎重に検討することが大切です。
補助金や助成金の活用
国や自治体の補助金制度を活用すれば、導入価格の負担軽減が可能です。特に中小企業を対象とした「中小企業省力化投資補助金」は、案内ロボットの導入にも対応しています。
制度名 | 中小企業省力化投資補助金 |
補助率 | 最大2/3 |
補助上限額 | 750万円〜1億円 |
対象 | IoT・ロボット等による人手不足解消を目的とする設備導入 |
補助金の申請には事前準備やスケジュール確認が必要です。募集要項や対象要件をしっかりと把握し、スムーズな申請を進めてください。
案内ロボットを導入する際は、コストを抑える選択肢を多角的に検討することが大切です。次章では、ロボット導入と人件費の違いに着目し、どちらがお得かを費用対効果の面から検証します。
費用対効果を確認! 人を雇うのとどちらがお得?
案内ロボットを導入するべきか、人を雇うべきかを判断するには、月額・時給換算での総コストを比較し、同時に両者のパフォーマンス特性の違いも理解する必要があります。
ここではまず人件費の総コストを概算し、その後案内ロボット側の「時給」を算出して比較します。
案内スタッフ1人にかかるコストを確認
案内スタッフ1名の時給を1,300円、会社負担(社会保険料や法定福利費など)を25%と仮定し、1日8時間・月160時間稼働で概算します。
給与総額は 1,300円 × 160時間 = 208,000円/月です。ここに会社負担分(25%)を上乗せすると、208,000円 × 1.25 = 260,000円/月になります。
したがって、実質的な時給換算は 260,000円 ÷ 160時間 = 約1,625円/時です。採用費や教育コスト、離職リスクなどの間接コストも本来は考慮すべきですが、ここでは計算を単純化します。
案内ロボットの時給を算出
案内ロボットは「導入(購入 or レンタル)コスト+ランニングコスト」を「想定稼働時間(ここでは月160時間)」で割ることで時給換算可能です。
ここでは計算を簡略化するために、レンタルを月5万円、購入額を200万円として計算します。
まずレンタルの場合の時給は、50,000円 ÷ 160時間 ≒ 約312円となります。契約には最低利用期間や中途解約不可の条件、保守・保険の内訳差などがあるため、実際の時給は契約内容次第で上下するでしょう。
次に購入の場合は、3年(36か月)均等償却で、年額の保守・ソフト利用料の相場を、3万6,000円/年(=3,000円/月)とすると、2,000,000円 ÷ 36か月 = 55,556円 に
3,000円を加えて 約58,556円/月となるため、時給は約366円です。
これらはすべて、あくまで代表的な相場を前提とした試算です。実際には、機能要件(自律移動・多言語・高度対話など)、アプリ開発費やシステム連携費、保険・保守の範囲、ダウンタイム時の代替機提供、想定稼働時間の差などによって、実コストは変動します。
導入前に自社の要件と運用条件を明確化し、見積り段階で「月額総コストを時給換算するといくらになるか」を必ず確認してください。
案内ロボットと案内スタッフを比較
コストの比較だけでなく、パフォーマンス特性の違いも意思決定では重要です。
案内ロボットは同一品質で長時間の繰り返し業務に強く、深夜や繁忙期の業務平準化にも適します。一方、人は状況判断や臨機応変なコミュニケーション、クレーム対応や新規施策の即時実装など、柔軟性の高い価値を提供できます。
コストの観点では、前述の概算例において案内ロボットの“時給”は人件費よりも低くなるケースが多いです。特に、長時間稼働・多拠点展開・多言語対応・24時間稼働などの要件がある場合は、ロボットの優位性が高まります。
逆に、接客の質が強く求められ、状況に応じた説明や提案、クレーム一次対応などを必要とする場面では、人を中心に据え、ロボットは定型案内やピーク時の負荷平準化に使う構成が妥当です。
まとめると、定型案内の比率が高く、長時間・多店舗で運用する場合は、案内ロボット導入の費用対効果が高くなりやすいです。一方、非定型対応が多く、付加価値の高い接遇を重視する場合は、人を中心に、案内ロボットは補助的に活用するハイブリッド運用が現実的でしょう。
次章では、国内で人気のある具体的な案内ロボットの価格を個別に確認し、導入候補を具体化していきます。
国内で人気のおすすめ案内ロボットの価格
ここでは、法人・施設・商業施設などで多く導入されている代表的な案内ロボットをピックアップし、それぞれの価格や契約形態についてご紹介します。
本体購入価格 | 月額レンタル費用 | 特徴 | |
Pepper for Biz | 法人向けはレンタル提供が主流 | 55,000円/月~ (36か月・保証別) |
人型で高い視認性を持ち、法人向けテンプレートやアナリティクス機能を備える |
temi | 約2,500,000円 (目安:3年利用比較換算の相場) |
33,000円/月~ (3年契約・中途解約不可) |
自律移動と遠隔操作に対応し、多言語案内や受付に活用可能 |
PALRO | 737,000円 | 30,000円/月~ (24か月〜) 40,000円/月~ (最短2か月〜) |
小型ヒューマノイドで対話性が高く、介護・受付・案内領域で長年の導入実績があります |
RoBoHoN | 217,800円 | – | 小型で携帯可能な案内ロボットで、受付や観光案内などに活用しやすいです |
OriHime | – | 9,800円/月(年間プラン) 29,800円/月(短期) |
遠隔オペレーターが“分身”として案内でき、接客・教育・自治体業務など幅広く活用できます |
※スマートフォンは横にスクロールできます。
上記のように、案内ロボットは機能や大きさによって価格帯や契約形態が異なります。導入時は「案内の質をどこまで求めるか」「どの程度の期間運用したいか」などを踏まえ、価格だけでなく特性も含めて比較することが重要です。